歴史に名を残す男になりたい。それは忘れ去られたくないということでもあるのかもしれない。私はきらびやかな道を歩むヒーローになりたかった。しかし今の私はヴィジランテ、非合法な活動を行う者。闇に潜むことは避けられないのだとしても、光を浴びたいと思ってしまう。ヴィジランテとして活動しながら全世界に私の動画を配信していたら、ファンだという女性が現れて私の手伝いをしたいと言い出し始めた。無二の相棒となった女性は私へ更なる力を与えてくれたのだ。彼女の思いに応える為にも今日も私は悪と戦い続ける。公に認められることがないとしても1つでも多くの悪を倒そう。ヒーローになれなくとも私は悪と戦うヴィジランテとして活動をしていく。非合法な活動で個性を無断で使用する犯罪者として有名となったとすれば、それは悪名となるのかもしれない。だとしても私という存在が此処にいたという証にはなる。誰もかにも忘れ去られて朽ち果てていくよりかはマシだ。ヴィジランテを悪だと言う者もいるが、だったら私は悪でも構わない。悪として悪と戦おう。私は立ち止まらずに戦い続ける。より良い明日が訪れると信じて、悪を倒し続ける。相棒と共に、そして悪と戦う内に出会った仲間達と共に戦いを続けていくと決めておく。今日もまた悪を倒した。
「勝利の後の、紅茶の味はどうかなグリーン」
「悪くないですよジェントル」
紳士の様な恰好をした男と緑色の髪で顔を包帯で覆い隠した少年が、優雅に紅茶を飲んでいた。周囲には失神したヴィラン達が山積みになっている。彼等2人だけで倒したことは間違いない。
「今日のジェントルも素敵!」
そんな2人をビデオカメラで撮影している小柄な女性の姿があった。
1
時は流れに流れて雄英高校入試の時がくる。持ち込みは自由なので大量の得物を背負った緑谷少年が歩いていると俺の前を歩くんじゃねぇデクとか言ってくるばなんとかくんが現れたが緑谷少年は普通に無視して前を歩くことにしたようだ。歩いていくとばなんとかくんがヘドロ事件のと言われているのが聞こえてくるが、それも無視して突き進む緑谷少年。マイペースな緑谷少年にばなんとかくんが怒って駆け出して行ったが緑谷少年は気にせず歩いていく。途中で出会った丸顔の女の子が得物を沢山背負った緑谷少年を見て凄い背負っとると驚いていたりもしたが緑谷少年は気にしない。会場でハイテンションなプレゼントマイクの説明が始まり、ポイントのついた仮想敵が出ると説明をされた。ばなんとかくんとは試験会場は別になるようで、デクを潰せねぇじゃねぇかと声を漏らすばなんとかくんにできもしないことは言うの止めた方が良いよと言う緑谷少年。沸点が低いばなんとかくんはそれで怒って大きな声で暴言を吐いたが眼鏡の真面目そうな男の子に注意されていた。そんなことがありながらも入試試験の会場に移動する。移動して直ぐに始まった試験に戸惑う受験生達の中からひと足先に抜け出して背負った得物を引き抜き真っ先にロボットを殴り壊し始める緑谷少年。出遅れたことに気付いた他の受験生達もようやく動き始めた。止まることなく動き続けて背負った得物をふんだんに使い捨てながらロボットを破壊していく緑谷少年。稼いだポイントは既に50を越えており、襲われていた誰かを助けたりもしながらロボットを壊していく。合格圏内に入ったことは察していたが、それでも止まらず動き続ける緑谷少年。倒してもポイントにならない0ポイントの巨大ロボットが現れて逃げ惑う受験生達。瓦礫に足を挟まれて動けない丸顔の女の子がいたので迷わず助けにいく緑谷少年。得物の頑丈な鉄パイプを瓦礫に差し込みテコの原理と腕力で瓦礫を持ち上げてやり助けだした。
背負っていた得物を全て置き、助けだした女の子を背負って安全なところまで運んでいく。運び終わったところで試験が終了となった。怪我人がいないか確認しにきたリカバリーガールに背負っていた丸顔の女の子を預けて帰ることにした緑谷少年。そんな彼に助けてくれてありがとうと丸顔の女の子が言っていた。ヒーローは人を助けるものだから当然のことをしただけだよと笑って去っていく緑谷少年。雄英入試試験は終わった。受かった者もいれば当然の如く落ちた者もいる。狭き門を潜り抜けた者達だけが雄英高校で学生生活を歩むことができるのだ。
届いた入試の結果が室内に投影される。ナンバーワンヒーローオールマイトが映し出されて少しは驚いた緑谷少年。入試試験のヴィランポイント58点レスキューポイント40点合計98点で筆記試験も文句なしの首席合格だと言い渡された緑谷少年。無個性でこの記録を叩き出したのは雄英で君が始めてだとオールマイトに言われて、緑谷少年は無個性でもヒーローになれると証明してみせると拳を握り決意を新たにした。雄英に合格したと母に伝えると涙を流して緑谷少年に抱きついて良かったと喜ぶ母。今日はカツ丼にするねと言う母にありがとうと笑う緑谷少年。好物のカツ丼をほうばり笑顔になった緑谷少年を笑顔で見つめる母。幼い頃からの夢だったヒーローの第一歩を歩んでいる息子に涙腺が緩くなる緑谷引子。無個性だろうとヒーローになれるって証明して見せると言った息子が有言実行した。誇らしい息子を持てて幸せだと思う母に、おかわりと丼を差し出す緑谷少年。母は笑っておかわりを用意した。
2
雄英高校の制服に身を包んだ緑谷出久。行ってきますと母に言い、玄関から出て歩いていく。向かう先は雄英高校。これから緑谷少年の学舎となる場所だ。到着した雄英高校の1年A組、そこが緑谷少年の所属するクラス。異様に高い扉を開けて入り込んだ中には真面目そうな眼鏡の男子と、ばなんとかくんが言い争う姿が見えた。またばなんとかくんと同じクラスになったのは腐れ縁があるのかもしれないなと思いながら緑谷少年が自分の席に座ると丸顔の女子が話しかけてきた。同じクラスだね、よろしくと笑顔の丸顔の女子にそうだねよろしくと返事を返す緑谷少年。自己紹介をしようかと思っていると寝袋に入った小汚い男性がゼリー飲料を素早く啜り、担任の相澤消太だと言って全員体操着に着替えろと言い出したので着替えることにした緑谷少年。全員着替え終わり移動した先で個性把握テストが始まった。入試首席だったことからまず最初にボールを投げろと言われる緑谷少年が全力でボールを投げると担任教師の持つ装置に350メートルと表示される。無個性でそれだけの記録を出せるなら上出来だと言った担任教師、A組の生徒達に本当に無個性かよと驚かれる緑谷少年。
個性把握テストを面白そうと言った生徒がいたことが担任教師の琴線に触れたのか、最下位は除籍と言い出したA組担任教師。これは本気で言ってるなと判断した緑谷少年は全力を尽くすことを決める。結果として最下位は峰田というブドウみたいな頭をした生徒になったが除籍は合理的虚偽と嘘をついて終わりにした担任教師。見込みが無ければ容赦なく除籍にしていたことは間違いないと緑谷少年は確信していた。個性把握テストも終わり帰宅の時間となった。丸顔の女子と眼鏡の真面目そうな男子が緑谷少年を待っている。入試の試験会場が一緒だった面々で会話をしながら楽しく帰っていく。ばなんとかくんが言っていたデクは名前じゃなくてアダ名で出久が本名ですと訂正を入れながら会話をしていった。デクって頑張れって感じがすると丸顔の女子に言われようが出久ですと押しきる緑谷少年。緑谷少年が嫌がっているようなので流石に丸顔の女子もデクと呼ぶのは止めてくれたようだった。
3
オールマイトが指導する戦闘訓練。生徒達は皆服を着替えて用意をする。緑谷少年も耐寒耐火耐爆防弾防刃で全身を覆う黒いボディスーツの上に深緑の防護コートを身に纏っていた。初めての授業でカンペ片手に生徒達へ指導するオールマイトを見ながらレッドさんが此処にいたら凄いことになってただろうなと考えるグリーン。後でレッドさん用にサインもらっておこうかなと考えているとクジ引きが始まり、2人組で別れることになった。緑谷少年が組んだ相手は丸顔の麗日さんでヒーローチーム。対戦相手は、ばなんとかくんと眼鏡の飯田くんでヴィランチーム。屋内で行う戦闘訓練が始まり2人で移動している緑谷と麗日に突撃してきた1人。ばなんとかくんが腕を振りかぶって攻撃してくるのを完全に予想していた緑谷少年は麗日さんを突き飛ばして退避させてから、爆破をものともせずにばなんとかくんの腕を掴み三角絞めの体勢に入ると一瞬で絞め落とした。通常絞め技では気管の両側に沿って走る総頸動脈だけを絞めるが緑谷少年は通常は骨に保護されている頸椎動脈も絞める方法を知っており、第一頸椎骨から頭蓋骨に入るところで骨から長く出てたるみを作っているそこを頸椎動脈とともに圧迫することで一瞬の内にばなんとかくんを失神させたのだ。一瞬で無力化されたばなんとかくんに驚いた麗日さんに笑顔でまず1人と笑う緑谷少年。とりあえず確保証明となるテープも失神しているばなんとかくんの両手に巻いておいた。
1人になった飯田くんが抱えている仮想核爆弾を麗日さんと2人で確保しにかかる緑谷少年。飯田くんのスピードに素で着いていく緑谷少年に遅れながらも自らに個性を使用して飛び上がる麗日さん。麗日さんと連携して飯田くんを追い詰めた緑谷少年は装備の1つであるフックショットを用いて一気に距離を詰めると核を確保した。ヒーローチームが勝利して初対戦が終了となる。総評の時間に入りヴィランに徹した飯田くんと動きの良かった緑谷少年とサポートした麗日さんが褒められる中でばなんとかくんだけが酷評されていた。単独行動で突っ走った挙句に速攻で返り討ちにあった結果があるので厳しい評価が推薦入学者から下される。それを聞いているばなんとかくんは馬鹿にしていた相手に敗北したショックが大きかったのか静かだった。その後も戦闘訓練は続いて推薦入学者の轟が圧倒的な実力差を見せつけた時も何にでも噛みつくばなんとかくんが静かにしていたのを珍しいなと眺める緑谷少年。全ての戦闘訓練と総評が終わり1人駆け出していくばなんとかくん。とりあえず面白そうだから追いかけてみた緑谷少年が追いついて話しかけてみる。
「何の用だデク」と言いながらもばなんとかくんが泣いていたのでとりあえず写真をこっそり撮影しておく緑谷少年。酷評をその通りだと思ったとか推薦入学者の轟に勝てないんじゃねぇかと思っちまったとか色々と思いの丈を語ったばなんとかくんがこっから俺は一番になってやるとか言ってるのを聞いた緑谷少年は「もしかして脳に酸素が行き渡ってないのかいばなんとかくん。きっとこれは僕のせいだね、ごめんよまさかあんなに僕のことを馬鹿にしていたのにちょっと軽く絞め技かけただけで失神する糞雑魚だったなんて思ってもみなかったから。所詮は口だけの人間だったってことをちゃんと理解してなかった僕が悪いね。ブッ殺すとか死ねとか良く言うけど実際に殺したことなんてないもんねばなんとかくんはさ。性根がみみっちいから大それたこと出来ないよね君。中学時代に僕が君に手を出したことは一度もないけど勝手に君が怪我したことはあったよね。僕が襟に仕込んでた剃刀を掴んで勝手に君が怪我したことはあったけど僕が君に手を出さなかった理由が良く解ったんじゃないかな。ヒーローになる人間がヴィラン以外に手を出したら駄目だよ。そう考えるとばなんとかくんはヒーロー失格だけど本当にヒーローになる気があるのかい。言動も行動もヴィラン志望にしか見えないよ本当。しかも僕に瞬殺される程度の実力しかないヴィランだから同級生をモブとか馬鹿にしてたばなんとかくんはモブ以下なんだけどそこのところはどう思うのかな。まあ正直どうでもいいけどね糞雑魚ナメクジが何言おうが負け犬の遠吠えにしかならないしね。あ、負け犬語じゃないと解んないかなわんわん。ちなみに今のは負け犬泣いてるマジウケるって言ってみたけど通じたかな。というか何で泣いてるのかなばなんとかくん。そんなに悔しかったのかい。自分が糞雑魚ナメクジだってことがようやく解ったみたいだねばなんとかくん。調子に乗ってた割には打たれ弱いのかな。普通あの程度で泣かないでしょ。ばなんとかくんがどうなろうと僕には関係ないから良いけどね。じゃあさよなら、ばなんとかくん」
言いたいことを言うだけ言って笑顔で立ち去る緑谷少年。ご機嫌にスキップしながら帰っていく。
あのクソデクがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
怒りの余り悔しさを忘れたばなんとかくんは爆破の個性を発動させながら空中を移動して緑谷少年に接近して襲いかかるが爆破を喰らわせる前にオーバーヘッドキックで撃墜されて地面をバウンドして跳ね上がったところに踵落としを喰らって気絶した。
爆豪勝己2度目の敗北。