セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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第13話

「くそッ!くそッ!くそッ!!」

 

キャロルは憤りながらシャトーの通路を駆けていた。

その理由は単純明快、自分が騙されていた事を知ったからだ。

 

「可笑しい話だとは思っていたんだッ!今までまともに話し合いさえしなかった結社の連中から会談の打診なんてなッ!!」

 

キャロルとしても前回馬鹿弟子が起こした騒ぎについて嘘を混ぜ混んだ報告をする予定ではあったので丁度良いと会談を引き受けてしまった。

だが会談の場として指定された場所で待てども待てども姿を現さない結社に疑問を抱き、調査をしてみればーーー

 

「会談自体が嘘はったりッ!オレとオートスコアラー達をシャトーから引き離すのが目的だったとはなッ!!」

 

こんな馬鹿げた行動を起こした犯人も既に特定済みだ!

あのぬいぐるみじじぃめッ!!

シャトーの一区画、基本的にオレとオートスコアラーのみが入ることを許されるこのエリアはあの少女が住まう区画。

他のエリアに侵入したであろう輩の排除にオートスコアラーを向けた以上、ここに向かうのはオレのみだが………上等だ。

未だにファウストローブを完成させていないTSじじぃなど、俺だけで十分だッ!!

 

「オレを愚弄した罪、その穢らわしい見た目ごと焼き尽くしてやるッ!!」

 

駆ける足は少女の部屋へと辿り着く。

中から聞こえる声は聞き慣れたそれと、聞くだけで憤りが更に増していく憎らしい声。

会話内容こそ聞こえないがそれでも弟子が無事であることに安堵しながら、この事態を引き起こした輩に対しての処刑方法を模索し始める。

人の弟子を狙ったんだ………バラバラに引きちぎってサメの餌にでもしてくれようーーッ!!

 

「おい馬鹿弟子ッ!!そいつから離れーーー」

 

 

 

 

 

「ーーであるワケダ、アルカ・ノイズの解剖器官、こいつはノイズにはない器官で現在こいつに解剖出来ない物体は理論上存在しない無敵の武装となるワケダ。しかしこいつに回さないといけないエネルギー問題が解決していない。お前のアルカ・ノイズはそこら辺はどうしているワケダ?」

 

「えっと、位相差障壁のエネルギーを回しています。代わりに防御機能が低下し、一般武装でも対処出来るようになってしまいましたけど、敵対対象がノイズである以上そこまで防御面を気にする必要はないかと考えてみましたけど………」

 

「………なるほど、位相差障壁のエネルギーを……確かにアルカ・ノイズの解剖器官が機能するのならば防御面を気にする必要などないワケダ……これは一気に開発が進む…お前の情報に感謝するワケダ」

 

「良かったぁ……あ、実は今師匠に内緒でアルカ・ノイズの別方面での活用法を研究してるんです。これがその研究資料なんですけど試しに読んで頂いても良いですか?」

 

ーーー弟子とTSじじぃが和気あいあいと会話していた。

出鼻を挫かれたとはこの事だろう。

じじぃにぶつけてやろうと展開した錬金術は手持ち無沙汰となって自然消滅するのを横目に見ながら、想像していなかった光景に呆然としていると、

 

「あれ?師匠おかえりなさい!どうしたんですか?そんな所で呆然としちゃって?」

 

オレの帰還に気づいた馬鹿弟子が立ち上がると同時にじじぃが舌打ちをして馬鹿弟子が壁になるように動いたのを見た。

その手に錬金術が展開されているのも、だ。

 

「ッ!馬鹿弟子ッ!!」

 

荒げた声と共に馬鹿弟子を引き寄せながら再度錬金術を展開させ、じじぃが放った錬金術と相殺。

轟音と共に部屋の中が荒れ果て、馬鹿弟子が何かを喚いたが今はそれに構う余裕はない。

 

「……おや、遅いお帰りなワケダ。《会談》は楽しんでもらえたようで安心したワケダ」

 

「え?え?あ、あの………?」

 

「はッ!ほざけ三下がッ!人の弟子を狙うとは相も変わらず腐った性格だなプレラーティッ!!その似合わない見た目を壊し尽くして元の醜い姿に戻してやろうかッ!!」

 

「師匠?プレラーティさん?あのー………?」

 

展開する錬金術は互いが本気である証。

しかし相手は所詮オレの錬金術に劣る三下錬金術師ッ!

結社と敵対する前に幹部の1人ぐらいは始末してやろうと思っていたから丁度良いッ!!

 

「争うつもりはなかったワケダが………降りかかる火の粉は払わせてもらうワケダッ!!」

 

「ちょ、ちょっと二人とも………」

 

「上等だプレラーティッ!!このシャトーをお前の墓標代わりにしてやろうッ!!貴様の首はお前の大好きなサンジェルマンにでも届けてやろうッ!!」

 

「あの、だから………」

 

「ッ!?貴様………サンジェルマンの名を出すとは………ッ!よほど死にたいワケダぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしてくださぁぁぁぁぁいッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いですか二人とも!仲が悪いのかもしれませんけど喧嘩はいけません喧嘩はッ!それも錬金術を使ってなんて………大怪我でもしたらどうするんですかッ!!師匠もプレラーティさんも凄い力がある錬金術師なんですからそこのところ気を付けないとッ!!」

 

どうしてこうなった。

一触即発の事態から急変、今はオレとプレラーティは仲良く正座させられて、弟子に叱られると言う謎展開になっていた。

プレラーティも同じ疑問を持っているのが一目で分かる。

いや、本当にどうしてこうなった。

 

「あ…その、馬鹿弟子?オレはお前を庇おうと………」

 

「だいたい師匠ッ!前から人の事を馬鹿弟子馬鹿弟子って……私が馬鹿なら師匠は大馬鹿ですッ!!師匠ほど優れた錬金術師が錬金術で喧嘩なんて子供じみた真似なんてしないでくださいッ!!」

 

「あ、はい……」

 

プレラーティがざまぁみろと言わんばかりに笑っているのがイラつかせる。

貴様……後で楽しみに待っていろよ………ッ!

 

「プレラーティさんもプレラーティさんですッ!!いくら仲が悪くても出会って早々に錬金術ぶっぱなすなんて危険過ぎますッ!!プレラーティさんだって師匠に劣らない凄い錬金術師なんですからこれがどれだけ危険なのか分かりますよねッ!?喧嘩が避けられないと言うのなら他に手段があるでしょうッ!!」

 

「あ、はい………なワケダ………」

 

「良いですか二人ともッ!!これを機会に二人には徹底的に言わさせてもらいますッ!!そもそもですねーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「………はぁ」

 

馬鹿弟子の説教タイムから数時間後。

喧嘩はしませんと書類に記入させるとは、そこまでするか………

馬鹿弟子の部屋に残されたのは疲れきったオレと疲れきったプレラーティ。

馬鹿弟子は喧嘩しません書類の完成を見届けると共に仲良しパーティーをしましょうとオレのテレポートジェムを勝手に使って買い出しに行った。

まあ今回はレイアを付けておいた、問題はなかろう。

 

「……一応謝罪しておくワケダ、さっきも述べたが争うつもりはなかった。お前の弟子がアルカ・ノイズの作者だと知ってどのような人物かを知りたくて潜入させてもらったワケダ……

弟子に関しても話を聞くだけと決めていたから手を出すつもりもなかったと付け足しておくワケダ……」

 

「………謝罪を受け入れる対価に結社にはあの馬鹿弟子については秘匿にしてもらいたい。お前ならばその程度の情報操作容易かろう?」

 

「……本来ならばサンジェルマンの頼みを無下にするのは避けたいワケダが、受け入れよう。結社としてもお前との対立は望んでいないワケダ………」

 

互いに疲れ果てながらの交渉は想像以上に順調に進む。

オレの情報改竄の努力はいったい………

 

 

 

「………なぁプレラーティ、1つ真面目な話がある」

 

「………?お前がそんな事を言うなんて珍しいワケダ。疲れてるついでだ、1つ聞いてやるワケダ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《ニトクリスの鏡》、あれをシャトーに置いたのはお前か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




セレナママ覚醒

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