転生して電子生命体になったのでヴァーチャル配信者になります   作:田舎犬派

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#227 カウントダウン

 

 現実世界の塔の街は世界各国に存在する。主に先進国などと呼ばれていた国々に建設されたそれらの街の中心には副塔がそびえ立ち、その先には中央管理室によって各国の副塔が繋がっていた。

 主塔が閉鎖されていても副塔を通じてこの中央管理室までは行くことができるため、世界各国が参加する主要会議等がこの中央管理室で開催される事もあるという。人類の科学技術の象徴であり限られた人間だけが登る事を許された巨大建造物、それが塔と呼ばれる存在なのだ。

 

 そんな副塔の中でもこの国の副塔は最初期に造られたものの一つであり、建造時に発生した問題点や課題はその後の他国の副塔建造計画に多大な影響を与えたと言われている。外装の劣化を防ぐ汚染除去マイクロマシンの散布手法などもそんな問題点のひとつとして当時散布装置とマイクロマシンの製造を行っていた粒子科学技研の頭を悩ませたという。

 

 マイクロマシンの稼働に関して日夜苦悶しながらの手探り作業。それに精神を削られる様は何とも悲壮感漂う姿だったという。

 

 それはまるで、現在FSの拠点のリビングでソファ一つを占領して突っ伏しているナートのように。

 

「おいナート」

 

「……」

 

 デスクの上で作業している室長の呼びかけにピクリとも反応しないナートからは重苦しい感情が漏れ出ている。じわじわと周囲を陰鬱にさせるようなそれはまるで梅雨の時期の湿気のように体にまとわりつくような気さえして気持ちが悪い。それがいつもあっけらかんとしているナートから発せられているとなればなおさらだ。

 室長は仕方ないとばかりにため息をつき、ナートの近くへと寄る。

 

「まったく。……妹はどうした?」

 

「……ほうりは帰らせたぁ……くっついて離れなかったから、無理やり」

 

 完成まであと一歩という所までいったナートとほうりの開発したマイクロマシンは地上の汚染深刻化によりとん挫した。マイクロマシンの拡散能力は地上の風の弱化によって地球全体へ拡散することができないと判明したためだ。

 

 もし、このマイクロマシンが半年早く開発され、投入されていれば……もしかしたら二人は歴史に名を残す偉大な科学者となっていたのかもしれない。だが、現実にはそうはならなかった。ナートはFS拠点で力なく項垂れ、ほうりは必死に涙をこらえて気丈に振舞っていた。

 

「……妹に心配されたか」

 

 ソファの端に室長が座るとナートは軟体動物のごとく体を這わせ室長の体へともたれかかる。それを室長が手で抑えるともたれかかるのを止めて体を重力に逆らうことなく放り出す。そのままナートの頭は室長の膝へと着地し、膝枕の体勢へとなる。室長はもう一度大きなため息をついた後、呆れたようにナートの頭に手を置いて優しく撫でてやる。

 

「もう止めるのか?」

 

 室長の声音は決して責めているようなものではない。必死に努力していた娘が、大きな壁に阻まれ落ち込んでいるのを慰めているかのように、優しく諭すような声音だ。

 

「……」

 

「ほうりは何と?」

 

「……散布地域を制限すれば、使えるんじゃないかって。でも……それじゃあ意味ないよぅ」

 

「そうか……」

 

 二人の目的はこの太陽光減衰マイクロマシンを地球全体に散布し、気温の上昇を食い止め低下させることだ。それを局地的に稼働させてもその場しのぎにしかならないだろう。自国の上空にのみ散布し、気温を低下させようと画策したところで、すぐさま散布濃度は低下し、意味をなさなくなる。

 

 散布機器と電磁緩衝地帯を密に設置したところで塔の街の汚染除去マイクロマシンのように一時的な特区を生み出す程度の力しか無いだろう。

 

「もう無理なんだよぅ……ほうり、あんなに頑張ってたのに……こんな結果になるなんて……」

 

「ナート……」

 

 ナートの保護者代わりである室長としては、ここでナートを励ますような言葉の一つでも口にするべきなのかもしれない。だが、そのような軽はずみな言葉を室長は口にする事ができなかった。

 

 "もう一度挑戦すればいい、時間はあるのだから"

 

 本当ならばそう言ってナートを労り、まだ若い今の世代であるナートの背中を押してやるべきなのだろう。しかし室長は知っている。

 

 人類が今の生活を続けていられる時間はもうそう長くはない。ナートたちの世代が、ギリギリ今の生活を続けていられるだろう最後の世代なのだ。

 

 しばらくナートの髪を撫でていると彼女のか細い嗚咽は徐々に鳴りを潜め、代わりに規則正しい寝息が聞こえ始める。不安や落胆といった重苦しい感情に苛まれ寝られていないのかもしれない。

 

「すまないな……お前たちばかりに無理をさせて……これ以上頑張れとは、言えんな……」

 

 FS運営としてだけでなく世界規模で動いているV+R=Wプロジェクト責任者としても室長は裏方として身を削るように働いていた。協力企業やその他関連企業との連携や協議、報告も一手に引き受けV+R=W内で発生した問題に関してもFSが表で処理しきれない物は裏で室長が処理して関係各所と調整を行っていた。その分、FSのメンバーへのケアはかつてより減ってしまったのではないか、そう室長は考えていた。

 

「室長、わんこーろさんからご連絡がきてますよ……ってあら、ナートちゃん」

 

「ああ、ありがとう灯。すまないが代わってもらっていいか?」

 

「わかりました。……よいしょっと」

 

 リビングにやってきた灯は室長と室長に膝枕されて眠っているナートを見て少し驚いた後、猫のように丸まって眠っているナートを見て微笑む。そのまま器用に室長と場所を代わりナートが起きないように灯が膝枕係へと変更されたが、変わらずナートは眠り続けている。

 

「ふふ、そういえばナートちゃんはお寝坊さんでしたね。最近はきちんと起きてくれますから忘れてました」

 

「夜型のこいつも葦原町が出来てからは他の子たちと一緒に活動することが増えたからな……やんちゃ具合は相変わらずだが」

 

「そこがナートちゃんのいいところなんですよ。……だから、早く元気になってほしいですね」

 

「……ああ」

 

 灯はまるで母親のように慈愛の籠った笑みを湛えながらナートへ目を向ける。ここ最近は難しい顔をしていた少女は、眠っている時だけは穏やかな表情で寝息を立てていた。

 

「わんこーろから連絡だったな。それじゃあ後は頼む」

 

「はい、いってらっしゃい」

 

 

 リビングから私室へと移動した室長は自身の携帯端末を操作し、わんこーろへとコールする。しばらくするとわんこーろと繋がり、携帯端末にわんこーろの姿が映し出された。

  

『室長さんですか~?』

 

「ああ、誰もいない。私だけだ。……例の細工箱から出てきたテキストデータの件か?」

 

『……はい~、そちらのデータの解析が完了しましたので~……ご連絡をさせて頂きました~』

 

 画面向こうのわんこーろはいつもの配信部屋に居るようで、日の光に照らされた畳の部屋に座り込んでいた。差し込む光の関係か、画面の角度かわんこーろの顔が見えにくいのだがそれでも口元がいつものように微笑んでいるのだろうとは分かった。

 

 なぜかそんなわんこーろの姿が室長には嫌な胸騒ぎを覚えてしまう。無理やり笑顔を作っているような、そんな不安定さを感じ取れる姿に見えてしまうのだ。これからわんこーろの口より発せられるだろう内容にそれほどまで警戒すべきなのだという無意識の反応なのかもしれない。だが、だからといって聞かないわけにもいかない。

 

「教えてもらってもいいか……?」

 

『室長さん~……これから私の言う言葉はあくまで一つの検証結果だと思ってほしいのです~。これが確定事項ではなく~あくまで検証でしかないと~』

 

「何を言っている、お前以上に確実な検証など人間には出来んよ……。聞かせてくれ」

 

 

 

 もはや覚悟はできている。どのような内容であろうとも受け入れる覚悟だと口にする室長の姿にわんこーろは躊躇いながらも話し始める。

 

『細工箱の中に入っていたテキストデータにはいくつもの数値が記入されていましたよね? それらはとある位置情報を示している事が判明しました~』

 

「位置情報か……一体何の位置だ? どこかの施設や土地か?」

 

 そこで室長が頭の中で想像したのは地上に存在する特区や塔の街の位置情報だった。それ以外に目立った建築物など現代には存在しないだろうし、重要性から言えば遠からずと言ったところだろうと思っていた。

 

 だが、わんこーろはそれを否定する。

 

『いえ~……これは、もっと高い場所の座標になります~……』

 

「高い? となると……山の上にある施設や特区……ではない、のか……?」

 

『もっと、上なんです……この位置情報は~……地球の構造物の位置情報ではありません~。もっと高所の、宇宙空間なんです』

 

「宇宙空間……?」

 

『位置情報は大まかに二種類に分かれていました。一種類目は旧衛星軌道(デブリライン)に存在するデブリの位置情報……そしてもう一種類は、衛星です~……』

 

「衛星……おい、わんこーろ、それはまさか……!」

 

 塔の管理者の細工箱から出てきた衛星の位置情報に関するデータ。それだけで室長の顔色は悪くなる。管理者と衛星に関してこれまで何度も頭を悩ませる事件が引き起こされているからだ。主塔閉鎖の原因となった332251号事件や、秋のV/L=Fで引き起こった騒動もそれだ。そしてそんな室長の悪い予感は最悪の形で的中する。

 

『墓場軌道に存在するとある衛星の位置情報に関するデータが、時間経過ごとに予測されてまとめられた位置情報のデータでした。それによると……』

 

 一度言葉を切ったわんこーろは室長と視線を合わせ、言葉を絞り出した。

 

『人工衛星が徐々に墓場軌道から外れて移動しているようです~……予測データが確かなら一週間後、衛星の位置が塔の中央管理室の位置と重なります~』

 

 それはかつての主塔閉鎖事件の再来、いやそれ以上の災害の予測。衛星の中央管理室への衝突を意味していた。

 

「っ! 想定した内の、いや想定外の最悪の部類だな……」

 

 どのような内容であろうとも動じないと心の準備をしていた室長でも、それは想像以上の衝撃的な内容だった。地球に唯一建造された軌道エレベーター"塔"は世界各国の主要都市から副塔が伸ばされ、それらは中央管理室にて一本に纏められ主塔となって遥か上空、宇宙空間まで到達している。中央管理室は"室"などと呼ばれていはいるが、実際には巨大なコロニーとしての役目も担っており、その規模は一つの町がすっぽりと収まってしまうほどだ。

 

 そんな巨大建築物へと第一宇宙速度に加速された衛星が衝突すれば、まともな形ではいられないだろう。管理室は完全に破壊され、衝突した衛星の衝撃により管理室に繋がっている主塔とすべての副塔を巻き込んで地球へと横倒しになるだろう。そしてその被害が最も大きくなるだろうと予測されるのは、副塔の根本である塔の街だ。

 

 塔の街の地下には副塔より派生した通路やパイプライン、電線、ネットワークケーブルなどを含めた共同溝が木の根のように縦横無尽に張り巡らされている。副塔が横倒しになればそれらの根も当然引っ張られ、地上を破壊しながらむき出しにされるだろう。まるで雑草を根ごと引っこ抜いたかのように。

 

 さらに言うなら、この国は巨大な湖の上に浮かべられた人工島を塔の街として利用している。塔が崩壊すればこの人工島ごと崩壊する事は確実で、各国の街に比べても最悪の被害を被ることになるだろう。

 

『……すみません……もっと早く細工箱を開けられれば~……』

 

「いや、年越しの際に細工箱が勝手に一段階解放されたという話だったろう? 細工箱をいつ開けられるかは管理者に操作されていた可能性がある。わんこーろのせいじゃない。しかし、一週間しかないのか……これでは避難もままならんな……」

 

 衝突するとされているのは中央管理室であり、その被害は当然この国だけの問題ではない。すぐさま各国へこの情報を共有し、世界的な避難活動を始めなければならないだろう。だが、この情報がどれだけ信じてもらえるのかは分からない。

 

 細工箱についての説明をするのなら、この国が主塔の管理者と秘密裏に繋がっていたという事実を公表しなければならず、非難は避けられないだろう。そうなれば本題である避難活動に関する話に耳を傾けてもらえない可能性もある。かといって細工箱を手に入れるまでの過程を伏せてしまえば情報の正誤を疑われ、これまた真面目に話を聞いてはもらえなくなる。

 

 全世界の人間へ現在人類が直面している危機を周知し、信じてもらった上で世界規模の避難活動を始める。そのために使える時間はたったの一週間という。

 

『……室長さん、実は今回の件、少し思う所があるのです~……』

 

「ん? 思うところ、とは?」

 

『偶然にしてはおかしいと思いませんか~? 管理者がらみの騒動は、これまですべて衛星の異常動作によって引き起こされているのです~』

 

「ああ、確かにそれは把握している。主塔閉鎖事件も、秋のV/L=Fも、そして今回も、すべて衛星が勝手に動き──いや、これはまさか」

 

『恐らく~これまでの衛星の動きは偶然などではなく~動かされているのだと思います~。管理者が、何らかの意図をもって衛星に侵入し、動かしているのだと~』

 

「! そうか。なら、事故だと思われていた主塔閉鎖事件も、管理者が衛星を動かしてわざと閉鎖させたという事か」

 

 "塔の管理者が衛星を動かし意図的に事件を引き起こしている"その仮説を考えた者は他にも居た。だが、管理者が電子生命体という人知を超えた存在であると知らない者は、たかがAIがそのような自我をもって行動しているわけがない、あったとしてもロボット工学三原則を踏襲して作られたAIが人類に危害を加えるわけがない。という思い込みにより真実にはたどり着かなかった。

 

『私は思ったのです~管理者が衛星を操っているとしたら~、それは私にも可能ではないかと~』

 

「なに……?」

 

『解析したテキストデータには衛星の予測データと一緒にデブリの軌道予測データも含まれていたのですが~……ちょっと思った以上の代物です~』

 

 わんこーろが展開したウィンドウには細工箱より出てきたテキストデータに記された数値がずらりと表示され、それらの数字たちは小さな虫のようにバラバラに動き出したかと思うと、次第に円を描くように時計回りに動き出し、徐々にドーナツ状のリングを形成した。

 

『視覚的に分かりやすくしてみました~。この円周運動を続けている数字の一個一個が~スペースデブリになります~』

 

 わんこーろがパチンと手を叩くと円の中心の空白部分に地球の画像が表示された。あくまで見やすくしたというだけで、実際にデブリがリング状に周回している訳では無いとわんこーろの説明が入る。本来のデブリは地球を包むように全体的に拡散しており、その数は膨大で、デブリ同士が衝突することでさらに数を増やしている。

 

 かつてはそのデブリを観測する方法も存在していたが、数多の衝突事故によるデブリの増加、衛星の使用が不可能で、地上からの観測も汚染雲が邪魔をしている。デブリ自体も大きさや動きに統一感はなく、故にその軌道を予測することは不可能だ。……人類、には。

 

「地球を覆うデブリの総数は現在数億とも数兆とも言われている……それをすべて把握するなど不可能だ、と言いたいが……既に管理者はその不可能を可能にしていたな……」

 

 主塔は物理的情報的に閉鎖されていると言われているが、それは主塔へと至るための通路が隔壁で閉鎖されている事と、同時にネットワークケーブルが管理者によって切断されているからだ。

 

 唯一の手段である無線を用いた通信も金属や磁気パーツを多分に含んだデブリの影響で繋がることは無いとされていた。だが、管理者は秋のV/L=Fにおいてデブリの密度が薄まるタイミングを見計らい地上へと通信を繋げた。それは軌道上に存在するすべてのデブリの挙動を把握していなければ不可能だ。

 

『これを見てください~』

 

 わんこーろがもう一度手を叩くと地球の画像の周りをゆっくり回っていた数字(デブリ)のスピードがアップし、先ほどの倍近い速度で周回し始める。わんこーろがデブリを軌道予測データを元に倍速で動かし、そうしてしばらくしてその動きを停止させた。

 

 停止させたデブリはほぼ先ほどと変わらず地球の周りを均一に覆い、先ほどと変わり無いように見える。

 

 とある一か所だけを除いて。

 

『デブリが薄くなっている場所があるのが分かりますか~? 今から一週間後、デブリ層が薄くなって主塔と通信ができるタイミングがあります~。時間は数秒程度、通信が可能なエリアは中央管理室あたりのようです~。これはおそらく管理者からの"招待状"なのではないでしょうか~』

 

「招待状……つまり管理者は"その抜け道を通ってこちらに来い"と言っているのか」

 

『恐らくは~』

 

 管理者はわんこーろに、あえて主塔と通信可能なタイミングを教え主塔まで来るように言ってきた。その誘いを断れないよう、衛星を落とすという脅しまでかけて。

 明らかに罠と分かる内容な上に脅しの内容から相手は攻撃的で、わんこーろを害するつもりであるのは火を見るよりも明らかだ。

 

「……行くつもりなのか? わんこーろ」

 

『あちらにどのような意図があって誘っているのかは分かりませんが~これはチャンスです~』

 

 電子生命体と思われる管理者が衛星を動かしたのならば、同じく電子生命体のわんこーろなら衛星の異常動作を修正し、中央管理室への衝突を回避する事が出来るかもしれない。

 

『管理者とお話をして~説得してみます~。それでもだめなら~……無理やりにでも衛星のコントロールを奪ってやりますよ~!』

 

 画面の向こうでニコニコと微笑み、腕まくりをして力こぶを作るように手を動かすわんこーろの姿は室長に心配をかけまいと健気に振舞っているのが分かる。それを室長もすぐに分かったが、もう、無理をするなとは言えなかった。

 

 わんこーろが決めた、わんこーろにしかできない事。室長に細工箱の中身について話すよりも前に、既に管理者の誘いに乗ると決めていたのだろう。あくまでこの話し合いは室長にその決意を表明する場所でしかなかった。何を言ったところでわんこーろの決意を変える事はできないだろう。

 

「……無事に帰ってこれるのか?」

 

『もちろんです~。デブリの隙間から主塔の管理サーバー(CL-589)まで行って(侵入して)~そこで分断されているネットワークケーブルを繋いで帰り道を確保する予定です~。衛星の確保に成功しても失敗しても~一秒もかからず主塔から離脱して副塔から遠く離れたサーバーまで退避できますので~』

 

「……なら、いいが……」

 

『んふふ~室長さんは心配性ですね~』

 

 わんこーろはそう言っていつものようにやさしく笑った。人類の命運をかけた大事に挑戦しようとしているとは到底思えないほど柔らかい雰囲気が漂い、わんこーろは何でもないように笑みを絶やさない。

 

 それが室長には得も言われぬ不安を抱かせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日、事態は室長とわんこーろが想像していた以上のスピードで展開していくことになる。

 

 塔の主要システムの構築に携わった合衆国の研究機関ヴィータ(高度進化開発局)が突如、塔の街を有する各国に緊急声明を発表。異常な動きを見せる衛星を観測し、それが中央管理室へと衝突するという内容だった。

 

 

 

 


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