セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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第21話

HYHノイズ化した子達がヒャッハァと軽快に滑走してはや数分。

機動力の高さに自身が追い付く事が出来ず、数体のアルカ・ノイズと共に向かったであろう通路を進むが、一向に見つかる気配がない。

 

「どこまで行ったんでしょう………?」

 

コードHYHが発動したアルカ・ノイズは、ある種の興奮作用を引き起している状態なので対象に危害を及ぼす可能性がある。

なので迅速に見つけ出さないといけないのだが、どこへ行ったのやら………

 

《ーーーヒャッハァーー》

 

その声は目の前にある横路から聞こえた。

意識するとHYHノイズ特有のバイク音も鳴り響いているのが分かる。

急がないと、と随伴するアルカ・ノイズを急がせながら少女は駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ヒャッハァァー!!水だ水をよこせぇ!!》

 

《ヒャッハァァー!!それだけじゃあ足りねぇ!!全部だ全部よこせぇ!!》

 

《ヒャッハァァー!!ヒャッハァァー!!》

 

「あわわわ………ずびまぜんずびまぜん………」

 

………ここは本当に世紀末になってしまったのだろうか?

涙声で謝罪しながら丸まるその人物を囲うように高々とバイク音を鳴らしながら周回するHYHノイズ達。

その姿はさながら某世紀末物語のワンシーンのような光景であった。

 

「あ、居た!」

 

そこに現れたのはこのノイズ達の生みの親である少女。

解剖器官を搭載していないノイズではあるが、それでも万が一怪我でもさせたらいけないと急いできた少女は、目の前に広がる世紀末的な光景に一度深呼吸をしてからーーー

 

「こらぁぁ!もうそこまで!!」

 

叫んだ。

まるで喧嘩を仲裁するおかんのように叫んだ。

その叫び声に反応したのがHYHノイズ達。

セグ○ェイは消え去り、モヒカン頭も体内に収納されるように消え、残ったのはいつものアルカ・ノイズ達。

先程までの暴走が嘘のように静かに指示を待つその姿は、さながらラ○ウを前にした拳○軍のようである。

 

「全くもう………えっと、大丈夫?怪我とかはしてないかな?」

 

コードHYHの改善すべき問題として暴走し過ぎの防止策を作らないと………そんな事を考えつつ、ヒャッハァに囲まれていた人物に手を差し伸べる。

よほど怖い目にあったのか、震えながら未だにずびまぜんと涙声で謝っている。

やり過ぎだと怒るように視線を向ければどこか申し訳なさそうにする拳○軍ノイズ達。

 

「えーと、ほらもう怖くないよ?大丈夫だよー?」

 

本当に母のようにあやす少女の言葉がやっと聞こえたのだろう。

困惑するように恐る恐るではあるが、ゆっくりと顔を挙げていきーーーその顔を見た少女は驚愕する。

 

「え!?し、師匠ッ!?」

 

ーーーその顔があまりにも自らの師匠に瓜二つである事にーーー

 

 

 

 

 

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「………ふむ」

 

キャロルはその日私室に籠り、ニトクリスの鏡について調べていたが……ニトクリスの鏡は近年において実在していたかさえ怪しまれていた品。

残された文献の数も少なく、そこから得られる情報もさほど多くない。

はっきり言えば手詰まり感さえ感じ始めた頃だ。

 

「………」

 

キャロルは考える。

自らの弟子である少女とこの鏡には関係性がある。

この鏡を発見してから思考していた仮説も最近では真実味を帯びてきた。

だが、この仮説通りであれば………あまりにも辛い真相を少女に明かさねばならない。

 

「………はぁ」

 

とりあえず鏡については予定通りに進めるしかあるまい。

その為の準備はもうじき完了する、おかげでここ最近は本当に忙しかった。

誰かのためにオレがここまでする日が来ようとは………我ながら甘くなったものだ。

 

「ん?」

 

何気なく時計を見ればもう昼近く。

朝早くから始めていたが、集中していたのもあってか時間の進みが速く感じられる。

そして昼近くだと自覚すると、腹から小さく音が奏でられる。

………あいつの飯が美味すぎるのが悪いんだ、まったく………

今日は確かシチューとか言っていたな、と鼻歌混じりに立ち上がろうとしーーー、ふとその音を聞いた。

 

「ーーー?」

 

敢えて言えばバイク音だろうか。

遠くから僅かに聞こえたそれは段々と音量が増していく。

接近している?と通路を確認してみるとーーー

 

《ヒャッハァァー!!》

 

一体の修羅の国の住人と化したアルカ・ノイズがそこにいた。

 

「なぁッ!?」

 

咄嗟に展開した錬金術をぶつけようとするが、その背中に見慣れた人物が乗っていることに驚愕して、思い止まる。

修羅の国の住人の背中にいたのは、先程まで思い浮かべていた自らの弟子の姿。

なにしてんだこいつ、と呆れる様に眺めていると、向こうも此方の存在に気付いたのだろう。

修羅の国の住人に何か話し、高々にバイク音が鳴らしたかと思いきや目の前に停止した。

 

「………なにしてるんだお前は?」

 

止まったアルカ・ノイズ(モヒカン)から降りてきた自らの弟子に呆れながら言葉をぶつけるが、ふとその背後に誰かがいる事に気付く。

ガリィかミカ辺りか?でもあいつらは今日はシャトーにいないはず………と見ているとーーー

 

「ーーは、はぁッ!?」

 

その背中から現れた人物に本日二回目の驚愕をし、そしてーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「師匠ッ!!エルフナインちゃん私にくださいッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日三度目の驚愕をすぐやる羽目になった。

 


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