セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話 作:にゃるまる
「アダムさん!?どうしてここに?」
師匠の部屋にいた客人、その姿は昨日出会ったばかりの占い屋のアダムその人。
見覚えのある白いタキシードも白い帽子も記憶のままの姿で、人違いの可能性はゼロに近いだろう。
そんな驚愕するセレナに対して、
「やあ、昨日ぶりだね」
向こうもセレナの事を記憶していたのだろう。
親しみやすい笑みを浮かべたままセレナへと歩み寄ろうとするが………爆裂音が鳴り響く。
何が起きたと困惑する中、セレナが見たのはキャロルが錬金術を展開している姿。
同時に理解する、この爆裂音はキャロルが錬金術を放った音であり、それがアダムへと直撃したのだと。
「し、師匠ッ!?」
錬金術の秘匿やら一般人相手に錬金術を使った事に対する困惑。
様々な感情がセレナを混乱させるが………
「酷いものだね。君は。
手加減してもらいたいものだよ」
聞こえたその声に、セレナは更に困惑した。
師匠の錬金術の威力は弟子であるセレナは良く知っている。
あの威力を受ければ錬金術を知らない一般人なんて跡形も残らないのに、戸惑うセレナの視線は錬金術の衝撃で生まれた白煙へと向けられる。
白煙に浮かび上がる影、それは確かに人の形を維持していた。
どうやって耐えたのか、その疑問こそあったがそれより先に無事であった事にホッと安堵する。
けれども怪我をしていてはいけないと慌てて駆けよる。
白煙が晴れていき、段々と姿がはっきりと見えてきたアダムの元へとたどり着きーーーーー
「やあ」
笑顔で手を降る全裸を見た。
その姿にえ?と困惑するセレナ。
さてここで少し問題といこう。
セレナの身長は148cm、アダムの身長は公式でこそ不明だがだいたい190cm位だと仮定しよう。
錬金術をまともに受けたのを心配して慌てて駆け寄るセレナ、そしてその先に待つのは全裸のHENTAI
さて、その時セレナが正面に見えた物とはーーー?
「ーーッ!!!??
きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!」
その答えはこの悲鳴にあった。
「はッ!!セレナがこの世の汚物を見てしまった気がするッ!!
いけないわセレナッ!!セレナにはまだ早すぎるし、それに永遠に見る必要なんてないわッ!!」
「………あのお嬢さんは何を言っているのですか?」
「………気にしないでくださいDr.ウェル。マリアは色々とあって疲れてるのです…色々と……」
「マリア………」
「………本当に大丈夫デスか?」
信頼とは呆気なく瓦解するものだと、セレナはしっかりと理解した。
師匠の背後でがるる、と睨み付けるように唸るセレナに対して、どこから取り出したのか再度白いタキシードと帽子を身に付けてははは、と笑みを浮かべる余裕なアダム。
「嫌われてしまったようだね。ボクは」
当然である。
場所が場所なら皆の平和を守る赤いランプが付く白い車がその身柄を保護するであろう狼藉を前に嫌うなとは無理な相談である。
「これでも君のために来ているんだよ。ボクは」
「がるるぅ………って、私のため?」
アダムの発言に唸り声をあげていたセレナの動きが止まる。
いったいどういうことなのか、思わず聞こうとしたその口をーーー目の前にいたキャロルが制する。
「師匠?」
「耳を貸すな。こいつが誰かのため、なんてほざく時は確実に裏がある時だけだ」
冷静な言葉、なれど込められた怒りは言葉に含む刺々しさから容易に想像させてくれた。
「随分な言い掛かりじゃあないかキャロル。
本気さ。ボクは。
だから君に提案したじゃないか。互いに利益のある話をね」
「そいつについては断らせてもらおう。
お前の力無くとも計画は果たせる、お前は余計な真似をする前にさっさと帰れ」
計画、そのワードが零れた事に驚く。
何故それを口にしたのかと困惑するように師匠を見ると、嗚呼そう言えば説明してなかったなと目の前に立つ男を指差した。
「紹介しておこう。
そこにいる変態で馬鹿で無能の男の名前はアダム、アダム・ヴァイスハウプト。
前に来たプレラーティが所属している《パヴァリア光明結社》の統制局長………詰まるところ一番上の立場にある錬金術師だ」
錬金術師!?
占い屋じゃなくてですか!?と発言するセレナにはぁ?と言わんばかりに表情を歪ませる。
「こいつが占いだと?
………なにが狙いだアダム」
「なに、迷える少女に差し伸ばしただけさ。きっかけを。
そんな少女に心打たれたのさ。ボクはね」
「………ふん、貴様がそんな輩か」
キャロルから漂う険悪ムードに困惑する。
普段でもここまで露骨な態度は取らない師匠がどうしてこんなに………
「そんなに気に入らないのかい?提案した条件は。
お互い悪くないと思うんだがね。ボクは」
提案?条件?と呟くセレナにアダムは笑みを浮かべる。
「そうだよ。
提案したのさ。ボクは。
お互い悪くない話を。互いに利益のある話を、ね」
そう語るアダムの手にはこれまたどこから取り出したのか一枚の便箋。
それをセレナに渡すと開けてごらんと囁く。
「開ける必要などない。そいつを捨てて部屋から出てろ」
「酷い事を言うものだね。君は。
呼び出したのは君じゃないか」
「呼び出す原因を作ったのは貴様だろうが………ッ!!」
争う二人を尻目にセレナの視線は便箋へと向けられている。
師匠は言った、開けるなと。
アダムは言った、開けてごらんと。
どちらを取るべきは明白、そうするべきだと理解しているのに、
セレナの指は便箋を開いていた。
「ーーーーふ」
その様子をアダムは嬉しそうに、そして楽しそうに見つめながらセレナは便箋を取り出す。
中に書かれていたのは1つの提案と3つの条件。
その内容に驚きながらも、セレナは誰に言われるのでなく自然とそれを言葉にしていた。
「キャロルの計画に対してパヴァリア光明結社は全面的に協力するが、代わりに以下の3つの条件を聞き入れて貰いたい」
1つ、プレラーティが計画している世界解剖から逃れる事が叶うシェルターの開発を含めた研究や開発等にキャロルの全面協力を約束する。
2つ、世界解剖後の世界についてはパヴァリア光明結社に一任する。
そしてーーー
「…………………3つ目、計画に対しセレナの参加を絶対とする」
良い人?ZENRA