セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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≪注意 22日夜に書き直しを行いました。内容が変わってるので確認お願いします…すみません…≫


第15話

―――何でこいつに相談しよう、そう思ったのかなんて正直言えばあたしにも分からねぇ。

けど何となく、こいつなら良いかなって思えて…んでいざ相談し始めると口は勝手に動いていた。

流石にフィーネやシンフォギアについてまでは言えないけど、それでも言える範囲の事は気づけば言い尽くしちまってた。

 

「(…馬鹿だな、あたし)」

 

出会って間もない年下の女の子にこんな事相談しちまうなんて、年上失格だよ。

ほら、こいつもこんな話されたら引いちまう――――

 

「私なら徹底的に喧嘩します、もう仲直り出来るか怪しいレベルで」

 

―――――――はぁ!?

い、いやいやちょっと待って!!

何で仲直りしたいって相談なのに喧嘩を進めて来てるんだこいつッ!?

 

「何でそうなるんだよッ!!そこは普通は謝る方法とかを教えるもんじゃねえのかよ!!」

 

ツッコミを入れる様にあたしの叫び声が静かな公園に響き渡るが、迷惑とかんなもん関係ねぇ!!

むしゃくしゃする胸の言葉を吐き出さねえと気が済まねぇッ!!

くそ、こんな奴に相談なんて考えた事自体間違えてたんだ!!

 

「はい、確かにこの場合は謝るのが適切で、最も最善な手段だと私も思います。

けどクリスさんの場合はそれじゃあ駄目なんです」

 

「はぁ!?謝るのが駄目ってどういう事だよ!!仲直りすんなって事か!!」

 

やっぱりこいつになんか相談したのが失敗だったッ!!

もういい、こんな奴放っておいてさっさと―――

 

 

「今ここで謝罪して仮に元通りの関係に戻れたとしても、そこにあるのは対等の友人ではなく、クリスさんがその人から捨てられない様に頑張るだけの、奴隷と主の様な歪な関係でしかないからです」

 

 

―――その言葉を聞いた時、不思議なくらいさっきまで胸にあったむしゃくしゃする感情が、スッと消えたのを感じた。

 

「(捨てられない?奴隷と主の関係?)」

 

違う、そう言えば良いはずの口は動かない。

だってフィーネは…あたしの願いを、世界から戦争の火種を無くしてくれるってあたしの目的を代わりに果たしてくれるからって……

だからあたしはずっとフィーネに貢献してきた。

苦痛も悲しみも、理解されない出来ない感情をただ受け止めて……

 

「…違う、とは言えないんですね」

 

「あ、いや、ちが…あ、その……」

 

否定しろよ!!そう命じた口は言葉を紡ぐ前に塞がり、命じるままの言葉が出て来ない…いや、出てくるはずがなかった。

だって…その答えを既に知っているから…

 

「(……嗚呼、くそ…分かってたさ……分かってたよ、んなもん…)」

 

フィーネがあたしを都合の良い駒程度にしか見てないなんてとっくに知ってた。

あいつが…ガングニールの装者が出て来てからはなおさらあたしに目を向ける事も無くなってたのを知ってたッ!

 

けどそれでも…あたしはフィーネに捨てられたくなかったッ!!

 

「(あんな人でも!!あたしを拾ってくれた!!あたしに汚い大人以外の大人がいるって事を教えてくれたッ!!あたしに力をくれたッ!!あたしに……希望をくれた…)」

 

分かってた、分かってたさ…

あたしがしている事なんてフィーネに捨てられない様に必死になっているだけだって……

けど、それでもあたしはフィーネの傍にいたい…そう思うこの気持ちはいけないのか?

 

「……なあ、もしも、だ。もしもあたしがそんな関係でも良いからその人と一緒に居たいって言ったら…どうする?」

 

「止めます」

 

即答かよ……

何かなぁ…こいつと話してると変な気持ちになってくるんだよ。

まるであいつ…ガングニールの装者と話してるみたいだ。

 

「クリスさんが言いたい事も分かります。どんな形でも一緒に居たいと願う、その想いは決して間違いではありません、ですけど正しくもないんです。

誰かと一緒にいる為に自らを殺す、そんな関係の先にあるのは自らの破滅でしかありません。

例え今日知り合っただけの関係でも、そんな破滅の道を進もうとする人を止めるのは人として当たり前です」

 

―――嗚呼、確定だ。

こいつはあのガングニールの装者…あの馬鹿と同じ類の人間だ。

帰って来る答えもどことなくあいつを連想させやがる…

 

「クリスさん、その人と一緒に居たいと、そう本当に願うなら―――怖くてもその想いをぶつけてください。

嫌われるかもしれません、更に悪化するかもしれません。

それでも想いをぶつけるその一歩はきっとクリスさんにとって良い結果をもたらしてくれる、私はそう信じています。

もしもそれで無理だって言うなら今度は私もついて行ってその友人の方にガツンっと言ってやりますから!」

 

想いを…ぶつける。

あたしの胸にくすぶるこの想いを、フィーネにぶつける。

きっとそれは……こいつの予想とは違う、良くない結果をもたらすかもしれない。

けど、それでも――不思議と怖いとは感じなかった。

今までフィーネと居たい、そう願い、ただ従う道を生きてきた臆病なあたしが踏み出せなかった一歩を、こいつの言葉が背中を押してくれる。

優しく、けれど勇ましく、こいつの言葉は確かにあたしに覚悟をくれた。

 

「――ありがとな、おかげでスッキリ出来た…えっと……」

 

「あ、そう言えばまだ名乗ってませんでしたね、私は…キャル。キャルと言います」

 

キャル?名前にしては珍しい上にえらい珍妙な名前だなとからかうと先ほどまでのどこか大人染みた雰囲気はどこに消えたのか、年相応の子供みたいに頬を膨らませて怒るそいつを見ながら、ふと時計に目を向ければ既に結構遅い時間になっているのにやっと気づく。

流石にまだ子供を1人で帰らせるわけにはいかねぇよな、と送ってやろうとして振り返ると――――

 

「あれ?おい、キャル?」

 

そこには誰もいない。

まるでキャルが最初からそこに居なかったかのように、その姿は消えていた。

 

「……帰っちまったのか?送ってやるつもりだったんだがなぁ…」

 

無事に帰れると良いけど…と今は姿が見えない助言者を心配しながらあたしも帰路へと付く。

あの屋敷で待っているフィーネにこの胸の想いをぶつける為に、あたしは前へと進むんだ。

 

 

 

 

 

 

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「レイアさん…回収してくれたのは嬉しいんですけど…もう少し優しい回収方法なかったんですか?」

 

公園から少し離れたビルの上。

レイアの手によって回収された少女は服についた汚れを払いながらレイアに文句を言う。

理由としてはやはり回収方法だろう。

クリスが時計を見た瞬間にレイアが少女をキャッチ、そこから跳躍でビルまで飛んだわけだが、オートスコアラーでこそ発揮できる人外の力は、少女に風圧と言う形で襲い掛かり、髪型も服もぐちゃぐちゃになってしまっていた。

 

「…すまない、地味に動くとなるとこれが限度だったのでな」

 

「……ちなみに派手に動くと?」

 

「…試してみるか?」

 

遠慮しますとレイアの提案を蹴ると同時にビルの上から僅かに見えるクリスの背を見届ける。

上手く行けば良いけど……出来るなら着いて行きたいけど、師匠からシャトー外では慎重に動けと言われてますから…残念です。

 

「レイアさん帰還しましょうか。そろそろ師匠達もお腹が……って、あれ?」

 

テレポートジェムを取り出してシャトーへ帰還しようとした時、公園とは別方面に見覚えのある人物が僅かに見えた。

……師匠からの忠告もあるけど、彼女には悪い事をしたので出来るならば無事を知らせたいと思っていた。

だから―――

 

「レイアさんごめんなさいッ!もう少しだけ寄り道しても良いですか?」

 

 

 

 

 

 

 

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あんな事を言うつもりはなかった。

響が私に何かを隠している事は、どことなくだけど知っていた。

響は昔からそう言う隠し事とか苦手で…けどそれがまさかあんな事をしていたなんて……

 

「……響」

 

私はただ響が怪我をしてほしくないだけ、ノイズと戦うなんて本当はしてほしくない。

けど……響はきっと何を言っても止まらない。

だって、響にとって人助けは当たり前だから。

自分に力があるなら、響はそれを人を守る為に使う、響はそういう子だから……

だけど――――

 

 

 

 

 

「お久しぶりです、未来お姉さん」

 

 

 

 

 

え?と聞こえた声に視線を向ければ、そこにいたのは――――

 

「きゃ、キャルちゃんッ!?」

 

「はい、キャルです」

 

あの日手を放してしまった少女がそこにいた。

 

 




クリスちゃんとセレナの絡みはGからが本格的、かなー?

≪追記≫書き直したおかげで未来だせました、ごめんなさい…

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