緑セミのヒーローアカデミア   作:ソウクイ

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第5話

 

体育祭の第一競技は二位か。

 

二位でも十分すぎるよ。参加した姿勢を考えれば順位については文句を言う資格もないし。不満に思う資格もない。ちょっとネタ的な意味で叫んでしまったが二位なのは問題はない。

 

問題は負け方だ。

 

間抜けすぎるだろう…!

 

頭に覆い被さってるのが人と気付かなかった事が恥ずかしい。私なら見えなくても気づけた筈だ。ドラゴンボールでよくあった『気』による孫悟空の様な感知探知技能を私はもっている。目が見えなくても気で頭にへばりついた彼にも気づけた筈なんだ。

 

今まで使う理由もなく使わなかっただけで気の探知は意識すれば使える。やろうと思えばこの会場、どころか日本中の人の気を一人一人の気を感じる事が出きる。それなのに頭に付いた相手を見逃した。本当に間抜けだ。…1位の彼の気は特別だしな。

 

なんだあれ。一位をとった彼の気の大きさは、私には誤差の範囲だが他の参加者の何倍だ。それに気がだいぶ変な感じだ……一人から複数の気を感じる。物凄く目立つ気の持ち主……本当になんで気付かなかった。

 

まぁ気にしてるのは負けかただけで本当に二位なのは別に良い。むしろ今は二位で良かったと思ってるな。

 

第2競技の説明後の一位の彼の今の顔を見ればね。死にそうな顔とはああいうのだな。思わず同情した。

 

第2競技はポイント争奪の騎馬戦。

 

参加者は障害物競争の40位まで。障害物競争の順位によって初めの持ち点のポイントとなる。騎馬戦でそのポイントが付いたタスキを奪い合う。

 

二位の私で数百、三桁のポイントだが……一位が1000万ポイント。何処のお笑いクイズ番組だ。

 

わかりやすく保持すれば勝ち確定のポイント、実況も言ってたが確実に一位が狙われる。もし仮に私が一位でも大変だったと思う。周りから獲物を見る目で見られる一位。彼は小柄な体格でオドオドとしている、まるで苛めの現場か。

 

……違和感がひどい。

 

気を探れば彼から感じる気は私を除けば桁違いに一強。感覚的に言えばまるでライオンが猫の集団に怯えてるようなモノにしか思えない。弱そうに見せる擬態か?有りそうだな。あの障害物競争で全く目立たず最後には一位をとったのだからな。

 

しかし擬態だとしたら、マトモな戦闘なら弱そうに見せれば相手の油断を誘えるだろうが今度は騎馬戦だ。騎馬戦で勿論チームを組まなければいけない。狙われるとわかりきってる一位だ、弱そうに見せていたらチームを組むのは難しくなる。

 

障害物競争上位40人によるチームの勧誘合戦、やはり一位は敬遠されている。その下の三位、四位のチンピラとツートーンカラーに人が集まっている。

 

さて私は二位、

 

二位なんだ。

 

「何故誰も誘いに来ない?」

 

三位や四位の様子を見て二位の私にも当然来るかと待っているのに来ない。勧誘される方だと思って壁際で腕を組んで待っていて誰も来なくて恥ずかしいんだが顎に手を当てて考える。

 

一位とは違う常識的な高得点、そして持っている力はあまり見せてないが………見せてしまった分だけでも私が弱いとは思えないだろう。弱いと思ってくれた方が有りがたいが残念な事に。

 

何故この好条件で誰も勧誘に来ないんだ?こないなら仕方ないと何処かに入ろうかと周りを見ると…目を逸らされた。どういうことだ。

 

「セルさんセルさん」

 

なるほど……そうか。普通に考えたらわかる事だった。障害物競争の上位40人はほぼヒーロー科ばかりだ。体育祭が活躍の場のヒーロー科としては私のような異物(サポート科)は邪魔か。

 

「無視ですかー」

 

困った。これは始まる前に失格かな。参加する意欲についてはさっきの競争のせいで無いが、しかしだいぶ間抜けな絵面になるな。………人数の指定はない。騎馬戦の形に成れば良いのか?ならあの手段を使うかどうか。いやあの手段ならボッチで失格の方がいいな。そもそも出来るのか?……原作どおり造れるのか?試してみるか。お、出来そうだ。

 

「よいしょ」

 

流石にそろそろツッコムか。

 

「何をしている?」 

 

発目嬢が私の体に上っている。一応私は男なんだが?それに此処にいるということは上位40に入ったのか。そうなるとサポート科は私と彼女だけだな。……棄権しようかという気持ちになった。

 

「やっと反応してくれましたか!セルさん障害物競争スゴかったですね!私感動しました!というわけでセルさん私とチームを組んでください!同じサポート科として力を合わせましょう!私のベイビーを目立たせる踏み台になってください!」

 

下手なヨイショと建前、本音は最後のだな。露骨過ぎて冗談に見せて本音だ。それはともかく発目嬢と組むか……

 

「うわぁスゴいイヤそうな顔をしとる。これチーム組んで貰うの無理なんじゃ……」

 

ん、誰だ?丸…お人好しそうな少女だな。その傍にはガクガク震えてる一位の彼だ。

 

何となく察した。

 

「なるほど発目嬢は目立つために一位の彼と組むのか。私を選んだ理由も二位という順位だからだな。一位と二位が組めばさらに目立つと言う理由だろう」

 

「おお正解しとる」

 

いや本当に発目嬢は欲望に忠実で分かりやすい。そして相変わらず空気を読まない。一位の彼の気まずそうな感じを見ろ。私としてはあの競技の不満は致命的なミスをした自分にしか向いてないから彼が気にすることは無いんだがな。

 

目が合い軽く自己紹介をした。  

麗日お茶子嬢に緑谷出久くんか。

 

「あの、それで、組んでくれます?」

 

緑谷くんのこの怯えた態度は演技なのか?演技だとすれば中身どれだけどす黒いのか。素なら素である意味怖いが。……謙虚で潜在能力が異様に高いとか恐ろしいキャラを思い出す。

 

さて勧誘をどうするか。

組む相手としてどうなんだ?

 

 

麗日嬢、周りと比べると感じる気は高くもなく低くもない。平均的な気だな。個性は不明、さっきの障害物競争でも観察していたが特に記憶に残っていない。聞けば個性は触れたものの重力を消すか。重力を操るとは強そうだな。

 

緑谷少年、不可思議な気の総量は私を抜けば断トツに高い。個性は増強系の様なものらしい。まぁ強いだろう。気掛かりは力を隠してる可能性が高いことだ。少し問い詰めたら明らかに個性の詳細を隠した。騎馬戦でも隠す可能性がある。

 

この時点ではチームを組んでも良いと思われる。…………保険よりマシで選択肢が有りそうにないしな。

 

最後は発目嬢、本人の気は低い。個性も遠視と騎馬戦には意味がない。しかしサポート科として開発した装備が使える。ナゼか耐久力はギャグ補正。

 

さて査定の結果。

 

「スマナイが断る」 

 

最後で評価がマイナスになった。

これなら保険に頼る方がまだましだ。

 

「私を見てイヤだと言いました?……ああ自分のアイテムが出せないので私のベイビーを活躍させるのが嫌なんですね」

 

なんでこう言う時は相手の考えが読める。

それだけが理由じゃないが

 

「ならば私が本選に進めましたらセルさんの開発したモノを使えるようにパワーローダー先生を説得します!それでどうでしょう!」

 

「よし組もうか」

 

何だかんだ発目嬢は発明品を出せてるからな……説得も有効そうだろう。急いで改良もしたんだ出来るなら出したい。没収されたの返して貰いたい。

 

「「ええ……」」

 

何かな二人のその反応。

 

「あの、出せないとか、使えるように説得って、もしかして神像くんってサポート科なのに装備品の持ち込み禁止にされとるん?」

 

「ああ、いかんながら禁止されている」

 

「そ、そうなん」

 

「可笑しなことだよ。私は安心安全なモノしか開発してないのに」

 

二人からの疑うような視線、そうだな。サポート科が持ち込み禁止なぞあり得ると思わないよな。

 

「ふ、しかし安心してくれ。サポート装備が無くても私の能力はちょっとスゴいからな。それなりに戦力として期待してもらっていい」

 

「うん、わかっとるよ。それは本当によくわかっとるよ」

 

麗日嬢の向けてくる顔はなんだろ?

 

「そうだ神像くんの個性ってなんなの!外見からは異形系に見えるけど!複数の個性があるみたいに力は多彩だよね!特にあのロボを消し飛ばした光線は……」

 

緑谷くんいきなりテンションが上がったな。自分の力は隠して相手の力は知ろうとするか。毎年ある最後の対戦のためか。中々に強かだな。

 

「ふふ緑谷くんの言う通り私の個性は多彩でね。詳しく語る時間はない。ただ競技でやるつもりの力の事だけは教えておこう」  

 

 

……教えておこうと言うより教えるしかない。

 

チームを組めなかった場合の保険……消せない。さっきから地味に苦しい。これは陣痛か。はやくだしたい。

 

 

「力ってなんなん?」 

 

話し掛けないでくれ。キツいんだ。いや話さないといけないんだが。

 

「発目嬢風に言えば私の"ベイビーの力"だ」 

 

ううう、む、本格的にやばいな。

 

「ベイビーって発明品のこと?発明品はダメなんじゃ」 

 

「いや発明品じゃないよ」

 

私は三人にだけ聞こえる声で何をするか教えた。本気で限界も近いので早口で

 

「えぇえ!!?」

 

「そ、それが出きるなら確かに騎馬戦で有効そうだけど……」

 

「常識知らずですねぇ」

 

説明後、3人に驚いたような反応をされた。流石に発目嬢の発言は納得できん。君のベイビーの活躍の場を私の"ベイビー"が奪ってやることで意趣返しをしようか……そう言えばルール的に大丈夫か?  

本格的に腹部がゴロゴロとしてきたので瞬間移動並みの速度で恥女先生の元に。

 

 

問題なかった。

変態教師にやることがルール的に問題ないか確認したあとチーム集めの時間は終わり。出すタイミングが……早くしてくれ

 

『いよいよ第2競技の開催だ!注目はなんと行っても障害物競争一位と二位が組んだ最高ポイント騎馬か!馬役がこええな!』

 

私たちは騎馬を組んだ。緑谷くんが騎馬の上、女子二人が後ろで前に私だ。最後の怖い馬とは誰だ?いやそんな事を気にしてる余裕はない。出る出てしまう。

 

「ほ、本当にできるん?」

 

悪いが返答せずに私は普段収納されてる尻尾を伸ばす

 

 

「ひい!」

 

おっとスマナイ、伸ばした尻尾が顔の横をヌルッとカスッたか。準備はできた。あとは合図を待つのみ、本当に早くしてくれ。

 

『第2競技、騎馬戦のスタートだ!って1位がなにか可笑しいぞ!』

 

よし!!!

 

その声と同時に私の尻尾が膨らむ。膨らみは移動して先端に、少し痛い。これが"産みの"痛みか。

  

私は尻尾の先端を開く。

そして飛び出た五つの影。

よしよしちゃんと動いている。

初めてだったが無事に産まれたな。 

……あぁスッキリして爽快な気分だ。

我ながらよくあんなサイズのが5匹も入っていたな。

 

『へ…あ………ま、また神像がとんでもない事をしやがったぁぁ!!』

 

『……』(絶句)

 

 

「ふふ、では私のJr.たちよ。頑張ってくれ」

 

 

 

「「「キキーー!!!」」」

 

 

 

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