僕のお父さんは円卓最強の騎士   作:歪みクリ殴りセイバー

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この物語を読む前の注意事項

・この物語はガバガバなアーサー王物語知識、型月知識で成り立っています。間違っててもこの作品ではそういう設定だということにして見てください
・この物語は転生、憑依、ハーレム要素、最強要素、勘違い要素などを含みます。それが苦手な方はブラウザバックを推奨。その上で読んだのなら、文句は受け付けません。ロード・キャメロットします
・そしてこれが一番大事。更新不定期で遅いです!

以上のことが大丈夫という勇士は英雄になってどうぞ


第一章 円卓第十三席ギャラハッド
始まり


 ——てんせいしたらぼくのおとうさんがえんたくさいきょうのきしだったけんについて。

 

 笑えない冗談である。全くもって笑えない冗談である。心ッ底! 笑えない冗談である!! 目を覚ませば赤子。おまけに父は消え、母も僕を捨てていった。なんて親どもだ、子供一人育てられないのに作る親なんて無精子症になったり妊娠不全になればいいのに。

 

 だが、腐っても僕の父は円卓最強の騎士ランスロットであり、幸いにしてその武勇は引き継がれていたようである。事情を知らないとは言え、厄介者の僕を引き取ってくれた修道院のシスターには感謝しかない。感謝感激雨あられ。特性すいすい雪がくれ。天候はバトルでも大事だと、とあるゲームが教えてくれました。

 

 ———————————————ヒャッハー!! 弱い魔猪はただのイノシシだぁ! 

 

 僕の修道院での暮らしを一言で表すならこれである。でっかいイノシシを子供である僕が盾で受け止められた時は驚いた。やっぱランスロットの血を引いてるんやなぁ……(遠い目)

 余談ではあるが、イノシシ狩りをしていることを知ったシスターがプンプンという感じで危険だと怒ってくれるので涙が出た。ホンマええ子やで……。そうだよね、僕の年齢(肉体的)でイノシシ狩りなんて危ないからね……でも、僕の肉体は特別製だからさ、稼げるなら稼ぎたいのだ(社畜根性)

 

 ———————————————ちなみに今世での僕の名前はギャラハッドというらしい。ギャラルホルンみたいでカッコいいので、そこそこお気に入りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ———————————————シスター・ソフィアがその少年を見つけたのは曇天の日のことであった。

 

 彼女が営む修道院は積極的に捨て子や孤児を受け入れていた。しかし、それが皮肉にも子捨てを助長させることになってしまう。この戦時中の時代、仕方がないと言えば仕方のないことであった。

 ギャラハッドは薄汚い布を纏い、修道院の前に捨てられていた。嘆かわしいことにそれ自体はよくあることである。ソフィアを驚かせたのは、ギャラハッドの様子であった。

 目はこの空のように澱み、生まれて間もない赤子だと言うのに泣くことすらしない。本来美しいであろう銀髪も汚れでくすみ、輝きを鈍らせてしまっている。

 

 ———————————————主よ、このような赤ん坊までもが絶望した目をするこの世は正しいのでしょうか? 

 

 眦から溢れた雨がギャラハッドに落ちる。ポタポタと彼を濡らす雨はしばらく止みそうになかった。

 彼は、そんな彼女の頰に伝う雨を一撫でした。まるで「泣くな」と言わんばかりに眼差しは彼女を捉えていて、先程まで驚くほど静かだったというのに彼は何かを伝えようと「あうあう」と口を必死に動かしていた。

 

 ———————————————この子はきっと皆を救えるような素晴らしい騎士になれる。もしかしたら、国すらも……。

 

 選定の剣を抜き、湖の妖精に認められて聖剣を授かり、救世主と称されるアーサー王ですらこの戦火の坩堝から抜け出せず、民は困窮している。救世主であるアーサー王を支える騎士が必要で、それはきっとギャラハッドであると、ソフィアは啓示を受けたように信じて疑わなかった。

 始めは予感だったが、ギャラハッドが成長していくにつれてその予感は確信へと変わる。魔猪を狩り、素材やお肉で修道院の経済を助け、街で困っている人を見かけると寄り添い、ソフィア自身もまだギャラハッドが幼い子供であるにも関わらず、幾度も救われた。

 理想の騎士そのものであり、ギャラハッドに助けられたことのない者はこの街にはいない程だ。彼が大きくなるにつれ、もっと力をつけていくであろうことは簡単に予想できた。……だからこそ、彼をこのままここに縛り付けるわけにはいかなかった。

 

「ギャラハッド」

 

「はい、母さん」

 

 ————————————————だから彼とは、ここでお別れしないと彼のためにならない。

 

 ソフィアの目には、彼と出会った時と同じように涙が滲んでいた。それは悲しみによるものではなく、嬉しさと、寂しさのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……この時代って十歳で旅に出されるものなの? あれか、騎士マスターに俺はなる! とか言えばええんか? お? 

 だが母さんの言うことには百理ある。僕はアーサー王伝説について詳しくないが、ランスロットとかいうチート騎士の息子なので物語の重大事項を握っている可能性がなきにしもあらず。例えば何かの戦いでギャラハッドがいなくて負けました! ブリテン、完! とかになったら寝覚めが悪すぎる。

 ……まぁ元々いつかは修道院も出なくてはいけない。騎士を目指す者は幼少期から訓練を積むらしいから十歳はもう一人前とみなされるのかもしれないし、予定が早まっただけである。

 

 ……それにしても旅に出る僕よりも母さんの方が号泣してて泣きづらい。可愛い。母さんじゃなかったら嫁にしたい。シスターって結婚が許されるのか未だ知らないけども。

 おーよしよし。精神年齢的には年上のおじさんが慰めてあげよう。グヘヘ。それにしてもこの十年、色々なことがありましたなぁ。魔猪を狩りまくり、修道院の評判を上げるために人助けをしまくり、母さんと一緒に料理を作って、年下の子供達と遊んだり……あ、やべ、泣きそうになってきた。

 改めて振り返ってみると、始まりこそ最悪だったがなんやかんやでタイムスリップ生活を充実して楽しんでたんだなって。何だろう、卒業式の気分だ。

 

 こうして修道院(マサラタウン)にサヨナラバイバイして、俺は(コイツ)と旅に出るのであった。

 ……別れ際に抱擁した母さんのおっぱいはとっても柔らかかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてさて、そんなこんなで始まった俺の旅ではあるが、やはり目的が欲しい。モチロン最終的にはアーサー王が居るというキャメロット城でオラ騎士になるだという目的はあるが、そもそも十歳で騎士にしてもらえるかもわからない。なれても戦争に駆り出されて即アボーンなんてことも避けたい。

 そう。つまり今はRPGで言うところのレベリング期間なのである! 大事なことだからもう一回。今はレベリング期間なのである! 

 というわけで経験値が稼げる敵が欲しい。僕でも倒せるくらいのいい感じの敵をお願いします。

 ギャラハッドの願い虚しくも特に何事も起きることなく町に着く。久々の人里であり、歩き詰めの体にはゆっくり休める環境が恋しかった。

 

「……ん?」

 

 穏やかな雰囲気の町に似合わぬ喧騒に、ギャラハッドは眉を歪めた。見れば、騒ぎの中心にいるのは自分が育った場所と造りがよく似た修道院である。

 さすがに見過ごせぬと野次馬に混じれば、屈強な男達が身の丈にも及ぶ巨大な盾に触っては苦しみ、その苦しむ様を笑った者も盾に触れ、同じ末路を辿る。

 

「さぁさぁ! 他にこの盾に挑戦する者はいないのかい!? 我らがアーサー王と同じように、この盾に認められれば英雄間違いなしだ! 見事にこの盾に認められた者がいるなら、そいつにこれをタダでやるよ!」

 

 このご時世、太っている人を見る機会は相当に少ないのを見るに盾への挑戦料とやらで大分私腹を肥やしているようだった。もしこっちの町に捨てられていたらあの男が育て親だったのだと思うと、ギャラハッドの背中を冷や汗が伝った。

 挑戦する者がいなくなり、まばらに人も散り始めた頃、彼もまたそんな危険に首を突っ込む気はなかったので、立ち去ろうとしていた時だった。

 目に見えぬ不思議な力がギャラハッドを襲い、あの呪われた盾の下まで一直線に吹き飛んでいく。

 

「え? ちょっ……!」

 

 ようやく状況を認識した彼が受け身を取ろうとするも、余りにも遅すぎた。彼の右手はしっかりとあの盾に触れ、自分もまた黒雷に襲われて焦げ死ぬのだと覚悟を決めるが、特に何も起こらない。

 

「お、おい。何も起こらないぞ……」

 

「まさか、認められたのか!? あんな子供が!」

 

 ギャラハッドが投じた一石で起きた波は始まり、広がり……最終的には新たな英雄の誕生を喜ぶ咆哮と化した。

 しかし、軍にも劣らぬ歓声をあげる民衆に待ったをかける者もいた。

 

「待て! そのガキは聖盾に挑戦するカネを払っていなかっただろうが! こんなのノーカンだ! ノーカン! ノーカン!」

 

 ギャラハッドからしたら呪われていた武器なんて縁起が悪い物を返すのは一向に構わないのだが、物事には流れがあり、少なくとも彼にはこの民衆の流れを止められる気はしなかった。

 

「ちょっといいかい?」

 

 人垣を掻き分け姿を現したのは、白いローブで顔を隠した男。杖を持っているということは魔術師である。

 

「な、なんだ貴様は!」

 

「あなたは彼がお金を払っていないと言ってたけど……彼はあなたにしっかりと払っていたよ。その証拠に……ほら」

 

 視線に促され、太った男が右手をゆっくりと開くとそこにはキッチリ料金分のお金があった。驚愕に目を染め、今まで散々カネを巻き上げた挙句成功者が出たら嘘をつくのかと糾弾され、情けない声で逃げていく。ギャラハッドは実際には払っていないため、太った男が正しいのだが日頃の行いが悪すぎたため、自業自得とも言えた。

 

「……あの、助けていただきありがとうございました」

 

「気にすることはないよ。私も私の目的があってしたことだからね」

 

 笑いつつ去っていく白ローブは、まるで綿毛のように調子が軽かった。対して、ギャラハッドが右手に握る盾は恐ろしく重かった。

 

 ————————————————決めた。この盾を十全に使いこなせていると自分で思えるようになったら騎士になろう。

 

 

 

 ギャラハッド十歳。今後の生涯を共にする相棒と出会う。




白ローブの男は一体なんて花の魔術師なんだ……?(すっとぼけ)

現実の原典(という名のwiki)より、今回の話に関係するところ
・ランスロットは魔術にかけられて誑かされ、魔術をかけた女と子をなした。それがギャラハッド
・ギャラハッドはマーリンに「父を越えた最優の騎士になるだろう」と予言された
・母に捨てられたギャラハッドは、ギャラハッドを産んだ女のもとを去ったランスロットに修道院に出された
・ギャラハッドの代名詞とも言える盾は、ギャラハッドの祖先がとある修道院に預けた物であり、その盾には呪いがあったがギャラハッドは大丈夫であった

型月のギャラハッドについて情報がなさすぎるので、原典の話にオリジナル要素を加え、今回の話になりました。というか今後もそうなります。ではまた次回

幕間でやるなら?

  • 円卓の騎士時代の話
  • 特異点の話
  • カルデア(事件前)の話
  • それ以外に出てくるキャラとの絡み

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