お爺さんが女子高生   作:桂ヒナギク

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3.自殺

 母が警察署にやってくる。

「ご用件は?」

 と、受付の事務員が訊ねる。

「娘に、睦子に会わせて下さい!」

「睦子さん?」

「私はさっき殺人の被疑者として逮捕された睦子の母です!」

「お母さん、落ち着いて下さい」

「これが落ち着いていられるものですか!」

 内勤の警察官がやってくる。

「お母さん、あちらへ」

 応接室に通される母。

「おまわりさん、睦子に会わせて下さい!」

「今は取調中なので」

「そんなこと言わず、お願いします!」

 困った顔をする警察官。

 そこへ、事情を聞いたワシが到着する。

「お母さん」

「睦子!?」

「いや、睦美だけど」

「……なんだ、睦美か」

「お母さん、睦子に会うのは今は無理だから、帰ろう?」

 ワシは母を連れて帰路に就く。

「ねえ、お母さん」

「……………………」

 母は一言も喋らない。

「お母さん、私お腹空いた。美味しいものでも食べて気分変えよう?」

 母は(だんま)りを決め込む。

 気分を変えさせることが無理だと思ったワシは、寄り道せず家に帰宅した。

 二階に上がり、部屋へ。

「はあ」

 ワシはベッドに倒れ込む。

「疲れたなあ」

 ワシは目を瞑り、そのまま眠りに就いた。

 翌朝、ワシは顔を洗うため、一階の洗面所に。

 お風呂の電気がついていた。

 不審に思ってお風呂を覗いてみると。

「お母さん!」

 母が浴槽の残り湯に、切った手首を浸けて意識を失っていた。

 ワシは緊急通報をし、救急車を呼んだ。

 救急隊は母は亡くなっているだろうと言った。

 事件の可能性もあるため、警察が呼ばれ、現場を調査して行った。

 結果的に母の件は自殺ということで片がつき、寝室から母の遺書も見つかっていた。

 その後、ワシは睦美や睦子の実の父親に引き取られた。

 父親の顔には見覚えがあった。

 ワシが定年退職する前に務めていたお役所で働いている元部下だった。

 名を三船(みふね) 瑛太(えいた)。当時の階級は警部補だ。

 風の噂で三船は警部に昇進したと聞いている。

 今回の事件、三船も驚きを隠せていなかった。まさか、実の娘が、元上司を殺してしまったのだから。

「お父さん、睦子が殺したの嘘だよね?」

 嘘ではないと思いつつも、三船に訊ねる。

「……捜査本部では睦子だと確信している」

 そんなことよりも、と三船は母の遺影を見つめる。

「まさかあいつが死ぬなんて……」

 こんなとき、かつての上司としてのワシだったら、慰めてやったのに。

「あ、もうこんな時間」

 三船が時計を見て、出勤の準備を始める。

 ワシは警視庁に出勤する三船を玄関で見送った。

 

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