今の私は誰が見ても『グレートサイヤマン』
体育祭以降……注目され過ぎていたから周りの視線から隠れる為の変装用に用意していた。
いや元は変装用とかでなく、高校でヒーローと言ったら此れだろうとサポート科に入る前から用意していた。特に使うつもりもなく衝動的に普通の服をバラして作り上げ、作って満足してしまっておいたモノを体育祭での注目から変装用にしようかと思った。しかしいざとなるとコスプレをするようなモノかと着るのに躊躇してしまい御蔵入り。
今回のインターンでも注目されると、緑谷くんの特訓用の装備を持ってくるついでに持ってきた。そう着ずに持ってくるのみ、着るのに今一歩踏ん切りがつかなかった。
グラントリノから言われた言葉が無ければ、着ることもなくお蔵入りに成っていただろう。変装する大義名分が今一歩を進ませ着替えた。
着てみたら……孫悟飯の気持ちが良くわかる。
なんだろうな。
外を出歩いてると……注目されてたのにイヤな気分だったのに、グレートサイヤマンだと気分が高揚する。自分が注目されてると思うと不快な気分に成っていたのに不思議だ。
思わず他にも仲間を増やしいたいと思った程だ。名乗った時も中々に気持ちよかったが……グレートサイヤマンのポーズをしなかったのは片手落ちか。恥ずかしくてやるなんて冗談じゃないと思ったが今ならやれそうだ。
ポーズはどんなだったかな……こうで、こうか、あとは、こう!ふふふ…意外と覚えてるものだな。………しかし、こうも覚えてるのに、ポーズには2号が居ないとダメなのがある。……2号役が居ないとな。
神像くんが不審者過ぎる。
なにあのポーズ。外でやらないでほしい…………それと仲間にしたそうに此方を見ないで。サイズ的に難しいかってなに?サイズがあってたらなにやらされてたの?
神像くん、来るときあんなに人の視線で不機嫌そうに成ってたのに、なんで今は見られて楽しそうなんだろ。
「あのグラントリノ………」
注意しなくて良いんですかと視線で訴えた。
「…………まぁ、周りの反応悪くないから良いんじゃねぇか」
周りの反応って……生温い目線か笑ってる人の二種類。芸人とか見る感じかな。ヒーロー的には平和な光景の方がいいんだろうし良いのかなぁ……良いのかなぁ。
「神ぞ、グレートサイヤマンの事よりデク、しっかり周りを見ろよ。ヒーローとして何をすべきか常に考えて行動しろ。危険やトラブルは何時起こるかなんて決まってないからな」
グラントリノからそう言われた。
そうだった。気を抜いてたらだめだ。ヒーローが異変を見逃したらダメなんだから周りをしっかり見とかないと。ボクは気を引き締めなおした。
しっかり周りをみて……
タタタタタ
シュ!
バッ!
バーーン!
…………………楽しそうだなぁ。
一通りポーズを練習したり名乗ったりしてると見物客が出来ていて冷静になった。
なんで私は体育祭でもそうだが興奮したりすると少し行動が可笑しくなるんだろうな。さて、本題のヒーローとしての活動を見なければ………そう思っていたのにな。
緑谷くんがスマホで何かを確認して何処かに飛び出していった。トイレとかそんな事でないだろう。戸惑ったが私も追おうかとしたがグラントリノから止められた。
グラントリノと二人、インターンの主役は緑谷くんだが、どうするんだこれ。大丈夫かと思いながら緑谷くんを待っていると、騒がしくなった。
グラントリノお騒ぎの聞こえてくる方向に向かうと、襲われた。
「……」
地面に下半身だけ出ている。
いや、その、突然この変態が此方に突撃してきたから反射的に殴ったら地面に埋まったんだが……これ、正当防衛に成るだろうか。過剰防衛に成らないだろうか。周りから喝采が上がってるんだがこの変態何かしたんだろうか?野次馬の中からヒーローが何人か倒れてる変態に駆け寄った…………私を捕まえようって事にならないだろうな。
ビクビクしてるとグラントリノとプロヒーローが変態を引き抜いた。脳剥き出しで気持ちが悪い。
「とりあえず生きてはいるが……コイツはなんだ?」
「俺達はこの地区担当なんですが……こんなヤツ初めて見ましたね」
暴れて……良く見なくても昔の私よりだいぶ怖い系統の異形系だな。脳が剥き出しなんて初めてみた。これだけアレな姿だと今の世間でも社会から受け入れられないだろう。社会から受け入れられずに暴れたという所か。昔の私の姿を思うと同情心が湧いてくる。もしかしたら私も同じ様に多少暴れていたのかもしれないからな。
「あ、あの!知り合いから連絡があって!向こうでも脳が出てるソイツと似たヤツが暴れてるそうなんです!助けてください!」
似たヤツ、兄弟とか家族で暴れてるのか?
幾つか大きめの気を感じるがこれがそうだろうか。気が複数有るような感じだな……案外居るのか気を複数持つ相手。
まぁそれは良いとしてなんで助けてくださいと、グラントリノとかプロヒーローでなく……私に向かって言ったんだ。
あぁ、そうか、今の見た目は誰がどう見ても正義の味方(グレートサイヤマン)だった。しまったな……
完璧にグレートサイヤマンに見えてしまう事の 弊害か………助けに行かないとグレートサイヤマンが人を見捨てた様な感じになるな。
私個人としてそんな悪を見逃すグレートサイヤマンは嫌だという事なんだが……………グラントリノをチラチラと見る。
グラントリノかプロヒーローが俺に任せろと言ってくれないだろうか。倒れた変態を捕縛するのに一人のこって他のプロヒーローは特に何も言わずに現場に向かった。おい何か言ってから行け。最後まで此方と目を合わそうとしなかったな。
プロヒーローが行ったから余計に視線が此方に……グラントリノに視線を送る。
「はぁ…本来ならお前さんの戦闘許可は出せんが、出せるんだよな。あの野郎め………、グレートサイヤマン、戦闘許可は出すが積極的に戦おうするな。基本的に自己防衛のみ。俺や他ヒーローより前にでるな。俺から離れるな。危険な攻撃は禁止、これが誓えるなら戦闘許可を出す。それでいいか?」
「……」
誰だそんな余計な許可を認めたの。サポート科にそんな許可は要らないだろう……と言うこともないか。インターン中に戦闘に巻き込まれる場合もあるから必要なのか?まぁグラントリノの言い方的に戦闘許可というよりただの自己防衛の許可か。
特に困るモノでも無いので頷くしかない。
「それじゃ行くぞ!遅れるな!」
グラントリノがジェットの様に跳ぶ後に着いていった。とりあえず現場に行くだけ行ってあとは任せよう。任せたい…………任せられるだろうか。
「グレートサイヤマン!!頑張って!!」
……
………一度ぐらいいいか?
オレの後を着けてくる神像、グレートサイヤマン、最初は置き去りにしないように気遣って速度をある程度緩めた。だが着いてきたから速度を上げても、上げても、上げても、平然と追走してきて、今じゃ最大速度まで上げても距離が変わらねぇ。
生意気にもオレより先に行かないように速度を落としてやがる。俺が傍から離れるなと言ったからか。老いたといえ速度には自信があったんだがな……。
神像セル………俺が警戒して呼び寄せた奴。
体育祭の時は強大な力を持て余しているように見えた。ヒーローをしていると力を持て余してヴィラン化したヤツはイヤでも見てきたから警戒した。
ヒーローみたいに力の発散場所が無きゃ、コイツも将来的にヴィランになるかもしれないと思えた……オールマイトクラスのパワーが有るやつがだぞ。
根津からも確認する事を条件にインターンに来させる事に成功した。
…この数日付き合ってみた感想だが。
今のところは大丈夫だと思えた。
先ず驚いた事に神像は大人しい。体育祭の様子から想像した傍若無人なタイプとは真逆な性格だ。それにサポート科なのを楽しんでいる。
良くも悪くも欲望の矛先が暴力的な方向じゃない今は大丈夫かと思えた。
ただ……ナイトアイが来ることを聞いてたが、オールマイトの後継者より神像の事を気にしてたのがな。最後にアイツから神像を刺激するなって伝えてきたのが気になる……。
今の様子を見ると……刺激した結果か?
可笑しくなってるよな。
インターンに参加させたの失敗だったか?
ナイトアイの言葉が気になって参加しないようにしようとしたが、変装して参加するなんてな…もっとハッキリ言えば良かったな。
神像の事も問題だが、緑谷の野郎も何処かに行ったことが気になる。あの脳剥き出しのマトモなヴィランに見えないヤツが複数出てる。
それに此処は新大久保だ。
ナイトアイにルミリオンはステインを狙って新大久保に来てるんだ。脳剥き出しのヤツはステインに関わりがあると考えるのが自然。俺の勘だがこの騒ぎ何か裏がある気がして仕方ない。
こんな時に出ていった緑谷、タイミングを考えると何か厄介ごとに首を突っ込んでないか。いや、師匠がアイツだからなぁ……首を突っ込んでない方が驚くか。
緑谷のヤツ……他の脳剥き出しのヤツか最悪ステインの所に行ったとかじゃないだろう。
さっさと此方の事を済ませて緑谷の奴を探しに行った方が良いな。
まったく忙しいな。
老い耄れにはキツいぞ……
それから俺達は先に行ったヒーローを追い越して脳剥き出しのヴィランを見つけ……たんだが
「悪は絶対に許さない正義の味方!グレートサイヤマン参上!!悪党共め!これ以上の悪行はこのグレートサイヤマンが許さないぞ!!」
……どうしたら良いんだコイツ。