二度目の転生はありふれた職業な世界   作:ライダーGX

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第9話 活動開始

新一が魔物の肉を食い、進化してだけでなく、勇者としての天職が発揮されてから翌日、新一は奈落の底の洞窟内の辺りを調べに入った。

 

副天職の鉱物系鑑定で鉱石を調べ、使える素材を探していた。

 

「さて。どれが良いかな…ん?」

 

するとある物が目に入った。

それは黒くて何だかとても硬い鉱石があちらこちらとあったのだ。

 

新一はそれを目に付けて、調べてみるとステータスプレートに表示された。

 

 

 

【タウル鉱石】

 

黒色で硬い鉱石。硬度8。靭性8。

衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。冷やすことで脆くなる。熱を加えると再び結合する。

 

 

 

「へぇ…、衝撃と熱に強いのかこいつ、冷気…冷たさにはダメってことか。つまり氷を使った魔法では弱いって事だな、使うときは気を付けないと。

さて…次はどんなのがあるかな?」

 

新一はタウル鉱石を持ってポケットに入れて、別の鉱石を探し始める。

 

するとまた別の鉱石を見つけて、調べてみると。

 

 

 

【燃焼石】

 

可燃性の鉱物。

密閉した場所で大量の燃焼石を一度に燃やすと爆発する可能性、その威力は量と圧縮率次第で上位の火属性魔法に匹敵。

 

 

 

 

「おお、可燃性…って事は火薬だなこれ。よし、これならば出来るぞ。よし、早速してみよう」

 

っと新一は片手で鉱石を錬成し作業をする………っと思いきや、右手だけではなく、なぜか失った筈の左腕(・・・・・・・)を使って、器用に錬成する。

 

しかし何故クマの魔物に斬られた筈の左腕があるかと言うと、それは昨日の事であった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

新一は設計図を見ながら何を作るかを考えていて、一枚一枚、設計図をめくりながら見ていた。

だが片手だけではどうも見るのに手間が掛かっていた。

 

「くっそ…、片手だけじゃ不便だ…。どうしようかな…『ツルッ!』おっと!!」

 

次の設計図をめくろうとした時に体制を崩し、そのまま倒れてしまった。

 

 

ペキッ!!!

 

 

その時に、アリスから貰ったブレスレットに当たってしまい、ブレスレットにヒビが入ってしまった。

 

「あっ!!ブレスレットが!! やっべぇ!!」

 

壊したら夢の中でアリスに怒鳴られると思い、すぐに錬成で直そうとした時に、ブレスレットが光って新一の腕から離れていく。

それに新一は思わず目を見開き、そして目の前に光が降りてきて、緑色で半透明の液体が入った3本の小瓶と手紙が出てくる。

 

「これは…」

 

ブレスレットが3本の小瓶に変わったのを見て、新一は唖然とするが、その小瓶を拾って見ると、一気に表情を変えて驚く。

 

「ん?って!!!これは『再生液』じゃないか!!? 『ヘイムダル大神殿』でしか手に入らない神器の薬品がどうしてこれに!?」

 

新一は驚いたのも無理はない、なにせそれは異世界ディスペアにしか存在しない薬なのだ。

 

 

【再生液】

 

 

異世界ディスペアに存在し、ヘイムダル大神殿にある薬品。魔力の結晶が長い年月を得て、液体となって溶け、回復の液体として現れた。

 

その名の通り、その液を飲むと失った臓器や血液、そして定期的に飲んでいくと、時間はかかるが失った身体の腕や足を復元する事が出来る。

ただしこれは貴重な薬品である為、なかなか手に入る事が出来ない。

 

しかも単価は高く、下手すれば80万近くの大金が必要となってくる。

 

それだけ貴重な薬品で神器と言われる物だのだ。

 

 

その再生液がブレスレットから変化するのは驚いた新一だが、それを見て、次に手紙を読む。

 

『新一さん…、この手紙を読んでいるって事は絶対無茶して、ブレスレットを壊してしまったのですね?もう…だから言ったじゃないですか。無茶はしないでって…。

でも新一はどうもそれを守ってくれなさそうなので、再生液3本をブレスレットに変化させておきます。

 

どうか大切に使って下さいね…。 アリス』

 

その内容に新一は思わず呆然としてしまった、まさかアリスがブレスレットにこんな細工をしていたとは思いもよらなかったのだ。

 

「すまないアリス…、でも3本じゃあまず足りない気がするけどな…。そうだ!この神水を使って、一緒に混ぜたらどうだろう?」

 

新一はコップに神水をすくい上げ、再生液を入れて混ぜる。すると神水が再生液と混ざり、少しばかり輝きを放ち、それに新一は驚く。

 

「おおっ!すげぇ! これなら…」

 

そう言って新一は輝く神水を飲み、一息すると身体にまた変化が現れる。

 

腹部の横腹の止血した火傷の後が綺麗に消えて、更に左腕が輝きだし、更に伸びていき、右腕と同じ長さになって、光が収まるとそこから綺麗な左腕が現れたのだ。しかも筋肉と骨が進化した腕として。

 

新一はそれに思わず見とれてしまい、左手を握り締めて確かめる。

 

「すげぇ…、一気に再生したよ…。通常なら一週間はかかるのに、でもこれならまた戦える! よし……ん?」

 

っと新一が再生液を戻そうとした時に、不思議に感じたことがあった。

 

それは再生液が一滴も減っていないからだ。

 

通常、液体は注げば減ってしまうはずなのに、それが全く減っていない事に疑問を持つ。

 

「どういう事だ…?一体何が…あ。まさか…」

 

新一はある物に気付き、首元から取り出して見る。

彼が取り出したのは無限ペンダント、もしや同じ鉱物系と思いそれを見て、ステータスプレートで確認してみる。

 

 

 

【無限ペンダント】

 

女神リリアーナから授けられた無限アイテム、これはあらゆるものが全く減らない効果を持っており、弾や手榴弾と言った消耗品だけじゃなく、乗り物系の燃料や電力のエネルギー、飲料水も含む効果を表す。

まさに完全な無限アイテム。

 

 

 

っとそう表示されているのを見て、新一は唖然とした。

 

「…あ、あはははは……。マジか? まさかこんな効果があるなんて、いや。そう言えばリリアーナも言っていた様な…」

 

 

──身につけると不思議なことにあらゆるものが無限の状態になるアイテムです。

 

 

「ははは…、思い出した。そうだったぜ…」

 

っと呆れながら自分の頭をかく新一だった。

 

 

 

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新一は少しばかり呆れながらも今の鉱物を使ってきよしの設計図を見て、とある武器を作っていた。

 

最初は上手くは行かないが、きよしの設計図の通りに作り、鉱物の硬さと使いやすさにした『銃と弾丸』に、更に燃焼石を粉末状にした『火薬』。それらを使ったリボルバー回転式拳銃がいま完成した。

 

「よし!出来た! この世界の初となる『ドンナー』の完成だ!」

 

っと出来上がった銃…、ドンナーを上に掲げながら喜ぶ新一、しかも名前までつけている…と言うが、すでに設計図に名前がついていたらしく、それを取ってつけている。

 

「よし、これなら大丈夫だ、弾も心配ない。さて…少し試し撃ちしてみるか、今日の食事を取るためにも」

 

そう言って新一はロングソードを持って、ドンナーを加えて狩りに出た。

 

そして、暗い洞窟の中で、一匹だけ魔物がいた。それはうさぎの様な魔物で、動きは遅そうだが、見た目とは違いとても早く、強い魔物だった。

新一はそれを獲物と捉え。ドンナーを構える。

 

すると気付いたのか、うさぎの魔物は回避する為、風の魔法を放ち逃げる。

逃がさない為か、新一は自身が新たに手に入れた固有魔法、纏雷で加速させる。

 

ドンナーは纏雷を応用する事によって、小型の超電磁砲と同じ原理にする事が出来る。言わば“レールリボルバー”と言えるだろう。

 

銃口から放たれる銃弾が、電磁加速によっと加速されて、威力が増しうさぎの頭部を直撃し、そして爆さんする。

 

ドンナーの威力に新一は思わず驚いた。

 

「すっげ、纏雷と一緒に使うとこんな風になるんだな。さあ、飯確保っと…」

 

そう言って新一は魔物を拾い、自分の隠れ家へと戻っていくのであった。

 

 

 

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そしてその頃、進次郎達一行はハイリヒ王国に戻って、オルクス大迷宮で起きた事をエリヒド国王に報告し、死者が出た事を伝えた。。

 

「なるほど、グランツ鉱石を囮にしたトラップか…」

 

「はい、突然の転移魔法により陣形は崩れ、ベヒモスの居る65階層に飛ばされ、あげくはその仲間が犠牲に…」

 

「65階層、ベヒモスが住み着く階層ですな。勇者一行に死者が出た事に国民が知れば、瞬く間にパニックになるでしょう」

 

イシュタルはその事をエリヒド国王に言い、それにエリヒド国王は頷きながら言う。

 

「この事は内密にする。よいな?」

 

「ッ…、はっ…」

 

メルドはその事に頭を下げて承知する。だがそれを納得しない者がいた。

 

「(冗談ねぇよ……!そんな理由で内密だと!?)」

 

進次郎はその事に納得がいかず、拳を握り締めながら悔しがっていた。

だがここで進次郎が暴れても解決にはならない、それを察した千春が進次郎の腕を掴む、それに進次郎は見て悔しがる。

 

その様子を見ていた雫は辛く重い表情をするしかなかった。

 

しかし進次郎達はこれで諦める程、愚かではなかった。

 

 

 

 

その夜、雫は1人木刀で素振りをし、自身の心を清めていた。

 

あの日以来、部屋では香織がまだ目覚めていない、精神的ショックが大きく、その影響が出ているらしい。

雫はその事に胸が痛くなり、そして腰にある剣を抜いて、刃を見ながら目を細くする。

 

「……どうかしてたわ、そんな簡単に行くはずがない。……こんな事なら天道君の話をちゃんと聞いて…そう言えば」

 

っと雫はその事に何か思い出した。

 

 

 

───その力に飲まれて、逆に人々を傷つけ、殺す事になってしまう…。

 

 

 

聖教教会でのあの一言、新一が光輝に放ったあの言葉を思い出し、雫は考える様子を見せる。

 

「まるで天道君、知っているかの様な言いぶりだった…、これに似た状況でもあったのかな…?」

 

そう言いながら素振りを済ませ、香織が眠る部屋まで戻っていくと、途中で雫はある人物達を見つける。

 

「あれ…?」

 

雫が目にしたのは進次郎達が門の近くで大きな荷物を持って、何やら準備をしていた。

それを見て、雫が進次郎達の下に寄る。

 

「上地君、郷田君に飯島君、それに千春もどうしたのよ…?」

 

「雫。私達…行くね」

 

「行くって?」

 

雫はそれに首を傾げると、進次郎がそれに答える。

 

「新一を探しにだよ」

 

「ええ?!でもあの状況じゃあ!」

 

「あいつは絶対に死なねぇ…」

 

進次郎の言葉に雫はそれに思わず言葉が止まる、進次郎は目に強い意思を宿しながら雫を見ながら言う。

 

「新一は決してあの程度では死なない奴だ、絶対に。俺達は新一を見つけて必ず証明してみせる!絶対にな!」

 

「だからごめんね雫、私達は行かなきゃならないの」

 

「でも…──」

 

「やはり行くか」

 

っとその言葉に進次郎達と雫は振り向く、するとそこにはメルドが立っていて、それに進次郎達は一瞬戸惑うも、すぐに決意の表情をしてメルドに言う。

 

「メルド団長、俺達は──」

 

「ああ、皆まで言わなくていい。どうせお前達の事だ。こう出てくる事ぐらい予想した」

 

その言葉に進次郎達だけじゃなく、雫も驚く。

メルドはある袋を取り出し、それを進次郎達に渡す。

 

「ほら、これを持っていけ。大金だがある程度は養える。残りは稼ぎは冒険者となって稼ぐ事も出来る、後はお前達ならできるな」

 

「団長…ありがとうございます!」

 

「じゃあ、行ってくるぜ。八重樫、白崎には俺達は新一を探しに行くって伝えておいてくれ」

 

そう言って荷物を持って、進次郎達は王国を出ていき、それを見届ける雫。

メルドは少しばかり情けない表情をしながら呟く。

 

「俺は…あの状況を受け入れる他なかった、新一を助けに行くと思っていたが。あの様な結果になるとは…今の自分が情けない」

 

「メルド団長…」

 

メルドはそう言ってその場を去っていき、その様子を雫は見つめる事しか出来ず、そのまま香織が居る部屋へと戻るのであった。

 

 




新一の左腕速攻復活ですwww

展開早すぎると思いますが、少しばかり予想外の展開もあってよろしいかと思いまして。

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