セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話 作:にゃるまる
決まったーー如何にも満足そうにホクホクとした笑みを浮かべる新しいシスターズ、ミカの《姉》を自称する《ミウ》。
確かにその姿は仮にミカが人間であり、成長したらこんな感じになるんだろうなぁと言った妄想が具現化したと言っても過言ではない。
ミカよりも大きな背格好でありながら女性らしい体型に、ミカのそれよりも圧倒的存在感を知らしめているフリフリの服の上からでも分かる成長した胸。
ぷるん、と揺れるそのお山を前にミカは無意識に自分のお山と比べてーーー
「(´・ω・`)」
↑こんな顔をした。
揺れるお山を前に意気消沈するミカ。
ミウのラ○ダーキックを食らって壁に激突しているガリィ。
突然のシスターズの出現、そして突然の名乗り口上に困惑するガリス。
混沌だ、混沌しかない。
この現状を現す言葉があるとしたら、それは混沌しかないだろうが、その混沌を作り出した張本人はとても満足げだ。
必死に考え、練習してきたであろうカッコいいポーズもカッコいい名乗り口上も決めてとても満足そうにしている。
その姿はさながら無邪気な子供がそのまま大人になったと言った所だろう。
ミカに良く似た無邪気は、やはり姉妹なのだとガリスは思った。
「ーーって可笑しいんだゾ!!なんでお前が姉なんだゾ!?あたしが姉なんだゾ!!」
お山の意気消沈から帰還したミカの最もな意見を前にミウは首を傾げる。
その際にお山もまた揺れ、それがミカの純粋な心にダメージを与えているのだが、そんな事ミウは知るよしもなくミカの質問に対してーーー
「ふふん♪アタシはマスターとミカの人格データが合わさって生まれたのだ!!つまりはーーミカよりもアタシの方が頭が良い!!何よりもアタシの方がオトナな身体なんだぞ!!つまりアタシが姉!!はい、論破だぞ!!」
ーーーまあ、実際の所確かにミウの言葉に嘘はない。
ミウの人格はミカを基礎にマスターであるセレナの人格が合わさり生まれた物。
ミカの無邪気さ、セレナの優しさと知識を持って生まれた彼女からしたらミカよりも頭が良いと言う発言も決して嘘ではない………嘘ではないのだが………ミウの場合は知識が全部ヒーロー関係の記録で埋め尽くされているので実際な所、差がないと言うのが実情であったりもするのだ。
まあ、身体に関しては完全論破なのは間違いないだろう。
「ぐ………ぐぬぬ…ち、違うんだゾ!!あたしがお姉ちゃんなんだゾ!!」
「違わないんだぞ!!アタシが姉でミカが妹なんだぞ!!」
「違うんだゾ!!」
「違わないんだぞ!!」
ギャーギャーと姉妹論争が続く中、ガリスは驚きと困惑で呆然としていたが、これは好機だと理解した。
ガリィはミウの一撃で気絶、ミカはミウと姉妹論争で此方に目を向ける様子すらない。
「(今ならばマスターの元へッ!!)」
懐から取り出したのはテレポートジェム。
転送先はいつもの街中で、マスターがいる海上まではかなりの距離があるが、ガリスの特性を使えば辿り着けないわけではない。
最低でも此処にいるよりかはずっとマシだろう。
ガリスは手に持つテレポートジェムを床に叩き付ける。
割れたジェムは仕組まれた転送術式を起動させ、ガリスを転送させていく。
消え行く景色、荒れ果てた自らの主君の部屋の惨状を見届けながらーーー
「だったら決闘だゾ!!勝った方が姉で負けた方が妹だゾ!!」
「乗ったんだぞ!!姉より優れた妹なんていない事を証明してやるんだぞ!!」
ーーその最後にヒートアップした二人が物騒な決着方法を取り決めたのが聞こえた。
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先に言っておくが、ミウはレアやレイ同様に未完成である。
最終調整段階で待機していたが、ガリスの歌声で生じたフォニックゲインで起動しただけなのである。
無論、コアを武器とする最終兵装の使用は無理。
そう、無理なのだ。
ーーーもう一度言っておく、無理なのだ。
「アタシがお姉ちゃんだって証明してやるんだぞ!!最初っからクライマックスなんだぞ!!」
微妙に何処ぞで聞いたことのあるワードを吠えたミウはーーー
「ーーーーーーーー♪」
歌った。
自らの歌を、フォニックゲインを高めて最終兵装を取り出すための歌声を奏でた。
無論、それがもたらすのは自滅。
未だ調整が終わっていない偽・聖遺物。
動いているのが奇跡に近い状態で更に莫大な負荷が掛かる最終兵装の使用は偽・聖遺物の崩壊ーーー自滅しかない。
なのに彼女はーーー耐えていた。
歯を食い縛り、偽・聖遺物がいつ崩壊しても可笑しくないと言う状態で耐えていた。
現れるは、炎。
全てを分け隔てなく燃やし尽くす炎。
ミウが持つ偽・聖遺物を呼び出す為の炎が形を変えながら現れる。
「ぐ………ぐぬぬ………!!」
あり得ない、この場にセレナがいたらそう言うだろう。
ミウの現在の状態では炎を呼び出せた時点で自滅は不可避。
なのにそれを成している、成してみせている。
故にあり得ないのだ。
そんな奇跡を今なお起こしているミウだが、彼女の脳内にあるのはただ1つ。
これまで見てきた特撮番組のヒーロー達の姿だ。
苦しみ、傷付き、裏切られてもなおも立ち上がり戦うヒーロー達。
その姿に自らを被せて彼女は耐える、耐えて見せる。
彼らが経験した苦しみ等に比べたらこの程度屁でもないと笑って耐えて見せる。
--ヒーローへの憧れ、それが彼女が奇跡を可能にしている力の源であった--
炎が形を成していく。
燃えさせる炎は物質へと形を変えていく。
ミウが持つ偽・聖遺物が呼び出されようとしてーーーー
「ーーーーーあ」
零れたのはそんな一言。
まるで皿を運んでいた時に手を滑らせたかの様な呆けた一言。
だが、その一言と同時にミウの意識が途絶えた。
単純な話、ミウが耐えきれなかったのだ。
呆けた一言はセレナが万が一にとシスターズに搭載していた緊急安全装置が作動した事を示す物。
それにより、ミウに膨大な負荷を掛けていた偽・聖遺物は強制停止させられ、ミウの意識が一時的に暗闇へと落ちる。
そしてそれは同時にーーー彼女が生み出した炎の制御が失われた事を意味する。
「ーーーこれはヤバいんだゾ………」
ミカの言葉は正しい。
生み出され、制御を失った炎は物質への変化を取り止めて1つの膨大な熱エネルギーへと変換されていく。
膨れ膨れ膨れ、炎は巨大となり、そしてーーーー
爆音と共に炸裂した。
セレナの私室は廃墟と化した………
あ、次の話からセレナ視点に戻ります