僕のお父さんは円卓最強の騎士 作:歪みクリ殴りセイバー
あと今回はギャラハッドと他キャラの会話があるけど、そのまんま会話してる風に書いてるけど実際はマシュと立香がそのまま他キャラに伝えてると脳内補完してください。あと円卓の騎士の加入順はある程度推察した適当なものなのであしからず
あとこれからは10月中まではおそらく週一投稿です。それ以降は忙しくなるので、もっと遅くなるかと思われますが、ご理解頂けたら幸いです。
1431年、フランス。
人類最後のマスター、藤丸立香とそのサーヴァントであるマシュ・キリエライトはそこにいた。
——————————へー、中世ヨーロッパってこんな感じなんだ。
「フォウ!」
……一霊と一匹を引き連れて。
特異点Fでの激闘を終え、カルデア職員でありオルガマリー所長が一の信頼を置いていたレフ・ライノールの裏切りが発覚。その後カルデアは人理焼却の原因となった七つの特異点の存在を突き止め、それらの修復の使命……人理守護指定・グランド・オーダーを発令。
ここは、偉大なる使命の第一歩であった。
「さて、レイシフトしたはいいけど……何すればいいのかな?」
語尾に星マークがつきそうなくらい軽い口調で言う自分のマスターにマシュは軽い溜息を吐いた。もともと立香は一般人の枠から抜擢されたのだから、素人で何も知らない。ちょっとだけ先行きが不安になるマシュであった。
————死んだはずのジャンヌ・ダルクが蘇った。
現地の人々から聞けた明らかな異常事態はこれである。さらに厄介なことにジャンヌ・ダルクを名乗るサーヴァントが現れ、蘇ったというジャンヌ・ダルクはもう一人の方だと述べているのだった。
—————————……やっぱりアルトリア様に顔似すぎだよね……?
「ギャラハッドさん、1431年のフランスにアーサー王がいるわけないですよ。……聖杯にでも呼ばれない限り」
世界で一番有名な聖女と言っても差し支えないジャンヌ・ダルクを見た盾コンビの感想はそんな感じだった。記憶に新しい特異点Fでの出来事は、未だに全員の脳内に根強い記憶を残していた。
「えっと、彼女は誰と……?」
「えーと……マシュに宿ってる
「は、はぁ……?」
現地のサーヴァントであるジャンヌ・ダルクと手を結んだカルデアが目指すのは近隣の村である。蘇ったジャンヌ・ダルク……黒ジャンヌがどれだけの戦力を抱えているかわからない以上、弱体化したサーヴァントと新米サーヴァント、おまけに新米マスターの三人ぽっちで黒ジャンヌが居るオルレアンに突っ込むのは自殺行為と言えた。それ故に他の現地のサーヴァントを探す意味も込めて、街の一つ、ラ・シャリテを訪ねたのだが……。
「……敵のサーヴァントが複数いるとか聞いてない!」
待ち構えていたのは生命の息吹が途絶え、建物が倒壊した街と敵性サーヴァントが複数。その中に、ジャンヌによく似たサーヴァントが一人いた。その事実に声をあげたのは救国の聖女と、亡国の騎士であった。
「なっ……!」
——————————黒いジャンヌ……!? あれ、でも別人? ということは、あのアルトリア様も……?
外見上の明確な違いと言えば、病的までに白い肌と怨嗟と憎悪に染まったが如く漆黒の装備。まさに二人は似て非なる者同士であった。
『みみ、みんな落ち着いて! 僕はマギ☆マリに解決法を訊いてみる! 三騎のサーヴァントに囲まれました、どうしたらいいですか? お、早い返答だ! なになに……? そこに騎士のサーヴァントがいるなら大体なんとかなる? なんともならないから訊いてるんだよちくしょう!』
一人で勝手に怒り狂っているロマニは放っておき、まずはバーサーク・ランサーとの戦闘に入る。正真正銘の英霊に狂化が加わり、ステータスアップをしているにもかかわらず、マシュは真っ向から受け止めてみせる。
特異点Fの死闘を経て、ギャラハッドの力を更に我が物にしたマシュにとって、この程度の敵の攻撃を受け止めるなど容易い……のだが、正直実質三対一は分が悪いどころの話ではない。
結局、闖入してきた新たなサーヴァント二人組に助けられ、黒いジャンヌとの第一戦は苦い敗走に終わった。
その夜である。
窮地を助けてくれた二人のサーヴァント……マリー・アントワネットとヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトを引き連れ、霊脈へと逃げてお互いの情報交換を終えた夜に、何故かガールズトークが始まる。
最初はジャンヌだけで火の番をしていたのだが、そこからマリー、マシュ、立香と続々集まる。女三人集まれば姦しいとはよく言ったもので、会話の主導権をほぼ握っていたマリーはガールズトークの定番であるコイバナを始め、この場で唯一の男であるギャラハッドは居たたまれなさを感じた。
とはいえ、デザイナーベイビーであり、恋も愛も知る環境になかったマシュ、恋も愛も知る前に悲劇の死を遂げたジャンヌ、恋も愛もこれから知るであろう歳の立香は話す内容が特にない。となれば、必然的にこの男に矛先が向くのであった。
「そういえばマシュの守護霊の騎士様はどんな恋をしたのかしら! ぜひ聞いてみたいわ!」
——————————————え?
「あっ……」
一番仲のいい人はと聞かれたら即答でギャラハッドと答えるくらいのマシュであっても、未だに話題に出していないことがある。それがギャラハッドの恋愛事情である。特異点Fのこと含め半分は聞いてみたい気持ちはあったが、もう半分の理性がそれを押しとどめていた。
というのも、アーサー王元カノ疑惑や、それでなくてもブリテン崩壊のキッカケになった理由が理由であり、地雷である可能性も捨てきれなかった。
ヤメロォ! (建前)ナイスゥ! (本音)がマシュの心を占めていた。
————————————愛はわからないけど、恋はしたことあるよ。
若い霊基に引っ張られているマリーを除き、最年長のギャラハッドはここで見栄を張る。円卓の騎士時代の仕事が恋人であった時の話ではなく、誰も知りうるはずのない前世の話を始める。嘘ではないからいいやと言い訳をしていた。
「まぁ! どんな人と恋をしたのかしら? 美しいお姫様? 命を救った娘さん?」
———————————……後輩かな。
ギャラハッドの言葉を伝えながら、マシュは己の知識で該当する人物に当たりをつけていく。アーサー王の前例もあり、伝承とは違う性別で語り継がれている人もいるだろう。
彼は部下ではなく後輩と言った。ならば同じ立場である円卓の騎士である可能性が高い。それも円卓の騎士の正確な就任は曖昧であり、先輩後輩がはっきりしている人に限られる。ランスロットとケイは論外。ガウェインも最古参であり、その兄弟のアグラヴェインと、第二席のパーシヴァルも先輩だと言っていた。ならばベディヴィエールやトリスタン、モードレッドかと言われれば、どちらが先輩かはよくわからんらしい。
そもそも災厄の十三席に座したギャラハッドは、円卓の騎士としては割と最新の方だ。そんな彼が明確に後輩と呼ぶならば、最も新しい円卓の騎士らしいガレスが当てはまるのではないか? そういえば、「同じ大盾使いとして色々教えた」とも言っていた。つまり、そういうことだろうか?
「その後輩って、どんなタイプだったの? 可愛かった?」
———————————綺麗というか、可愛いタイプだったかな……?
前世で過労死という非業の死を遂げ、英雄として生きて二十数年間経ち、前世の彼女の顔は正直朧げではあったが、小柄なことはよく覚えていた。
対してマシュは、ギャラハッドがガレスについて語った時に「小犬みたいで可愛らしいやつだった。あと良いやつだったし。ほんと。ベディヴィエールに勝るくらい良いやつ」と述べていたことを思い出す。フルハウスだ。
「……アーサー王のことは、どう思っていたのですか?」
—————————————え? めっちゃいい人……だったんだけど……。
だけど。だけどなんだと言うのか。やはり何かあったのだろうか。
マシュと立香は言葉の続きが気になって仕方がなかったが、ギャラハッドがそれ以上を語ることはなかった。初対面で王の胸を見て号泣し、怒られたことや王と同じ卓に着きながら寝落ちをした失態をした挙句、その怒りを未だに持っていて殺意の波動を受け、あまつさえ二人を巻き込んだなど、どうして言えようか。
「じゃあ、ギャラハッドさん? はご結婚とかされてないのですか?」
ここで聖女からの鋭い右ストレートがギャラハッドのボディを打ち付ける。もしギャラハッドの
前世、今世、マシュの体にいた年も合わせれば彼は精神的には還暦に近い。肉体が若いことや、精神が老ける間も無く刺激的な出来事があるせいで忘れていたが、歳だけ見れば相当食っている。結婚願望がある男性にとって、
———————————し、してませんっ……!
その事実をうら若き乙女たちの前で認めるのは、数十年来の屈辱であった。ここまでの辱めは、自分が嫌いなランスロットに負けたこと以来である。
ここで唯一の既婚者であり、結婚を素晴らしいものと考えるマリーから爆弾が落とされる。
「結婚しないのはもったいないわ! 人生の半分くらい損してるわよ! ……そうだわ! ジャンヌと騎士様で結婚すればピッタリじゃないかしら! お互いにサーヴァントだし、聞いたところの人柄も良く似ているわ!」
「!?」
あまりに突飛な発想ではあるが、要は独り身同士で結婚すれば万事解決理論である。
言われて、ギャラハッドはジャンヌを見た。見た目はもちろん、聖女と呼ばれるだけあって性格もいい。控えめに言っても超優良物件である。結婚出来るものなら是非したいものであった。
尤も、マリーの意見はジャンヌの「お互いのことをよく知らないのでナシです!」という至極真っ当な意見で却下され、若干振られたような気分をギャラハッドに残して断ち切られた。
だが、ここでギャラハッドは一つの天啓を得た。それは即ち、《マシュが一心同体の嫁ではなく、マシュが体験するこれからの旅路で嫁が見つかるのではないか》というものだ。
もちろん第一はマシュと立香の安全であり、人理の修復であることに変わりはないが、自分がわざわざマシュに憑依したのはこのためではないのだろうか? 即ち、人理修復の果て、もしくは途中に未来の嫁がいる……?
そう、これは未来を救う聖杯探索の旅であると同時に、未来の嫁を掬う正妻探索の旅でもあるのではなかろうか。そんな風に憑依の意味づけをしてしまう。
だが、仮にそうだとしたら彼には言いたいことがあった。
————————————嫁さん一人と出会うのにギャラハッドとしての人生を全うして、世界を救わないといけないとか僕の人生ハードすぎる。
※割りかし勘違いしてる人がいるので補足
ギャラハッド君の恋のお相手は前世(ギャラハッドになる前)のお相手です。ガレスではありません。ただの名もなきキャラでございます
今回の話のまとめ
マリー「ジャンヌ×ギャラハッド」
ジャンヌ「お友達からで」
マシュ「ギャラハッドさんの元カノはガレス卿……?」
立香「恋したい衝動」
ギャラハッド「正妻探索の旅」
幕間でやるなら?
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円卓の騎士時代の話
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特異点の話
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カルデア(事件前)の話
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それ以外に出てくるキャラとの絡み