セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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第55話

フィーネを名乗る武装組織の宣戦布告から早くも2日。

国土割譲を要求していた彼女達であったが、予告時間である24時間を超えても何も行動を起こす事なく、各国家との更なる交渉も起きることなくタイムリミットは過ぎていった。

行動を起こさないフィーネに困惑する各国家であったが、その中で米国はノイズを操る力を持つフィーネの存在は危険であると打倒フィーネの為の軍をフィーネが潜伏している日本に派遣する事を国連の場にて通達。

しかしイギリス、フランスを始めとしたEUと中国、韓国を始めとしたアジア諸国はこれに反発。

米国は打倒フィーネを理由にアジア侵攻の軍を日本に配置しようとしていると反論し、フィーネ打倒作戦を展開するのであれば国連主導の多国籍軍を以て実行すべきとの意思を伝えた。

これに米国が猛反発。

米国にアジア進攻の意図はなく、逆に多国籍軍を日本に配備する事で諸国は日本と米国との親密な同盟関係を破壊しようとしていると猛反発を起こし、結果話し合いは平行線を辿ったまま一端の終わりを迎えた。

 

「………ふん、いけすかねぇな」

 

「事務次官、御言葉にご注意を。聞かれでもしたら………」

 

「はん、連中は自分の事で一生懸命で当事国の日本(うち)を気にするやつぁなんていねぇから安心しな」

 

国連での会議を終えた外務省事務次官である斯波田賢仁は数名の護衛を引き連れながら揉めに揉めた国連の会議室を後にしていく。

日本としちゃ米国だろうが多国籍軍だろうが歓迎しねぇってんだよと愚痴りながら………

 

「(しかし米国の連中、えれぇ粘るじゃねぇか)」

 

国連参加国の大半が反対に回る中、米国は軍派遣を撤回しようともしやがられねぇ。

国情も外交関係も関係なしに、だ。

逆を言やぁ、そこまでしなきゃいけない理由がフィーネの連中にあるってこった。

諸国もそれを知っているから少し考えたら出来もしないアジア進攻なんて難癖つけて米国の軍派遣を止めていやがる。

その上に米軍が隠そうとしている何かを奪い取ってやろうと多国籍軍の派遣にまで手回ししてきやがった。

戦場になる日本(うち)の事はお構い無しでだ。

 

「は、日本からすりゃ前門の米国、後門の諸国ってか」

 

笑えねぇ話だなこりゃ、と頭を掻きながら愚痴る賢仁であったがさてと今後の動きを考える。

どちらにせよこのまま何事もなく、ってのはねぇだろう。

どう駒が動いても対応出来るように此方も手を回しておかなきゃいけねぇ。

とりあえずまずは米国の腹の中を探りながら、諸国をどれだけ味方に出来るか、だな。

 

「たく、忙しくなりそうだねぇ………嗚呼、蕎麦が食いてぇなぁ」

 

斯波田賢仁、彼もまた装者達とは異なる戦場で戦う一人の男であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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シャトーの一角、とある部屋の入り口に立つ2体のアルカ・ノイズが門番をするその部屋こそ、彼らの生みの親であるセレナの私室。

警戒のアルカ・ノイズが配備されるのはいつもの事なのだが、今日はどこか雰囲気が違っていた。

どこか遠慮する様に、戸惑う様にしながら見張りをする2体の眼に映るのは――部屋の入口に貼られた≪謹慎中 絶対に出すな≫と書かれたデカい文字。

そう、現在セレナは――私室にて謹慎処分を受けていた。

 

「………はぁぁぁ………」

 

謹慎中の部屋、その片隅にある愛らしいぬいぐるみ(カエル)が置かれたベットに顔を突っ伏しながらセレナは口から零れるため息を止められずにいた。

セレナの帰還、それと同時に始まったのは―――師匠によるありがたい大説教の時間だった。

師匠であるキャロルは当然、通信で事を知ったプレラーティも参加、果てには面白そうと言う理由で付いてきたカリオストロがセレナをからかう為に参加、揉めに揉めた説教が終わりを迎えたのは次の日の朝日が昇り始めた頃だ。

おまけにやっと解放されたと思いきや、この謹慎処分である。

最低1週間から最高1か月、その間のシャトー外への外出は論外であり、部屋からの外出でさえも1人だけでは禁止される始末。

期間に関してはお前の態度を見て考えるとだけ冷たくあしらわれながら終わった大説教タイム。

ずっと正座をしたままだったので終わった時は足がもう……うぅ……

 

「(けど、もっと酷い罰がおりるかなぁって思ったんですけど………)」

 

今回自らが起こしてしまった不祥事を思い返せばこんな罰で済ませて良いのか?と自分自身で思ってしまう。

仮面とファラさんのおかげで錬金術の存在や正体こそ隠せれましたけど、もしもバレていたら師匠の計画が破綻していても可笑しくはなかった。

それなのに下されたのは大説教と謹慎だけ。

正直を言うとこれを理由にシャトーからの追放処分さえも覚悟していたのに、下された罰は比較的に軽いものばかり。(大人しく追放されるつもりはありませんけど)

まあ、そこを突いてしまえばやぶ蛇なのは間違いないので黙っていましたけど……… 

 

しかし軽い罰である謹慎とは言え、暇な時間が出来るとどうしても思い返してしまう。

叫びながら此方に手を伸ばす未来お姉さんを、

ドクターウェルと手を結び敵対したはずのマリア・カデンツァヴナ・イヴが絶唱を奏でようとし、それを止めようした自らの理解できぬ行動と、その時に見た謎の光景。

そしてーーー響さん達の事。

 

あの後、映像で彼女達が得た新しい絆の力を見た。

 

《S2CA》

 

他者と繋ぎ会う、響さんの持つ特性を最大限に利用した三人分の絶唱を1つの力に変えて放たれるこの技は厄介な増殖分裂型を撃破してみせた。

絆を力に変える、響さんらしい技だと思う反面で思い知らされる。

 

これが私の敵なのだと。

 

いずれは争わなくてはならない敵なのだと思い知らせる。

師匠と響さん、二人が手を繋ぎ会える未来を諦めたわけではない。

未来お姉さんから教えてもらった信じる事の大切さを忘れたわけではない。

けれども、理解していた。

キャロル・マールス・ディーンハイムと立花響は、一度は争わなければ絶対に理解し合えないと。

二人の想いをぶつけさせないと絶対に理解し合えない、と。

きっとその時私も参加しないといけないだろう。

彼女達との戦いにーーー

 

「ーーー」

 

心苦しいと感じる感情はこの胸にある。

けれどもそれを踏み越えてセレナは進まねばならないのだ。

師匠であり、恩人であり、家族であるキャロルを解放する為にはーーーー

 

「………はぁぁ………」

 

考えることもしなければならない事も山程ある。

けれども今はとにかく休みたい、そう想いながら未だに痺れの残る足の痛みを感じつつ、カエルのぬいぐるみに顔を埋めるセレナであった。

 

 

 

 

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「………」

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴはアジトとして用意された廃墟と化した病院で1人考えていた。

あの時、絶唱を奏でようとしたあの時。

立花響の雄叫びによって掻き消されてしまったが、確かに聞こえた気がした。

あの子の………セレナの声が………

 

「………まさか、ね」

 

セレナの幻を二回も見てしまったせいでそう聞こえただけだろうと、忘れる様に思考を中断する。

立花響の乱入によって絶唱を奏でる事なく撤退する事に成功し、彼女達のS2CAによってネフィリムも覚醒するに至った。

しかしその対価も大きく、調と切歌は軽症で済んだが、自身は絶唱を奏でようとした際に生じた負荷で気絶し、目覚めた今でも節々に痛みが残る始末だ。

奏でようとしただけでこれだ、もしもあの時本当に絶唱を奏でていれば………この場にはいなかっただろう。

 

「………あいつのおかげで目茶苦茶ね」

 

思い返すは突然現れた黒い手を操る謎の女性。

調、切歌、そして私もあの黒い手には一方的にやられるしかなかった。

切っても吹き飛ばしても再生し、無限に襲いかかってくる黒い手。

そしてそれを操る未知の女性。

二課の味方ではないのは確かだろう、立花響が黒い手に殴りかかっていたのが最大の証拠だ。

では彼女はいったい………

 

「マリア!!目覚めたデスか!!」

 

「マリア………!!」

 

扉が開くと同時に駆け寄って来た二人が抱き着いてきた。

最近の二人にはなかった行動にどうしたの?と声を掛けようとして、気付く。

 

ーーー泣いていた。

 

震えながら涙を流す二人に、それだけ心配させてしまった自らの不甲斐なさを実感しながら、二人を優しく抱き締める。

そして認識し直す。

セレナを守れなかった私だけど、この場所は………得てしまった新しい居場所は絶対に守ってみせると、誓った。

 

 

 




「心配させた罰デス!晩御飯は豪華にするデス!」

「うっ………わ、分かったわそれじゃ豪華にシチュー(水かさ増し)にしましょうか」

「マリアのシチュー………!」

「………調、切歌………(水かさ増しを知らない二人を騙すマリアとそんな状況を強いてしまう自らの財政に嘆くマム)」
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