ソードアート・オンライン 〜剣豪と絶剣〜 作:☆さくらもち♪
ご飯タイムも終わり、普通に休憩をしている4人。
第74層の迷宮区であるはずなのにも関わらずのんびりとした空気があった。
しかしそんな空気も一瞬にして霧散する。
「……誰?」
いち早く気づいたのはルアだった。
地面から伝わってくる足音から何人なのか識別をする。
「一旦休憩だ!……ってキリトじゃねえか!」
ルア達がいる休憩場に上がってきたのは頭にバンダナを巻いている男性だった。
「クラインか……警戒して損したぞ」
「ひっでぇ!んで、この状況はどうしたんだよ?」
クラインが気になったのは親しい仲であるキリトが有名人であるアスナとユウキと共に迷宮に潜っていることが少し引っかかっていた。
「普通に攻略だよ……なあ?3人とも」
「そうよ、クラインさん。パーティを組んでるの」
「めっずらしいこともあるもんだな。ユウキちゃんの上に乗ってるその子も一緒か?」
「そーだよ?」
《剣豪》というプレイヤーが存在することは確かだった。
しかしそのプレイヤーがルアに結び付けられていない為、クラインは少し疑問に感じた。
どうやってこんな小さい子供が戦ってきたのかと。
「ま、いいや。おめえらはこの先はもう行ってるのか?」
「俺はまだだよ。でも確か……」
「僕が終わってる」
そう告げたのはルア。
第74層迷宮区のマッピングはそもそもルアが既に終わらせていたが、それを情報屋に売り渡すということまではこれまでも一切行っていなかった。
そんなことをする意味がなかったから。
一々そんなことをする暇があるのなら他に費やしていたぐらいなのがルアという少年だ。
自分とその周りだけで良いと感じる思考なのだから。
「欲しいなら、あげる」
「……いや、遠慮しとくわ。マップデータないと詰んだ訳でもねえからな。危険と感じたらすぐ戻れば問題ない」
「そう」
言葉の節々からその真偽を確かめながら、ルアは興味を失せたようにユウキに身体を託す。
キリトの仲が良い人だからこそ中身もそうなのかと、探れば。
ただの普通の人だった。
でもルアはそんな所が羨ましいと感じた。
己は普通じゃない。
人の身を被った化物だと理解していたから。
余計に眩しく感じれる。
「ユウキちゃんとその子ってそういう関係か?」
「えーっと……まぁ、そうだよ。ボクとルアは恋人」
「……マジかあああああああ!!!くっそ!羨ましいな、このやろーが!」
ユウキという超絶美少女を彼女にするルアに多少の嫉妬が生まれるも、2人の信頼関係は今の状態から見てもわかるぐらいに強い。
そんな2人を引き裂く事などそれこそ世界が終わるなりしなければ難しいだろう。
「っ……」
「わ、悪りぃ。急に大きい声はびびるよな」
急に大声を出したクラインにビクッと反応したルアをユウキが宥めていた。
単純に驚いただけでそんな反応をするルアが珍しくてユウキがまた甘溶かそうとしかけていた。
「く〜、俺も出会いが欲しいぜ」
「お前に出来てたら今頃いるだろ」
「キリトよぉ、おめえもだろうが」
「……まぁそうだけど」
壊滅的にそういった感情に疎い訳では無いキリトはアスナけら時折感じる好意がそういうものだと分かっていながらも未だに答えれてはいなかった。
何かきっかけがあればすぐにでもくっつきそうだと、ルアは判断していたが。
「ん……名前、は?」
そしてルアは今の今までクラインと自己紹介していなかったと思い出して、一応聞くことにした。
「あぁ、俺か?俺は『
「こんな奴だけど『風林火山』ってギルドのリーダーだからな」
「こんな奴とは聞き捨てならねえぞキリト」
「ん、僕はルア」
「ルア……ルアな。よろしく頼むぜ」
また1人ルアの周りが増えていた。
それがたまらなくユウキには嬉しかった。
自分だけではもしかしたら足りない何かを補ってくれるだろうと。
自分とその周りにはとてつもない恩恵をもたらすが、逆に他人には一切を与えない冷たさもあった。
狭い交友関係で世界だったものの、ルアにはそれで構わないぐらいだったからこそ。
「んぅ……ユウキ、寝ていい?」
「みんながまだ休憩してるなら全然いいよ?」
「俺らは少し前にここで休憩したばっかだからまだここにいるつもりだぜ」
「私もまだいるつもり」
「なら俺もそうするよ」
「だってルア。寝てても良いからね」
みんながみんなしてユウキに抱かれるルアを優しい目で見ていた。
さすがにユウキがルアの寝顔を自分以外に見られるのが少し嫌だった為、自分に顔を向けさせて寝かせていたが。
「こんなとこで寝れる神経が羨ましいもんだ」
「ユウキの上ならどこでも寝れるんじゃないか?」
「あはは……そうかもねえー……」
「まさかユウキちゃんに彼氏がいて、しかも溺愛してるってなったら大騒ぎになるぞ」
「あら?クラインさんは言い触らすの?」
ニコニコとしながらもその目はあまり笑っていなさそうなアスナに苦笑いしながらユウキはポンポンとルアの背中を優しく叩いていた。
「いいや俺や仲間も言い触らしはしねえよ。どうせ、いずれは明るみになるだろうしな」
「あまりルアは人目に付くのが好きじゃないみたいだから。《剣豪》っていうのも多分ルアの事だろうし」
ユウキの言葉にアスナとキリトが頷く。
あれ程までの戦闘能力は自分達にはない。
となれば残るは謎の《剣豪》と呼ばれるプレイヤーだけに絞られた。
「ルアってそんなに強いのか?俺は見たことがねえからなんとも言えないけどよ」
「強いよ。ボクなんかより誰よりもすっごく強い」
「まだまだ分からないことだらけだな」
嘆くように、クラインはまだ自分は未熟だと理解した。
キリトやユウキやアスナといった者たちに超えられるのなら技術不足だと諦観していた。
しかしルアというこの中でも最も幼い子供が誰よりも強いと言うのならば。
ただ自分は諦めてその先を追い求めていなかっただけの軟弱者だと。
「……誰か来るみたいだな」
「数は?」
「10ぐらいか?足並み揃ってる感じだ」
クラインの《索敵》に引っかかったのはプレイヤー反応。
迷宮区においてはモンスターだけでなくプレイヤーも警戒しなければならない。
平和な世界などなく、SAOにはPVPというプレイヤーキルがあるのだから。
「ふむ……よし!休憩だ!」
声を張ってぞろぞろとやってきた甲冑パーティはリーダーの号令で漸く休憩が出来たとばかりにどっと座り込んでいった。
「うわあ……」
「面倒な相手ね」
ユウキとアスナが面倒だと思ってしまった。
キリトとクライン達も同じく一波乱ありそうだと嫌な予感を過ぎってならない。
甲冑を着込んだリーダー頭がユウキ達に近づいてきていた。