セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話 作:にゃるまる
「………なるほど、大体話は理解した」
場所は代わり少女の私室。
いつもの定席に座り、シチューを食べながら少女の願いとやらに耳を傾ける。
エルフナインから自身がキャロルのホムンクルスであると聞き出した少女は驚愕した。
ホムンクルスの錬成、それも人格を持つホムンクルスとなるとそれは決して容易い事ではないと錬金術を学んでいる少女には分かるからだ。
それを成し遂げている自らの師匠の実力に改めて感動しながら、ふと思った。
師匠のホムンクルスならばもしや師匠の記憶とかあるのでは?と。
実際少女の予想は的中している。
キャロルが作ったホムンクルスの中で唯一記憶を複製し、与えられているのがエルフナインである。
与えられた記憶の中には錬金術関連も存在し、それを知った少女は思った。
忙しい師匠の代わりにエルフナインちゃんに教えてもらえば師匠の負担が減るのでは?そこまで考えてからのあの発言であった。
それを聞いたキャロルも最初はこの馬鹿弟子は何を暴走しているのかと思っていたが……
「(悪くはない案かもな………)」
キャロルとてなるべくは時間を割いてやりたいとは思っているが、シャトーの完成、そして件の鏡にとやるべき事が多くある。
ならばいっそエルフナインに暫く委託し、自身は成すべき事を先に終わらせる。
悪くはない、それに………
「(エルフナインの視覚はオレと同調する事が出来る、無いとは思うが問題が起きても対応出来るだろう)」
後々の計画の為にエルフナインに施された仕掛け。
それがまさかこんな所で役に立つとは………人生なにが起きるか分からない物だ。
「………まあいい、くれてやるのは却下だが、貸してやるのは許可してやろう。ただし!エルフナインを貸すのはオレが相手出来ない時だけだ、いいな」
本当ですか!と喜ぶ少女と、え?え?と自身の意見は完全に放置されて勝手に進む話の展開に追い付けず困惑するエルフナイン。
よほど嬉しかったのか、エルフナインに抱き付いて笑顔の少女にやれやれとため息をついた。
「ちなみにだが、お前アルカ・ノイズにHYHとかふざけた改造したらしいが、他にはしてないだろうな」
「………プピー(下手な口笛+露骨な視線そらし)」
「吐け!他に何をしたのか今すぐに吐けッ!!」
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少女はその日買い出しを命じられていた。
いつも通りの買い出し………と思われたが1つだけ違う点があった。
お供がいないのである。
大抵ならばオートスコアラーの誰かが随伴するのに、今回は全員がキャロルから何かしらを命じられているらしく、初の1人買い出しとなった。
少女もそんな状況に興奮していたのやもしれない。
シャトーの外へと出れる機会が少ない少女にとって買い出しは楽しみな時間でもある。
無論シャトーでの生活は充実しており、それに不満を抱くなんてことはないのだが、それはそれでこれはこれなのだ。
そんな数少ない楽しみが、お供がいない全くの自由でとなると興奮する気持ちも分からなくはないだろう。
街へと繰り出した少女もそんな興奮に後押しされるようにちょっとだけと寄り道をしたりしてしまった。
ーーそう、してしまったのである。
「あれ?キャルちゃん?」
呼び掛けられた偽名。
その名前を呼ぶ人物を少女は二人しか知らない。
そしてこの優しい声の持ち主は彼女しかいないだろう。
未来お姉さん、そう呼びながら振り返るが………
「………えっと?」
そこには確かに小日向未来の姿があった。
いつも着ていた学生服ではなく私服姿で、どこかへ遊びに行くような服装でそこにいた。
それだけならば問題はないのだが………問題があるとすればその左右にあるだろう。
「えー!!未来こんな可愛い子と知り合いなの!?だれだれ私にも紹介してよー!」
「……立花、あまり騒がないでくれないか」
恐らく小日向未来の友人であろう二人の女性がそこにいた。