再び実力至上主義の教室へ 作:大和
月末の放課後に入るととあることを思い出す
「そういや政治。この前のラス前の問題分かったか?」
「いや。分からなかった。」
というのも三日前の3時間目小テストが急に行われてそしてその答えを探っていた
「っていうよりもラス前もそうだったけどあれ証明の特殊解を使わないと解けない奴だろ?ラストの問題はどちらかというとなぞなぞに近かったけど。」
「なぞなぞ?」
というのもラストの問題は考え方一つ変われば簡単に解ける問題でラス前とその前の問題は解けなかったけどこの問題はちゃんと解けた
「体心立方格子構造が肝になっていてこれほとんど計算いらなかったんだよ。」
と俺は答えを書いていく。
というのもこれは昔漫画でも書かれてあって実際調べてみるとかなり難しいが中学生でも解ける問題だったのだ。全く同じ問題が出るとは思わなかったけど
「つまり、原子一個あたりの縄張りの体積は、aの三乗を2で割ってやれば。」
「「へぇ〜。」」
と答えあわせが終わると2人が納得したようにしていた
「なるほど、そうやって解くのね。」
すると隣の席の女子も気になっていたらしく俺の回答を覘きこむ
「普通ならこの回答は領域を具体的に特定して、その体積を計算する解法を選択しがちなんだけど別の見方をすれば簡単に解けることができるんだよ。視野が広くて少し知識があれば中学生でもできるなぞなぞだよ。」
それよりも問題はこの小テストの範囲がおかしいって点だよなぁ
「自己採点何点?」
「俺は80。」
「私もそれくらいだと。思っていたよりも簡単だったから。」
「そりゃ中学生の問題だったしなぁ。それも簡単な問題だし。問題はラスト3問の数学だよなぁ。俺は一応90は取れたと思うけど。」
実際はこれくらいだろうな
「……てか明日から5月だろ?……はぁ、やっと俺の規制の時間が終わる。」
「規制?」
「なんかトラブルでも起こしたのか?」
「いや。逆。俺東京育中出身だから。規制かけられているんだよ。」
「「「えっ?」」」
すると三人が固まる
「本当?あなたあの名門の。」
「あぁ。一応推薦でここにきているな。」
東京育中。これは俺が通っていた中学校の略で全国で数少ない国立の中学校である
そしてここと同じく実力主義を抱え脱落者も少なくはない
なのでここの卒業生ってだけで一種のステータスになる
「元々あの中学校はここをモデルにして作られたからな。似たり寄ったりのところは多々あるんだよ。」
「へぇ〜でも、ここみたいに結構緩いところなのね。」
「違う。完全実力主義を抱える学校らしく、かなり厳しい学校だぞ?卒業率は俺らの代50%もなかったし。」
「「「えっ?」」」
すると全員が俺の方を見る
「赤点一つで違う学校に転入される学校だぞ。多分ここも赤点=即退学だと思っていい。それに緩い学校っていってもここも大概ひどい学校だと思うぞ。本来の一ヶ月。されど一ヶ月もあったんだ。あんだけヒントを与えたのに気づいた人は少数だったしな。」
「それってどういうこと?」
「明日になれば嫌ってほど分かるさ。残酷で自業自得の実力主義をな。」
俺はそういうと隣の女子は不安を隠せないようにする
悪いけど自業自得だからな
そう誰にも聞こえない声で呟いた
そして翌日、俺の通帳には前日と同じ95020の文字がうつったままだった。
翌日俺が教室に入ると教室はざわざわと騒いでいた
多分プライベートポイントが振り込まれなかった分だろうがそりゃ当たり前だ。
俺は気にせずにあくびをすると眠気が誘ってくる
「……あっ。」
すると佐倉が俺の方を見ると近づいてくる
「お、おはよう。」
「おはよう。佐倉。」
と挨拶をする佐倉にすると教室がざわめき始める
すると珍しく担任の先生がHR前に入ってくる。
「先生俺から説明した方がいいですかね?」
俺はそういうとクラス中の注目を集める
「やはり、お前は気がついていたか。」
「相変わらず中学校から実力主義の学校にいると感情よりもまずは警戒って頭の中に記憶してますしね。それに先生の発言をよく聞いていればちゃんと気づけたので。」
「どういう事だい?」
平田は俺に聞いてくる
「この先は私から。……その前に多分新井も思っていることを私の口から言おう。」
多分俺も思っていることは多分一致している自信がある
「……本当に愚かだな、お前らは。」
俺も呆れながらにため息を吐く
本当に呆れてしまう
「お、愚か……?え、さ、佐枝ちゃんせんせー?」
「当たり前だ。日頃の態度でこうなったってことだよ。紛れもなく他のクラスももちろん俺のクラスも振り込まれてるはずだ。」
「はは、分かったよマグロボーイ。私は理解出来たよ、この謎解きがね。そして君たちはマグロボーイに謝罪をしないといけない。君たちのせいでマグロボーイは被害を受けることになったのだから。」
足を机にあげながら、高円寺が笑って言った。
……てかマグロボーイって俺は少し呆れると
「要は、今月私たちに振り込まれたポイントはゼロポイントだった。そういうことだろう?」
「は?何言ってんだよ。毎月10万ポイント振り込まれるって言ってただろ?」
「私はそんな説明を受けた覚えはないね。そうだろう?」
「ふむ。態度には問題ありだが、その通りだ高円寺。全く、これだけのヒントをやっておきながら、気づいたのが数人とはな」
まぁ確かになぁ。
「……あの、先生。質問いいでしょうか。腑に落ちない点があります。」
「ポイントが振り込まれてないわけか?そんなの決まっているだろ。当たり前のことをお前らは。特に平田と須藤のグループはできてなかった。それだけの話だ。」
俺の発言に問題となった生徒は俺を睨むが
「俺は注意してたよな?授業中の発言や携帯電話の使用、遅刻欠席。この学校もそうだけど実力で生徒を測る。そのことさえ頭の中に入っていたのならいくら規則を積まれたって注意ぐらいはしたくなるさ。この1ヶ月間のDクラスの厳正な査定を行なった結果、俺らに対する評価は、『0』になっただけだろ?」
「ですが先生、僕らはそんな説明は……」
「言っとくけど言う必要がないってことだからな。これは当たり前のことを当たり前にこなしていたらこんな結果にならなかった。それだけだ。」
「言っとくが新井に当たるのも筋違いだぞ。こいつは中学校のころから実力主義の学校で生活してきた。それも学年主席や生徒会長を務めながらな。国からすでに優等生と認められている。だからこのシステムも簡単に見抜かれるだろうと予想し制限を掛けていたからな。」
「制限ですか?」
すると平田が改めて聞き直す
「学校生活における生活のシステムを公言しないようにな。そうじゃなければ先月にクラスに伝えているっつーの。」
「ついでにお前はいつ気づいた?」
「確信に変わったのは初日スーパーで無料製品が結構売れていたところですね。月始めなのに無料の製品が結構売れている。それも入学式終わりのスーパーですよ。すぐにポイントの増減があると確信しました。」
すると佐倉があっとしたように俺を見る。佐倉も無料の製品を結構買ったこともあり3万ポイントは残ってあることは確認済みだ
「これが優等生と愚か者の差だ。10万ポイントという甘い蜜に吸わずただ冷静に話を聞き答えをだす。そして遠回しながらも忠告し、水泳時のプライベートポイントの活用方についても確認する。お前ほど優れた生徒私は4年見てきたが貴様くらいしかいなかったな。」
「生憎そこまでできた人間じゃないと思いますが。」
「まぁ、さすがにお前が関わった奴にはちゃんとポイントを毎日確認させて無駄遣いを抑えるよう発言してなくてもポイントをあまり使わないように誘導していたからな。」
「悪いですか?助けるべき人と痛い目を見た方がいい人くらいの認識はちゃんと取っていると思いますが。」
かなり辛辣だろうがそれでも事実だ
「ほう真面目に受けていた平田は救済処置を施してもよかったのではないか?」
「なんでですか?当たり前のことを当たり前にできない。そのことを注意しない。注意できなくても謝りの一言を入れない。そんな奴を救済する奴がどこにいるんですか?実際井の頭と、佐倉、政治はちゃんと注意できないことを俺に謝りにきたことがあったし、それなら信頼できると判断しただけですけど。」
事実俺と平田は多分全くの別のタイプだと思う
「それに高校1年に上がったばかりの俺たちが、毎月10万も使わせてもらえると本気で思っていたのか?優秀な人材教育を目的とするこの学校で?ありえないだろ、常識で考えて。なぜ疑問を疑問のまま放置しておくんだよ。報告、連絡、相談。報連相をきっちりしておけば、しっかり分かる話だ。」
「本当にお前は高校生なのか?」
「いや、常識ですよね。月に10万もらえるって普通に考えてありえないですから。」
対する平田を見ると悔しそうな姿を見せるが、すぐに先生の目を見た。
「せめてポイントの増減の詳細を教えてください……」
「それはできない相談だ。詳細な査定の内容は、教えられないことになっている。しかし、そうだな……。一つだけいいことを教えてやろう」 そう言うと、先生はクラスを見渡した。 「遅刻や授業態度を改め、今月マイナスを0に抑えたとしても、ポイントは減らないが増えることもない。つまり来月も支給されるポイントは0ということだ。裏を返せば、どれだけ遅刻や欠席をしても関係ない、という話。どうだ、覚えておいて損はないぞ?」
あぁ。こりゃ多分潰しにかかっているな。
「どうやら無駄話が過ぎたようだ。本題に移るぞ」
先生はそう言って手にしていた筒から白い大きめの紙を取り出し、黒板に張り付けた。そこには、AからDクラスの名前とその横に、数字が書かれていた。
Dクラスは0。Cクラスが490。Bクラスが650。Aクラスは940だった。さすがにAクラスの高さには驚きを隠せないが
「お前らは入学してから昨日まで、贅沢三昧をした。もちろん、それを糾弾する気も否定する気もない。ただの自己責任だからな。事実、学校側はポイントの使い道に関しては制限をかけなかっただろう」
「そ、そんなのあんまりっすよ!こんなんじゃ生活できませんって!」
「バカが、よく見てみろ。お前ら以外のクラスには1ヶ月生活するには十分すぎるほどのポイントが支給されているだろう。言っておくが、一切不正は行われていない。査定は全クラス同じ基準で、厳正に行われた」
まぁ不正が行われたとなれば大変な騒ぎだからな
「どうして僕たちだけ、こんなにも歴然とした差になっているんですか?」
「……多分だけどここは問題児の塊なんじゃないか?」
すると政治がそう呟く
「俺も中学校の時に暴力事件を起こしたことがある。ついカッとなって野球部の推薦を取り消しになるほどの事件をな。」
「……ほう。」
「だから素行に問題があるとかそういった生徒が集まった結果こうなった。つまり優等生ほど上位のクラスに配属されるってことだよな。」
「政治。正解。やっぱお前BかAに配属されててもおかしくはないな。」
俺は素直に感心してしまう。実際暴力事件のことは聞いてはいたのだがちゃんと反省はしているのだろう。
「この学校では、優秀な生徒たちとそうでない生徒たちのクラスを順に分けて編成することになっている。優秀な人間はA、ダメな人間はD、とな。つまりお前らはこの学校では最下位。最悪の『不良品』というわけだ」
すると茶柱先生が事実を突き立てる
「私は逆に感心しているんだ。歴代Dクラスでも、1ヶ月で全てのポイントを吐き出したのはお前らが初めてだ。立派だよ」
再び皮肉のこもった言い方で、今度はぱちぱちと拍手まで加えてきた。随分と不名誉なもんだろうけどな
「このポイントが0である限り、僕らはずっと0ポイントということですか?」
「そうだ。だが安心しろ。お前らはこの敷地内で、無料のものを幾度となく目にしているだろう?ポイントがなくても死にはしない」
事実俺は結構お世話になっているからな
「……俺たちは卒業までずっとバカにされ続けるってことか」
須藤が机を蹴飛ばす。すると隣の佐倉はひゃうといい少し怖がっていた
「なんだ、お前にも人の評価を気にする気があったんだな。なら、上のクラスに上がれるように頑張ることだな」
「あ?」
「クラスのポイントは、個人の支給ポイントを示すだけではない。クラスのランクに反映される。つまり現時点でお前らが490より上のポイントを保有していたら、お前らはCクラスに昇格していたということだ」
上のクラスに上がる。それはDクラスにとって、文字通りゼロからのスタートだ。至難の道であることは火を見るより明らかだった。
特にAクラスに上がるのは。さすがに絶望的だろう
「さて、もう1つお前らにお知らせがある」
そう言うと、先生はもう一枚の大きな紙を再び黒板に張り出した。
「いくら馬鹿でも、これが何のことかくらいわかるだろう」
俺は その紙には、Dクラス全員の氏名、そしてその右には先ほどと同じく数字が書かれていた。
一位の欄に俺の92点。その後に堀北や高円寺、幸村などが続いている
「先日行った小テストの結果だ。不良品にふさわしい結果だな。お前たちは一体中学で何を勉強してきたんだ?」
「……」
俺が一位ってことに戦慄を覚える。あれ、めちゃくちゃ簡単なテストで最後の3問以外は誰にでも解けると思っていたのだが、平均は多分50点にも及ばないだろう。
「これが本番でなくてよかったな。もし本番だったら、下位6人はすぐに退学になっていたところだ」
「は!?た、退学!?」
「この学校は、赤点を取ったら即退学だ。説明してなかったか?」
「お、おいふざけろよ!退学なんて冗談じゃねえよ!」
「私に喚かれてもどうしようもない。これは学校の制度だ」
事実中学校のころからこの制度は変わらないしな。
「ふっ、ティーチャーの言うように、このクラスには愚か者が多いようだね」
相変わらず机に脚を乗っけたまま、上から目線で言う高円寺。
「は!?お前もどうせアホみたいな点数なんだろ!見栄張るなよ」
「やれやれ、どこに目が付いているのか、甚だ疑問だねえ」
言われて、高円寺の名前を探して見る。
下から上へと視線が動いていき、高円寺六助の名前があったのは、上位中の上位。点数は90点だ。つまり、あの三問のうち少なくとも1問を解き明かしたことになる。
「そんな、須藤と同じくらい馬鹿だと思ってたのに……」
そんな声が聞こえてくるが
「アホか。高円寺は性格は少し問題があるが授業は真剣にうけていて学生の本分を忘れていなかった。」
「そういうことだ。マグロボーイの言い方に少し棘があるが。」
「事実だろ。お前の性格さえなくせばAクラスだろうし。」
俺は少しため息を吐く
「それともう1つ。この学校は高い進学率と就職率を誇っているが、その恩恵にあやかることが出来るのは上位のクラスだけだ。お前らは全員がこの特権の対象だと思っていたかもしれないが、お前らみたいな低レベルの人間が、自由に好きな大学、好きな就職先に行けるなんて上手い話が世の中で通るわけがないだろう」
「つまりその特権を得るためには、Cクラス以上に上がらないといけないということですか?」
「いや、少し違うな。CクラスでもBクラスでもだめだ。この特権を手にできるのは、卒業時にAクラスに所属していた生徒のみだ」
「え、Aクラスに!?」
「ああ。それ以外の生徒については、学校側は一切の保証をしないだろう。新井を除いてはな。」
すると俺に注目が集まるが
「俺は東京高度育成中学校出身だからな。それもAクラス代表、生徒会長としてクラスを引っ張った功績がある。」
「そうだ。こいつは実力で他のクラスを蹴散らした。それも過去類をみないほどの圧倒的な差を見せつけてな。それでちゃんと国家から優等生扱いをされたってことだ。」
「「「……」」」
すると他の生徒は黙り混んでしまう。
東京育中の一言はそれほど効果的なんだろう
「どうやら、自分たちがいかに愚かで、悲惨な状況に立たされているかは理解が及んだようだな。中間テストまで残り3週間。精々頑張って退学を回避してくれ。私はお前ら全員が赤点を回避して、退学を免れる方法があると確信している。それまでじっくり考えて、出来ることなら、実力者にふさわしい振る舞いを持って挑むことを期待している」
すると茶柱先生はヒントを残して去っていった。