第二次スパロボZ ルルーシュに生まれ変わった転生者(更新停止中) 作:幻龍
技術開発と異世界に行って富を吸い上げることぐらいかな。
ルルーシュはマルカル家当主から、彼女の養娘、レイラ・マルカルという少女の紹介を受けていた。
ルルーシュは無論この少女を知っている。なにせ同じ作品に登場する人物なのだから。
両親が元ブリタニア貴族でEUに亡命したあと、生まれた少女。そして、原作ではゼロ(ルルーシュ)の戦訓からKMF部隊の運用方法を考え実行に移して、EUの特殊部隊の指揮官でもあった。最も最初に軍上層部の横槍で最新鋭のKMFを無駄に消耗させられたのは哀れだったが。
「……当主。あなたは自分の娘を私に紹介してどうするのですか? まさか、その為だけに呼んだのではありませんよね?」
ルルーシュは戦後処理を任されて総督に任命されているが、この就任期間は決して長くはないと考えていた。
ユーロ・ブリタニアは、自分達が尊い血を流して頑張って来たのに、本国に名誉と手柄を横取りされて、内心では面白く思っていないことは丸わかりだし、本国は占領したユーロピアの利権をユーロ・ブリタニアと水面下で奪い合っている最中なのだ。目の前のマルカル家当主も多くの利権をその過程で失った結果(ルルーシュはこの過程でいくつかの企業等を買収した)、それを取り戻そうと目の前の当主は躍起になって、臨時総督である自分に縋ってきたのだと容易に想像がついた。
このような事態が占領してから頻繁に起きているため、地元に支持者が増えてルルーシュの勢力が増大することを恐れた、本国の一部の者が自分を長く総督に就くことを、許すことはないだろうと思っていた。
「い、いいえ!? 違います!」
「……では、彼女をまさかとは思いますが愛人として差し出しますとか言わないでしょうね? 今更あなたの身内に価値があるとは、誰も思いませんよ? 彼女をただ見せたかっただけというなら、もう目的を果たしていますから、帰えらせていただきます。私も生憎と暇ではありません」
ルルーシュは露骨に不機嫌になったといおう表情を見せつけて、話を切り上げることにした。原作の人物に会えたことと、所在が判明したことはある意味収穫だったが、その程度調べればわかることである。彼女との顔会わせの為だけにここまで赴いたわけではないので、内心少し後悔したのであった。
「ち、違います!! 正直に言いますから、待ってください! 実は娘をあなたの部下にと推薦したいのです。幸い、軍事に明るく才能もありますし、KMFも操縦できます。殿下の役に立つはずです!」
「……私を若造とバカにするのもいい加減にしてもらえますか? そのようなこと今の情勢では難しいということはわかっているはずです。あなたはそんなに私を苛立たせたいのですか? これ以上は話すことはなさそうですね。残った利権を毟り取られないように、ユーロ・ブリタニアの貴族達に気を付けてください。あなた方の僅かに残っている財産を接収しようと狙ってますから。それでは、私はこれで失礼し「お待ちください!」」
ルルーシュは、彼が精々ユーロ・ブリタニアと仲良くならないように、最後に置き土産を残したあと、帰ろうとしたそのとき、レイラ・マルカルが突然大声を発して引き留めた。
「ルルーシュ殿下。私をどうか部下へと引き立てください。これでもKMFの操縦もできますし、指揮官経験もあります」
「私は獅子身中の虫を飼う趣味はない。君が裏切る可能性と天秤に賭けたら、軍へと推薦する気すら起こらないのだが? それに君の身の安全を考えるなら、このまま何もなかったことにして、目立たず静かに暮らした方がいいだろう。そうするのなら私も手を回してやらんでもない」
ルルーシュはレイラ主張を即座に却下した。
彼女がブリタニアからの亡命貴族の子供だとわかれば、まずいい扱いをされない。何せ祖国と戦った裏切り者だ。その上見た目麗しい年頃の女性であれば、何をされるかは容易に想像できる。このまま、隠れて静かに暮らすのが彼女も幸せだと思ったから、敢えてきつく言い放った。
「……仰る通りです。だから、己の身を守る為にあなたの側で仕えたいのです。力を持たねば私は生き残れない状況になってしまったからです」
レイラはルルーシュの言葉を受け入れつつも、理性的に反論した。そして、ルルーシュに懇願するような視線を向けた。
ルルーシュはレイラをどうすべきか迷った。彼女の言う通り力がなければ、ブリタニアの支配下では生き残れないことは事実だ。そして、彼女の未来はあまり明るくない。
己の中の優しさ(甘さともいえる)と、味方になる可能性が低い原作キャラに、利益を与えるのをよしとしない部分で葛藤してしまった。そして、彼女がブリタニアに帰属して、自分を本当に支えてくるのか若干不安もあったが、原作キャラに好き勝手振舞われて、イレギュラーなことが起こることは避けたい。
「……それなら、私の軍に入れるように手配しよう。幸い、ブリタニアは実力主義だ。手柄をある程度立てれば問題ないだろう。一週間内に身辺を整理しておけ」
「……ご事情はわかっています。私のご要望を聞いていただきありがとうございました。ルルーシュ殿下」
「それよりも、今日から、君は私の部下だ。それを忘れるな。私は先程も言ったが裏切りを嫌う。亡命貴族の件は君が生まれる前だから、それに関しては私は裏切るとは思っていないし、罪だとも思ってもいない」
「っ! あ、ありがとうございます」
レイラは笑顔を浮かべ、ルルーシュに礼を言い頭を下げた。
「モニカ。お前専用のKMF開発許可が通った。今回接収したクレマン社のKMFとランスロットをベースに開発するそうだな」
「はい。皇帝陛下に許可を頂くのは大変だったと思いますが、よく許可が下りましたね?」
「今回の戦闘における報酬として通しただけだ」
「ルルーシュ殿下……。ありがとうございます」
モニカはルルーシュに頭を下げた。
「気にするな。私と君の関係だ。これぐらいは当然だ」
「はい。これからも誠心誠意お仕えさせていただきます。しかし……」
「どうした。先程のレイラ・マルカルの件か?」
「はい。あの者が裏切らない保障はありません。なぜ、近くに置く等考えたのですか?」
モニカはルルーシュに先程のレイラを取り立てることに疑問を呈した。
彼女から言わせれば、レイラ・マルカルが裏切る可能性は高い。なぜなら、自分達は彼女の国を滅ぼしたのだ。いい感情を抱いていかないのは人として当然だからだ。
「彼女は色々と条件を出してきた。それさえ守ってくれるなら、多少適当な扱いをされても構わないらしい」
「条件?」
「どれも問題ないものばかりだ。最たるものは彼女の親しい者に生きる糧を与えることだ。それは技術者接収という形で済ませる予定だ。他の条件も俺の手で届く範囲だった。さすが才女だというべきか、一皇子の権限などたかが知れていることは、向こうもわかってくれていたようだ」
「そうですか……」
モニカは微妙に納得できない顔をしていたが、主君の決定にこれ以上意見を挟むことは不敬になるので引き下がった。
「それよりも引き継ぎを済ます為に明日から、また書類仕事だ。覚悟しておけ」
「イエス・ユア・ハイネス」
ルルーシュとモニカは総督本部に帰還し、政務に戻った。そして、一ヶ月後。ユーロ・ブリタニア総帥と会談。ユーロピアの治安がある程度改善されたので、運営権を譲渡してルルーシュ達は本国へ帰還した。