翌朝。
ワシは制服を着て高校へ登校する。
生徒手帳を確認したので、どこの学校かはわかる。
「睦美」
と、肩に手が置かれる。
振り返ると、ワシと同じ顔の端正な顔立ちの女子高生がいた。
「え!?」
「え!? って?」
「えっと、誰……?」
「それ本気で言ってたらやばいわよ?」
「私、昨日頭打って記憶が曖昧なんだ」
「ちょっと、大丈夫!? 私は
「三船 睦子?」
「あんたの双子の妹で、離婚したお父さんの方についていった」
「ああ、睦子」
「思い出した?」
「いや、全然?」
睦子は右肩をガクッと落とした。
「で、睦子は何してんの?」
「登校してんじゃない!」
「私服だよね?」
「あんたほんとに忘れたの? うちの高校、一般コースは私服可で専門コースは制服じゃない。私は一般コースだから私服なの」
そうなのか。
「まあいいや。早く行かないと」
ワシらは学校に向かって歩き出す。
校門に着くと、昨日の刑事さんが立っていた。
「三船さんはどっちかな?」
「私です」
睦子が返事をした。
「ちょっと話したいことがあるから、署まで同行できる?」
睦子が犯人?
「いいですよ」
睦子は刑事さんが乗ってきた捜査車両に乗り、署まで同行した。
残されたワシは一人、校門を抜ける。
校舎まで行き、靴を履き替え、教室に向かう。
教室に入ったワシは、席を探す。
「どうしたの、睦美?」
「え?」
声をかけられ、振り返る。
女子生徒が立っていた。
「私の席、どこだっけ?」
「は?」
「私、頭打って記憶の大半が吹き飛んでて……」
「大丈夫?」
心配そうに見つめてくる女子生徒。
「あ、あんたの席はここ」
女子生徒が指を差す。
「ちなみに、私は
ワシは恵子が指差した席に座る。
睦美としての学校生活はうまく行くだろうか。
今更ながらに心配になってきた。
……。
…………。
………………。
放課後、ワシの元に警察から電話が入った。
どうやら、睦子が逮捕されたいう連絡だった。
警察の話によると、睦子は先日、誰かを殺したいと思ってワシの自宅に侵入すると、寝ているワシを襲い、殺害したらしい。
殺すのは誰でもよかった、ということだ。
では、ワシが入っている睦美はなんなのだ。
そもそも睦美はどこに行ってしまったのだろうか。
わけがわからなくなったワシだが、とりあえず家路に就くことにした。
「ただいま」
家に帰ると、母親が血相を変えてやってきた。
「大変よ、睦美! 睦子が!」
「聞いたよ」
「そう?」
「人を殺して逮捕されたんでしょ。さっき警察から電話あった」
「お母さん、心配だから睦子のとこ行ってくる!」
「行っても無駄だと思うけど」
母はワシの言葉も聞かず、家を飛び出して行った。