セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話 作:にゃるまる
まさかの次コラボ進撃ですよ、最近進撃もコラボ多いですねー
≪――――――――ッ!!?≫
死神が困惑しているのが手に取る様に分かる。
無理もない、此処は一面の荒野。
水などどこにもないはずだ。
カ・ディンギルの調査、並びに解体作業の為に水道こそ引いてあるがそれはあくまで飲み水や作業用に扱われるだけのごく一般的な水量。
おまけに水道管は地下に通じてあった物を再利用しただけだ。
決して地上に突然、こんな莫大な水量が現れる等ありえない―――≪異常≫だ。
だがそんな≪異常≫は現に起きている。
現実に、眼の前で起きているのだ。
ならば十分だ、思考を切り替えるに十分すぎる位だ。
困惑する思考を切り替えて迫る水にガングニールを振るう。
圧倒的な破壊力を、圧倒的な熱量を、圧倒的な力を、全てを破壊する一撃が振るわれる。
まさに破壊と言う言語を形に変えた一撃が振るわれる。
――――――だが、それがなんだ?
「ガリスッ!!」
「何もしゃべらないでくださいお姉さまッ!!集中が途切れますッ!!」
破壊がなんだ?力がなんだ?
んなものこの2人には関係ない。
迫る死も、迫る破壊も、迫る慈悲も関係ない。
死がなんだと、破壊がなんだと、慈悲がなんだと。
笑う、笑って嗤って笑い続けて、その果てに結果を作り出す。
それがこの二人なのだ。
ガリスの歌声が戦場に鳴り響く。
静かに、けれども儚く美しい音色が戦場に鳴り響く。
―――ガリスの歌声はいわば指揮棒だ。
自らの特性≪視界に映る範囲の全ての液体を操る≫
その力を十全に発揮する、その為に彼女は歌を奏でて指揮棒を振るう。
自らが操る水を、合唱を指揮する様に歌を以て導く。
轟音、ガングニールの破壊の一撃が振り下ろされた。
迫る光線、迫る破壊。迫る死。
大地さえも蒸発させるだけの熱量を持つ一撃、当たれば膨大な水であろうとも一瞬で蒸発し尽すだろう。
――だがそうはならない。
ガリスの歌声で動く水は器用に迫る光線を回避して見せる。
自らの放った一撃を避けた水に驚愕する死神だが、それも束の間今度は水が死神の頭上に球状に集う。
「――ッ!!マスターお許しをッ!!」
ガリスの歌声の合図が鳴り響くと同時に水が揺れ動く。
槍、ガリスの偽・聖遺物≪トライデント≫に酷似した水の槍が、空を埋め尽くす水の槍がそこにあった。
たかが水と思うのならばこう言ってやろう。
――水を舐めるな、と。
「一斉放射ッ!!!!」
水の槍が一斉に死神の頭部目掛けて急速に落ちていく。
ガリィが水を生成し、その水をガリスが操る事で可能とした水の攻め。
一本一本がさながら刃の様な鋭さを誇る水の槍、それを水が無いこの荒野において生成出来たのは、この姉妹ならではこそだろう。
姉妹が作り上げた槍の雨、それが一斉に降り注ぐ。
≪―――――――――――――――ッ!!≫
無論死神とて何もしない、なんてふざけた真似をするつもりは毛頭もない。
右手に握るガングニールを持ち上げ、迫る雨を防がんとするが―――
≪―――――――――ッ!!?≫
気付く、気付く、気付く。
遅すぎた気付きに、今更気づく。
持ち上げようとしたガングニールが、両腕が、地面に引っ付くように凍り付いている事に。
何時、どこで、誰が。
葛藤と困惑、その果てに死神は答えへと辿り着く。
そう、全ては最初の水の濁流からだ。
思えば可笑しかった。
最初のあの一撃は完全に死角からの奇襲が成り立っていた。
ならば――どうして水をぶつけるだけと言う舐め腐った攻撃を選んだ?
絶好の機会で、全力を込めた一撃を放てばあわよくば命を刈り取れた最高のベストタイミングで、選んだのは動きを鈍らせただけの水。
その理由が―――やっと理解出来た。
≪ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!≫
理解と同時に降り注ぐは槍の雨。
1つ1つは大したダメージとはならないが、それを賄うだけの膨大な数が死神の頭部に降り注ぎ続ける。
たかが水、なれど水。
使用方法さえ変えれば誰だって水で何でも切れるこのご時世に、水を舐めるんじゃねえとガリィは中指を突き立てる。
しかしこれで死神が倒れるわけではない。
凍り付いた腕を無理やり引き上げながら、死神が立ち上がろうとする。
しかしそれを阻むのも氷。
ガリィが持つ全想い出を水の生成とこの足止めの氷に費やした文字通りの全力全開の氷。
持ち上げるのは不可能、だと思っていた。
≪ア゛……ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!≫
大地の揺れにまさかと思ったガリィの嫌な想像。
それは悲しくも的中する。
轟音と共に死神の腕が再度動き始める。
≪地面≫ごと持ち上げたその腕で―――
「ちょ、マジですかァッ!!?」
氷は人間で言えば二の腕辺りにまで地面もろとも侵食していた。
あの氷であれば動けない、と思ってもいた。
だが現実はどうだ。
二の腕辺りに
こっちとしては水に結構な量の想い出を持って行かれたとは言え、残った全てを使っての
いや、本当にあれだ、規格外のくそったれだわ。
中身があの子じゃなかったらドロップキック決めてやる所だわ。
けどまぁ……
「ガリィちゃん達の出番は終わったりしちゃうのよね♪ガリスッ!!」
「全く…ほんっとうに妹使いが荒い姉ですねッ!!マスターの危機でなければ殴ってますよッ!!!!」
ガリィの合図にガリスもまた動く。
奏でる歌声に水は下された指示を実行する。
槍の雨として降り注ぎ、未だに死神の頭部と狙い逸れて地面に突き刺さった水の槍が一斉に瓦解し、周囲に飛び散る。
出来上がるは――水の壁。
死神と周囲を囲む様に作られたそれは無関係者からの視線を阻む。
今から始まる光景を見せない為にも、これは絶対不可欠となるだろう。
「ま、ファラの妨害電波が起動しているだろうし、装者達もあの様子だから見てないだろうけど、念のために、ね♪」
「誰に説明してるんですかッ!!少しぐらい想い出残ってるんでしょッ!!手伝ってくださいなッ!!」
「えー、ガリスちゃんそんな事言う?私の水が無ければ何も出来ないガリスちゃんがそんな事言う?」
「――――ッ!!……後で絶対に殴ります(ボソッ)」
コントの様な姉妹の会話。
自らを無視している、そう理解すると同時に死神の胸に初めての感情が沸き上がる。
≪怒り≫
散々にコケにし、散々に弄び、挙句に無視している2人に初めて怒りを抱く。
邪魔な飾りを腕に付けているせいで先程までの様に思うが儘に動かせないが、十分だ。
撃槍を手に死神は駆ける。
光で、慈悲で殺すなどもはやしない。
この槍で突き殺し、叩き殺し、刺し殺す。
痛みと苦痛と死への恐怖であの余裕をぶち壊してやろう。
≪ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!≫
咆哮、振るう撃槍は2人へと向けて矛を突き立てる。
駆ける勢いのままにその脆弱な小さな身体ごと白い撃槍は2人を突き殺そうとし――――
2人が、笑みを浮かべたまま崩れた。
≪―――――――――――――ッ!!!!??≫
崩れた、そう表現した言葉に偽りはない。
先程まで確かに人の形をしていた2人は、今はもういない。
2人が立っていた場所にはただ水だけが残されており、2人がいたと言う事実を疑う程に人のいた痕跡が無くなっていた。
なれど水の壁は未だに健在、ならば何処かに居るはずだと周囲を見渡そうとし――――
「呼ばれ―――てないけど飛び出てジャジャジャジャーン、だゾッッ!!!!」
奇天烈な発言を聴いたと同時に頭部を激痛が襲った。
何が――衝撃で前のめりになった身体で原因を模索しようとするが、それは叶わない。
何故か?それは―――
「ミカに続きますッ!!合わせなさいファリスッ!!」
「出来るだけ努力します、ですッ!!!!」
突如大量の剣を内包した竜巻が出現したからだ。
触れる者、包む者、どちらであろうが竜巻に近づくと言う選択を選んだだけでもれなく細切れにする竜巻。
それが一斉に死神に纏わり付くように迫る。
迫る竜巻に対し、死神は両腕を振るおうとするがそれを阻むは手に付いた
ガリィからすれば予定外であったが、それは意外にも功を成していた。
咄嗟的に死神は守りに徹する選択を選ぶ。
両腕で頭部を守る様に構えるその姿はさながら格闘家だろう。
迫る竜巻、それは見ただけで理解できる殺傷力を以て迫り―――――
死神の目の前でプツン、と途切れた。
≪――――――――――?≫
何故?戸惑いが明らかな表情となって顔に出る死神は、自然と構えを取っていた体勢を崩す。
迫る脅威が消えた事に困惑し、安堵して、崩してしまった。
≪――――――――――――――ッッッ!!!!≫
咆哮と共に突如姿を現したのは、死神よりも巨体な身体を持つレイア妹。
背後より奇襲する様に姿を現したレイア妹はその巨体な身体を以て死神を押し倒した。
死神は背後からの奇襲、そして圧倒的重量で動きを封じられた事に驚きながらも必死の抵抗を言わんばかりに起き上がろうとするが―――
「させるかッ!!!!」
飛んできたのは硬貨。
的確に、正確に、狙い通りに、レイアの放った硬貨が動きが出来ない死神の眼に直撃する。
≪―――ッ!!!??ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!≫
いくら死神とは言え、眼に直接攻撃を喰らえば耐えられなかったのだろう。
レイア妹を押し退けようとしていた力が一気に抜け落ち、その隙を狙う様にレイア妹は持てる全パワーを以て抑え込みに入る。
「良くやった、派手な活躍だ」
≪―――――――――――――♪≫
レイアの褒め言葉にレイア妹は嬉しそうに表情を緩めるが、抑え込む力は一切抜かない。
否、抜けないのだ。
体勢でも重量でも力でも、上回っているのは此方だと言うのに下にいる死神はなおを立ち上がろとしている。
少しでも気を抜けばこの異形はレイア妹を跳ねのけて立ち上がっても可笑しくない。
そう感じる、感じる事が出来るだけの力がこいつにはある。
だが――――もう、遅い。
既に私達の任務は果たされたのだから、問題はない。
そう、後は―――――――
「――馬鹿弟子ぃぃぃぃぃぃぃぃッッッ!!!!」
我らのマスターに任せるだけだ。
キャロセレ
キャロセレ