僕のお父さんは円卓最強の騎士   作:歪みクリ殴りセイバー

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みんな、この子の存在を忘れてはいないかい…?
アニメ版ではとっても可愛かったね…

あとお気に入り登録六千飛んで七千ありがとう!アキレウス並みにはぇぇよ!一万行けたらいいなと最近思い始めました
あとアンケートがグダ子派が多すぎて笑ってますわ
次回、多分二章最終話
で、三章のFGO本編をどういう形式で書こうか迷ってるんですが、一章を一話か二話に収めたいんですが、なかなか難しくて……。何か良い案があればアドバイスいただけると嬉しいっす


とある魔術師の使い魔

 ここ三年は色々なことがあった。

 マシュの中で僕が目を覚ました時に同じ部屋にいたマリスビリー所長が亡くなり、その娘さん——オルガマリー・アニムスフィアさん——が新所長になって、緊張からか精神不安定だったので精霊の魔術をかけて落ち着かせたり、マシュがマスター(?)候補とかいうのになって、半年くらいでAチームとかいういかにもエリートっぽい集団でマシュが主席になったり……すごいなマシュ。

 あとこれは個人的なニュースだけど、十五歳……そう、思春期の真っ只中のマシュが異性への恥じらいを覚え出したのだ。呪いか何かかと言いたいところだが、僕はマシュの意識がない時、つまり睡眠時や気絶した時などしか自分の意識を落とすことが出来ない。マシュの意識がない時に僕の意識を覚醒し続けることは出来るが、その逆は無理なのだ。あくまで主体はマシュだからだろうか? よくはわからない。デミ・サーヴァントがみんなこうなのかもしれないし……。

 つまり、着替えやお風呂など、見ようとしなくてもマシュの視線で見えてしまうのだ。これマシュじゃなかったら関係悪化待った無しだったな……。マシュが見られてもいいやの精神にならないことを願うことしか僕には出来ない。

 そしてもう一つの問題は、マシュに友達が出来ないことだ。もともとコミュニケーション能力があるとは言えないことと、そもそも同年代の人と喋ることはなかったから慣れていないのも相まり、友達が出来なかった。

 ということで、社会人コミュニケーション術を見せることになる。僕がアドバイスしながらの会話を想定していたら、マシュの体の主導権を渡される。そんなこと出来るんかい。どうやらマスター候補の人が受けるという魔術の講義で知ったらしい。体の主導権を入れ替える方法を何故習うのかは不明だ。

 とりあえずターゲットを絞る。当たり前だが、友達になるには同性の方が警戒されにくい。なので、とりあえずのマシュの友達候補は同じAチームの女性であるオフェリア・ファムルソローネさんと芥ヒナコさんにした。コミュニケーションで大事なのは相手の興味の対象になることを探ることだ。ということで、まずはプロフィールを漁ることから始めた。

 オフェリアさんはプロフィールから時計塔(?)の降霊科(??)というところ出身だということがわかったので、それ関連について喋ったり質問したら仲良くなれた。普通に真面目でいい子でよかった。

 ヒナコさんは難敵だった。プロフィールもよくわからないし、話しかけても端的に言うと塩対応。だがめげずに話し続け、ついに糸口を掴む。そう、ヒナコさんは所謂【歴女】だったのだ。もはやどういう会話の流れで話すことになったかは覚えていないが、三国志とか、中国の武将の話を始めた途端の食いつきは普段から考えられないほどだった。

 僕が「あっ、この人チョロいな」と思うのも仕方がないことだろう。ちなみにヒナコさんは熱烈な項羽ファンのようだ。

 以上、これまでの個人的ニュースである。喋ってて気がついたが、だいたいマシュに関することだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近、カルデアに妙な生物が住み着き始めた。明らかに怪しく種族も不明なのだが、特に何か害があるわけでもないので現在でもカルデアにいるのを黙認されている。

 

「フォウ!」

 

「あ、ギャラハッドさん! あの子また居ますよ」

 

 ——————————————……そうだね。

 

 独特な鳴き声のその生物は白いモフモフした毛並みを持っていて、とても愛くるしい。好奇心旺盛なマシュはこの謎の生物と積極的に関わり、まるでペットのように撫でている。

 普段のギャラハッドであれば「動物と戯れる美少女尊い」などと思っていたかもしれないが、彼はこの動物が苦手だった。勿論見た目は可愛らしいし、マシュに甘える姿は特別動物が好きなわけでもないギャラハッドにペットを飼いたくさせるほどである……が、何というか、たまにこちらをジーっと見てくる目が怖い。あれはマシュに向けた目というより、その内側にある自分に向けているように感じられた。

 命の危険を感じるというわけでもないが、とんでもない厄介ごとの臭いがするのだ。例えるならそう、まるでマーリンのような……。

 

「フォウフォーウ! (特別意訳.今とても許しがたいことを思われた気がする)」

 

「あっ! 行っちゃいました……私、何か気に障ることをしたんでしょうか……?」

 

 —–————————————動物は気ままだから、急に機嫌が悪くなることもあるんじゃないかな? 

 

「そうでしょうか? ならいいのですが……」

 

 そういうことにしときましょう。

 ギャラハッドの勘は、深く突っ込むなと警鐘を鳴らしていた。「その先は地獄だぞ」と、誰かが呟いたような気さえしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 別の日のことである。

 

「あの子に名前をつけようと思うのですがどうでしょう? いつまでも名前がないのは不便かと思いますし……」

 

 ——————————————うん、いいんじゃないかな? 

 

 あの謎の生物には名前がなかった。どうやらマシュと同じく、誰も名前をつけることはしていないらしい。

 あれ誰かが連れてきたペットか何かじゃないの……? 

 鳴き声も姿も名前すらも意味不明だが、あの動物のカルデアでの人気はなかなか高かった。

 というのもこのカルデア、娯楽の類はあるのだが癒しは少ない。自分の好きなことをして楽しいと思ったり、ストレスを解消されたなどの実感はあっても癒されると感じる人間はあまりいない。ずっと職場に泊まり込みで働いている職員にとって、可愛らしい動物は心の清涼剤なのであった。

 

「マギ、なんて名前はどうでしょうか?」

 

 ————————————悪くはないかと思うけど、見た目に対してちょっとゴツすぎるような名前もするよね。

 

「そうですか……。うーん、ラギはどう思いますか?」

 

 ————————————うーん、やっぱりかっこよすぎて可愛い見た目のこの子に合わない気が……。

 

 キド。孝允? ハラ。敬? エド。幕府? などなど……なかなかぴったりな名前が見つからない。

 

「……私ばっかり意見を出してる気がします。ギャラハッドさんも考えてください」

 

 ダメ出ししておいて代案を出さないギャラハッドに対し、むくれた表情を浮かべる。いかにも私拗ねてますと言わんばかりだが、あざとく感じないのはマシュの純粋さを知っているからだろうか。

 ……こういうの苦手なんだよなぁ……。

 名前なんてどうでもいいとまでは思わないが、無難なものだったらいいという考えであるギャラハッドにとって命名はあまり得意ではない。

 

「フォウ? (特別意訳.変な名前つけたら……分かってるよな?)」

 

 可愛らしく首を傾げた謎の生物の視線がギャラハッドを射抜く。背筋が震えた。なぜ名前の候補を上げるだけでこんな重圧を受けねばならないのか……。

 

 —————————————えーっと……フォウ、なんてのはどうでしょう……? 

 

 結果、出てきたのはワンワンやニャンニャンとそう変わらないネーミングである。鳴き声をそのまま名前に使ったセンスのかけらも感じられないシロモノだった。

 

「フォウ、ですか? どうですか? フォウさんって呼ばれるのは」

 

「キュキュフォーウ! (特別意訳.安直すぎる名前だけど変な名前じゃないからいいよ)」

 

 元気よく鳴いてマシュに飛び込んでいく姿を見ると気に入ったのかと思われるが、その本心はフォウ語が完全に読み解けないこの場の誰も知ることはない。まさに知らぬが仏である。

 

「ふふっ、気に入ったみたいですね、ギャラハッドさん」

 

 ———————————————……う、うん。気に入ってもらえて嬉しいよ。ハハ……。

 

 ……いや、本当に気に入ったの!? 普通だったらネーミングセンスなさすぎって罵倒されてもおかしくないくらいの案だったと思うんだけど……。

 残念ながらこの場に……いや、各国からエリートが集うこの人理継続保障機関フィニス・カルデアにギャラハッドの言う普通の感性を持つ人はごく稀である。強いて言うならば、この前新しく赴任してきた新所長オルガマリー・アニムスフィアが一番人間らしい感性の持ち主だ。もし仮に彼女がこの場にいたならば、「……え? 本当にその名前で決定するの?」と突っ込んでいただろう……。

 しかしギャラハッドの精霊魔術で精神が最高にハイになりながら仕事をこなしているオルガマリー所長がこの場に現れるわけもなく、ツッコミ役不在のまま、この不思議な生物の名前はフォウに決まる。それでいいのか。

 

 ————————————————……まぁ、マシュが嬉しそうだからいっか。

 

 彼はこの数年間で、大体のことをこう結論づけるようになるのだった。マシュに対してだだ甘なブリテンの英雄である。

 

 

 

 ギャラハッド?? 歳。謎の生物にフォウという名前をつける。




Q.ちなみにマシュが挙げた名前候補にはある共通点があります。それは何でしょうか? 答えは次話の前書きにて!

以下、用語解説と軽い登場人物紹介

精霊魔術A…本作オリジナル(多分)。神秘がなくなった現代で何故かギャラハッドが使える神秘。ギャラハッドが妖精たちに逆レをされながらも師事を請い習得した涙溢れる魔術。効果は肉体と精神の回復。ギャラハッドはこれを『父の非道な行動を知る』、『父の被害者であるマシュからの報復を恐れる』、『新所長という大役への重圧』、『自分のレイシフト適性がないという現実』という四重苦の不幸てんこ盛りで精神崩壊寸前だったオルガマリー所長に使うことで精神の安定をはかった。……改めて書き出すと、所長自殺してもおかしくない境遇やん……
精霊魔術Aともなると効果が強すぎて、あまり頻繁に使うとオルガマリーが「私、もうあなたの魔術なしじゃ生きていけないの!」というそれなんてFate原作(エロゲ)?という状態になるため注意が必要

オルガマリー・アニムスフィア…上記の通り、オルガマリー所長にこんな仕打ちをした挙句、あんな結末とか脚本家は所長に親でも殺されたのかと言いたくなるくらい散々な扱いをされた可哀想な頑張り屋さん。当時所長もヒロインだと思った作者は発狂した。詳しく知りたい方はFGOをやろう!(愉☆悦☆)

オフェリア・ファムルソローネ…マシュと同じAチームのマスター候補。ギャラハッド曰く「真面目でめっちゃいい子だけど、真面目すぎるとこもある。部下か上司にいたらめっちゃ助かるタイプ(社畜根性)」

芥ヒナコ…マシュと同じAチームのマスター候補。ギャラハッド曰く「チョロい」。項羽様の話には勝てなかったよ……。クールぶっているが、割とポンコツ。

幕間でやるなら?

  • 円卓の騎士時代の話
  • 特異点の話
  • カルデア(事件前)の話
  • それ以外に出てくるキャラとの絡み

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