セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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(数日前のリアル)

遂に来たぜXD並行世界セレナとマリアイベント!!
いやー楽しみだわぁ!!
お、運営さん2人のプロフィール出してるじゃん!!どれどれ

…セレナさん(大人)98って…98って…デカい!!(何がとは言わない)


第129話

 

――《歌》が聴こえる。

心地よく優しい音色が、聴いているだけで安心する《歌》が聴こえる。

そんな歌声に、自然と身体が従おうとする。

お前は間違えていると、役目を果たせと。

――望んだ願いを果たせと、この世界に終わりをもたらせと。

 

《歌》と共に聴こえる言葉に、身体が勝手に動きそうになる。

優しい音色に身を委ね、《歌》の命ずるままに行動しそうになる。

けれど―――

 

「――――♪!!」

 

そんな《歌》に負けてたまるかと《私の歌》を奏でる。

心地よくて優しいだけの《歌》なんかに負けるかと歌う。

他の誰でもない、暁切歌の歌を、暁切歌が大好きな歌を、精一杯歌う。

 

「(そうデス………そうデスよ…!!)」

 

確かにこの世界は誰にでも優しい世界ではない。

この世界は誰かが救われ、誰かが見捨てられる世界。

強い者だけが生き残り、弱い者はその代わりに犠牲となる世界。

――そんな優しくない世界に彼女は…セレナは殺された。

 

今でも思い出す事が出来る。

あの日を、セレナが死んだと聞かされたあの日を。

実験に付き合えなかった私達は、ただ淡々とその死を大人達から知らされた。

《貴重なシンフォギア適合者だったのに》と言い残して――

 

最初はそれを事実だと受け止められなかった。

何かの冗談だ、きっとマリアやマムの手の込んだ悪戯だろうって。

けれども、部屋に帰ってきたマリアを見た時に――その考えはあっさりと否定された。

泣き腫らした顔で、感情が死んだ顔で、ボロボロになったセレナのアガートラームを手に戻ってきたマリアの姿が、幼い私達にも一瞬で理解させた。

 

――セレナは、本当に死んでしまったんだと。

 

セレナの死。

幼い私達はそれを受け止めきれず、ただ感情のままに…泣いた。

……泣く事しか出来なかった、と言った方が正しいのかもしれない。

セレナを見捨てた大人達に復讐する戦う力も無い、セレナを甦らせる奇跡の様な力も無い。

ただ無力でしかない私達は、涙を流しその死を悲しむ事しか出来なかった。

 

――それから私達は白い孤児院の近くに小さな墓を作った。

遺体の無い、小さな粗末な墓を――

 

…セレナの遺体は、見付ける事が出来なかった。

大人達によって行われたセレナの捜索。

けれど彼女は見つからず、大人達も炎で遺体が残る事なく焼けたのだと判断し、彼女の捜索は時間の無駄だと捜索打ち切りが決定しようとしていた。

その決定を前に、マムは必死に捜索継続を訴え、私達も必死にお願いした。

彼女を見付けて欲しいと必死にお願いした。

 

……幼い私達にだって仮に瓦礫の中からセレナを見付けたとしても、無事に生還ーーなんて奇跡があるとは思っていなかった。

けど、それでも、見付けてあげたかった。

この地獄の様な場所で皆の力になろうとしてた優しいあの子を、

大人達の為に絶唱を奏で、その命を燃やしたあの子を、

せめて、見付けてあげたかった。

 

けど、そんな私達の想いをーー大人達には受け入れなかった。

研究所の復旧、そしてネフィリムの再調査の優先。

そんな2つの理由を盾に、セレナの捜索はーー打ち切られた。

あまりにも呆気なく、淡々と、打ち切られた。

 

……けど、マリアだけは諦めなかった。

捜索打ち切りが決まっても、マリアはただ1人で必死に瓦礫を動かして、セレナを探し続けた。

 

《居る筈なの!!此処に!!セレナが居る筈なの!!》そう叫び続けてーー

 

そんなマリアに私達も力になろうとして一緒に探した。

埋もれた瓦礫を除け、邪魔な障害物は破壊し、探した。

必死に、必死になって、探した。

見付けてあげたい、せめて日の当たる場所へ出してあげたい、そう願ってーー

……けれども、そんな努力も虚しく、彼女の遺体が見付かる事は無かった。

 

ーー誰も眠っていない粗末で小さな墓。

セレナの代わりに入れられた彼女が愛用していたぬいぐるみが眠るその墓の前で――私達は泣く事しか出来なかった。

己の無力さを嘆き、彼女の死を嘆き、遺体さえ見付けられずにただ涙を流すしか出来ない己の不甲斐なさに、泣いた。

泣いて泣いて、身体中の水分を流したんじゃないかって思う位に泣いた後に――私達は誓った。

この世界を正そうって、セレナを殺したこの世界を正しい形へと作り替えようって。

 

その為に今日まで頑張ってきた。

辛い訓練も、Linkerの後遺症にも耐えた。

戦う事だって怖かったけど、それでも調やマリアと一緒に戦った。

全てはこの世界の為だと、セレナの為だと耐えてきた。

 

……けど、今なら思う。

大事な人を、調を失いかけた今なら思える。

 

 

――私達は、本当に正しい事をしているのかって。

 

 

世界を変える為、セレナの為。

その理由を支えに今までずっと前だけを見て走ってきた。

マリアやマムの計画が正しいって、大好きな調と一緒に駆けてきた。

それが正しいって信じていたから、疑う事なく走る事が出来た。

 

けれど、気付いてしまった。

大好きな調を失いかけて、足を止めてしまって、後ろを振り向いてしまって、気付いてしまった。

 

ーー同じだったって。

あれだけ嫌っていた大人達がしてきた事と私がしてきた事。

そこにはなんの違いも無かった。

邪魔する人や障害は力で排除して、向けられた言葉を全て無視して、自分達こそが正しいって信じきって………

何も、何も変わらない。

私が最も嫌っていた大人達とーー変えようとしていた世界と全く同じ事をしていただけだったんだと、振り返ってやっと知る事が出来た。

そして思う、思わざるを得なくなる。

 

「(何してたんデスかね…私は……)」

 

世界を変えよう、セレナの死に報いよう。

その想いで駆けてきたのに、そんな想いとは裏腹に私がやってきた事は変えようとしていた世界と何も変わらない。

……馬鹿だな、と思わざるを得ないだろう。

 

もしも、此処にセレナがいたらきっとこう言うだろう。

《それが本当にしたかった事ですか》って。

その姿を想像すると、思わず笑ってしまう。

セレナは確かに優しいけど、怒らせたら私達の中で一番怖かったなと懐かしい思い出に笑みを浮かべる。

思うだけで胸が暖かくなり、けど寂しくなる想い出。

それを思い出しながら――暁切歌は覚悟を決める。

 

「…私が本当にしたい事…見つけたですよ。セレナ」

 

もう誰かの背を追いかけるだけなのも、誰かに頼りっきりなのも、やめた。

私が本当にしたい事、暁切歌が本当にやりたい事。

それは世界を救うとか、世界を変えたいとか、そんな立派なものじゃない。

暁切歌の本当にしたい事、それは―――

 

 

「――行くデス!!!!!」

 

 

―――家族を守りたい。

ただ、それだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――暁切歌のシンフォギア《イガリマ》の刃が振るわれる。

迫る破壊の一撃に、振るわれる。

全てを打壊し、全てを破壊し、一度は二課の装者を壊滅させかけた力の象徴に向けて振るわれる。

暴走した立花響の拳を、あの場で放てる最大限を放った雪音クリスと風鳴翼の一撃を、嘲笑うかの様に打壊した一撃に、振るわれる。

浮かび上がる最悪の結末。

その一撃を知る者が視れば誰だって浮かび上がる最悪の結末。

けれども、その結末はーー

 

「でりゃあぁぁぁぉぁぁぁッ!!!!」

 

少女と雄叫びと鳴り響く金属音が否定する。

その事実に誰よりも驚愕を示したのは破壊の一撃を振るった《死神》であった。

手加減等一切無い破壊と慈悲の一撃。

それを止められた事に驚愕しながらも、ガングニールを普通の人では追い付けない高速を以て振るい、目の前の障害を排除せんとする。

 

なれど、暁切歌はそれに追い付いて見せる。

迫る一撃を己の一撃を以て迎え撃ち、《死神》が振るう高速に追い付いて見せる。

ーー否、追い付くだけではない。

徐々にではあるが、その動きが《死神》を凌駕していく。

それは本当に徐々に、けれど確実に差を開いていく。

その事実が《死神》に更なる驚愕をもたらすが、驚いているのは《死神》だけではない。

 

「(身体が、軽いデス。これって………)」

 

暁切歌が《化物》から元の姿へと戻った際、《化物》は全て切歌のイガリマへと形を変えた。

その姿形に一切の変化はない、けれどもそれを握る切歌だけには理解出来ていた。

《これ》はもう暁切歌の知るイガリマとは違う存在へと変わっているのだと、

そのイガリマが彼女に力をもたらしてくれる。

以前の彼女にはなかった力を、本当にしたい事を叶えさせてくれる力を、

 

そして力をくれるのはイガリマだけではない。

頭に聴こえる優しい音色。

それに負けまいと奏でる暁切歌の歌声。

2つの音色が合わさり、1つの《歌》へと形を変え、少女に力を与えてくれる。

《歌》を力に変える事が出来る装者だからこそだろう。

けど、暁切歌は理解していた。

 

この《歌》は決して味方ではないと。

 

「――ッ!!――♪!!」

 

歌いながらも聴こえる優しい音色の誘い。

乗ってしまいそうになる、従ってしまいそうになる。

そんな歌に負けるかと必死に歌声を奏でながら、暁切歌は思う。

 

この《歌》はさながら麻薬だ。

 

確かにこの《歌》はこれまでに感じた事の無い程に力をくれる。

けれど、同時にこの《歌》は魅力してくるのだ。

この力を振るえと、《歌》の命ずるままに動けと。

それに乗ってしまえば――きっとまた《あれ》に戻ってしまうと本能的に分かってしまった。

 

だからこそ暁切歌は歌う。

そんな誘いに乗るかと、私は私のやりたい事を叶えるのだと、歌う。

《家族を守る》、世界を変えるに比べれば小さな願い、だけど絶対に成したいやりたい事を叶える為に、歌う。

 

「――ッ!!デェェェェスッッ!!!!」

 

咆哮と同時に跳躍し、己が持つイガリマへ力を送る。

込められた力に連動し、イガリマは形を変え、4つの刃へと変化する。

《封伐・PィNo奇ぉ》

本来ならば暁切歌の体格より少し大きい程度の刃が4つ展開される技だが、その大きさは従来の技のそれと比べる間もなく、誰もが一目で見ても分かる位に大きい刃となっていた。

変化したイガリマ、そして《歌》がもたらす影響なのは一目瞭然であった。

 

展開された4つの鎌、それを以て暁切歌は飛び込む。

《死神》を切り裂かんと飛び込む。

対する《死神》は――そんな切歌に光を纏ったガングニールを向けた。

絶対破壊の一撃を、破壊と慈悲の一撃を、あの光を放つ為に。

恐らくはあの打ち合いの際に気付かれない様に放つ準備をしていたのだろう。

暁切歌に向けられたガングニールには光を放つのに十分なエネルギーが既に貯め込まれている。

いくら変化したイガリマと《歌》によって力がある切歌でも、あの一撃を防ぐ術はない。

 

矛先に光が集う。

破壊と慈悲、両方を込められた一撃が放たれようとして―――

 

「――させない!!」

 

叫び声と共に姿を現した月読調が、今出せる全ての力を以てガングニールに技を放つ。

威力としては切歌のそれに比べて劣る物だが、矛先をずらすには十分な衝撃。

その衝撃によって矛先はずれたのと同時に、光が放たれる。

破壊と慈悲の一撃、それは狙いを大きくそらして、空へと延びていく。

そして―――

 

 

 

 

 

「これでェェェ!!」

 

 

 

 

 

ガングニールの矛先がずらされた事によって生じた隙。

そこを暁切歌は的確に、正確に狙う。

展開した4つの巨大な刃、それが《死神》を――切り裂いた。

 

 

 

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