セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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転職し、久しぶりに小説書こうかなーからの、ならネタ整理の為にシンフォギアを見ようかなーからの、アプリが終わってた時に感じた驚愕と戸惑いに震える今この頃


第150話

 

「…生きた心地がしなかったな」

 

照らす夕日が窓から差し込む車両の中で弦十郎は愚痴る。

先程まで行われていた取引――いや、《要求》に対して弦十郎は受け入れる選択をした。

 

米国との対抗手段が欲しかったのは間違いない。

手にした証拠。これさえあれば米国に対し日本は強気に動く事ができる。

上手く行けば、今現在大きな争点となっているF.I.S.装者三名の身柄もどうにかなるだろう。

この証拠にはそれだけの力があり、そして今回それを手に入れる事が出来る機会があり、それを手にしようと考えた事になに1つ間違いはないと確信している。

 

だが、同時に弦十郎は理解もしていた。

《この証拠を得る為に彼女の要求を受ける事が必要だった》と思い込もうとしている事にも……

 

「…言えるわけがない」

 

《キャル》の調査過程で自然と知ってしまった装者との関係。

友人として、そして時には大事な事を教えてもらった恩人として彼女の存在は装者達の中でとても大きな存在となっているのは、誰の目でも明白だった。

 

ただでさえ、青春を楽しむべき若き彼女達を戦場へ送り出しているというのに、本来負うべきではない苦難や痛みを負わせているのにーー

そんな彼女達に《彼女は敵だ》と、そんな残酷な事を伝える事が出来るわけがない。

 

 

 

《もし、この交渉を受け入れると言うのであれば――今後一切、あいつを仮面の少女として行動させないと約束しよう》

 

 

 

「―――はぁ」

 

約束が守られる保証なんて何処にもない。そんな交渉無視して彼女の存在を明かし、対策を練るのが司令として最も正しい判断なのだろう。

だが、それでも弦十郎はそれが正しいと理解しながらも、彼女の要求を聴き入れた。

心の中で――《これで話さないで済む》と安堵してしまいながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いんですか?」

「良い」

 

弦十郎が去った後、キャロルは傍に控えるファラからの質問に淡々と答える。

 

「風鳴弦十郎をこの場で始末した方が今後の動き、そして何よりセレナの秘密を守る事に――」

「ファラ。二度は言わんぞ」

 

申し訳ありませんと頭を下げるファラを横目にしながら、キャロル自身ファラの提言に間違いはないと理解していた。

 

風鳴弦十郎の危険性は重々把握している。

シンフォギアを使わずとも発揮出来る人外じみた戦闘能力。そして司令としての優秀さ。ハッキリ言って敵にしておくには大きな問題でしかない。始末する事が出来れば今後の動きがかなり改善するだろう。

それ故にファラの提言は正しく、あの場において最も正しい行いは風鳴弦十郎の始末だった。

 

されど、それらの利点も何もかも放り投げてまであの男を生かした理由は、ただ1つ。

 

「ファラ。例の件についての準備は?」

「…ほぼ完了しております。しかし…本気ですか?あの子が素直に従うとは…」

「従う従わんは関係ない。もう決めた事だ」

 

そう、たった1つ。

俺にはもう、叶えてやる事など到底できない事をしてもらう為だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんて、ことなの……」

 

セレナの治療担当として、シャトー滞在を許されたナスターシャの為に用意された部屋の中でナスターシャは彼女に――キャロル・マールス・ディーンハイムに聴かされたセレナに関わる《仮説》の内容を思い出しながら、そう思わず呟いていた。

 

「どうして…どうしてあの子ばかりにこんな…」

 

聞かされたのはあくまで《仮説》だ。

壮大であり、空想であり、妄想であり、真実であるとは到底思えない《仮説》に過ぎない。

けれども、その内容はあまりにも――異様な程までに納得感があった。

 

「嗚呼…神よ……」

 

あの日――セレナを失ったあの日から言葉にする事さえなかった神に思わず頼ってしまう。

どうしてあの子ばかりがこんな目に、と。

なぜあの子にばかり神は試練を与えるのかと。

嘆く声に神は何も返答はしない事は既に知っている。あの子を失った時にそれをもう経験しているからだ。

だからこそナスターシャは――静かに覚悟を決めた。

 

「……ごめんなさい。マリア、切歌、調…」

 

きっとあの子達は心配をしてくれるでしょう。

必死になって探してくれている事を考えると、覚悟に迷いが出てしまいそうになる。

されど、その迷いを振り払いナスターシャは覚悟を固める。

 

「ごめんなさい優しい子達…けれど、これが私が成さねばならない役目なのです…!!」

 

その日、ナスターシャは決意する。

自身の役目を、そして今度こそあの子を守る決意をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――は、い?」

 

風鳴弦十郎との取引から数日。

セレナはナスターシャ、ウェル両名とそれをサポートする治療班のおかげでだいぶ回復する事が出来ていた。

まだ短時間でこそあるがリハビリも始まっており、時間こそ掛かるだろうが完全回復する兆しが見えてきたと言う判断を受けた頃に、セレナは師匠であるキャロルに呼び出された。

 

記憶こそあやふやであるが、以前に起きたフロンティアを巡る事件での勝手な出撃とアルカ・ノイズの独断使用によるお怒りが下るのだろうかと内心重い気持ちになりながらも、セレナはキャロルの元へと赴き、そして―――

 

 

 

 

「―――何度も言わせるな馬鹿弟子。お前の身体が回復次第、シャトーから出ていけ」

 

 

 

 

―――想像もしていなかった言葉が降り注いだ。

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