僕のお父さんは円卓最強の騎士   作:歪みクリ殴りセイバー

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みんなが待望したあの人オルタが登場や!
ベースはこの小説のアルトリアのオルタということになりますが、本人ではありませぬ。ギャラハッドとブリテンにいたアルトリアは未だに効いたよね、早めのアヴァロンに居ます
あと今回勘違い要素あります。久々に書けて満足

以下自分語り

私はどうしてもあのツンデレ女神様が欲しかった。初代Fateのヒロインを依代としたあの女神様との戦いは、去年の復刻クリスマスで冥界の女神を狙い、儚く散っていった石たちへの弔い合戦でもあった。
その短くも濃い戦いが終わり、気がついたら私はお母さんになっていた! 何を言ってるかわからない? 安心してくれ、FGOプレイヤーならわかる。なぜ0.08パーセントが来るのか、コレガワカラナイ。ロリも嫌いじゃないからいいけど(ニチャア)


再会

 利害の一致という理由で立香と契約を結んだキャスターが唐突に口を開いた。

 

「そういえば嬢ちゃん、宝具は使えるのかい?」

 

「ほーぐ?」

 

 今までに説明されていない単語が出てきたため、立香が不思議そうに声を上げた。

 英霊が英霊たる証にして、唯一無二の奥の手。宝具とは文字通り、歴史に名を刻んだ英雄達の本気に他ならない。立香にもわかりやすく例えるなら必殺技のようなものだ。

 

「一応行使は可能ですが、ギャラハッドさん並みの宝具の展開は不可能です……」

 

「ふぅん? ま、使えるならそれでいいさ。宝具のあるなしで戦力は大きく変わるからな。それに新米サーヴァントに易々と宝具を完全再現されたら、英雄の名折れだろうさ」

 

 宝具とは英雄の切り札だ。アーサー王やモードレッドのように敵を滅するものもあれば、ギャラハッドのように味方を守るものもある。英雄の数だけ宝具があり、その種類は正に千差万別であるが、共通しているのは宝具を一回使用するだけで戦局を大きく変える力を持つということだ。

 

「……大聖杯はこの奥ですか?」

 

「おう、この洞窟の奥にある大聖杯を守るようにセイバーはずっとそこにいやがる。陣地防衛とかキャスターの所業なんだがなぁ」

 

 策を弄し、罠を張るのは弱者の戦い方だ。強い相手に真っ向からでは勝てないから策を練り、自分に有利な場所でハメ殺す。だが今回待ち伏せているのは聖杯戦争でも最優のクラスと名高いセイバーであり、その名に恥じぬほど強力なサーヴァントが多い。

 

『……ますますその大聖杯に何かあるのは間違いない、か。ちなみにセイバーの真名とか分かっていたりするんですか?』

 

「ああ。あいつの宝具を見れば嫌でもわかる。何せ現代では最強の聖剣と謳われる宝具だからな」

 

「さ、最強の聖剣……!?」

 

 これまでの戦いを見てサーヴァントの人ならざる力は嫌というほど理解している。その一騎当千の英雄達の中でも最強の武器の一つを持つ存在とこれから剣を……いや、盾と魔術を交えるのだと思うと、萎縮してしまう心を止めることは出来なかった。

 

「……大丈夫です、先輩。私も私だけだったら不安だったかもしれませんが、こちらにだってギャラハッドさんとキャスターさんがいますから!」

 

「ま、魔術は性には合わんが……それでも負けるつもりは毛頭ねぇ」

 

 ————————————……それはもちろんなんだけど、最強の聖剣……? 

 

 最強の聖剣と言われて何を思い浮かべるだろうか? カリバーンやデュランダルなど聖剣と一口に言っても種類は実に多様であり、それを扱う英雄もまた違う。だが最強の聖剣を答えろと言われれば、多くの人がこう答えるだろう。

 

「気ィ引き締めてけよ、嬢ちゃん達。大聖杯を守るセイバーの真名はアーサー・ペンドラゴン……最強の聖剣エクスカリバーを携えるブリテンの王だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 —————————————うーんうーん、アルトリア様に盾を向けなきゃいけない日が来るとは思わなかったよ……。

 

「ギャ、ギャラハッドさんがこんな風になるなんて初めて見ました……!」

 

『彼は理想の騎士と言われるくらいの人物だったからね。かつての主君に形はどうあれ逆らうようなことをしなくてはならないと言われたら、こうもなるのかも……』

 

 忠義と言われたらまた違う感情だが、少なからず自分が尊敬している人物……それも女性に対して凶器にも等しいモノを振るうことに抵抗を隠せない。

 

「阿保。女だからって躊躇ってたら死ぬぞ。世の中には宝具の槍を分裂させてくる奴がいたり、力を示せとか言っていきなり心臓を穿つ奴がいたり、強すぎて自分を殺せる者を探してる奴がいたりするんだからな?」

 

 覇気と生命力に満ちた眼差しをするキャスターがウンザリとしながら語るような人物がいるとは、世界は広かった。恐るべきはこれらが違う人物の話ではなく、全て同一人物を指すことだろう。

 

「……まぁ円卓の騎士ギャラハッドの語り継がれる武勇が事実なら、心配は無用だろうけどな」

 

「へぇ、ギャラハッドさんってそんなにすごいんだ」

 

 言うにも及ばないことであるが、幼き頃から本人と共に育ったマシュは、ギャラハッドという存在をよく知っている。言い換えるならば重度のギャラハッドオタクと言ってもいい。そんなマシュに立香の先ほどの言葉は火に油どころの話ではない。

 立香に迫るマシンガントークを諌める者が誰もいなかったのは、サーヴァントの逸話や伝説などについてマスターが知るのは必要なことだからだろう。立香とギャラハッドの精神はみるみるうちに削られ、代償として彼女はギャラハッドという英雄の知識を得る。

 経緯はアレだったが、間違いなく戦力的にもプラスになっていたのが、立香が話を止めようとする意欲を失せさせていた。

 しかしギャラハッドガチ勢のマシュ・キリエライトの布教活動に余念はない。普段の口下手はどこかに消え、ペラペラとまるで噺家のように観客(りつか)を話に引き込んで行く。

 簡易的ではあるが、マシュの話を聞き終わった立香の一言は「ぎゃらはっどさんってすげー!」であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、もうちょいで大聖杯に着くんだが……その前にセイバーを守ってるアーチャーを倒さなきゃならん」

 

「アーチャー……ですか? ですが何故アーチャーがセイバーの味方をするのでしょうか?」

 

「さてな。ヤツの考えなんざ俺はわからん。門番のつもりなのか、セイバーの信奉者にでもなったんじゃねぇの? ……っとお!」

 

 アサシンにも劣らぬ不意打ちの一撃。アーチャーらしく弓を射たらしい攻撃は、一撃でキャスターの眉間を貫く威力を持っていたが、矢避けの加護スキルを持つキャスターに飛び道具は通じない。

 

「……門番の意味を招かれざる客を追い返す者とするなら、成る程確かに私は門番だろうが、信奉者とは心外だなキャスター。自慢の槍はどうした?」

 

「ハ、絶えず敵であるはずのセイバーを守り続けてるヤロウが信奉者じゃなきゃなんだってんだ。弓兵の名に違わず弓で攻撃するとは、お得意の双剣はどうしたよアーチャー」

 

「……やれやれ。キサマのように招かれざる客は追い返すのも仕事だが、招かれた客を通すのもまた門兵の仕事だ」

 

 影に覆われ目は見えずとも、確かに自分を目で射抜いていることをマシュは理解した。正確に言えば、マシュの中にいるギャラハッドを覗いていたのだが、それは当人である彼しか気づくことはない。

 

「嬢ちゃんだけ仲間外れとは寂しいじゃねえか。俺達も仲間に入れてくれよ。まぁダメって言われても押し通るんだけどな!」

 

 キャスターの杖から出現した魔力弾が襲いかかるが、それに慌てることなく一つ一つを矢で落としていく。暴風によって砂が舞い、アーチャーの姿を煙に溶かす。飛び出てきた彼の手には別の武器が握られ、詠唱中のキャスターに肉薄するが、マシュが間に割り込み盾と双剣が火花を散らす。

 

「マシュ、また違う武器に変わるかもだから気をつけて!」

 

 立香の言葉通りにいつの間にか双剣の姿はなく、上空に舞い上がったアーチャーがキャスターに狙いを定める。

 

偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)————!」

 

「げっ、あいつの剣の投影かよ! 嬢ちゃんあれはやべえぞ! 気合い入れろよ!」

 

「はい!」

 

 力強く地面に振り下ろされた十字盾は大地に根を張った大樹の如く。普段とは比較にならぬ魔力の奔流がマシュの持つ盾へと集まり、やがて味方を守る大きな壁となる。残念ながら名前はまだなかった。

 贋作と借り物。どちらも本家には及ばぬが、その力は強大である。アーチャーとマシュの出力は五分五分。ならば勝敗を分けたのはこの男だった。

 

 ——————————防御術式多重展開。

 

 彼の得意技にして絶対の武器が少女を援け、アーチャーの渾身の一撃を押し返していく。それにこの男も黙って見ているわけではなかった。

 

「————-今度はこっちの番だ。焼き尽くせ、ウィッカーマン!」

 

「……流石に三対一は分が悪かったか」

 

 キャスターの宝具である炎の巨人の超高温の体に飲み込まれ、勝敗は決した。

 味方であれ敵であれ、こうして自分と同じサーヴァントと戦うとやはり自分の力不足を痛感せざるを得ない。スペック上の問題はもちろん、それ以外の経験から来る判断力や状況把握力が著しく劣っている。マスターのみならず、キャスターやギャラハッドに指示を出されながらの戦闘がいい例だ。

 

 ……ブリテンの王。生前のギャラハッドさんを知る人……。

 

 敵ではあるが、他人から語られる彼の人物像はどうだったのか。それをマシュは聞いてみたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ————大聖杯。

 サーヴァントを呼び出し、ふさわしき者に令呪を与え、勝者にはどんな願いも叶えてみせる万能の願望器である聖杯の、その大本。

 そこに、孤王は一人で立っていた。

 

「————来たか。私が求めし世界の漂流者よ」

 

 剣ではなく、肉体でもない。言葉の端々から魔力が迸り、けして大きいとは言えぬ身体に威圧感を漂わせていた。

 

 ———————————アルトリア様があんなに黒く……! 

 

 生前の記憶を思い返しても自分の上司があんな格好をした記憶はない。何故あんな格好をしているのか……心当たりがあったが、ギャラハッドの口からは言えなかった。人間黒いものが異様にかっこよく見える時があるのだ。黒が好きすぎて自分の歴史まで黒くしてしまうくらいに。

 

「この私が幾星霜の時を過ごし、キサマを待っていたのに……! よもやどこぞの馬の骨とも知れぬ小娘に宿って姿を現わすとは、つくづく予想の斜め上を行ってくれる……!」

 

『……なんか怒ってない?』

 

「怒ってるね」

 

「怒ってますね」

 

「怒ってるな」

 

 —————————————怒ってますね。

 

 誰が見てもアーサー王は怒り狂っていた。感情と共に吹き出す黒い魔力が可視できるせいで、より分かりやすい。

 

「お前さん何したんだ? ありゃあ尋常じゃないぞ」

 

 ——————————————いや、怒らせる心当たりはあるけど、最後はそれを水に流してくれて円満に別れたし……。

 

「別れたって……え?」

 

「……ギャラハッドさん、私その話知りません」

 

「……オメー嫉妬深い女はマジでこえぇからな、気をつけろよ?」

 

 ——————————————え? え? 

 

 出会って早々に胸を見て号泣したことや、王が話している途中に寝落ちしたこと。何より……王の盾でありながらブリテンの滅亡をさせてしまい、あまつさえ敵の刃を危うく王に届かせるところだったこと。考えれば考えるほど落ち度はあるが、最後はなんやかんやでお互い笑顔で別れたはずだ。

 それが何故、あんなに怒り狂っているのか。

 あの別れの後、王でなくなって時間が沢山出来て今までの自分の人生を振り返り、あった出来事を思い出して怒りが再燃した可能性が……ありえた。むしろそれしか考えられなかった。

 

「とりあえず……そこの小娘を消し飛ばせば姿を見せるか? ギャラハッドよ」

 

「ギャラハッドさんは私が守ります……!」

 

 図らずもブリテンの王を煽ることになったマシュに怒りの魔力が迫る。

 それが開戦の号砲となった。

幕間でやるなら?

  • 円卓の騎士時代の話
  • 特異点の話
  • カルデア(事件前)の話
  • それ以外に出てくるキャラとの絡み

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