お爺さんが女子高生   作:桂ヒナギク

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2.睦子

 翌朝。

 ワシは制服を着て高校へ登校する。

 生徒手帳を確認したので、どこの学校かはわかる。

「睦美」

 と、肩に手が置かれる。

 振り返ると、ワシと同じ顔の端正な顔立ちの女子高生がいた。

「え!?」

「え!? って?」

「えっと、誰……?」

「それ本気で言ってたらやばいわよ?」

「私、昨日頭打って記憶が曖昧なんだ」

「ちょっと、大丈夫!? 私は三船(みふね) 睦子(むつこ)よ。わかる?」

「三船 睦子?」

「あんたの双子の妹で、離婚したお父さんの方についていった」

「ああ、睦子」

「思い出した?」

「いや、全然?」

 睦子は右肩をガクッと落とした。

「で、睦子は何してんの?」

「登校してんじゃない!」

「私服だよね?」

「あんたほんとに忘れたの? うちの高校、一般コースは私服可で専門コースは制服じゃない。私は一般コースだから私服なの」

 そうなのか。

「まあいいや。早く行かないと」

 ワシらは学校に向かって歩き出す。

 校門に着くと、昨日の刑事さんが立っていた。

「三船さんはどっちかな?」

「私です」

 睦子が返事をした。

「ちょっと話したいことがあるから、署まで同行できる?」

 睦子が犯人?

「いいですよ」

 睦子は刑事さんが乗ってきた捜査車両に乗り、署まで同行した。

 残されたワシは一人、校門を抜ける。

 校舎まで行き、靴を履き替え、教室に向かう。

 教室に入ったワシは、席を探す。

「どうしたの、睦美?」

「え?」

 声をかけられ、振り返る。

 女子生徒が立っていた。

「私の席、どこだっけ?」

「は?」

「私、頭打って記憶の大半が吹き飛んでて……」

「大丈夫?」

 心配そうに見つめてくる女子生徒。

「あ、あんたの席はここ」

 女子生徒が指を差す。

「ちなみに、私は相沢(あいざわ) 恵子(けいこ)よ。恵子って呼んで」

 ワシは恵子が指差した席に座る。

 睦美としての学校生活はうまく行くだろうか。

 今更ながらに心配になってきた。

 ……。

 …………。

 ………………。

 放課後、ワシの元に警察から電話が入った。

 どうやら、睦子が逮捕されたいう連絡だった。

 警察の話によると、睦子は先日、誰かを殺したいと思ってワシの自宅に侵入すると、寝ているワシを襲い、殺害したらしい。

 殺すのは誰でもよかった、ということだ。

 では、ワシが入っている睦美はなんなのだ。

 そもそも睦美はどこに行ってしまったのだろうか。

 わけがわからなくなったワシだが、とりあえず家路に就くことにした。

「ただいま」

 家に帰ると、母親が血相を変えてやってきた。

「大変よ、睦美! 睦子が!」

「聞いたよ」

「そう?」

「人を殺して逮捕されたんでしょ。さっき警察から電話あった」

「お母さん、心配だから睦子のとこ行ってくる!」

「行っても無駄だと思うけど」

 母はワシの言葉も聞かず、家を飛び出して行った。

 

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