セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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更新遅れてすみません!!(土下座)
実は作者PCを新調しまして…その手続きやら部屋の整理やらで書く時間ががが…(白目)
まだ新PC慣れてない上に、スランプ?ってわけではないんですが、うまく小説を書くこと出来ずのグダグダ感あふれる更新になってしまいました……すみません!!
もしかしたら書き直すかもしれませんので、ご理解してくれると大変ありがたいです…



第117話

 

――抱き締めた身体は幼く、小さかった。

腕を伸ばしただけで収まる程に小さい身体。

華奢で柔らかく、少し力を入れたら折れてしまいそうな身体。

そんな愛しい身体を抱き締めながらーーガリスは思う。

 

こんな小さい身体で、この人はどれだけの重みを背負っているのか、と。

 

「…が、ガリス?」

 

知っていた。

マスターのマスター…キャロルを救う、その想いから始まった彼女の物語を。

多くの出会いと多くの経験をもたらした彼女の物語を。

その度に生まれる重みを、背負う必要のないそれを彼女が背負い続けている事を。

もう背負いきれないと言うのに、それでもなお背負い、1人で前へ前へと進んでしまう事も……

 

理解していた。

この人はそう言う人だと。

誰かを守れるのであれば迷わずにその道を進んでしまう人だと。

他人であろうとも、友人であろうとも関係なく、守ろうとする人なのだと。

そんな馬鹿みたいな…けれども真似しようとしても出来ない優しさを持った人なのだと。

 

けれども、恐れてもいた。

いつか、その背負った重みがマスターを押し潰してしまうのではないかと。

いずれその重みがマスターに牙を剥くのではないかと。

 

 

そんな危惧した恐れは――他の誰でもない、私によって引き起こされてしまった。

 

 

あの時――

空から迫る光に1人立ち向かう己が主を見た時――ガリスは心底恐れた。

あの光が彼女を飲み込んでしまうのではないかと、生まれて初めて恐れた。

そんな恐れはすぐに覚悟へと形を変え、ガリスはその命を以て救おうとした。

結果的にはセレナも助かり、ガリスも助かりと誰も犠牲にはならなかったが――その行動がセレナの心に傷跡を残してしまった。

 

思い出す、作戦開始前の出来事を。

セレナの提案した作戦開始の為に準備に追われるアルカ・ノイズの間を通りながら、ガリスは己が主を探していた。

その手に握る薬、セレナが持ってきていたキャロルの薬と同じ成分で作られたそれを万が一にでも零してしまわない様に大切に持ち運びながら、主を求めて彷徨い歩いた。

指令室も、格納庫も、食堂も、主の部屋や作業部屋も、全てを歩くが、なれどその姿はどこにもない。

浮かび上がる言いしれない恐怖、それに押される様にガリスは愛する主を捜し歩き、そしてーーやっとの思いで見つける。

 

そこは倉庫だった。

非常事態に備えての備品を保管しておく為に作られたその部屋の片隅に、探し求めた主の姿はあった。

見つけたと同時に胸に湧き上がる安堵、それに身を任せながらガリスは自身の主の名を呼ぼうとしてーー止まった。

否、止まるしかなかった。

何故ならーーーー

 

《大丈夫…大丈夫だから…私が頑張れば…大丈夫だから…》

 

そこにいたのはシンフォギアとファウストロープを身に纏い戦う戦士でも、万を超えるアルカ・ノイズを率いる指揮官でもない。

冷たい床に座り込み、震える身体を抱きしめ、自分自身の中にある恐怖に負けない様に何度も何度も己に言葉を言い聞かせるーーー恐怖に怯える少女でしかなかった。

 

セレナはガリスが部屋に入ってきた事に気づいてもいないのだろう。

倉庫の片隅、入り口からすればちょっとした死角になるそこに座り込む、1人言葉を紡ぎ続けている。

《大丈夫だ》と、《私が頑張ればみんな大丈夫だ》と。

それはさながら呪詛の様に紡がれ、少女の心に偽りの安堵をもたらす。

そうしなければ壊れてしまうと、少女の無意識が理解しているからこその行為。

…一種の防衛本能と言えばよいだろう。

 

それを目の当たりにしたガリスはーー後悔した。

この人を追い込んでしまったのは、この人の心に罅を入れてしまったのは、他の誰でもない私だと。

元々限界に近い精神を更に追い込んでしまったのは、間違いなく私だと。

 

襲う激しい後悔、その中でガリスは何とか言葉を口にしようとする。

主を慰めるべき言葉を、その苦しみを緩和する言葉を、出そうとする。

だがーーー

 

《---!!あ、あれガリスどうしたの?何か用?》

 

ガリスの存在に気づいたセレナはーーもう《いつもの彼女》だった。

シンフォギアとファウストローブを身に纏って戦う戦士であり、万を超えるアルカ・ノイズの率いる指揮官であり、友達を救うためなら危ない橋も渡るお人よしで、誰よりも優しく頼れるセレナへと戻ってしまった。

そこに先ほどの姿は欠片もなく、その表情に陰りもない。

いつも通りのセレナ、いつも通りのマスターがそこにいた。

 

 

ーーその胸中に辛い感情をすべて押し込めてーー

 

 

「…バカですよねぇ、本当に」

 

「え?ガ、ガリス何か言いました?」

 

「いーえ、何にもないですよ」

 

抱きしめた小さな体を胸に押し当てながら、ガリスは思う。

きっと、この人は多くを救おうとするだろう。

自分の不安を押し隠して、自分が不幸を受け入れて他人に幸運を与えようとするだろう。

それはだれにも止められないだろう。

 

ーーーーこの人はそう言う人だから。

辛い事も悲しい事も、全て1人で抱え込んで前へ前へと進んでいくだろう。

それが彼女だ、それが私たちのマスターだ。

 

だが、と私は決める。

今日この時に、この瞬間に、私は誓おう。

 

「マスター、1つだけお約束してくださいな」

 

「ぇ?な、何をかな…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「--辛い事や悲しい事があったら1人で我慢しないで私に相談してください、その代わりに私も約束します。このガリスーー絶対にマスターより先に死なない、と」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ガリス……」

 

抱き締められながらセレナは思う。

きっと倉庫での件を見られてしまっていたのだと。

だからこそガリスは提案してきたのだ。

この約束を、私に少しでも楽にしてもらおうとしてーーー

 

「…ふふ」

 

思わず笑ってしまった。

幸せな気持ちで堪え切れない小さな笑み。

クスクスと小さく笑って笑ってーーそして

 

「分かりましたガリス、今度からは1人で抱え込まないって約束します。その代わりにーー」

 

「はい。絶対にマスターより先に死なないって約束します」

 

交わした約束に2人で笑う。

契約書も証明者もいない言葉遊びのような約束。

なれど十分だった。

2人にはそれで十分であった。

 

《マスター!!ガリス殿!!降下準備完了しました!!いつでもフロンティア上空真上からいけます!!》

 

作戦の最終段階の準備を終えてアルカ・ノイズの合図を聞いた2人は笑みを消して、覚悟を決める。

今から向かう戦場へ、そこで起きる戦いに、覚悟を決める。

 

セレナが一歩前へと出る。

その瞳にあった迷いは消え、その心にあった曇りはもうない。

ガリスとの約束がある限り、もう迷う必要はないとセレナは前を見据えて、そしてーーー

 

 

 

「--それではみんな行きましょう!!」

 

 

 

ーー人類初の大気圏突入作戦の開始を命じた。

 

 

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