ゲゲゲの鬼太郎 火黒憑依伝   作:ボートマン

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遅くなり申し訳ありません!
色々と立て込んでしまい書くのに時間がかかってしまいました。
これからもなるべく早く投稿出来るよう頑張ります!
というわけでどうぞ!


第四話

鬼太郎と会ってからそれなりの日にちが経った。

 

街の方は何か騒がしい時があったが、あまり興味が沸かなかったため無視した。

 

無視している間は山で刀を出して素振りをしたり、走り込んだりして鍛えていた。

 

地味かもしれないがこういうことを常日頃から行っていれば、多少だが力になる。

 

そうして鍛えて中、今日は久しぶりに山を下りて街に来た。

 

「ここはいつも通りで何も変わらないな」

 

人気のない所をふらふらと街を歩いていると、誰かが近づいてくることに気づいた。

 

隠れようと思ったが近づいてくるのは、最近自分に懐いた人間の少女のまなだった。

 

そんなまなは何かから逃げるように走っていた。

 

「よ!そんなに慌ててどうしたんだい?」

 

火黒が声をかけると、まなは安心したような表情になった。

 

「黒にい!」

 

何があったのかは分からないが、火黒はこの場に巨大な妖気が近づいていることだけはわかった。

 

「(これは・・・久々に歯ごたえのありそうな奴が来たか)」

 

だが、火黒はこの場では戦う気はなかった。

 

理由は当然まなだ。

 

本気で戦わなくても戦いの余波で傷つく可能性がある。

 

他に理由があるとすれば、ここは住宅街でもあることだ。

 

もしここで戦えば、周りの被害がどうなるか分からない上に騒ぎになる。

 

「まあ、とりあえず話はここを離れてからするか」

 

そう言い火黒はまなを抱える。

 

「え?黒にい?」

 

突然抱えられたまなは戸惑っているが、火黒は気にせず移動する。

 

とりあえず人気のない場所の方がいいため、飛び上がり辺りを見渡す。

 

「え?ええええーー!?」

 

突然飛び上がったことにまなは驚きを隠せず叫んでいた。

 

そして、誰もいない公園を見つけそこに移動することにした。

 

公園に着いた火黒はまなを下ろして、周辺を見渡して追ってきていないか確認する。

 

「これで少しは時間が稼げるだろってどうしたんだい嬢ちゃん?」

 

火黒が声をかけてもまなは未だに呆けたままだ。

 

「(まあ突然飛び上がったり移動したりしたから驚くのも仕方ないか)」

 

普通、人間は飛び上がったり何処かに一瞬で移動することなどない。

 

そのためまなの反応はおかしくなく、これが普通の反応だろう。

 

そして、まなは正気に戻ると火黒に近づく。

 

文句の一つでも言われても、自分に非があるため受け入れようとする。

 

「ねえ!今のって黒にいがやったの!?」

 

「あ、ああ。そうだけど」

 

「やっぱり!私こんなの初めてでドキドキしたよ!」

 

「えっと、怒らないのか?」

 

「え?何で怒る必要があるの?黒にいは私のためにやってくれたんだから怒る必要はないよ。だからね黒にい、ありがとう」

 

しかし、来たのは文句ではなく感謝の言葉だった。

 

感謝されたことに流石の火黒も驚いて何も言えなかった。

 

しかし、ここで時間を無駄にするわけにはいかないため、火黒はまなから事情を聞く。

 

まなによるとある古民家に社会科見学に行った翌日から何かに付きまとわれていたそうだ。

 

「ふむ。ねえ嬢ちゃん、その時何か変わったことあったかい?」

 

「変わったこと?えーっと確か掃除してない男子を注意した時にその男子が石碑にぶつかったんだけど」

 

石碑と言う言葉に火黒はそれが原因だと確信する。

 

おそらくその石碑に妖怪が封印されていたが、石碑が倒されたことで封印が解かれた。

 

そして、封印から目覚めた妖怪はその男子とまなを最初の標的にして襲ったのだろう。

 

「なるほどね。それじゃあこれからどうすべきかね」

 

事情を聞いた火黒はこれからどう行動すべきか悩む。

 

火黒としてはこの場でなら人間も近づいていないため、ここで戦うことに問題はない。

 

しかし、その妖怪はまなだけを狙う可能性もあり、戦っている最中にまなを攻撃するかもしれない。

 

誰かがまなを守ってくれるなら問題はないが、近くにいるのはカーブミラーからこっちを見ている妖怪だけだ。

 

ただ此方を見てるだけで、どうすべきか迷っている様子で敵ではないため放置する。

 

「どうしようかね~」

 

頭を悩ませていると、くだんの妖怪が火黒達の近く来ている中、こっちに急いで向かってくる妖気に気づいた。

 

「この妖気は・・・鬼太郎か?」

 

鬼太郎には妖怪アンテナがあるからあんな巨大な妖気が移動していたら気づくのも当然だろう。

 

とはいえ鬼太郎が到着するよりも、くだんの妖怪の方が先に到着するため間に合わない。

 

「仕方ない。しばらくは逃げ回るか」

 

「え?黒にい?」

 

火黒は再びまなを抱え、いつでも逃げやすいよう準備する。

 

そして、くだんの妖怪はついに姿を現した。

 

現われたのは巨大な骸骨で敵意を隠すことなく火黒達に向けてくる。

 

「う、嘘。が、骸骨?」

 

目の前に現われた骸骨の妖怪がしゃどくろは巨大な骨の手を振り上げ、火黒達を叩き潰そうと振り下ろす。

 

しかし、そこまでは速くないため火黒は難なく避ける。

 

「しっかり捕まってろよ嬢ちゃん」

 

「は、はい!」

 

火黒の言葉にまなはギュッと火黒にしがみつく。

 

そこからがしゃどくろは再び叩き潰そうとしたり殴りつけたりするが、その全てを火黒は悉く回避する。

 

「何だこの程度か」

 

ただの力任せに攻撃に火黒はつまんなさそうにすると、がしゃどくろの目の部分が赤く光り出す。

 

やばそうな気がして警戒していると、がしゃどくろは目から赤い光線を放ってきた。

 

光線は避けた先にあった街灯は命中すると、穴が空いて街灯が倒れてその先の地面に大きな穴が出来ていた。

 

「へえ~面白いことするな」

 

自分が知るがしゃどくろは目から光線を放つ何て聞いたことはない。

 

とはいえあの光線が当たれば、火黒といえどタダではすまない。

 

「ま、当たればの話だけどね」

 

がしゃどくろは光線を何度も放つが、火黒は問題なく光線を避ける。

 

「嬢ちゃん大丈夫かい?」

 

「う、うん。大丈夫だよ黒にい」

 

一応まなに大丈夫か聞いてみたが、大丈夫そうで火黒は安心する。

 

「しっかしまあ派手にやるなあ」

 

がしゃどくろの光線によって木は吹き飛ばされ地面に大きな穴が複数空いている。

 

そして、また光線を放とうとするがしゃどくろの頭に下駄が命中した。

 

見ると烏のブランコに座った鬼太郎がリモコン下駄を飛ばしたのだろう。

 

「まな!」

 

「あ!鬼太郎!猫姉さん」

 

がしゃどくろは下駄が頭に当たったことで怯んだようで、火黒は鬼太郎が着たのを見てまなを下ろす。

 

ブランコから降りた鬼太郎と猫娘は直ぐさままなの元に駆け寄る。

 

「火黒、お前がまなを守ってくれたのか?」

 

「まあ、成り行きでね」

 

「そうか。それでもまなを守ってくれてありがとう」

 

「そんな頭を下げることでもないよ。ただ俺はあいつと戦ってみたかったからな」

 

頭を下げる鬼太郎に火黒は気にせず、視線をがしゃどくろに向ける。

 

リモコン下駄をくらったがしゃどくろは何事もなかったように此方を見ている。

 

「さて、それじゃ嬢ちゃんの方は頼むよ?」

 

これまで我慢していたため、火黒は刀を一本出すと手始めにがしゃどくろの右腕に斬りかかる。

 

「おっ?」

 

しかし、火黒の刀は右腕を斬り落とすことが出来ず甲高い音が響く。

 

がしゃどくろから一端距離を取り、刀を見るが刃こぼれはしていない。

 

「ほお~ちょっと堅いな。なら」

 

もう一度右腕に斬りかかり、今度は少し妖気を込めてみる。

 

すると、がしゃどくろの右腕は先程とは違いたやすく斬り落とされる。

 

「ふむ。込める妖気の量によって斬れ味は変わるか」

 

妖気を込めたままの刀を見ながら考える中、右腕を斬り落とされたがしゃどくろは火黒に光線を放つ。

 

「よっと」

 

光線に気づいた火黒はヒョイッと光線を避けると刀を構える。

 

「一体何する気なのあいつ?」

 

鬼太郎達が火黒とがしゃどくろの戦いを見守る中、猫娘は火黒の行動に不安そうに見る。

 

がしゃどくろが光線を放とうとする時、火黒は刀に更に妖気を込める。

 

「そらあ!」

 

そして、光線が放たれると火黒はその光線を斬り裂いた。

 

「ええ!」

 

「そんな!」

 

「嘘でしょ!」

 

「何と!」

 

光線を斬り裂いた火黒に鬼太郎達は驚きの声を上げる。

 

「これでしまいにするか」

 

そのまま火黒はがしゃどくろに接近すると、刀を振り下ろして頭を両断する。

 

頭を両断されたがしゃどくろは粉々になって地面に落ちる。

 

その後、がしゃどくろの魂が出るも消滅した。

 

「ま、今回はそれなりに楽しめたかな」

 

鬼太郎達の所に行くと、皆未だに驚いているのか呆けた表情をしていた。

 

「黒にいさっきの凄すぎるよ!」

 

そんな中いち早く正気に戻ったまなが火黒を褒める。

 

「ん?そうかい?」

 

「そうだよ!あんな光線斬るなんてびっくりしたよ」

 

「そう言われると悪くないねえ」

 

褒められたことに火黒は少し照れくさそうにする。

 

「さて、俺はそろそろお暇させて貰うよ」

 

「え?もう行っちゃうの?」

 

寂しそうにするまなに火黒は頭に手を乗せる。

 

「また会えるからそんな顔しなさんなよ」

 

「うん、わかった!それじゃ約束だよ!」

 

「ああ、約束するよ」

 

頭から手を離し、鬼太郎に向き直る。

 

「次に会う時は強くなってるのを楽しみしてるよ、少年」

 

そう言うと火黒は何処かに消えるのであった。

 

鬼太郎は今回の戦いで火黒の実力の一端を知ったが、それは鬼太郎の予想の更に上をいっていた。

 

「火黒。僕は・・・絶対にお前に勝つ」

 

それでも鬼太郎の闘志は消えることなく、更に燃え上がったのであった。




というわけでどうでしょうか?
今回の話では鏡じじいの出番を完全に奪う形になってしまいした。

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