セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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シンフォギア2020年ライブ決定………!
感謝………圧倒的感謝………!
当てなきゃ(使命感)


第56話

 

リディアン学生寮。

その一室、小日向未来と立花響が一緒に住まう部屋。

いつもならば明日の学校の用意を終えて、二人一緒のベッドで眠るはずの時間なのに、部屋の電気は灯されたまま。

目覚めたままの二人は、響が持つ二課から支給されている通信機から聞こえる報告に耳を傾けていた。

その報告が二人に喜びをもたらしながらーーー

 

「それ本当ですか師匠ッ!!?」

 

≪ああ、間違いない。未来君の言っていたキャルと言う少女は避難者名簿の中に名前があったよ。念の為に二課から人を派遣して確認してみたが、その安否も確認することが出来た。彼女は無事だ≫

 

会場での出来事から既に二日。

その間、二課はフィーネが起こした騒動の後始末に、被害状況の確認、関係省庁とのやりとり、残されたノイズ退治にと忙しい日々を過ごし、あの日会場から姿を消してしまったキャルが無事に避難出来ているのかどうか、それを確かめる為の避難者名簿の確認が遅れてしまっていた。

だがそれも遂に正式な調査が行われた。

二課としても特別協力者である未来、そして二課の最大戦力でもある装者の響、クリス、翼の3名からの頼みをこれ以上後にするわけには行かないと思ったのだろう。

忙しい中での時間を割いての調査であったが、苦労した甲斐もあって良い報告を知らせる事が出来、また1人市民の無事を確認する事も出来たので弦十郎としても嬉しい報告となった。

 

「未来ッ!!」

 

「響ッ!!」

 

抱き合い、喜びを露わにする2人。

フィーネの事件から二日、彼女達の脳内に浮かんでいたのは最悪の可能性。

会場に会った灰は全てノイズを倒した際に生じた物だと二課の職員は語っていたが、もしかしてその中に―――

そんな最悪の可能性に怯える2人であったが、弦十郎からの報告はそんな憂鬱な思いを吹き飛ばすに至る明るい報告となった。

 

「あ、あの、弦十郎さん。その…キャルちゃん怪我とかはしてませんでしたか?」

 

≪ん?ああ、それは大丈夫だ≫

 

弦十郎曰く、彼女の家へ赴いた二課の職員を迎えたのは1人の女性であったらしい。

女性はキャルの母親の従妹であると語り、海外で忙しいキャルの両親に代わって彼女の身元を引き受けており、実質キャルの母親代わりだと自己紹介してくれた。

その女性の口からキャルが無事に帰ってきている事、

会場でノイズ相手に逃げ回るなんて危険な行為をした事について説教した事、

そしてその時の過労もあってか体調を崩してしまい、今は寝ている事を告げられた。

 

叶うのであれば接触するのは避けてもらいたいと遠慮がちに願われたが、彼らとしてもキャルの無事をこの目で確かめて帰りたいと言うのが本音。

しかし向こうの事情も分かっているので無理強いするわけにも行かず、せめて扉越しに声だけでも聴く事は出来ないかと提案した所、向こうが承諾。

これにより扉越しであるが、対面は叶った。

風邪ならではの濁った声であったが、隠し持っていた通信機越しに翼、クリスの両名に確認を取った所、間違いなく本人である事が確認された。

 

《風邪自体もさほど重いものでもなく、回復へと向かっているとの事だ》

 

その報告にホッと安堵する未来。

この2日、囮となって姿を消してしまった彼女の安否をずっと気にしていた未来にとって、やっと心から安心出来たと笑顔を見せる。

 

《嗚呼、それと未来くんから頼まれていた物も無事に渡しておいたとの事だ》

 

はて?と響は首を傾げる。

それについては自身も知らず、未来に確認するように声を掛けると笑顔で見せてくれた物に納得する。

未来の手にある《秋桜祭》のパンフレットにーーー

 

 

 

 

 

 

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「………ふぅ」

 

通信を終えた弦十郎は小さく息を吐いた。

キャルと言う少女の無事、それを報告し終えた弦十郎であったが、その表情は決して明るい物ではない。

フィーネの存在や装者達からの報告にあった黒い手を従える少女等彼を悩ませる物は多く存在するが、弦十郎の表情が暗い理由は………件の少女、キャルにあった。

 

「………………」

 

調査の過程で自然と得られる彼女の個人情報、それを確認した弦十郎であったが、得られた情報は極自然のどこにでもいる普通の少女としての情報であった。

出生も家族構成も履歴も、何もかもが自然なまま。

そう、本当に極自然過ぎるのだ。

………弦十郎の昔の勘が騒ぐ程に………

 

「………藤尭、緒川に内密に連絡を取ってほしい。仕事を頼みたい、とな」

 

杞憂であれば良いのだが………そんな呟きと共に弦十郎は思う。

俺はもしかしたら、あの子達の笑顔を奪ってしまうかもしれないとーーーー

 

 




OTONA……動きます!

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