セレナが何故か蘇って記憶を無くしてキャロル陣営に味方する話 作:にゃるまる
けど…嬉しい反面どうしようかと悩んでいたりする地方民のわい…
東京さ1人で行くには遠いだ…(遠い目)
交差するは3つの想い。
1つは身体の持ち主の意志を阻む障害を排除せんとする想い。
1つは生きたいと言う願いを敵を排除する事で叶えんとする想い。
そして最後の1つは――
「はぁぁぁぁッッッ!!!!」
全員救いたい、その願いを拳に込めて戦う1人の少女の絶対不屈の想いであった。
----------------------------------------------------------------------------------------------
「状況はどうなっているッ!!?」
「未来さんと仮面の少女、そして響ちゃんがそれぞれ交戦中!!完全に三つ巴になっていますッ!!」
目まぐるしく変化する状況に弦十郎と二課は完全に後手に回っていた。
突如発生した映像の乱れ、それは翼が映っていた映像のみを一時的に妨害。
時間にすればごくわずかな時間であったが、回復した映像に映っていた彼女は――敗北し、気絶していた。
敵装者が別映像から撤退しているのが確認された事から翼は彼女に敗北した物と判断され、今は二課から要請を受けたノイズ部隊が彼女を回収し、この艦へと移送している最中である。
これで二課の持つ戦力は3分の1となった。
残る戦力であるクリスは、味方ノイズと共闘戦線を築き上げて、優勢な戦局を維持しているが、何せ敵はソロモンの杖さえあれば無限に呼び出せるノイズ。
幾ら此方側のノイズが6万近く居るとは言え、有限と無限、どちらが勝るのか…言わずもだろう。
幸いな事…と言っても良いのか、未だに味方ノイズには負傷者こそいるが死傷者にまでは至っていない。
だがいずれ押され始める、その前に何かしらの打開策が欲しいと言う所に―――この三つ巴だ。
エクスドライブを纏った未来くん、胸のガングニールが命を蝕み残された時間が少ない響くん、そして――二課において最重要危険生物として認定された≪死神≫と同じ腕を纏う仮面の少女。
恐らくこの戦場において最も力のある戦力が勢ぞろいし、互いに果たすべき願望を胸に戦う彼女達。
その姿を見つめる弦十郎の視線は、やはり仮面の少女が操るあの腕に向けられる。
最重要認定危険生物≪死神≫
数日前に突如姿を現し、二課の装者達を一方的に苦しめたあの生物は、今や二課の報告によってその力を危険視した日本政府により最重要認定危険生物として全世界に知れ渡っている。
日本から近い位置にある中東やアジア諸国では対≪死神≫を想定した特殊部隊の創設へ乗り出したと言う噂話まで出てきているが…その信憑性までは分からない。
だが、そんな噂が出る程に二課が記録した映像は全世界に彼の生物の危険性を知らしめたのだ。
既に国連では≪死神≫発見の際には国連承諾を事後にしての戦闘行為を許可し、最悪の場合は反応兵器の使用さえも許可する案を提出する国が出る始末だ。
おまけにその案に賛同する国も決して少なくはないときた。
「それだけ世界は≪死神≫の力を恐れている…か」
そして今映像に映るあの少女の手にはそんな恐怖の象徴である≪死神≫と同じ腕がある。
それは必然的に――彼の少女と≪死神≫との間に何かしらの因果がある証拠となっていた。
「…仮面の少女、君はいったい…誰なんだ」
----------------------------------------------------------------------------------------------
「はぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」
立花響の拳が未来へと迫る。
彼女らしく真っすぐな拳が、もう迷う事を止めた覚悟の拳が迫る。
その拳を止めるは未来のアームドギア。
扇子の形をしたそれは響の拳を受け止め、払うと同時に先端から光を放つ。
身体を捻ってその一撃を躱して次の一撃を放たんとするが、足元から感じたざわつく感覚に響はその場を飛び跳ねる。
同時に海面から姿を現したのはもはや見慣れた無数の黒い手。
なれどその姿はもはや手ではなく、ある物は刃に、ある物は槍に、ある物は斧と多種多様な武器へと姿を変えていた。
仮面の少女が呼び出したそれらは未来と響、両名に襲い掛かる。
「―――ッ!!」
「邪魔を…しないでッ!!」
迫る黒い手に2人はそれぞれ対処していく。
響はその拳で、未来はアームドギアと空中に浮遊する鏡から照射される光が、迫る黒い手を薙ぎ払う。
いくら形を変えようともその本質は不変。
響の拳で吹き飛ばされた黒い手は再生するのに対し、未来の放つ光を浴びた黒い手は再生する事なく塵となって消え去っていく。
だが、仮面の少女の狙いは――その≪塵≫だった。
時間にして秒足らず、塵が一瞬だけ視界を阻んだその瞬間にはもう、仮面の少女の姿は未来の目前へと迫っており、その手に纏わり付く巨大な腕が未来を殴り飛ばした。
「――――――ッ!!??」
未来のシンフォギア、神獣鏡は対聖遺物においては最高の実力を発揮するがそれ以外においては他のシンフォギアと比べてスペックが劣っている。
攻撃面、機動面、そして――防御面でだ。
受けた一撃をシンフォギアが持つ防護機能が働いて身体へと流れるダメージを軽減させるが、元々機能的に弱い防護機能では軽減させられるダメージにも限度があった。
おまけに元々未来はLiNKERによってフォニックゲインを無理やり高める事でシンフォギアを纏っている身。
その愛がエクスドライブを起動させても、身体への負荷が消えたわけではない。
「―――げほ、げほごほッッ!!!!」
咳き込む未来の口から流れるは、赤い血液。
LiNKERによる肉体への損傷、そして戦いで蓄積したダメージでボロボロな身体が仮面の少女から受けてしまった一撃がトリガーとなって遂に限界を迎えた事を示す様に彼女の口から血液を逆流させる。
それを好機と見たのだろう、仮面の少女は自らが操る黒い手を未来へ一気に肉薄させる。
これで終わりとせん、そう言わんばかりに指示を下す彼女に―――
「させないッッッ!!!!」
その背後を奇襲する様に飛び出すは響。
仮面の少女はその奇襲に気付かなかったが、黒い手は即座に気付き、そして判断する。
その姿そのものを盾へと変えて幾重にも重なり、その一撃が主へ届くのを阻止せんとその身を盾にするが――
「――ッ!!でりゃあああああああああああああッッッ!!!!」
少女は叫ぶ。
胸のガングニールから更なるエネルギーを引き出し、それによって生じる痛みと熱を堪えて、叫び、そして自らの拳に全てを捧げる。
貫け、と。
最短で、まっすぐに、一直線に、と。
拳が盾へと接触する。
轟音と衝撃を生み出しながらぶつかった2つは―――
「貫けぇぇぇぇッッッ!!!!」
少女の雄叫びと共に拳が盾を貫き、その拳は無防備な仮面の少女を強襲した。
「―――――――!!!!?」
突然の衝撃、それが何であるのかを理解する前に仮面の少女は受けた一撃によって海中へと勢いよく沈んでいく。
だがファウストローブの防護機能と盾によって勢いが軽減したのが幸いしたのだろう。
ダメージも少なく身体は酸素を求めて海面へと上昇する。
海面へと姿を現した仮面の少女に響は敵意を向ける。
未来があの状態であれば、今最も危険視するべきは彼女だと拳を構える。
だが――――
「―――――え?えっと、響、さん?」
敵意を向けられた少女は―――瞳に光を宿して、その光景を困惑しながら見ていた。