セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話 作:にゃるまる
あと平行世界クリスまじ可愛い
「立花ぁぁぁぁッ!!!!」
剣たる少女、風鳴翼の悲しい雄叫びが戦場に鳴り響く。
彼女の視線は、倒れ伏したネフィリムに対し徹底的に何度も何度も拳を振り下ろす1人の少女に―――黒き獣と化した立花響へと向けられていた。
≪立花響の暴走≫
ルナアタック事件の際、幾度か発生した立花響の暴走。
自我を失い、本能がままに力を振るうその姿はさながら――獣だろう。
ルナアタック事件以降はその姿を見る事はなかったが…ネフィリムによってもたらされた肉体、精神への負担が彼女を再度獣へと変貌させた。
《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!!!!!》
獣、そう判断するしか出来ない咆哮と共に立花響の拳がネフィリムの外皮を突き破り、体内へと侵入する。
骨を砕き、臓物を潰し、肉を抉りながら立花響の拳がネフィリムのコアを掴む。
ネフィリムもまたそれを実感しているのだろう。
立花響によってもたらされようとしている死の恐怖から逃れんと抵抗するが、今の立花響にそれは全くの意味を成さない。
人と人が繋ぎあう為の拳、そう語った彼女の拳は血に塗れながらコアを体内から引きずりだそうとしている。
もう少しと、後少しと――
引き摺り出されようとしているコアを見ながら獣の表情が笑みへと変わっていく。
終わろうとしている命を前に笑う、普段の立花響であれば絶対に見せない表情にノイズによって身動きが取れない風鳴翼は気絶している雪音クリスを抱えながらも自らの力不足を実感する。
この身に力があれば―――と。
≪ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!!!!!》
再度咆哮と共にコアを持つ手に力が入る。
繋がる肉や細胞は千切れ、コアが外部へと引きずり出されようとして―――――――
《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!!!!!》
―――聞こえて来た雄叫びと共に自身を襲う衝撃が、彼女の意識を刈り取った―――
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「――――――――――――――――は?」
映像を見ていた弦十郎がやっと絞り出せたのはそんな呆けた一言だった。
ドクターウェルの語る目的、ネフィリムの出現、立花響の暴走。
この数分間で起きた出来事の数々に混乱しながらも対応していた二課の動きが――完全に静止した。
ほんの少し前まで変わりゆく現場の状況を報告していた藤尭も、
装者達の力になればとネフィリムの動きを調べていた友里も、
誰もが、全ての動きを止めてただ映像を見つめていた。
「――――――なん、だ……なんだ、あれは…………」
《それ》を敢えて名前で呼ぶとすればーー《死神》だろう。
ネフィリムよりも巨体な体格を持ち、黒い無機質な肌、お面の様な無感情な顔。
そしてーー視ているだけで全身から体温を奪い取られる様な悪寒が止まらなくなるその佇まい。
映像越しであると言うのに、視ているだけでまるで目の前に立ち、この命を奪わんとしているかのような幻覚を引き起こす。
故にーー《死神》
命を刈り取る、その言葉を形にしたかのような異形にこれ以上ない適した名前だろう。
死神の手からぽたぽたと何かが滴り落ちている。
その何かを確かめようと誰が指示したわけでもなく、カメラはズームされていくがーーーその正体を知ると同時にズームした事を後悔する。
そこにあったのはーーーネフィリムであった物。
血も肉も骨も臓物も、何もかも関係ない。
振り下ろされたたったの一撃によってミンチと化したネフィリムであった物が、そこにはあった。
「………ぅ」
「………ひでぇ」
あまりにも壮絶な光景に、幾度の修羅場を潜り抜けた二課の職員でさえも込み上げてくる吐き気に、映像から視線を反らしていく。
弦十郎でさえも視線を反らしてしまう程に酷い光景。
だが、その光景があったからこそあの化物の力量をーーー絶対的な力量差を弦十郎は理解する事が出来ていた。
「ーーーーてったい、だ」
「………え?」
「今すぐに………今すぐに装者達を撤退させろ!!あの化物から距離を取らせるんだ!!!」
弦十郎が下した判断、それが響き渡ると同時にやっと二課の動きが再開する。
その様子を眺めながら弦十郎は理解していたーーーせざるを得なかった。
「(………あれには………勝てん………!!)」
映像越しにでも分かる。
あれは《次元》が違う、と。
勝てる勝てないではない。
初めから挑んではならない相手なのだと………
「司令!!響ちゃんが!!」
友里の報告に再度弦十郎の視線は映像へと向けられるのだが、そこに写る光景はーーー最悪だった。
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≪ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!》
立花響は傷付いた身体で自らの獲物を奪い取った相手ーーー死神に対して敵意を向ける。
死神が放った一撃によって吹き飛ばされ、傷付いた身体。
なれど、それでも、自らの獲物を横からかっさらった化物への敵意が彼女を奮い立たせる。
≪ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!》
《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!!!!!》
立花響の咆哮に答える様に死神も咆哮し返す。
向かい合うは獣と死神。
目の前に立つ存在を《敵》だと認識した両者は、高まる敵意を力へと変換していく。
その光景を見た者は誰が信じるだろうか。
獣の正体が人の絆を信じる心優しき少女だと。
死神の正体が人の可能性を信じる心優しき少女だと。
誰が、信じるだろうか………
《 《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!!!!!》 》
獣と死神の咆哮が重なる。
大地は震え、空気は振動し、世界は恐怖する。
今から始まる戦いを、獣と死神による殺しあいに恐怖する。
そしてーーーー