新たな技能によって、新型の武器『ドンナー』を完成させた新一は、それを使ってうさぎの魔物を仕留め、それを食料として持ち帰った。
新一は炎の魔法を使って肉を炙り、かなり変な匂いに耐えながら食べる新一。
胃酸強化のお陰で、もう苦しまない様になったが、何か不満な様子。
ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ゴックン!
「ブハッ! ふぅ…慣れないな、本当に、さてと…ステータスはどうかな?」
そう言って新一はステータスプレートを開く。
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天道新一 17歳 男 レベル:25
天職:勇者:副天職:錬成師
筋力:820
体力:900
耐性:1000
敏捷:1100
魔力:1300
魔耐:1300
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・魔法耐性・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査]・複合魔法・格闘術・剣術[+斬撃效果上昇][+大剣術][+両手剣術]・射撃[+精密射撃][+連射射撃]・剛力・縮地[+爆縮地]・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力]・言語理解
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ステータスがまた上がり、その様子に新一は考える。
「どうやら上がったようだな、増えたり減ったりするものがあるけど、あれは一体何だったんだろうな。
それよりもどうにかこの匂いをなんとかしたいな…、不味い肉をどうにか旨くしたいんだが…。そうだ、試しに神水で洗って試してみよう。多少はこの匂いも取れるかも知れない」
っと新一は新たに錬成したボトルに入れている神水で肉を洗って試してみようと考えた。
一度鍋を錬成し、それに神水を入れて、そして肉を洗ってみる。
すると魔物のの血が神水と混ざり合って、それに紫色になって、魔物の肉が腐って食べられたくなった。
それに新一は一度止めて、ため息が出る。
「はぁ…、ダメだ。上手くいかない…、そうだ!『超神水』で今度は試してみよう!」
っと新一はボトルに神水と再生液を入れて混ぜた物を取り出して、鍋の中の物を取り出して、水で一度洗って、超神水を入れる。
【超神水】
神水に再生液を混ぜて入れた物で、名前がなかったこれを新一が付けた物。
怪我だけを治す神水に復元させる能力を得た事を考えて付けた名前、正直どっちでもよかった。
新一は超神水を鍋に入れ、魔物の肉を入れて洗ってみると、魔物の肉がより輝き出して、それに新一は思わず見る。
一度取り出してみると、肉は綺麗な物となり、更に普通の肉となっていた。
それに新一は笑みを微笑みながら見て、鍋の方を見てみると、オレンジ色の玉が一つ浮いていた。
オレンジ色の玉を取る新一は、それを見ながら首をかしげていた。
「なんだろうこれ…、よく分からないな。まあいい…これは後で見てみるか、さてと…新しい技能は置いておいて…」
新一は鍋を片付けて、新鮮な肉を再び焼いて、その肉を食べる。
その肉は先程よりもかなり旨みがあり、もう最高と言っていい程の旨さだった。
食べた後に立ち上があって、ロングソードとドンナーを持って笑みを浮かばせる。
「あのクマの魔物に…、一度左腕の借りを返しに行こう」
そう言って新一はクマの魔物…爪熊にリベンジに行くため向かった。
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爪熊は手当たり次第に魔物を食って、自分の腹を満たしていた。
当然その爪熊は新一の左腕を食べていて、血の付いた彼の手袋が爪熊の毛皮に引っかかっていた。
「よう、久しぶりだな」
その言葉に爪熊は振り向くと、新一が右手にロングソード、左手にドンナーを握って立っていた。
そして爪熊は有り得ない気持ちで見ていた、なぜなら新一の左腕があることに動揺しているからだ。
新一はそれを見て笑みを浮かばせながら言う。
「俺の左腕美味かった? あっ、俺の手袋があんな所に。まあいい、後で回収と行くか」
「グゥゥオオオオオオオオオ!!」
爪熊は新一に向かって鋭い爪を使って斬りつけてくる。
だが新一はそれを新たな技能【爆縮地】を使って回避する。
「ははは!いいぞいいぞ! 俺もお前を倒して、今先に向かう!」
「グゥゥオオ!!!」
怒りが頂点に達する爪熊は新一に猛突進してくる、それに新一は爆縮地を使って、爪熊の後ろに向けて一気にすり抜けた。
爪熊は振り向いた瞬間、左腕が切り落とされる。
新一が一気に進んだ時にロングソードで爪熊の左腕を切り裂いたのだ。
「グゥゥオオオオオオオオオ!!??!!?」
突如切り落とされた左腕を見て、大きく苦痛を上げながら吠える。
新一は腕についていた手袋を取り、自分のポケットにしまう。
「どうだ、切り落とされた感じは? まだまだ終わりじゃないぞ」
そう言って新一はドンナーを爪熊に向け、纏雷で加速させて打ち込む。タウル鉱石で固められた銃弾が爪熊の右腕を撃ち落とし、それにより爪熊は大きな悲鳴をあげる。
止めと言わんばかりに、新一は爪熊の頭部に向け、ドンナーを撃ち込む。
ドォォォン!!
ドンナーから放たれた銃弾が、爪熊の頭部に直撃し、それにより爪熊は命を絶つ。
新一はドンナーを下ろし、ロングソードをしまいながら呟く。
「悪いな。俺は生きたいんだ…生きて約束を果たさなきゃいけない。白崎との約束をな…」
そう言って新一は爪熊の肉を拾いながら一度食べ、自分の身体に新たな技能を得る。
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天道新一 17歳 男 レベル:28
天職:勇者:副天職:錬成師
筋力:900
体力:990
耐性:1050
敏捷:1130
魔力:1350
魔耐:1350
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・魔法耐性・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・複合魔法・格闘術[+身体能力上昇]・剣術[+斬撃效果上昇][+大剣術][+両手剣術]・射撃[+精密射撃][+連射射撃]・剛力・縮地[+爆縮地]・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力]・風爪・言語理解
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「よし、増えたな、特に錬成系と格闘系が。ステータス関係はそんなに上昇していないな。もうここからは地味道で行くしかないか、よし、そんじゃあ…」
新一は超神水を使って爪熊の肉を洗い、毒素を落とした後に、肉を保存して毛皮をローブの様に被り、更に荷物を背負う箱を作って、出発準備が出来た。
そして最後にポケットに入れていた手袋をはめて、新一は前を向く。
「さて…、行くとするか。脱出する為に」
そう言って新一は脱出する為に、この奈落の底…“真の大迷宮”を攻略しに向かった。
すると新一は足を止めて、少しばかり考える。
「…白崎の奴、絶対に心配しているだろうな」
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そしてハイリヒ王国では、雫が香織の側に居てあげて、目が覚めるのを待っていた。
「(香織…)」
雫は眠っている香織を見つめている中、香織はある夢の中にいた。
「……ここって」
香織が居た場所は無限に広がる浜辺、その先には海があり、香織は足を海に浸かりながら眺めていた。
「浜辺……?でもどこの…」
「ここは私の世界、私だけの空間です」
っと後ろから声が聞こえ、それに香織は後ろを振り向くと、そこには丸いテーブルに座って、紅茶を飲んでいる女性、女神リリアーナがいた。
香織はその光景に呆然としながら見ていて、リリアーナは香織の方を見る。
「貴女が白崎香織さんね」
「え?どうして私の名前を…?」
「貴女の事ならなんでも知ってるわ、私はリリアーナともうします。よろしく」
「リリアーナって…」
彼女はその言葉に思わず耳を疑った、ハイリヒ王国のリリアーナ王女と同じ名前の人物であることに。
それにリリアーナは微笑みながら言う。
「あら、ごめんなさい。そちらでは知っている人の名前と同じだったわね。でも私はそちらの人とは全く違う人物…女神なの」
「女神?!」
香織はその言葉に驚いたのも無理はない。香織が知っているのは神エヒトのみで、女神がいるとは知らなかったのだ。
まして女神本人が自らこちらにやって来るとは思いもよらなかった。
「香織さん、どうかこっちに寄ってくださらない?私は貴女と話しがしたくて貴女の精神をここに呼んだのですから」
「私を…ここへ?」
「はい、さあ…こちらに」
女神リリアーナの誘いに香織は歩み寄り、空いている椅子に座って女神リリアーナと向き合う。
そしてリリアーナは持っている紅茶のカップを置いて、香織の方を見ながら言う。
「香織さん、貴女が心配している新一さんは無事です」
「っ!!天道君!?天道君が無事なの!?どういう事!?」
「新一さんはあの程度では死にません。それに彼からくれたそのミザンガ、全く切れていないでしょ?」
っと香織はその事を聞いて思わず腕を見る、その言葉通り、ミザンガは全く切れてなくて、それに香織は表情が明るくなり、ミザンガを握り締める。
「天道君…、そ!それはそうとどうして貴女は天道君の事を知っているのですか?」
それに女神リリアーナは香織の問いに答える。
「香織さん。貴女は《転生》と言うものを聞いた事はありますか?」
「転生…?そんなによく知りませんけど、確か死んだ人が何かの理由で別の場所で蘇るって…。それと天道君の何の関係があるのですか?」
「……新一さんはその転生に深く関わっているもの、この私がそうさせた様に」
その言葉に香織は驚きを隠せなかった。彼女が新一を転生させた? 理解出来ないと思い、香織はそれに問う。
「ど、どういう事なんですか?!」
「フフフ、後の事は新一さんに聞いてみてください。彼からの方がよく話すと思いますので」
「そんな!」
「大丈夫です、時が来れば必ず私も話しますから」
っとその言葉に香織の意識が徐々に薄れて行き、女神リリアーナは最後に香織にこう言う。
「心配しないでください。必ず貴女は新一さんに会えます、その事を信じてください」
そう女神リリアーナは言い残して、香織の意識は途切れてしまう。
そして香織は目を覚まし、その様子に雫は香織の方を見る。
「香織!大丈夫!?」
「雫ちゃん…?」
香織は身体を起こし、周りを見渡して確認する。
「……あれは夢?」
「香織…どうしたの?」
様子の可笑しい香織に雫は問いかけ、っとそれに香織は雫の方を向いて頭を横に振る。
「ううん!何でもないの。ねえ雫ちゃん、私お腹すいちゃった」
「え?そ、そっか、じゃあ今メイドさん達に頼んで持ってくるわ。ちょっと待ってて」
そう言って雫は部屋から出て行って、香織はミザンガを見る、切れていないミザンガを見て、香織は何かを決心するのだった。
そして進次郎達は宿場町ホルアドに再びやって来て、オルクス大迷宮の前に来ていた。
「よし、行くぞ皆」
「おうよ」
「うん、絶対に見つける」
「ええ、新一君を見つける。絶対に…」
っと決意を固めながら進次郎達は再びオルクス大迷宮へと入っていくのであった。
ヒロイン的には完全に香織がメインとなってますね、まあユエと並ぶ程の少女ですから。
もうダブルヒロインとしてもいいかもと思ってますwww