転生して電子生命体になったのでヴァーチャル配信者になります   作:田舎犬派

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#83 溶岩形成地帯を切り貼りするよ!

 

「移住者の皆さんおかえりなさい~電子生命体なヴァーチャル配信者の~わんこーろだよ~」

 

『ただいま!』『ただいま~』『おお!新衣装じゃん!』『今日のわんころちゃんも可愛い!』『秋って感じでいいねぇ』『この服もいいなぁ、すっごい似合ってる』『今日の配信はなにすんのー?』 

 

 今日も元気に始まりました私の生配信、休日の早朝である為朝日が顔を出し始める頃ではありますが、コメントはなかなかの賑わいを見せております。

 同時視聴者数も5桁に到達しておりますし……嬉しいですけど、これはこれでプレッシャーになりますね……。

 まあ、かつて数十人の視聴者さんでわたわたしていた頃と比べれば少しは成長できている、と思います。

 

 ここ最近の私は少し秋めいてきた犬守村に合わせて服装を変更。明るめの茶色を基調として鮮やかな紅葉があしらわれた秋らしい和服になっています。

 さすがにいつまでも浴衣では寒いので、今後は狐稲利さんと同じように生地が厚めな和服姿を皆さまにお送りしますよ~。

 

『かわいい~!』『秋のわんころちゃんイメージ通りで最高です』『尻尾どこから出してんの?』『髪留めも狐稲利ちゃんと対になってるみたいで良いな……』『あれ?そういえば狐稲利ちゃんは?』

 

「んふふ~分かりますか~? この髪留め、狐稲利さんのものを作るときに一緒に作ったんです~今日の新衣装お披露目の時に一緒にお見せしようと思いまして~あと、しっぽですけど~ほんのちょっとだけ服に切れ目がありまして~そこから尻尾を出しております~」

 

 尻尾を配信画面に向けてふりふりしてみるとなんだかコメントが荒ぶっていますね……。

 

 あとコメントでもありました髪留めですが、夏仕様で花火モチーフの髪留めを秋の真っ赤な紅葉の髪留めにしました。

 狐稲利さんが黄色いイチョウの葉なので私はモミジ、という単純な理由なのですが、移住者の皆さんの反応はなかなか好評のようで安心しました。

 

「あ~狐稲利さんですが、まだ寝ておられます~」

 

 夏が終わって秋になり始めたことで、日の出の時間も遅くなっており、暑さも和らぎ寝やすい気温なせいか狐稲利さんは最近寝坊すけさんになっています。

 まあ、お昼まで寝ているわけではないのでそれほど問題ではありません。今日はよーりさんと一緒に寝かせてあげましょう。

 

「ええとですね~今日は先日生み出した火山が安定したようなので~そのあたりを移住者さんと一緒に見ていこうかと思います~少し外観を弄ったりもしているのでそこのお披露目も出来ればな~という感じです~」

 

 北守山地の火山エリアに移動しながら移住者さんと今後の計画についてお話ししていきます。

 温泉ですが、ただ一つポツンと存在しているだけでは寂しいので、どうせなら泉質の異なる温泉をいくつも創って、その周辺に大規模な温泉街を作ろうと考えています。

 広大な火山地帯のうち、どの程度この温泉地帯にするかはまだ未定です。

 それと移住者さんにはまだヒミツですが、大きな神社もこの山地に実装する予定なので位置や規模のバランスは考えておいた方が良いでしょう。

 

「ん~? ありゃ、川が埋まっちゃってますね~」

 

『確かに何かがあったような形跡がある……』『泥みたいなもんで埋まってるな』『ありゃりゃ、これ溶岩だね』『溶岩ってあの赤いドロドロ?これが?』『冷えて固まってるんだな』『溶岩で川がせき止められてるなら溶岩湖があるかな?』

  

 移住者さんと一緒に火山周辺の土地への溶岩流入具合を確認していたのですが、あたりは降り注いだ火山灰や噴石がゴロゴロとしており、元の地形からかなり変化している場所もあるようです。今確認しているこの山間には本来川が存在していたはずなのですが、丸ごと溶岩に埋もれてしまっているようです。

 どうも埋まった川以外の川へと水が逃がされているようなので溶岩湖は確認できませんでした。

 

「んん~……ここの川、作り直しておきますね~」

 

『その方がいいか』『火山の生成場所も予想外の場所だったしね』『川が丸々埋まるのは流石に景観がね…』

 

 現状問題なくても、本来存在していたはずの川が一本消失している状況は今後何か問題が発生する可能性があります。例えば大雨が降った際、水を逃がす川が減っていることで他の川に雨水が集中して川そのものの崩壊を招く、などです。

 

 まだこの山地自体が創ってから日が浅く雨が降ったことも無いので実際に大雨で予想外の事態が引き起こされるかは分かりませんが、可能性があるなら取り除いておいた方が良いでしょう。

 

「では~川のあった場所の冷えた溶岩を取り除いていきますよ~ほいっ、ほいっとね~」

 

 川は山間ごと完全に埋まっていたので、とりあえず川のあった場所だけ溶岩を取り除いていきます。最初は裁ち取り鋏で溶岩を消去してしまおうかと考えていたのですが、なんとこの溶岩、冷えた事で長細い柱状の岩盤が並んだ状態になっているようで、上から一本抜き取ると気持ちいいくらい綺麗に取り除くことができます。

 

 ほら、よくラーメン屋さんとかの飲食店で筒状の入れ物に割りばしがいっぱい立てて置いてあるじゃないですか、あれの真ん中から割りばしを抜くイメージです。

 そうやって川があった場所の柱状の岩盤をどんどん抜いていきます。

 

 あ、抜き終わった岩盤の柱はまた何かに使えそうなので取っておきましょう。

 

「ん~と、こんな感じかな~とりあえず水が通るようにはしたけど~……皆さんどう思います?」

 

『いいんじゃない?』『いや、思ったよりこれいいわ』『溶岩全部取り除くよりはこの方がいい!』『凄いな、予期せず渓谷になった』

 

 川だった部分だけ取り除いたことで、取り除いていない土地との高低差が生まれ、結果として谷の底で川が流れる渓谷となりました。

 

「このままの方が良い~? ふむ~確かにいい感じの渓谷ですね~」

 

 ちょっと谷の一番下まで下りてみます。空中に浮いている状態で急降下ー。おおー意外と深いですねー。本当に渓谷のようになってますねー。

 

 このような渓谷は本来雨風による風化によって形成されるものなので、私が創っても不自然にならないか心配でしたが、良い感じになっているみたいで安心です。

 

「おお~!! 確かに思ったよりなんだかいい雰囲気ですよ~! どうです移住者さん~?」

 

『めっちゃいい!!』『谷の下から見上げると迫力があるな!』『でもちょっと違和感ある』『できたばかりだし作り物感のほうが強いかな?』『断崖に苔とか植物生やすといい感じになりそう』『今の状態でもかなりいいと思うけどねー』

 

 溶岩を取り除く作業中に川の水が流入しないようせき止めていたのを解除すると、想像以上に様になっています。谷底を流れる川のうねり具合や、火山以外の他の山々の山頂から流れる湧き水が溶岩によって形成された断崖の上より降り注ぎ、滝となっている様子が何とも幻想的です。

 谷底という日光の降り注ぐ範囲が限られている空間では隙間を縫って注いできた太陽光がまるで光の柱のように谷の底に落ちてきて、それがまた滝の飛沫と相まってとにかく美しく幻想的です。

 

「予定していたわけではありませんけど~ここもなかなか良い景色の場所になりましたね~」

 

『偶然の産物ってやつだなー』『意外と川幅あるし、谷底だけどそこまで閉鎖的じゃないのね』『偶然って事ならわんころちゃんの完全オリジナル地形?』

 

「ん~、偶然ではありますけど~こんな感じの地形はサルベージデータで見た事あるような気がしますね~」

 

 溶岩により生まれた渓谷に、滝の存在。計算していないですがそれらは過去の日本に確実に存在していたはずの地形とうり二つです。たしかあそこはそれだけでは無く、有名な神社や伝承が存在していた地域だったはずです。

 

「そうですね~その場所からすこ~し名前を頂いて~ここは"タカチ峡"と名付けましょうかね~」

 

 コメントでもありましたけど、断崖に苔やら植物を生やしたり、渓谷を渡るための橋を作ったりして景観をもっと整えてあげるとよさそうですね~伝承にちなんだ神社などを造るのもいいかもしれません。

 

 そんなことを移住者さんと話し合っていると今日の配信終了予定時間となりました。

 タカチ峡と山地全体が見える上空で現在の状況を移住者の皆さんと確認しながら配信を終了しましょう。

 

「さて~少し寄り道してしまいましたが~今後は温泉街の予定地などを見て頂こうと考えているのですが~その前に少し皆様にお知らせがあります~」

 

『ん?』『なになに?』『お知らせ? 悪いお知らせ?』『お知らせって聞くと心臓バクバクする……』『配信者の"お知らせ"に敏感な移住者がいるようだな……俺もそうだが』

 

「ああっ! ごめんなさい! そんな悪いお知らせではなくてですね、実はだいぶ前に宣言した収益化なのですが~申請が無事通ったようなので近々その記念配信でもしようかと考えているんです~あ、あとチャンネル登録者五十万突破の記念配信も一緒にしようかと~」

 

 収益化について一番の問題であったのは私が現実に存在していないため、戸籍がなく、その上銀行口座を作ることができないというものでした。

 ですがそこは私の事情をよくご存じの推進室の室長さんにご相談し、特別に推進室から私の口座を作っていただけることとなりました。

 もちろん諸々の手続きなどが必要となり、正確には私の口座というよりFSグループの別口座という扱いになっているらしいです。

 私が勝手に引き出すことはできず推進室を経由して引き出してもらわないといけないという状態となっており、そのことを室長さんに申し訳なさそうに謝られたのですが、特に不便には感じないので問題ありません。

 

 私が必要なものは自身で創りだせるのでお金がかかることはほとんどありませんしね。

 

 

 いや~ほんと良かったです。もし室長さんに相談していなかったら今頃銀行のサーバー内に勝手に口座を作っ…………いやいや、冗談です冗談。ほんとに良かった良かった。

 

『!!!!』『きちゃああああああ!!』『マジか!!ついに来たか!』『五十万おめー!!』『完全に忘れてると思ってたw』『や、やっと貢げる…!』『今までタダで見てたのが申し訳なかったんだよ!!』『ドルでもいいすか?』『電子マネーでもいいすか?』『やっとわんころちゃんを金の海に沈められるのか!』『←言い方よw』『仕方ないだろ!今まで散々我慢してきたんだ!早く貢がせろおおお!!』

 

「あ、あはは……み、皆さん~お手柔らかに~……」

 

 な、なんで皆さんこんなにテンション上がってるんですか……? 五十万突破のお祝いは素直に嬉しいのですが、貢げる? お金の海に沈める……?

 

 え?……え? ええ~~……。

 

 

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