僕のお父さんは円卓最強の騎士   作:歪みクリ殴りセイバー

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季節の変わり目というか、普通に寒暖差でやられたので皆さんお気をつけあそばせ。まぁ毎日投稿してた今までがハイペースだったから……(必死の言い訳)
特異点Fって原作では未だに謎なんですが、自分の作品の中ではこういう風にいくかってのはだいたい決まってますので矛盾があっても許してクレメンス。まぁ、もっと後に明かされるんですけど
サブタイトルからして普通にばれそうだけどネ!

あと感想でよくギャラハッド鈍感と言われているが、ちょっと待ってほしい。
ギャラハッド君視点は国のトップの前で色々やらかした挙句、国が滅ぶと知っていながら歴史に沿って国を救済することなく終わり、最後は笑顔で別れたが再会したら怒っている人が自分に好意を抱いてると思う人おりゅ?
私も改めて書いてて、アルトリアよくギャラハッドに惚れたな……ってなってます笑


防人

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め。————『約束されし勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!」

 

「げっ、いきなりかよ!」

 

 開戦早々に振るわれた最強の聖剣から星の息吹を反転させた闇が噴き出し、それそのものが巨大な剣の如くカルデアに襲いかかる。流石に予想外とばかりにキャスターも声を荒げた。

 完全に虚を突かれ回避が遅れるも、ギャラハッドの多重防御魔術で自らのもとへ来襲する時間を長引かせ、迫る死の範囲から皆を逃す。

 

「くっ、やはり貴方はどんな人でも守るというのですか……!」

 

 忌々しげに黒騎士が呟く。本来宝具でも最強格に入るエクスカリバーが、宝具でもない魔術に僅かでも拮抗することなどありえない。今まで魔力の量で力押ししてきたギャラハッドが、行使できる魔力を制限されたが故に磨いた魔力操作の賜物。恐るべきほどに精緻な魔術のつくりである。弱点と言えば、その緻密な魔力の使用による故に、さしものギャラハッドといえど大量展開はできないことであろう。

 

「ありがとうございます、ギャラハッドさん!」

 

 マシュの声を耳聡く捉えた黒き王の額に再び青筋が浮かび上がり、再び魔力が聖剣に込められていく。先ほどと同じ、宝具の開帳だったがインターバルが尋常じゃなく短かった。アーサー王の解析を終えたロマニが悲鳴じみた声をあげた。

 

『嘘だろ!? そのアーサー王は大聖杯と繋がっている! つまり……魔力が無尽蔵だ!』

 

「嘘!?」

 

 迫る闇に、しかしマシュは臆することなく自分と融合したギャラハッドの一部から力を引き出す。怖くはあるが、自分はもう一人ではない。それだけで何処からか力が漲ってきた。

 

「かの騎士から受け継いだ力の一端、解放します……! 『人理の礎(ロード・カルデアス)』!」

 

 小細工など一切ない、サーヴァントとしての威信をかけた力対力の宝具のぶつかり合いはその余波だけで岩盤をめくり、雲を割く。英雄として……いや、もはや女としての意地の張り合いは、やはりアルトリアに軍配が上がった。

 

 ——————————くそッ、マシュごめん! 僕のせいでこんな……! 本来怒りを受け止めなきゃいけないのは僕なのに! (部下的な意味で)

 

「いえっ、私はもうギャラハッドさんと一心同体なので……! (半身的な意味で)」

 

「誰がギャラハッドの半身だと!? 私は認めんぞ! (想い人的な意味で)」

 

 怒りによって増した魔力の勢いは絶対の盾に大きなヒビを入れる。このまま行けば、間違いなくマシュは跡形もなく蒸発する……が、ここにはマシュとアルトリアだけでない、もう一人の英雄がいる。

 

「クッ!」

 

 迫り来る炎の巨人を直感で察知し、超高温の体から逃げるように距離をとる。キャスターからすれば、この一撃でセイバーを仕留めたかったが、そう簡単にはいかない。間接的に命を救われたマシュは、宝具を防ぐほどの宝具の展開によって、膨大な魔力を持っていかれ膝をつく。

 

「よぉ。アーチャーといい、お前といい、トコトン俺らを仲間外れにするなんてひでぇじゃねぇか」

 

「呼ばれてもいないのに勝手に来たのはそちらだろう、キャスター」

 

「そうかもな。だが大人しく見守るほど俺はお人好しじゃねぇぞ!」

 

「邪魔をするな!」

 

 黒い魔力と炎の巨人がぶつかり合い、暴虐の嵐を特異点Fに出現させる。その余波とはいえ、ただの人間である立香に到底耐えられる衝撃ではなく、ガス欠寸前のマシュの魔力を使い、ギャラハッドがお得意の魔術を展開することで事なきを得る。

 

「何あれ! 無限の魔力とかズルだよズル!」

 

「確かに反則めいてはいますが……今言っても仕方がありません。ギャラハッドさん、アーサー王の弱点で何か思い当たる事はありませんか?」

 

 ————————————あるにはあるけど……。

 

 本当にあるにはあるが、あるだけだ。それにリスクも大きければマシュへの負担も大きい。

 

「大丈夫です。私とギャラハッドさんは、もう一連托生なんですから」

 

 最終的には、マシュのそんな言葉によって押し切られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「脆いッ!」

 

「チィッ!」

 

 聖杯からの大量の魔力のバックアップにより、宝具級の魔力を纏い擬似的な大剣と化したエクスカリバーが炎の巨人を横薙ぐ。

 もともとキャスタークラスが最適とは言えないキャスターの魔術で対魔力スキルを持つセイバーに通じるものは少ない。その少ないうちの一つであり、宝具でもある焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)が破られた今、キャスターの敗色は濃厚と言えた。

 

「えっと……やーいやーい! どこかの騎士王さんと違って、私はギャラハッドさんと一心同体ですよーだ!」

 

「……は?」

 

 —————————————え、マシュ? 

 

 突然意味不明なことを言い出した彼女に、キャスターとギャラハッドはさっきの宝具で頭でも打ったのかと思わざるを得なかった。だが、キャスターはかつて自分がうっかりBBAと言った時の師匠と同じ顔をしているセイバーを見て、それがなんらかの作戦なのだと気づく。一方ギャラハッドは、確かに自分への怒りを利用してアルトリアの気を引くとは言ったが、その煽り方が理解出来なかった。

 

「キャスター、マシュとギャラハッドさんがセイバーを引きつけてるうちに最大火力の宝具を打ち込めるようにしといて!!」

 

「……なるほど。セイバーの盾兵への執着心を逆手に取ったワケか」

 

 恐ろしい形相でマシュを攻め立てるセイバーは尋常ではない。並々ならぬ恋慕もあるだろうが、生前に様々な女を見てきたキャスターには、セイバーがギャラハッドを求める理由がそれだけではないようにも見える。

 ただ、それは今考えてもせんなきことだと、キャスターは魔力を練り始めた。

 

「キャアァッ!」

 

「私をそこまで侮辱したのだ。よもやその程度ではないだろう!」

 

 騎士王の細い体に似合わず、一撃一撃がまるで竜に殴られているかのように重い。いや、事実今のセイバーは荒れ狂う竜そのものだった。

 

 ———————————アルトリア様、やっぱり強い……! 

 

 自分に対して、そこまでの怒りを抱えていたことや、今までそれを知らなかったこと。そして、それに本来関係ないマシュを巻き込んでしまった罪悪感がギャラハッドを襲った。

 

「……ギャラハッドよ。何故この小娘にいつまでも潜んでいる? 何故姿を見せない? 何故、声を聞くことすら叶わぬのだ?」

 

 ————貴方(ギャラハッド)は、(アルトリア)の盾ではなかったのですか? 

 

 自分の為してきたこと、治めて来た国の末路を見た彼女にとって、彼は最後まで付き従ってくれた忠臣……謂わば、彼女に残った最後のモノであると言い換えてもいい。その人が、どこの誰とも知れぬ小娘に誑かされたのではと思うだけで胸中は穏やかではなかった。

 

「ギャラハッドさんは、誰のものでもありませんッ……!」

 

 ———————————……話の流れが読めないんですけど、アルトリア様、弁明の機会をください! 違うんです、これは決してアルトリア様を裏切ったわけではないし、顔も声も見せないんじゃなく見せられないだけなんです! 

 

 彼の力を受け継いだマシュがアルトリアの淀みを裂く。届かぬとわかっていても、主人に向かってギャラハッドは叫ぶ。込められた感情は天と地ほども違うが、確かに二人ともが必死にアルトリアに語りかけていた。

 

「クッ……! 黙れ! ギャラハッドを縛る貴様が、それを言うんじゃない!」

 

「……確かに、私がギャラハッドさんを縛り付けているのは事実です。それでも、ギャラハッドさんは自分の意思で私を助けてくれたのだと言ってくれました。だから、私もその恩を返したいのです!」

 

 精細さを欠いた剣筋を見逃すことなく、マシュが攻勢に転じる。ここを勝機と見た立香も最後の令呪でマシュにブーストをかけ、魔力放出によって爆発的な推進力を得るアルトリアにも劣らぬ力で突貫。

 さしものセイバークラスとはいえ、令呪の力が加わったサーヴァントの猛攻を片手間に処理することはできず、必然と意識を向けざるを得ない。

 ————そして、紛れも無い大英雄であるこの男がそんな隙を見逃すはずもなかった。

 

「我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める社─── 倒壊するはウィッカー・マン! オラ、善悪問わず土に還りな───! 」

 

 余裕綽々と練り上げられたキャスターの宝具がアルトリアに襲いかかった。サイズ、熱量ともに先程の炎の巨人とは比較するに能わず、その巨躯を支える二本の脚が触れた地面が溶解し、溶岩となる。

 

「くっ、そんなもの……!」

 

 最強の聖剣から放たれる黒き極光が炎の巨人を飲み込まんと、とどまることを知らずに増していく。宝具の開帳と共に放たれた聖剣の一撃は、しかしその巨人の全てを呑み込むには至らない。アルトリアは第二射を放たんと魔力を込めた。————それがカルデアの狙いであるとは気づかず。

 

「隙は作った! 嬢ちゃん、思いっきりブチかませぇ!」

 

「アァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

「何ッ!?」

 

 アーサー王の弱点とは二つ。王として、或いは英雄として立っていないと感情の揺れ動きが激しいこと。これによって自分(ギャラハッド)への怒りで挑発し、キャスターが宝具を全開にできる時間を稼ぐ。もう一つは、エクスカリバーは放つのに時間がかかること。膨大な魔力が必要であるという弱点は大聖杯によって賄われているが、それをエクスカリバーに貯める時間はなくせない。

 説話には載っていない、数年間アルトリアに仕え、見ていたギャラハッドだからこそ知っている弱点。マシュの体に憑依し、ギャラハッドというチートスペックボディでなくなったからこそ気づいた、膨大な魔力だけあっても意味がないという事実。

 これら二つの知識と、キャスターの全力宝具。更に立香の令呪とマシュの奮闘によって、漸くマシュの渾身の一撃がアルトリアの脇腹に突き刺さった。

 

「ガッ……!」

 

 不意を突かれ、霊核にまで届く一撃をモロに食らったアルトリアの魔力制御が及ばなくなった聖剣は意思なき暴風となり、マシュを吹き飛ばす。少ない魔力でアルトリアの猛攻を凌ぎ、最後の一撃に全てをかけたマシュは精も根も尽き果て、風に煽られた体の受け身を取ることさえ叶わなかった。

 魔力で編んだ膜でマシュとアルトリアを優しく包み込む。残り少ない魔力を使い果たす形にはなってしまうが、勝負は決した。無用に二人が傷つく必要もない。

 

「よりにもよってあの小娘にトドメを刺されるとは……」

 

 霊核まで響いた先程の一撃により、霊体を保てなくなったアルトリアが金色の光粒へと溶けていく。未だ痛みの消えぬ脇腹を見て、そういえば彼の盾で攻撃を受けるのはこれで初めてのことだと気づく。つくづく騎士らしい騎士だった。

 今回は自分の負けだと、潔く認めよう。だが、自分は彼を決して諦めることはない。

 何せ—————自分自身にも、世界にも、彼の存在は必要不可欠なのだから。

 彼女は自分と同じように横たわる少女を見た。彼の力を受け継ぎ、彼を縛る忌々しい女————しかし、見事この騎士王に致命傷を与えた紛れも無い騎士であると認めてやろう。もう少しだけ、彼の力を貸し与えておいてやろう。彼女達の偉大なる旅路は、まだまだ始まったばかりなのだから。

 自嘲じみた笑みを浮かべ、漸く巡り会えた想い人の声すらも聞くことなく、黒きブリテンの王の体は虚空に消えた。彼女の体がどこに消えたのか、ここにいる誰もが今はまだ知らなかった。




今作のアルトリア・オルタ
・アヴァロンに辿り着き、本来召喚されないはずのアーサー王が召喚され、性質が反転した姿。アルトリア(読者の方がシールダーアルトリアとか言ってる人)がベースで、本人が醜いと感じているギャラハッドへの執着が反転し、逆に強く押し出しているが故に所有欲が強く、彼を縛るマシュに周りが見えなくなるほど激怒するほど。ちょっと違うかもしれないが、簡単に言うとヤンデレ気質。

・ギャラハッドを待っていた、というのは自分のもとに来るのではなく、ここが特異点であるという自覚があったため。

・ギャラハッドはオルタを(間違ってはいないのだが)アルトリア本人だと思っており、自分もろともマシュを吹き飛ばそうとするくらいに殺意を抱いていると刷り込まれた。何もしていないシールダーアルトリアさんがどんどん不憫になるんですが、どうしてこうなった?

今回の話のまとめ

マシュ「ギャラハッドさんと一心同体!」

オルタ「ギャラハッドは渡さない!」

ギャラハッド「アルトリア様、ここまで僕に恨みを……! 申し訳ない……」

幕間でやるなら?

  • 円卓の騎士時代の話
  • 特異点の話
  • カルデア(事件前)の話
  • それ以外に出てくるキャラとの絡み
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