再び実力至上主義の教室へ 作:大和
「……さすがにこれはないだろ。」
俺は少し溜息を吐く。
翌日三年の野球部の先輩から借りてきた政治と家庭部から借りてきた二年の井の頭の問題用紙を見ると
同じだった。
同じだったことは別にいいのだが
「テスト範囲から5〜6ページずれてんじゃねーか。」
俺は小さく溜息を吐く
「どうするの?」
「どうしようもねぇだろ。とりあえず同じ問題がほとんど確定的に出ることは分かったんだ。とりあえず過去問付近を徹底的にやるしかないだろ。」
となると省かれるところが結構あるな。
「答案丸暗記じゃなくてか?」
「答案丸暗記してもいいんだけど保険をとっておきたいんだよ。ちゃんと理解をしていたらこんな問題なんていらないしな。それに丸暗記なんて俺はぶっちゃけあんまり好きじゃない。元々理解をしておけばちゃんと解ける問題だ。」
「……真面目だな。」
「勉強くらいはちゃんとした攻略法を取りたいしな。」
実際これに限っては自分の役に立つことが多い。それで答えを丸写ししたところで高得点を取ったとしても何も役に立つことはない。
「……はぁ。じゃあ何でこれを取ったんだ?」
「佐倉の件で事情が変わったんだよ。他のクラスへの牽制を加えざるを得なくなったんだ。」
実際どうしようもないままだし。佐倉の件どうすればいいのか分かっていなかったしな。
「でも、それじゃあ他のクラスが有利になるんじゃないんですか?」
「う〜ん。まぁそうだろうな。そうだけど、大した問題じゃない。」
俺はきっぱり言い切る
「どうせすぐに気づくはずだ。多分テスト範囲の変更は早くて一週間前。遅くても3日前には通告を受けると思う。でも、何で増えたのかっていうのが問題なんだよ。だから攻略法があるってすぐに気づくはずだ。……まぁもうそろそろ俺も動き出すか。美味しい情報が握れたことだしな。クラス交渉といきますか。」
「すいません。坂柳さんはいらっしゃっいますか。」
と俺が放課後Aクラスに乗り込んでいた。
「……あら?あなたは。」
「Dクラス所属の新井康太だ。Aクラスの代表の坂柳さんと取引をしにきたんだけど。」
「「「「なっ!!」」」
するとざわめき始めるとするとこつ、コツっと音を立てながら
「……あら。私はまだこのクラスのリーダーではありませんけど。」
「謙遜するな。このクラスの派閥については理解しているしそっちにも俺たちのクラスのこと耳に入っているんだろ?」
「えぇ。新井派と、平田派の派閥争いのことですね。」
「あぁ。まぁ派閥を作ったわけじゃないしリーダーを名乗り出たわけじゃないんだけどな。ただ平田のやり方が気に入らないだけだし。」
「やり方が気にくわないとは?」
「こっちでいう葛城みたいな奴かなぁ。俺目線クラスの平和に執着しすぎているんだよ。面は一ノ瀬。裏は劣化版の坂柳みたいな奴かな。まぁ同じ土俵に立てないくらいには遠いけど。」
俺は軽く肩を竦める
すると軽く睨んでくる坂柳に俺は取引の話になる
「……それで何の取引をしにきたんですか?」
「いや。個人的な話だけど俺のグループと坂柳の派閥を一年間の協力関係を結びたいんだよ。とりあえずこれからの情報をお互いに共有し合うっていう感じだな。まぁ、おそらく一週間のうちに起こるであろう出来事について教える。協力関係を結べるなら、中間テストの攻略法と葛城の面白い情報を売ってやるっていえば?」
「……売るですか?」
「ポイントを渡すことによって条約が発生する。裏切れないしこういった取引は売るにした方がいい。口約束なんて信用ならないしな。最悪100ポイントでもいい。もし裏切ったようならば詐欺になるからな。」
「なるほど。詐欺として退学をするようにするのですね。」
「あぁ。……んでどうする?」
俺はそういうと坂柳はすこし考えたようにしている
「あなたは何で中間テストの攻略法を調べることにしたんですか?」
「あぁ。元々は担任が信用できないことばっかりだったからな。俺は星之宮先生に情報を渡してもらっていたんだよ。無料で教えてもいい情報を。」
「担任が信用できないとは。」
「あの先生は欲を持っている。先生曰く綾小路を堀北が来ることを予想して呼び出していたらしい。それは綾小路の異常性に気づいていると言っても過言ではないんだよ。」
「……綾小路くんが異常ですか?」
「当たり前だ。最後の問題は俺とお前綾小路しか解答できてないしお前らしか最後の問題は解答していない。この学校の個人情報は大体買うことができるし元々ブログやSNS、元々の学校のホームページを見れば少しくらいは個人情報を集めるくらいのできるんだよ。でも綾小路には全く情報がない。まるで本当に隠されていたようにな。」
俺が言い切るとすると坂柳は少し目を開く。
どうやら心当りあるらしい。
「……まぁそんな話はどうでもいい。それで取引に応じてくれるかどうかって話だ。」
「……攻略法ですか。えぇ。お受けします。葛城くんの件も合わせて。」
俺はそういうと坂柳にスマートフォンを見せる
そして坂柳はそれを見て俺は過去問の二枚目と三枚目そして葛城と一ノ瀬が生徒会から落ちたことも伝える。
「どうだ?」
「……このデータは。」
「坂柳のメアドにデータに送る。一応中間の方はもしかしたら変わる可能性があるから確実ではないけど、過去の傾向からいうと今年もこの問題であることが高いだろうな。」
「……えぇ。有意義な情報ですね。私からは10万ポイント払いたいと思います。」
「……高すぎねぇか?」
多分この二つで3万あればいい方だと思ったんだが
「いえ。今までの会話に面白いところと学校の仕組みを理解して既に結構情報を集めていることが分かりました。もしかしたら私たちの情報を握っている可能性だってありますから。」
「あぁ。……まぁ裏切るような真似はしないし。バラすような真似はしないけどな。こっちは当分忙しいからな。とりあえず連絡先を渡しておくから後からメアドに打ちこんでおいてくれ。」
「……はぁ。情報を持っていることに否定はしないんですね。」
「そっちの方がいいだろうからな。まぁ時間があればチェスでもしようぜ。チェスも相手がいた方が為になるしな。」
そう言って俺は教室から出る
……予定が狂ったな。
俺はため息を吐きながら仲間の元に戻った