セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話 作:にゃるまる
ちょっと息抜きで書いてみました。
え?本編進めろ?
お願い、もう少しだけ待って…絶唱するから!!絶唱するから!!!!
あ、うちの作品においてエイプリルフールは日本特有のマイナーイベントと言う事にしてありますのでよろしくおねがいします。
「師匠ー♪」
とある日の朝。
今日も今日とて一日が始まらんとする時刻に、キャロルは聞き慣れたその声に振り替える。
そこにいたのは案の定セレナ。
ニコニコととても嬉しそうな彼女に、何か良い事でもあってその自慢でもしに来たかと飽きれ半分可愛さ半分でどうしたと声をかける。
よほど速く自慢したかったのか、足早に笑顔で近づいてきてーーー
「師匠、大嫌いです♪」
ーー心が砕ける音がした。
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時間は少し遡る。
「ガリィさん、エイプリルフールってなんですか?」
それは素朴な疑問だった。
エイプリルフールは日本特有のイベント。
元々海外生まれ+記憶がないセレナにとってそれは未知の存在でしかなく、偶々ガリィと読書タイム中に見つけた雑誌にそれが載っていたので何気なく聴いた。
それに対してガリィは《うたずきん》をぺらぺらと読みながら答えようとしてーーー悪い癖が起動してしまった。
「なになに~?そんな事も知らないのぉ~?仕方ないわねぇ、このガリィ様が教えてあげようじゃないの。良い?エイプリルフールと言うのはねぇ――――」
以下、長過ぎたので省略。
ガリィの言うエイプリルフール、それを纏めると――
1、エイプリルフールとは親しい人に対して普段は言えない≪本音≫を話しても良い日。
2、ただしエイプリルフール前日は絶対に≪本音≫とは真逆の≪嘘≫をつかないといけない。
3、前日に付く嘘は遠慮してはいけない、それが当日に感謝の気持ちとなるから。
全く以て嘘だらけのガリィの語るエイプリルフール。
だが純粋無垢、尚且つ記憶なしのセレナはそれが嘘だとは欠片も思わずに―――
「そんな日があったんですね!!エイプリルフールは…明後日!!じゃあ明日は皆に嘘をつかないといけないですね!!」
悪魔(ガリィ)の嘘を……信じた、信じてしまったのだ。
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そして時は戻る
「響さん!!大嫌いです!!」
「――ッ!!!?」
「未来さんの笑顔嫌いです!!(好きです)」
「……せ、セレナちゃん?わ、私なにか悪い事した…?(泣きそう)」
「翼さんの歌、大嫌いです!!(大好きです)」
「――――――――――(困惑のあまり言葉を失う)」
「クリスさん食べ方綺麗ですね!!(汚い)」
「え?お、おう?」
「暁さん、最近太りました?(やせました?)」
「デデデ!!?だ、ダイエット頑張ってるんデスよ!!?」
「月読さんの作るご飯、不味いです!!(美味しいです)」
「……ご、ごめんね…マズイご飯食べさせ……ぅ……」
あちらこちらで発生する無自覚な一撃は次々と悲劇(1人無事)を生み出していく。
どうしてこうなった――――ガリィのせいさ(真実)
そして遂に彼女の無自覚な一撃は――――
「マリア姉さん!!」
「あら?セレナ、どうしたの?私今から翼とのライブだからあまり時間が―――」
「マリア姉さん、大嫌いです!!」
―――この日の翼とマリアのライブはマリアが心拍停止し、病院へ搬送される事によって中止となった(蘇生して復活)
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「明らかに可笑しい!!」
シャトーの一室。
そこに集うはセレナの無自覚な一撃の被害者達。
各々受けたダメージは酷くマリアに至っては遠い目をして何か世迷言を呟き続けている始末だ。
唯一さほどのダメージもなく、て言うかもはや無傷のクリスは何でアタシまで集められてんだろとぼんやりと思いながら机の上にある菓子を貪る。
その食べ方は――やはり汚い。
「あいつのあの態度明らかに可笑しい。あいつがオレにきら…きら…嫌い…アガガガ」
「キャロルちゃんが壊れた!!?」
一軒冷静に見えるキャロルでさえもこれだ。
普段のセレナであれば絶対に吐かない言葉の刃はそれだけこの場にいる面々に致命傷を与えていた(1人除く)。
「…もしかしてだが…エイプリルフールではないか?」
その中で翼が口にしたのは明日に迫るエイプリルフール。
彼女がそれを1日間違えて実行しているのではないか?と言う答えに近いけれど遠い解答を見つけ出すが…
「…その割にはあいつがあそこまで酷い嘘をつくとは到底おもえん」
壊れた状態から復帰したキャロルの一言に確かにと各々が反応を示す。
優しいセレナであれば嘘と言っても加減した物しか想像できない。
それがあれだけの遠慮なしで致命傷となる一撃を次々と繰り出すのだ。
絶対に何かある、そう考え込む面々の中で―――
「えっと…ちょっとごめんなさい。その…えいぷりるふーるって何かしら?」
手を挙げてそう疑問を言葉にしたのは遠い国から帰還したマリア。
海外生まれの海外育ち、そして白い孤児院生活でそう言った娯楽とは無縁の生活をしていた彼女からすれば遠い島国での独特なマイナーイベントなど知っている筈もなく、その疑問は当然であろう。
それに未来が説明しようとして――ふと思った。
「ねえ、仮に翼さんの言う通りだとしたら…どうしてセレナちゃんがエイプリルフールを知ってるの?」
何を…と言い掛けたキャロルが待てよと気付く。
セレナは元は海外生まれの海外育ち、そして白い孤児院生活とマリアと全く同じ条件であり、今はその記憶さえもない。
そして彼女にとって最近までの世界はシャトーの中か彼女達と過ごす日常だけだ。
――その中でどうやって日本の独特イベントであるエイプリルフールなんて知ったのか?
――誰かが教えた?――
その瞬間、その場にいる全員が同じ顔を思い浮かべたのは――言うまでもない。
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「ごめんなさいッ!!!!」
深々とセレナは謝罪の言葉と共に頭を下げる。
あの後装者7人+キャロルと言う大抵の敵は絶対に倒せる最強PTがガリィを強襲。
一方的な無慈悲かつ非情な徹底攻撃の後に捕虜尋問と言う第二戦にてガリィがセレナに教え込んだ嘘が発覚。
その後に正しいエイプリルフールをセレナに教えて――今に至る。
「本当びっくりしたよー」
「けど本当の事が分かると嬉しいかな。私の笑顔好きだって言ってくれたんだもの」
「小日向に同意だな。私の歌を好きだと言ってくれたその気持ちは嬉しいぞセレナ」
「はぁ…てんやこんやさせやがって、けどまぁ、これで一件落着ってわけ――ん?待てよ?アタシのは…おい!!アタシの食べ方汚いってのか!!?」
「それは…うん、否定できないデスよ…」
「…クリス先輩今後うちで食事する時にマリアに綺麗な食べ方習ってみたらどうですか?」
「嗚呼!!良かった!!セレナに嫌われたら私生きていけない!!絶対に死んでしまうわ!!セレナに嫌われた世界で生きていけるはずなんてないもの!!(セレナにしがみ付きながら)」
「――当面その習い事とやらは不可能そうだぞ月読」
各々事の真意を理解してほっとすると気持ちと、ガリィにぶちまけた怒りが無くなった事で全員が笑顔でいた。
――まあ、遠くでキボウノハナーして死んでいるガリィ以外は、だが。
そんな面々を前にするとどうしても自らが仕出かしてしまった事に罪悪感が沸く。
どうにかして謝りたい、けれど…と考えていてふと時計を見ると時刻は深夜24時。
日付が変わりエイプリルフールを迎えたその瞬間セレナはそうだ!!と妙案を思い浮かべて―――
「師匠!!皆さん!!」
セレナの声に全員の視線が彼女へと集中する。
浴びる視線、それに向き合いながら彼女は笑顔で――――叫んだ。
「皆さん、大嫌いです!!!!!!」
今度こそ正しいエイプリルフールの嘘を付く事が出来たのであった。
ちなみに没案でソードマスターセレナ書いてました