セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話 作:にゃるまる
個人的にはガメラの方が好きなんですけどね………
それと今回アンケート機能の存在に気付いたのでちょっとアンケートしてみます
協力してくれたら嬉しい限りです
「ちょっとちょっとちょっと!!なんなのよこれ!!」
黒い手を排除しながら扉の中へと侵入したガリィ達。
しかし待っていたのは、一面鏡のように反射する空間とそこから襲い掛かる無数の黒い手。
明らかにシャトーに元からあった空間ではない。
《何か》が空間に侵食し、歪めている、そう判断出来るまでにさほどの時間を必要としなかった。
「ホラホラホラッ!!邪魔するんじゃないんだゾッ!!」
ミカが放つカーボンロッドが立ち塞がる黒い手を排除していくが、その度に増援と言わんばかりに黒い手が姿を現す。
ガリィもまた加勢するが、それでも立ち塞がる黒い手を前にその歩みは完全に停止させられていた。
「あー!!イライラするわねぇッ!!」
黒い手の目的が時間稼ぎである事は明白だった。
進もうとすれば襲い掛かるが、後退しようとすれば追い掛けてくる様子さえ見せないのが証拠だろう。
時間稼ぎの目的こそ不明だが、そこにあの少女が関与しているのは明らかだ。
「追い掛けないといけないって分かるんだけれど………この手が邪魔過ぎるのよッ!」
迫る黒い手を切り払い、ガリィは吠える。
随伴するアルカ・ノイズもまた奮戦しているが、黒い手の数は減る事は無く、向こうの狙い通りに時間稼ぎされていると実感する。
どうにかしないと………焦りながらも打開策を模索しながら迫る黒い手に氷の刃を構えてーーー
怒りが孕んだ声が鳴り響くと同時に黒い手に何かがぶつかる。
それが錬金術である事、そして声の主が自分達の主であると認識した………したのだがーーー
「「ーーーッ!?」」
ガリィとミカは同時に戦慄する。
人形である自分達にはありえない冷や汗が流れたような感覚。
そんな擬似的感覚を感じ取りながら2人は聴こえる声に、自身達が良く知る主の声に、ゆっくりと振り替える。
其処にいたのはーーー
聞く者を震え上がらせる程に怒りに満ちた声の主がーー
キャロル・マールス・ディーンハイムが其処にいた。
その隣にはファラとレイアの姿があるが、主の怒りに触れないように後方に下がって難を逃れている。
その姿に内心イラつき、けれども自身が逆の立場であってもそうするだろうと言う理解をしながらも、主の疑問に答えるべく言葉を放つ。
「(あの二人ぃ!)えー………いやー……その…ですねー………ガリィ達はマスターの部屋の掃除をですねー」
「そ、そうですよぉー!日頃忙しいマスターの為にと………ってマスター!!」
お怒り心頭のキャロルに降り注ぐ黒い手。
完全なる死角からの強襲にオートスコアラーの誰もが対応出来ずに、キャロルに向けられた黒い手はその幼い身体を縛り上げるーーはずだった。
「………ふん」
黒い手とキャロルの間を阻むように展開するは、盾の様な錬金術。
無数の黒い手を前にしても割れる気配さえなく、その勢いを押し止めながら、キャロルは観察するかのように黒い手を眺める。
「………政敵などつまらない相手しか屠った事がないから、力量差さえも把握出来ないのかこの手は」
つまらん、とまるでゴミを払うかのような仕草で、キャロルは錬金術を展開していく。
ただそれだけでミカとガリィを苦戦させた黒い手がまるでなぎ払われるかのように次々と消し飛んでいく。
「………わぉ、流石はあたし達のマスター」
自らの主君の力量を改めて認識したガリィもまたその隣に並ぶ。
主君だけ戦わせる配下が何処にいるのかと、主君の為に作られた人形達は並び、構える。
「……ガリィ、ミカ、詳しい話と説教は後だ。
あいつはこの奥か?」
「そうなんですよぉ、ふらふらと行っちゃいましてね」
「絶対に追い付くんだゾ!」
「全く………帰ってきて早々に派手な展開だ」
「本当にですね、けど放置するわけにも行かないでしょう?」
聖杯、錫杖、硬貨、剣
それぞれを司るオートスコアラー、そしてその主君であるキャロル。
黒い手は相手を再認識する。
時間稼ぎなど甘い行動が出来る相手ではない、と。
その認識が黒い手の形を変えていく。
刃に槍、斧に弓、ありとあらゆる形に変えてその存在を排除せんと敵意を向ける。
その敵意を前に、キャロルは小さく笑う。
「………オレに刃を向けたな?それがどの様な意味か承知の上での狼藉だな?」
ーーーーキャロル・マールス・ディーンハイムは数百年を生きる錬金術師であるーーーー
数百年と言う膨大な時間で積み重ねられた錬金術。
人間と言う限られた生命では辿り着けないそれを身に付けた少女は、その片鱗を見せつけるかのように展開していく。
そしてーーー
「あいつにはまだまだ教える事が山程あるんだ、返してもらうぞーーーオレの弟子をッ!!」