セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話   作:にゃるまる

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第68話

 

2人の奏でる歌が終わりを迎える。

ツヴァイウイングの名曲≪ORBITAL BEAT≫

今は亡き天羽奏と風鳴翼が歌い奏でたそれを歌う2人。

最初は翼に対する挑発や嫌がらせ目的での選曲かと思いきや、2人の奏でるORBITAL BEATはツヴァイウイングが奏でるそれと比べても劣りはしない素晴らしい物であった。

それに何よりも――クリス同様に楽しそうに歌声を奏でる2人に会場中の観客達もまた魅入られていた。

その魅入られた人々の中に混ざっていたセレナは沸き起こる拍手の雨に参加しながら思う、思ってしまう。

 

――本当に彼女達が世界を相手に宣戦布告したフィーネの仲間なのか、と―――

 

こんな素晴らしい歌声を、あんなに優しい心を持つ持つ彼女達がどうして……

 

≪素晴らしい歌声でした~!!これはチャンピオンの座がどうなるかわかりませんよ~!!≫

 

司会の言葉に思考に埋もれていた意識が戻る。

審査員席では2人の奏でた歌声が公平に評価されていき、その点数はクリスに追い付こうとしている。

チャンピオンの座、それが本当にどうなるか分からない状態の中で―――

 

「――――!!――――…」

 

2人が小声で何かを騒いでいるのが見えた。

どうしたのか?と見つめていると、2人の耳元に小さく輝く無機質な光が見えた。

何だろうと集中して見てみると―――

 

「(…通信機?)」

 

耳元で輝く無機質な光が通信機である事が分かる。

以前にシスターズに通信機を用意する際にいくらか勉強したセレナにはそれが少し古いタイプの通信機だと即座に理解すると同時に、あの通信機の最大の欠点を思い出す。

懐から取り出したのはシスターズに手渡した物と同じ通信機。

それを手早く調整していき、耳元に当ててみると―――

 

≪――分かりましたね。ランデブーポイントは此方で指定します。至急撤退しなさい、良いですね≫

 

≪け、けどマム!!後少しでシンフォギアを奪う事が――!!≫

 

聴こえてくるのは切歌と老齢の老齢の女性の声。

現在進行形で繰り広げられている二人の会話が流れる通信機に耳を傾けながら思い出すのはあの通信機の最大の欠点。

あのタイプの通信機はとある波長を拾える様に設定すれば、誰にでも盗聴する事が出来ると言う欠点がある。

その欠点が故に市場では値下がりしているので比較的手軽に入手しやすく、かつ売る方としても在庫が余りに余っているから在庫処理に協力してくれる上に多少の金を握らせれば喜んで≪協力≫してくれるだろう。

きっとあの通信機の出所を探すのには苦労するであろうなと思いながら、セレナは聴こえてくる会話に耳を傾ける。

 

《既に本国からの追手はドクターによって排除されましたが、アジトが特定された以上此処に留まる訳には行きません。撤退するのです二人とも、これは命令です》

 

《ーーッ!………了解、デス………》

 

本国?追手?

聴こえてくる内容に混ざる不穏な単語に幾つかの推測が浮かぶが、通信が途絶えるのと同時にステージから駆け出した二人に慌てて追い付こうと動きかけるが、なんとか思い止まる。

装飾品が無い今の状態で追い付いたとしても、二人からすれば赤の他人にしか見えないし、事情を説明する訳にもいかない。

だからと言ってこのまま二人が無事に脱出出来るかどうかを見届けないと安心出来ない。

何とか方法を………そう思考する事数秒足らず。

 

「ーーーーーあ」

 

その果てに思い付いたのはーーー賭けに近いヤケクソだった。

 

 

 

 

 

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暁切歌と月詠調は秋桜祭で盛り上がる学園内を駆けていた。

マムからの撤退指示、それに従い駆ける二人の脳裏にあるのはーーー家族への心配。

米国本土からの追手、ドクターが撃退したと言うが………浮かび上がるのはもしかしての可能性。

 

「マリア………」

 

二人にとって姉であり家族であり大事な人であるマリア。

そしてそんなマリアと自分達の母親代わりと言っても過言ではないマム。

彼女達にもしもがあれば…そんな不安が2人の駆ける脚を速める。

だがそんな2人を邪魔するかのように道を塞ぐのは―――風鳴翼。

 

「…もしやと思い警戒していたが、まさか本当に居るとはな」

 

突然の風鳴翼の出現に駆けていた脚が止まってしまう。

そんな2人に追い付くように姿を現したのは、立花響と雪音クリス。

 

「追い付いたぞ!!」

 

「調ちゃん、切歌ちゃん!!」

 

最悪の展開だ、調は内心考えていた最悪の状況が目の前で発生している事に思わず舌打ちをしてしまう。

3対2、数でも不利でありLiNKERもないこの状況ではシンフォギアを纏って戦うとしてもまともに戦えないだろう。

だが不幸中の幸いか此処は学生や来訪客が多く集まる出店近く。

向こうとしてもシンフォギアの存在や、装者の正体と言った秘密を守りたいから此処で戦闘を行うと言う事はないだろう。

だが、逆を言えばそれだけだ。

もしもここで実力で抑えられれば間違いなく捕まって終わりだろう。

シンフォギアも奪われ、マリア達の力にもなれず、追い込まれたマリアは絶対にフィーネの力を頼る。

自らの存在を掻き消しながら、フィーネの力を……

 

「(それは…させない…!!)」

 

この状況で出来得る抵抗など限られている。

だがそれでも僅かな隙を作る事は叶うだろう。

どちらかが犠牲になって時間を稼げば――

 

「(…だったらその役目は私だ…)」

 

向こうの動きを様子見しながらシンフォギアを持つ手に力を籠める。

もしもの場合は切ちゃんだけでも逃がす覚悟を以て――――

 

「ねえ調ちゃん、切歌ちゃん話し合おうよ!!きっと話し合えば……」

 

立花響の偽善に満ちた言葉が聞こえてくる。

それをうっとおしいと思いながらも反論しようとして――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪いらっしゃーい!!≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

割り込んで来たノイズをモチーフにしたと思われる着ぐるみ(?)に邪魔された。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あらら、です」

 

灰だらけとなった廃工場の中。

少し前まで米軍がノイズによる一方的な殺戮タイムを受けていた場所で、ファリスとガリスは目の前の惨状に予想通りになったな、とつまらなそうに足元にあった灰を蹴り飛ばす。

 

「想像通り敗北、ですね」

 

「そりゃあねー、私達みたいな例外を除けばノイズって基本無敵最強様だから、こうなるのは必然よねー」

 

既にフィーネは移動アジトとして用いている大型のヘリを以てどこかへと去っている。

2人は何かしらの情報の類が残されていないかとこの廃工場に侵入してみたが、幾つか書類はあるにはあるがどれもさほどの情報とはならず、結論を言えば無駄足状態であった。

そんな無駄足状態となった2人はさてどうするかと今後の動きを検討しながら灰を――元人間であったそれを蹴り飛ばしながら考える。

 

「…これ以上此処に居ても仕方ない、です。一度引き上げる、です」

 

「……ま、それしかないわね…じゃあ―――」

 

帰りましょう、そう続くはずだった言葉はカンッと頭部に命中した銃弾によって静止される。

ファリスが僅かに驚きを見せながらすぐに弾が飛んできた方角を推測し確認すると、そこには座り込んでいる1人の男がいた。

 

「――――――!!――――!!」

 

恐らくは英語だろう。

喚く様に叫びながら震える手で小銃を握る男は興奮する様に此方に銃を向けている。

どう見ても先程の軍人さん御一行の生き残りだろう。

何を叫んでいるのか、翻訳すればきっとわかるだろうがファリスはそんな事しない。

だって――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――今、撃ちましたね?私の顔を―――マスターから頂いたこのお顔を、撃ちましたね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうせ死ぬのだから―――

 

 

 




ガリスの頭にヘッドショットを決めた軍人さん、実は優秀?
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