僕のお父さんは円卓最強の騎士 作:歪みクリ殴りセイバー
いいぞギャラハッド!読者をも勘違いさせるとは、勘違いタグに恥じぬ活躍だ!
ちなみに第二章を固有名詞化すると、オリ主が憑依したギャラハッドが憑依したマシュとオリ主になります。というか誰か前回後書きのマシュ・ロリエライトに突っ込んでくれると期待したのに…
※10/7 月間27位あざます!
初会合
—————お名前は?
「マシュ・キリエライトです」
—————歳は幾つ?
「今年で十歳になります」
—————趣味はある?
「特には……」
僕がこの少女……マシュ・キリエライトに取り憑いてから一晩経ったが、未だ聖杯への怒りは消えない。
ギャラハッドという正真正銘の英雄の人生を一般人である自分がやり切ったご褒美のような物だと思った上、何でも願いが叶うという聖杯に自分が望んだのはそこまで大層な願いではない。
『生涯を寄り添う、一心同体と言えるくらい分かり合える奥さんが欲しい』
そんな超庶民的な願いは、この十歳の少女にまたもや憑依することで叶えられてしまった。
——————————————十歳って完璧犯罪だよね? というか犯罪じゃなくても言いたい。僕、ロリコンじゃないからぁ! 普通にボンッ! キュッ! ボンッ! (死語)が好みだからぁ!
……まぁ仮に、本当に仮に僕とマシュが相思相愛になったとしよう。歳の差は後十五年待ち、マシュが二十五歳にでもなりさえすれば立派な大人だ。そこに歳の差があろうと、本人が選んだ人を尊重すべきであろう。一番の大きな問題はそれではない。
——————————————肉体がない!
そう、彼には現世に顕現した自分の意思で動かせる肉体がない。仮に誰かを愛し——それがマシュではなく、別人だったとしても——、一生を添い遂げようとしても微塵も触れることは叶わないという酷い始末。そもそも、自分の声はマシュにしか通じないし、マシュは自分の声を周りに届けられないという、詰みの状態である。ファッキン!
現状、まるで実験動物のように四方ガラス張りの部屋で見張られているマシュの気を少しでも紛らわすためにお喋りするしかない状況だ。
「ギャラハッドさんは、何故私に憑依してくれたのですか?」
聖杯のせいです(全ギレ)
……と言ってもわからないだろうし、適当に「マシュを見てられなかったから」と答えておく。実際十歳の子にこの扱いは酷すぎるとは思っているし、嘘ではない。もしかしたら此処、ブリテンとはまた違う意味でブラックかもしれない。
「……可哀想、ということでしょうか?」
———————————————マシュくらいの歳の子供は外で遊んだり、友達と一緒にはしゃいだりするのが普通だからさ。少なくとも、どこを見渡しても白衣の大人たちみたいな状況はないよ。
「……私にとっては生まれた時からこうなので、友達と一緒に遊ぶということが分かりません」
何この子。健気さと儚さと可哀想さで涙が出てくる。やっぱり育って来た環境で普通の認識って変えられちゃうからなぁ……!
この研究所をぶっ飛ばして外に出るのは簡単だけど、絶対この子の体が持たないし……今更ながら、やっぱりギャラハッドの体って異常だったんですね。普通の人の体に入ったのは久しぶりだからすっかり忘れてた。
——————————————一人で出来る趣味と言えば……読書とかは? あとはボードゲームなら僕の体がなくても、マシュが代わりに駒を動かしてくれれば出来るけど。
「……読書、ボードゲームですか。申請してみますね」
……当たり前だけど、部屋に置くものすら支給制か。本当に完全に管理された状態なんだな……。
若干のやるせなさはあったが、宿主であるマシュが睡眠状態に入るとギャラハッドも同じように意識を手放した。
二日目。
マシュの部屋に届けられた段ボール箱の中には、申請が通った本とボードゲームが入っている。
マシュが物資を申請することなど滅多になく、しかもその品が娯楽品であったことは初めてなため、職員の間では僅かに騒ぎが起こる。ギャラハッドにとっても、職員にとっても、マシュが人並みの感情を持つのは悪くないことであった。
豊かな感情は豊かな精神状態を生む。より多くの精神状態のデータが取れれば、感情とデミ・サーヴァントとの関係があるかないかも分かりやすくなる。
ボードゲームについてなど全く知らないマシュが適当に選んだのは、人生をスゴロクで追体験するアレである。ギャラハッドからしたら懐かしい品であり、マス目を見ると『そんな人生もありましたね……』と、前世を思い出した。
ゲームを進めていくと、面白いくらいにマシュのお金は増えていき、逆にギャラハッドは赤と白のお札が増えていく。「どうじでなんだよぉぉぉぉぉ!」とマシュにも聞こえないように叫ぶも、借金の増加は止まらない。このゲームに自己破産申請ってあったかな? とギャラハッドが思ったところでマシュがゴール。嬉しそうに微笑んでいる。
……そんな顔も出来るんだなぁ。
やはり人間、笑顔が一番魅力的な表情なのだと改めて実感するギャラハッド。社畜騎士であった彼が心底笑顔になれる日はいつなのか、誰も知らない。
————————————面白かった?
「はい……! 笑ってはいけないのでしょうけど、ギャラハッドさんがほぼ全部のマイナスマスに止まっているのが神懸かり的でしたね」
偽札の借金で少女の笑顔が買える優しい世界である。
ボードゲームを新品同様まで綺麗に片付けるマシュは性格が几帳面なのだろう。部屋も物が少ないのもあるが、散らかっている場所は少しもなかった。十歳なのによくできた子である。
ボードゲームを段ボールに戻すと、今度は本を引っ張り出してくる。それ自体はいいのだが……マシュが手に持っている本が全て、ギャラハッドに関係するものなのである。思わずギャラハッドは目を疑った。
「すみません、どういう本がいいのか分からなかったので……」
ギャラハッドも十歳の女の子が読むような本なんて知らなかったので、マシュ本人に任せればいいかと思っていたのが思いっきりアダとなった。……まさか十歳が逸話とか持ってくるとは思わないでしょ。そういうのはあと四年くらい早いと思います。
しかも絵本とかそういう類のレベルではなく、専門家が読むくらいのガチなやつである。幸い内容はイギリス英語で書かれているため、ギャラハッドが読むのは容易だが、自分の話を読み聞かせるとかどんな罰ゲームだ。そこまでナルシストになれないんだ。
そして、初手から衝撃的な新事実が判明する。
ええ!? 僕ってランスロットが魔術で操られて逆レされて産まれたのかよ!?
「ギャラハッドさん?」
———————————————……ああ、ごめんごめん。
あまりにビックリしすぎて黙ってしまっていたらしい。こっぱずかしさはあったが、ゆっくりと読み進めていく。……おい誰だギャラハッドは妖精とまぐわいまくったって書いたやつ。なんで知ってるんだ。
勿論、マシュには話さなかった。
『完璧な騎士』『穢れなき騎士』『最優の騎士』……なんだこれ、恥ずかしすぎる。ぼくがかんがえたさいきょうのきしみたいになってるじゃん。
少し自分が体験した内容とは違うところはあったが、世界の修正力に依る物か、長い時で伝承が間違えて伝えられたか、自分がしたことは本来との歴史とは違ったが修正力の許容範囲であったのかは定かではない。
こうしてギャラハッドの本を読むと、ようやく実感が得られる。僕はちゃんとギャラハッドで在ることができたのだと。
ギャラハッドの最期については、前世で知った通り昇天で終わっていた。勿論カムランの丘にギャラハッドが現れ、モードレッドと戦ったなんて記述は一切ない。それが嬉しくもあり……寂しくもある。
アレを覚えているのは僕だけかもしれないと思うと、ちょっとだけ辛い。転生者であることの唯一の弊害と言えるだろう。
「……ギャラハッドさん?」
ボーっとしていたからだろうか、マシュが不思議そうに話しかけて来る。「何でもないよ」と答え、何故僕はこの少女にギャラハッドとして憑依させられたのだろうと考える。やっぱり聖杯のせい?
ギャラハッドとして生を受け、ギャラハッドとして生き、ギャラハッドとして少女に憑依している。……ちょっとだけ、彼は前世の名が恋しくなった。
……あとマシュ、英和辞書持ち出して翻訳するのはいいけど、まぐわうの意味を聞いてこないで。僕困っちゃう。
ギャラハッド?? 歳。新たな憑依先であるマシュ・キリエライトとコミュニケーションを取り始める。
ガチBLとか百合を本当に書くと思われている可能性、タグにないのにそういう単語を出したことを不快に思われる方もいらっしゃると指摘されたので一度アンケートを消しました、申し訳ないです。改めてご協力してくれる方は投票お願いします
幕間でやるなら?
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円卓の騎士時代の話
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特異点の話
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カルデア(事件前)の話
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それ以外に出てくるキャラとの絡み