鬼ノ闘い   作:黒蜜黄粉

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ちょっと短めです!


第壱譚 ー鬼殺隊の安息所、胡蝶の屋敷ー

 「………くそッ」

雑木林を掻き分け広いところへ出る。そこは歓楽街のようになっていて、色々な食べ物や香水の臭いが漂っていた。

「………臭いキツいな」

香水の臭いが鼻をつく。

本当はそれよりもキツい臭いがあるのだが感覚が麻痺していてその臭いだけクサイと感じなかった。

道行く人が皆、俺を見て遠ざける。

中には軽蔑するような目で見るやつもいた。

……あれ?もしかして()()になってたかな?

そう思い、おでこを触るが特に何も変化はない。

そこで俺は気づく。

自分の姿が血まみれだったのだ。

傷はもう()()()が、それでも反り血や自分の傷口から出た血が消えることはない。

俺は何処か体を洗えるところが無いか探したがどこにも見当たらない。

 

そう思って右往左往しているとふと目の前に俺と同じ服に変わった羽織を着た女性が立っていた。

蝶の髪留めで髪を括りつけている。

めちゃくちゃ美人!

「………もしもし?」

「え、俺?」

俺は女性に声をかけられあたふたしていると

「……あなた、鬼殺隊ですよね?」

「……え、はい」

「階級は?」

「………え?」

「ですから階級です」

俺は誰かがそんなこと言ってたような気がして思い出そうとする。

……そうだ、確かあれは……二人目の師匠が言ってたっけ?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『……鬼殺隊には階級がある。階級は(みずのと)から……ーーまであり、お前はーーーーだから……』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そう、確か癸がどうとか言ってたな………。

「?もしかして、階級が分からないのですか?」

「へ、いや?癸……(みずのと)だよ」

「癸ですか……しかし大丈夫ですか?その怪我」

「大丈夫だよ、もう治ってる」

俺は肩を動かして元気な素振りを見せる。

「………………。そうですか、失礼ですが住むところは?」

「?、まだ決まってないよ。藤の花の旅館にでも泊まろうかなって………」

「でしたら、私の家に泊まってください」

「へ?いや、いいよ……。俺は旅館探すから」

「すぐ近くなので遠慮なさらずに………」

そう言って腕を引っ張られた。

 

………マジで!!俺、もう大人の階段上っちゃう系なの?こんな美人さんと!!?

蝶留めの女性は何も言わずにズンズン突き進む。

 

「着きましたよ」

歩いて五分。そこには家にしてはでかすぎる建物が建っていた。

「広ッ、豪邸……やな」

「まあそうですね。ここは鬼殺隊の病院みたいな所なので………」

「え、病院!?」

「そうですよ?ここは色々な傷を負った鬼殺隊が運ばれてくるところです」

「………そすか………」

「あれ?何か勘違いしてましたか?もしかして……女性と二人っきりだヤッホー!とか考えたりはしてませんよねぇ?」

女性は俺の方を向いて指をツンツン突き立てる。

俺はバレないように女性の反対方向を向くが顔は赤面していた。

「そんなわけないじゃないですか……ホラ、行きますよ!」

俺はそう言って女性の指突きを振りほどいて病院の中へと入っていった。

 

 

 

病院なので安静に出来ると思ったら何やら騒がしい。

「猪突猛進!猪突猛進!」

「コラッ伊之助!ダメじゃないか周りの人に迷惑かけて……」

「うるせぇ!権八郎!」

「俺は炭治郎だ!炭・治・郎!」

「そうか悪かったな!短髪量!」

「はあ………」

 

何やら凄い騒がしい。

と思いながらも入り口から入り、廊下を曲がる。

すると向こうから猪頭の人形がこっちに向かって突っ込んできた。

「はあ!?」

「猪突猛進!お前ぇ、強いな!」

猛スピードで突っ込んでくる。

俺は咄嗟に猪頭を裏拳でいなす。いや、いなしたと言えば軽く聞こえるが、実際裏拳で思いッ切り殴った。

「ブゴッ!」

猪頭はそのまま横の壁にめり込む。

「な、なんなんだコイツ……鬼、じゃないよな?」

俺は恐る恐る壁から猪を抜こうとすると……「ぶはぁっ」といきなり顔を出してきた。

 

「くそッ!お前、つええ。今の拳?なんだ!?」

猪頭は顔を引っこ抜くと頭をフラフラさせて千鳥足になっていた。

「おーい、大丈夫かー?頭回ってるかー?」

……強く殴りすぎたな。

「おーい!伊之助ー!」

すると猪頭の後ろの方から声がする。

散切り頭の少年がこっちに向かって来た。

「ダメじゃないか!他人に迷惑かけて!あ、すいません……こういう子でして……」

散切り頭の少年は猪頭に叱りながら俺に謝ってきた。

 

忙しいやつだな……。

「いやいいよ」

俺はそう言うと蝶留めの女性に話しかける。

「それで……「ちょっと!大丈夫ですか!?」……あ?」

……遮られた。

「服凄い血まみれじゃないですか!?」

散切り頭の少年は俺の服を見て心配していた。

「ああ、これ?大丈夫だよ。これ鬼の反り血だし」

「…………?そうですか!じゃあ俺はこれで!」

そう言って散切り頭は猪頭を抱えて何処かへ行ってしまった。

もう一度蝶留めの女性に話しかける。

「それで、俺は何処で休めば良いんですか?」

蝶留めの女性はあわてて「こ、こっちですよ」と案内してくれた。

俺は蝶留め女性に着いていく。

しばらく歩いたところで

「ところで貴方、名前は何て言うんですか?」

「え、あ、俺?俺は……司原 響玄(しはら きょうげん)。よろしく」

「そうですか、私は胡蝶(こちょう)しのぶ。今後ともよろしくお願いします」

「そうか、胡蝶さんか。ところで今日の飯は何かな?」

「あなた、マイペースですね」

「?そうか?」

そんなやり取りを進めながら自分の病室へと進んでいく。

「あ、ここです」

「ここか」

胡蝶が止まりだす。手前には横に引く障子が備え付けられていた。

俺は障子を開けて中を覗いた。

……誰もいない。

中にはベッドが一つ。

とても狭く暗かった。

しかもベッドがボロッ!

「……ええーと、すいません。病室借りといてなんですが他の部屋に代えてもらうってのは………」

「何か不満でも?」

「いや、ちょっと暗いなって………」

「分かりました。では違う部屋にしましょう」

そう言うと胡蝶は左へと進んだ。

そこにはもう一つ障子があり、そこを開けると中には開放的な空間が広がっていた。

 

「おおおおおお!」

ベッドは三つあり、窓も三つ付いていた。

何より広い!

窓から吹く風が気持ちいい!

窓から差す光が気持ちいい!

窓から見える太陽が気持ちいい!

 

完璧だった。

「気に入りましたか?」

「もちろん!」

「それはよかったです。あ、夕食は六時くらいにお持ちしますね。天ぷらなので楽しみに待っててくださいね」

「分っかりましたぁ!」

俺は胡蝶が出ていくのを見送ると衣類を脱ぎ捨て、そのままベッドへダイブした。

そして肌着姿で廊下を歩き、脱衣所の洗濯籠に隊服をぶちこみ部屋へ戻った。

そこから飯まで熟睡したのだった。

 

 

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