遊戯王 ~クロスオーバーディメンションズ~   作:鬼柳高原

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遊馬と遊矢 ~彼の者の名は……~

「希望の魔術師で戦士ダイ・グレファーを攻撃!」

 

 希望の魔術師が双剣を振るい、筋骨隆々な戦士を斬り倒す。

 

「ぐわぁぁぁ!?」

 

 グリモ LP:700→0

 

 遊矢の希望の魔術師が放った斬撃の余波を受け、怪しいローブの決闘者”グリモ”が倒れる。それが合図かのようにRSVが消え、決闘が終了した。

 

「ま、まさかエリートである僕が負けるなんて……チクショウ! さっさと先に行け!」

 

 三白眼とまつ毛が特徴的な青いコートの少年”五階堂 宝山”はパートナーであるグリモを一瞥した後、悔しそうに道の先を指さす。

 

「おう! お前らの戦士族コンビも凄かったぜ! じゃあな!」

 

 そう言って遊馬は道の先へ駆け出し、遊矢もそれに続く。

 

「これで何戦目だ? 一体何時になったら出口に着くんだよ!」

「本当に迷宮なんだな。闇雲に進んでもーーーーん? 何だ?」

 

 二人が次のフロアへと着くと、そこはとても広い空間。今までのフロアは最低限1組の決闘ができるだけの広さだったのに対し、ここは決闘スタジアムと見紛うばかりの広さ。だからといって装飾などはなく、あるのは茶色い壁と地面、天井だけである。やはりここも明かりが無いのだが、電灯で照らされているかのように明るく見える。

 

「うお!? めちゃくちゃ広いぞ! ここがゴールなんじゃねぇか?」

「いや待って! 何かおかしい!」

 

 二人がフロアへ立ち入った瞬間、フロア内に霧が立ち込め視界を狭める。遊馬はキョロキョロと辺りを見回すが、見えるのは隣で同じように辺りを見回している遊矢のみである。

 

『罠か……二人とも構えろ。前方から何かくる!』

 

 アストラルが指差す方から一人の人間がヌッと霧の中から現れる。

 

「ようこそ”霧の間”へ。歓迎するぜ坊や達」

 

 現れたのは長髪に顎鬚を生やしたガラの悪い男。左頬には前科持ちの証であるマーカーが刻まれている。その外見に一瞬だけ怯むが、遊馬は一歩踏み出して相対する。

 

「お前が次の相手か!」

「その通り、ま、俺だけじゃないがな」

「タッグ決闘だろ? パートナーはどこだよ?」

「俺の名は”ニコラス”。ここでの決闘はタッグ決闘じゃねぇ。”バトルロイヤル”だ」

「バトルロイヤル?」

「そう、この広大な霧の間には俺以外にも決闘者が潜んでいる。俺とそいつらを全員倒せばお前らはこの先に進めるってわけだ」

 

 ニコラスのその言葉に、今度は遊矢が反応する。

 

「どうしてバトルロイヤルなんだ? 普通に順番に決闘するか、タッグじゃ駄目なの?」

「それはこの決闘場が関係していてな。この決闘場には特殊なフィールド魔法が張られている。決闘盤を見てみな」

 

 遊矢達はそれぞれの決闘盤のモニターを確認すると、5人の決闘者の決闘盤が通信接続されていると表示されていた。しかし、本来は決闘盤の持ち主の名前が表示されているはずなのだが、名前部分はプレイヤーとしか表示されず、顔のアイコンも真っ白になっていて誰が誰だか解らない状態だった。解るのは遊馬が”プレイヤー1”、遊矢が”プレイヤー2”であることだけである。

 

「このフィールド内にいる限り、決闘盤を使って相手プレイヤーの盤面情報を知ることが出来なくなる。直接SVを確認するしかねぇのさ」

「直接って……この霧じゃ見えない! 決闘なんて無理だ!」

「無理じゃねぇさ。俺達の距離……10mってとこか? そこまで近づきゃぎりぎり見えるぜ。このバトルロイヤルは相手を探し出し、近づいて倒す。それが基本だ。攻撃も魔法・罠も、きっちり対象を宣言するんだぜ? 決闘盤で使える機能は誰のターンか、どんな行動をしたか、残りのLPは幾つか、そんなもんだ」

「ええっと……つまりどういうことだ?」

 

 遊馬がアストラルへと向き直る。

 

『この霧の中を移動し、隠れている決闘者を見つけて攻撃する。立ち回り次第では霧を利用しながら奇襲することも可能だが、逆に思わぬ不意打ちを受けるかもしれない。……この決闘、危険だ』

「こっちが先に見つけて叩けばいいんだろ! やってやるぜ!」

『そんな簡単な話ではない。ここは奴らのテリトリー、確実に罠を張っているだろう』

「それでもやるしか先に進めない! その決闘、受けてやる!」

 

 遊馬が宣言すると、ニコラスは嫌らしい笑みを浮かべる。

 

「それじゃあ決闘スタートだ。LPは4000。バトルロイヤルルールにより、全プレイヤーは最初のターンに攻撃はできない。順番は番号が若い順だ。それじゃ健闘を祈るぜ、ククク……」

 

 そう言ってニコラスは後退し、霧の中へと消える。

 遊馬と遊矢は決闘盤を展開し、デッキから手札を引き抜いた。最初はプレイヤー1である遊馬からのターンである。

 

「くそ、本当に決闘盤に情報が表示されねぇ。5人決闘してるってことくらいしか解んねぇぞ!」

『遊馬、ここは相手のテリトリー、慎重にいけ』

「おう! 俺のターン! 《ズババナイト》を召喚!」

 

 遊馬の場に鋸の様な双剣を逆手に持った金色の騎士が現れる。これこそが遊馬を支える”オノマト”の一派”ズババ”の騎士、ズババナイトである。

 

 ズババナイト 地属性 戦士族 レベル3 ATK:1600

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

遊馬

LP:4000

手札:2

モンスター

・ズババナイト ATK:1600

魔法・罠

・セット

・セット

 

「俺のターン!」

 

 遊矢 手札:5→6

 

「最初は皆攻撃ができないんだ。なら守りを固める! 《EMアメンボート》を召喚!」

 

 遊矢の場に小型のボートを背負った巨大なアメンボが現れる。

 

 EMアメンボート 水属性 昆虫族 レベル4 ATK:500

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

遊矢

LP:4000

手札:3

モンスター

・EMアメンボート ATK:500

魔法・罠

・セット

・セット

 

 遊矢がターンを終了させると、二人の決闘盤のモニターが動く。

 

プレイヤー3

ドローフェイズ

スタンバイフェイズ

メインフェイズ

モンスターを召喚

カードをセット

ターンエンド

 

プレイヤー4

ドローフェイズ

スタンバイフェイズ

メインフェイズ

モンスターを召喚

ターンエンド

 

プレイヤー5

ドローフェイズ

スタンバイフェイズ

メインフェイズ

モンスターを召喚

 

「くそ! 何を召喚したんだ! アストラル、遊矢、捜しに行こうぜ!」

『落ち着け遊馬! 相手の出方を見るんだ! ルール通りなら相手もこちらの手は見えない。近づいてくるはずだ。そこを見極めて叩くぞ』

「えーでもよ……」

「遊馬、俺もそれがいいと思う。下手に動いて遊馬とはぐれる方が怖い」

「遊矢までそういうなら……もどかしいぜ!」

 

プレイヤー5

ターンエンド

 

 プレイヤー5がターンを終了した瞬間、決闘盤のアラームが短く鳴る。

 

 

{プレイヤー6が乱入しました。乱入ペナルティー2000ポイント}

 

 

 プレイヤー6 LP:4000→2000

 

プレイヤー6

ドローフェイズ

 

「何だ? 新手か!?」

『遊馬、何度も言っているが、ここは敵のテリトリーだ。増員して我々を消耗させようとしているのか……厄介だな』

 

プレイヤー6

スタンバイフェイズ

メインフェイズ

永続魔法を発動

モンスターをセット

カードセット

ターンエンド

 

「俺のターン!」

 

遊馬 手札:2→3

 

「くそ! 見えないから攻撃できねぇ! 《ガンバラナイト》を召喚!」

 

 遊馬の場にガンバラナイトが現れる。

 

 ガンバラナイト 地属性 戦士族 レベル4 ATK:0

 

「早くこっち来やがれってんだ! ターンエンド!」

 

遊馬

LP4000

手札:2

モンスター

・ズババナイト ATK:1600

・ガンバラナイト ATK:0

魔法・罠

・セット

・セット

 

「俺のターン!」

 

 遊矢 手札:3→4

 

「よし! 《EMディスカバー・ヒッポ》を召喚!」

 

 遊矢の場にシルクハットを被ったピンクのカバが現れる。遊矢のエンタメショーにおける1番のパートナー、ディスカバー・ヒッポの登場である。

 

 EMディスカバー・ヒッポ 地属性 獣族 レベル3 ATK:800

 

「カバ?」

「遊馬、アストラル、ヒッポはその名の通り”発見の達人”なんだ! ヒッポに相手決闘者を捜してもらおう! はぐれない様に付いてきてくれ」

『相手を見つけ出せるなら話は別だ。行こう遊馬』

「カバなのにそんなこと出来るのか! 頼んだぜ!」

 

 遊矢はヒッポの背に乗り、遊馬達を引き連れて移動を始める。

 

「どうだヒッポ、この辺にいそうか?」

『ヒポポ……』

「まだ分からないか……おっと」

 

 遊矢の決闘盤からターンのタイムリミットが迫っている事を告げるアラームが鳴る。

 

「俺のターンの間に見つけたかったけど、仕方ないか。一回止まって相手の出方を見よう! ターンエンド!」

 

遊矢

LP:4000

手札:3

モンスター

・EMアメンボート ATK:500

・EMディスカバー・ヒッポ ATK:800

魔法・罠

・セット

・セット

 

プレイヤー3

ドローフェイズ

スタンバイフェイズ

メインフェイズ

魔法カードを発動

モンスターを特殊召喚

モンスターを召喚

バトルフェイズ

 

「バトル? え!?」

 

ガンバラナイトが対象に選択されました。

バトルを行います。

 

 遊馬達が動揺していると、霧の中から両手がフック状になった悪魔が飛び出し、ガンバラナイトへと迫る。

 

 ヒドゥンナイトーフックー 闇属性 悪魔族 レベル4 ATK:1600

 

「ガ、ガンバラナイトの効果発動! 攻撃対象になった時、守備表示にする!」

 

 飛び出した悪魔に対し、ガンバラナイトは咄嗟に両手の盾を構え、悪魔のフックによる切り裂き攻撃を防ぐ。

 

 ガンバラナイト ATK:0→DEF:1800

 プレイヤー3 LP:4000→3800

 

「防げた……いや攻撃ってことは、どこだ決闘者!?」

 

 3人が辺りを見回していると、モニターに新たな表示が浮かぶ。

 

 ズババナイトが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 デーモン・ソルジャー 闇属性 悪魔族 レベル4 ATK:1900

 

 霧の中から別の悪魔が飛び出し、手に持った剣でズババナイトを切り倒す。

 

「ズババー!? くそ! どこから攻撃してきてんだ!?」

 

 遊馬 LP:4000→3700

 

 罠を発動

 ガンバラナイトが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 マッド・デーモン 闇属性 悪魔族 レベル4 ATK:1800→2500

 

 更に霧の中から動物の骨を組み合わせて人型に作られた悪魔が飛び出してくる。その悪魔は胴体が大きな顎となっており、顎の中に収められたドクロを粉々に噛砕くと、破片をガンバラナイトに向かって飛ばす。破片はガンバラナイトをマシンガンの弾丸の様に貫き、破壊してしまう。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

 遊馬 LP:3700→3000

 

「遊馬!? 大丈夫か!?」

「ああ……どうなってんだ!? こっちから見えないんじゃ相手も見えないんじゃないのか!?」

『やはりこれは罠だ。恐らくは相手の決闘盤にはこのルールが適用されていない、もしくは別の手段で我々の位置や盤面を把握しているのだろう』

「汚ぇぞ! 正々堂々決闘しろ!」

 

 プレイヤー3

 ターンエンド

 

 プレイヤー4

 ドローフェイズ

 スタンバイフェイズ

 メインフェイズ

 モンスターを召喚

 魔法を発動

 モンスターを召喚

 バトルフェイズ

 EMアメンボートが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 ジャイアント・オーク 闇属性 悪魔族 レベル4 ATK:2200

 

 霧の中から棍棒を持った大柄のオークが現れ、アメンボートに襲い掛かる。

 

「アメンボートの効果発動! 攻撃対象に選択された時、守備表示にして攻撃を無効にする!」

 

 アメンボートが防御体勢を取った瞬間、オークは急に立ち止まり、霧の中へと戻っていった。

 

 EMアメンボート ATK:500→DEF:1600

 

 EMアメンボートが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 遅すぎたオーク 闇属性 悪魔族 レベル4 ATK:2200

 

 霧の中から可愛らしい怪獣のリュックサックを背負ったオークが現れ、慌てた様子でアメンボートに向かって飛び掛かる。アメンボートは成すすべもなく巨体によって潰されてしまった。

 

 EMディスカバー・ヒッポが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 ゴブリンエリート部隊 闇属性 悪魔族 レベル4 ATK:2200

 

 霧の中から鎧を着たゴブリンの集団が現れ、ヒッポを袋叩きにして破壊してしまう。上に乗っていた遊矢は襲われる前に慌てて飛び退いた。

 

「ヒッポ!? ごめんよ……」

 

 遊矢 LP:4000→2600

 

 プレイヤー4

 ターンエンド

 

 プレイヤー5

 ドローフェイズ

 スタンバイフェイズ

 メインフェイズ

 モンスターを召喚

 魔法発動

 モンスターを召喚

 魔法発動

 モンスターを特殊召喚

 バトルフェイズ

 

 プレイヤー2が攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 モリンフェン 闇属性 悪魔族 レベル5 ATK:1550

 

 霧の中から長い腕とかぎづめが特徴の奇妙な姿をした悪魔が現れ、遊矢へと迫る。

 

「速攻魔法《超カバーカーニバル》! デッキ・手札・墓地から《EMディスカバー・ヒッポ》を特殊召喚する!」

 

 遊矢の場に再びヒッポが現れ、モリンフェンとの戦闘を始めるーーーーかと思いきや、ヒッポは後ろ脚で立ち上がり、一礼する。

 

 EMディスカバー・ヒッポ 地属性 獣族 レベル3 DEF:800

 

「更に《カバートークン》を可能な限り特殊召喚!」

 

 遊矢の場に雌のカバのカーニバルダンサー4体が現れ、ヒッポと共に踊り出す。

 

 カバートークン×4 地属性 獣族 レベル1 DEF:0

 

「どんより霧天気でも、踊って憂鬱を吹き飛ばす! このターン、相手はカバートークン以外のモンスターを攻撃対象にはできないぞ!」

 

 モリンフェンは遊矢の前に現れたトークンに向かって飛び掛かり、かぎづめで切り裂く。

 

 プレイヤー1が攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 魔人デスサタン 闇属性 悪魔族 レベル4 ATK:1400

 

 霧の中から闇にとけ込む黒のタキシードに身をつつんだ悪魔が現れ、遊馬に襲い掛かる。

 

「手札から《ガガガガードナー》の効果発動! 相手の直接攻撃宣言時、攻撃表示で特殊召喚できる!」

 

 遊馬の前にガガガガードナーが現れ、デスサタンを睨みつけて威圧する。

 

 ガガガガードナー 地属性 戦士族 レベル4 ATK:1500

 

 デスサタンはこれに怯み、攻撃対象をカバートークンに変更して破壊する。

 

 カバートークンが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 死神ブーメラン 炎属性 悪魔族 レベル3 ATK:1000

 

 霧の中から高速で回転し飛ぶ刃が飛び出し、カーバートークン1体を切り裂いて破壊する。

 

 カバートークンが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 ガーゴイル 闇属性 悪魔族 レベル3 ATK:1000

 

 霧の中から翼、角、長い耳、鋭い爪ーーーー悪魔をイメージする風貌そのもの、正に悪魔という見た目の悪魔が現れ、カバートークンを爪で切り裂いて破壊する。

 

 プレイヤー5

 ターンエンド

 

「ちくしょう! このままじゃやられっぱなしだぜ!」

「落ち着いて遊馬、とりあえず攻撃が来た方向をーーーー何だ?」

 

 遊矢が霧の先に目を向けると、何か光輝いているのが見える。

 

「(何だ? 何が光っているんだ?)」

 

 プレイヤー6

 ドローフェイズ

 スタンバイフェイズ

 メインフェイズ

 モンスターをアドバンス召喚

 罠カードを発動

 魔法カードを発動

 モンスターを融合召喚

 モンスター効果を発動

 魔法カードを発動

 モンスターを儀式召喚

 モンスターを特殊召喚

 永続魔法を発動

 装備魔法を発動

 装備魔法の効果を発動

 

 光の方向から波動が広がると、遊馬のガガガガードナーと遊矢のヒッポが脱力してしまう。

 

  ガガガガードナー ATK:1500→250

  EMディスカバー・ヒッポ ATK:800→0

 

「ヒッポ!?」

「ガガガガードナー!? な、何が起こってんだ!?」

 

 プレイヤー6 

 バトルフェイズ

 

 ガーゴイルが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 モンスター効果を発動

 

 モリンフェンが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 プレイヤー5のLPが0になりました。

 

「え? やられた? 何で? 仲間じゃないのか?」

 

 遊矢が混乱していると、光の位置が動いて止まる。

 

 プレイヤー6

 

 ジャイアント・オークが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 モンスター効果を発動。

 

 遅すぎたオークが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 

 プレイヤー4のLPが0になりました。

 

「ま、また倒されたぞ!? 1ターンで2人も!? どうなってんだ!?」

 

 遊馬も驚いて決闘盤の通知を見る。

 

 プレイヤー6

 

 マッド・デーモンが攻撃対象に選択されました。

 バトルを行います。

 モンスター効果を発動

 

「ぐわぁぁぁーーーー!?」

 

 ニコラス LP:3800→1200

 

 決闘盤の通知と同時に、霧の中から先程会ったニコラスが弾き飛ばされて遊馬達の前で倒れる。付き従うは脱力した様子の悪魔達ーーーー

 

 ヒドゥンナイトーフックー ATK:1600→350

 デーモン・ソルジャー ATK:1900→650

 

「あ、お前!」

「へ、ヘルマン! ハンス! ほ、本当にやられちまったのか!?」

 

 ニコラスは決闘盤とは違う端末に向かって必死に叫ぶ。暫くすると、ニコラスが飛ばされてきた方向から光が近づいてくる。その正体は黄金に輝く逆三角錐の物体。その形を認識できる位置まで近づくと、光が止んでしまった。光が止んでしまったせいで分かり辛いが、どうやらそれはペンダントの様なもので、何者かが首から下げているようだ。ギリギリ距離が足りないからなのか、その人物の顔は霧のせいでよく見えない。

 

「永続魔法《螺旋槍殺(スパイラル・シェイバー)》の効果により、2枚ドローして1枚手札を捨てるぜ」

 

 ??? 手札:4→6→5

 

 遊矢は謎の決闘者の胸元で揺れる三角錐に気付き、指差す。

 

「遊馬、あのペンダントを見てくれ!」

「ありゃタイタンって奴が持ってた! 何であいつが倒してんだ? 仲間じゃねぇのか?」

「あんな若々しい声だったかな? 体格も違うけど……」

 

「《デーモンの杖》と《呪われし竜ーカース・オブ・ドラゴン》の効果により、お前のモンスターは闘う力を失った。伏せカードも手札も無い。ゲームオーバーだな」

「な、な、何者なんだてめぇは!? どうして俺達の位置と盤面が分かった!?」

「霧も闇も同じだ。俺の”眼”は誤魔化せないぜ」

 

 そう言った瞬間、その人物の額に妖しく輝く”眼”が浮かび上がる。相変わらず表情は見えないが鋭い眼光を放つ両目だけが霧の上に浮かび上がり、3つの”眼”が静かにニコラスを睨んでいた。

 

「く、くそ! 闇のカードが機能さえしていれば!」

「闇のカードか……お前には過ぎた”オモチャ”だったな」

 

 謎の決闘者が手を挙げて合図すると、背後の霧の中から恐ろしい姿の上級悪魔が現れる。白く固い外殻に覆われ、その顔は憤怒で歪み、全身に雷の様な魔力を迸らせている。

 

 デーモンの召喚 闇属性 悪魔族 レベル6 ATK:2500

 

「デーモンの召喚でヒドゥンナイトーフックーを攻撃! 【魔光雷】!」

 

 デーモンの召喚が全身から電撃を放ち、ヒドゥンナイトーフックーを一瞬で焼き払う。

 

「ぐわぁぁぁーーーー!?」

 

 ニコラス LP:1200→0

 

 ニコラスは衝撃で吹き飛ばされ、霧の彼方へと消えた。

 謎の決闘者はそれを見届けると、今度は遊馬達へと向き直る。

 

「さて……あと二人か」

「!? く、来るか! 負けねぇぞ!」

「慌てるなよ、このターン俺に出来るのはここまでだ。カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

 この瞬間、霧に隠れて見えていなかった決闘者の場のモンスター達が前に進み出ることで、その全容が明らかになる。

 

???

LP:2000

手札:2

EXモンスター

・天翔の竜騎士ガイア ATK:2600

モンスター

・デーモンの召喚 ATK:2500

・カオス・ソルジャー ATK:3000

・カオス・ソルジャーー開闢の使者ー ATK:3000

魔法・罠

・守護神の宝札

・デーモンの杖(装備:デーモンの召喚)

・螺旋槍殺

・セット

・セット

 

 デーモンの頭上を飛ぶのは、禍々しい飛竜に跨った騎士。両手にランスを持ち、何時でも突撃できると言わんばかりに構える。

 

 天翔の竜騎士ガイア 風属性 ドラゴン族 レベル7 ATK:2600

 

 両脇を固めるのは、青い鎧を纏い、片手剣と盾を持った騎士二人。人間の様に見えるが、二体とも人間とは思えない様な凄まじい威圧感を放っている。

 

 カオス・ソルジャー 地属性 戦士族 レベル8 ATK:3000

 カオス・ソルジャーー開闢の使者ー 光属性 戦士族 レベル8 ATK:3000

 

「な、何て場だ。たった2ターンでここまで揃えたって言うのか!?」

 

 驚く遊矢と、決闘者とモンスター達に対して構える遊馬を見比べながら、決闘者は一歩前へ踏み出す。これによってようやくその顔が見えるようになった。その顔を見た瞬間、遊馬と遊矢は何か引っかかるものを感じた。

 

「(あれ? 何かどっかで見たような気がする、ような……)」

「(誰だ? 塾のどこかで見たような……)」

 

「子供か……悪いが、ゲームなら俺は子供相手でも容赦はしないぜ。来な、二人とも相手にしてやる」

「舐めやがって! 見てろよ!」

『遊馬! 待て!』

 

 遊馬が勇んでカードを引こうとすると、アストラルがそれを制止する。

 

「何だよアストラル!」

『あの決闘者……!』

「何だそいつは? SVかと思ったが……もしや”精霊”か?」

 

 決闘者がアストラルの方を見る。

 

「あいつ、アストラルが見えてんのか?」

『今、それは問題ではない!』

「じゃあ何だよ!?」

『遊馬、気を付けろ。私の決闘者としての勘が告げている……この男は、今までこの世界で闘ってきたどの決闘者よりも強い!』

「何だって!?」

『間違いなくあの者は”最強の決闘者”! 遊馬、本気で掛かれ! でなければ次に霧の彼方へと消えるのは我々だ!』

「マジかよ!? 俺のターン!」

 

 遊馬 手札:2→3

 

『遊馬! ホープだ!』

「解ってらぁ! 《ガガガマジシャン》を召喚!」

 

 遊馬の場にガガガマジシャンが現れる。

 

 ガガガマジシャン 闇属性 魔法使い族族 レベル4 ATK:1500

 

「レベル4の《ガガガガードナー》と《ガガガマジシャン》をオーバーレイ!」

 

 ガガガガードナーとガガガマジシャンが橙と紫の光となって飛び上がる。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 二つの光が遊馬の場に現れた金色の渦へと飛び込み、閃光を放つ。

 

「俺の闘いはここから始まる! 白き翼に望みを託せ! 現れろ光の使者! 《No.39 希望皇ホープ》!」

 

 閃光の中からニュートラル体である剣が現れ、ホープへと変形する。

 

 No.39 希望皇ホープ 光属性 戦士族 ランク4 ATK:2500 ORU:2

 

「No.……またそのカードか。一体何枚あるんだ?」

「No.のこと知ってるみたいだな! 俺達が勝ったら喋って貰うからな! バトル! ホープでカオス・ソルジャーを攻撃!」

「攻撃力3000のカオス・ソルジャーに攻撃だと!?」

 

 決闘者が訝しむ中、遊馬は手札からカードを取り出す。

 

「ホープの効果発動! ORUを1つ使って攻撃を無効にする! ホープ自身の攻撃を無効にし、速攻魔法《ダブル・アップ・チャンス》を発動! 攻撃が無効になった場合、そのモンスターの攻撃力を倍にしてもう一度バトルできる!」

 

 No.39 希望皇ホープ ATK:2500→5000 ORU:2→1

 

「へぇ、そんな戦い方があるのか」

「これでホープの攻撃力は5000! カオス・ソルジャーは3000! これで終わりだ! 【ホープ剣・ダブルスラッシュ】!」

 

 ホープが腰のホープ剣二振りを抜き、カオス・ソルジャーへと斬りかかる。

 

「俺は手札の《クリボー》を捨て、戦闘ダメージを0にする!」

 

 ホープの二撃はカオス・ソルジャーを葬るが、その衝撃はクリボーによって受け止められ、決闘者には届かない。

 

「惜しかったな。それで終わりか?」

「くそ! ダメージが届かなかった!」

『悔やんでも仕方がない。守りを固めろ』

「おう! 罠カード《戦線復帰》、永続罠《強化蘇生》! 戦線復帰の効果で墓地の《ガガガマジシャン》を守備表示で特殊召喚! そして強化蘇生は墓地のレベル4以下のモンスター1体のレベルを1、攻守を100上げて特殊召喚できる! 《ガンバラナイト》を特殊召喚!」

 

 遊馬の場に再びガガガマジシャンが、そしてガンバラナイトが並び立つ。

 

 ガガガマジシャン 闇属性 魔法使い族 レベル4 DEF:1000

 ガンバラナイト 地属性 戦士族 レベル4→5 DEF:1800→1900

 

「ガガガマジシャンの効果発動! レベルを1から8までの間の数値に変更できる! レベルを5にする!」

 

 ガガガマジシャン レベル4→5

 

「レベル5《ガガガマジシャン》と《ガンバラナイト》でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 2体のモンスターが光となって金色の渦に飛び込み、渦から閃光が放たれる。

 

「現れろ《No.19 フリーザードン》!」

 

 閃光の中からニュートラル体である氷の結晶が現れると、展開してフリーザードンとなる。

 

 No.19 フリーザードン 水属性 恐竜族 ランク5 DEF:2500 ORU:2

 

『よし、フリーザードンがいればホープの能力の使用回数が増える。No.の耐性と守備力も合わさり、守りの面は申し分ない。考えたな』

「任せておけって! カードを伏せてターンエンド!」

 

遊馬

LP3000

手札:0

モンスター

・No.39 希望皇ホープ ATK:2500 ORU:1

・No.19 フリーザードン DEF:2500 ORU:2

魔法・罠

・強化蘇生

・セット

 

「俺のターン!」

 

 遊矢 手札:3→4

 

「魔法カード《EMキャスト・チェンジ》! 手札の”EM”を任意の数だけ見せることで、それをデッキに戻してシャッフル! 戻した枚数分と、更に1枚ドローする! 俺は手札のEM3枚全てをデッキに戻し、4枚ドロー!」

 

デッキに戻したカード

EMハンマー・マンモ

EMボットアイズ・リザード

EMスライハンド・マジシャン

 

 遊矢 手札:3→0→4

 

『ヒポポ!』

「ヒッポ、調子が戻ったのか! よし、《EMソード・フィッシュ》を召喚!」

 

 遊矢の場に剣の様に鋭い魚が現れ、分身して決闘者の場に突撃する。

 

 EMソード・フィッシュ 水属性 魚族 レベル2 ATK:600

 

「何だ?」

「私のエンタメ決闘をご覧あれ! ソード・フィッシュは召喚・特殊召喚に成功した場合、相手のモンスター全ての攻守を600ダウンさせます!」

 

 無数のソード・フィッシュが決闘者の場のモンスターに突き刺さり、力を奪う。

 

 天翔の竜騎士ガイア ATK:2600→2000

 デーモンの召喚 ATK:2500→1900

 カオス・ソルジャーー開闢の使者ー ATK:3000→2400

 

「ここでヒッポの効果! ヒッポが場に存在する限り、私は通常の召喚に加えて、このターン、アドバンス召喚を行うことができるのです! ヒッポとソード・フィッシュをリリース!」

 

 ヒッポとソード・フィッシュが光の中へと消えると、その光の中から二色の眼と大きな翼を持つ巨竜が現れる。

 

「進化を促す二色の眼! その証たる大いなる翼を持って飛翔せよ! アドバンス召喚! 《オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン》!」

 

 オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン 闇属性 ドラゴン族 レベル8 ATK:3000

 

「オッドアイズ・アドバンス・ドラゴンの効果発動! アドバンス召喚に成功した場合、相手モンスター1体を破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを与える! 対象は開闢の使者! 劣勢を覆す魂の一撃! 決まりましたらご喝采! 〈リアクション・ノヴァ〉!」

 

 アドバンス・ドラゴンがブレスを放ち、開闢の使者を吹き飛ばす。

 遊矢達が警戒した様子で窺っていると、爆炎が止み、煙の中から決闘者が姿を現す。

 

「……やるじゃないか。今のは効いたぜ」

 

 ??? LP:2000→5000→2000

 

「LPが減っていない!? どうして……」

「速攻魔法《非常食》! 俺の場にセットしていた《守護霊のお守り》、《デーモンの杖》、《螺旋槍殺》を墓地へ送り、LPを3000回復したのさ。更に発動させていた罠カード《守護霊のお守り》の効果により、ガイアの攻撃力をターン終了時まで俺の墓地のモンスター1体に付き100アップする! 俺の墓地のモンスターは10体。よって1000ポイントアップ!」

 

 天翔の竜騎士ガイア ATK:2000→3000

 

「……まだまだ! 私のショーは続いています! アドバンス・ドラゴンでデーモンの召喚を攻撃! 【螺旋のストライク・フレイム】!」

 

 アドバンス・ドラゴンがブレスを放ち、デーモンの召喚を焼き尽くす。

 

「くっ……俺のLPはまだ尽きてないぜ? まだショーは続くな?」

 

 ??? LP:2000→900

 

「アドバンス・ドラゴンの効果発動! モンスターを戦闘破壊した時、自分の手札・墓地からレベル5以上のモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる! 手札の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を特殊召喚!」

 

 遊矢の場にオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが現れ、防御体勢を取る。

 

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 

 闇属性 ドラゴン族 レベル7 DEF:2000

 

「(凄い、効果ダメージを防ぐ流れで、戦闘の対策まで……って、エンタメしてる俺が感心しちゃってるよ)」

 

 そう思って、遊矢は気付く。

 

「(……物凄い展開からの3人抜き、そして今の攻防……この人の決闘は華があるって言うか……自然なままで”エンタメ決闘”なんじゃないか?) カードを伏せてターンエンド!」

 

遊矢

LP:2600

手札:0

モンスター

・オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン ATK:3000

・オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン DEF:2500

魔法・罠

・セット

・セット

・セット

 

「……この1ターンだけで解るぜ。お前達、相当手練れの決闘者だな? それだけじゃない、決闘への熱い魂を感じる……その魂に、俺は全力で応える!」

 

 この瞬間、決闘者のペンダントが金色の輝きを放つ。そして、遊馬の”皇の鍵”と遊矢の”ペンデュラム”がそれに共鳴するかのように輝きだした。

 

「な、何だ!? 鍵が!?」

『これは……!?』

 

「ペンデュラムに一体何が!?」

 

 3つの輝きは増し、遊馬、アストラル、遊矢を記憶の彼方へと導くーーーー

 

 

 * * *

 

 

 ここは遊馬とアストラルの記憶の中。在りし日の日常。その中で遊馬は大量の食料を背負い、長い階段を登り、古ぼけた建物の中に入る。

 

「じいちゃーん、”六十郎”じいちゃーん! メシ持ってきたぞー!」

 

 ここは由緒正しき決闘者の修業場”決闘庵”。かつて遊馬もここで教えを受け、決闘における大切な心を学んだ。今日は祖母からのお使いでここの主”六十郎”に食料を届けに来ていた。

 

「あれ? 留守かな? 折角持ってきてやったのに」

 

 遊馬は荷物を置き、庵の奥へと入る。そこには伝説のデュエル・モンスター達を象った木像が並べられており、遊馬はここに来るたびにこの木像達を眺めていくのだ。

 

「へへ! やっぱりかっけーなぁ! 特にーーーー」

 

 遊馬は一体の木像の前に立つ。それは伝説の魔法使いを象った木像。

 

「”ブラック・マジシャン”! 初めてここに来た時の事もあってか、やっぱり俺はこいつが一番のお気に入りだな!」

「そのブラック・マジシャンが、何故伝説に語られるモンスターになったか知っているか?」

 

 いつの間にか遊馬の背後に立っていた小さな老人。この老人こそが遊馬の師匠である”六十郎”である。

 

「うおっ!? じいちゃん何時の間に……って、えーと、何かの番組で聞いたことあったような……」

「これじゃよ、これ」

 

 六十郎が遊馬に一冊の雑誌を差し出す。相当昔に発行されたものらしく、しかも何度も読み返していたようでページはボロボロ。しかし大切に保管していたからなのか、読むには十分なだけの原型は止めている。

 

「何だこりゃ? 昔の雑誌?」

「ワシがお前さんくらいの歳に出た雑誌じゃよ。その表紙をみてみぃ」

 

 遊馬が雑誌の表紙を見ると、そこには気弱そうで優し気な雰囲気の少年が照れたような表情でトロフィーを抱えている写真が掲載されていた。

 

「こいつがどうかしたのか?」

「その写真の人こそ、初代決闘王”武藤 遊戯”じゃよ」

「決闘王!? 最初の!? え、こんな弱そうな奴が!?」

 

 決闘王ーーーー遊馬も夢の目標に挙げている程の、決闘者達の憧れの称号である。

 

「ところがどっこい、武藤 遊戯は決闘の時には豹変し、とんでもない強さを見せるんじゃ。一説には”二重人格者”だった、なんて都市伝説も残っておる。このページじゃ」

 

 六十郎が雑誌のページをめくると、遊戯が決闘を行っている時の写真が乗ったページを開く。その写真に写った遊戯は正に別人。気弱そうな雰囲気が一変して自信に満ち溢れた、強気な表情でカードを手にしていた。

 

「そして彼が愛用したエースモンスターが、ブラック・マジシャンだったのじゃ」

「へぇ~……通りで有名なモンスターなはずだぜ!」

「遊戯も有名なはずなんじゃが……まあ無理も無いか、生きていたとしても、ワシ以上の爺様なはずじゃからなぁ」

「そんな昔の決闘者なのか。六十郎じいちゃんは決闘したことはあるのか?」

 

 遊馬の問いに、六十郎は懐かしそうに目を細める。

 

「ワシがお前さん位の歳の頃、遊戯は決闘王になった。デュエル・モンスターズが創成期を抜けたばかりの頃、遊戯の登場に決闘界は大きく沸き立ったものじゃ」

 

 六十郎は遊馬に武藤 遊戯の武勇伝を語り始める。表舞台に突然現れた遊戯は、実力者の”海馬 瀬人”、創造主である”ペガサス・J・クロフォード”を打倒し、ついには町一つを舞台とした世界規模の大会”バトルシティ”を制し、決闘王の座と神のカードを手にした。

 

「それからというもの、遊戯を倒そうと世界中の猛者達が遊戯に挑んだ。勿論、遊戯を倒せる者などいなかったがな」

「じいちゃんは? じいちゃんは挑戦しなかったのか?」

 

 六十郎は少し寂しげな表情をした後、遠くを見つめる。

 

「ワシも必死になって決闘の腕を磨き、自慢のデッキを作り上げ、彼の住む童実野町へと向かった。決闘王に挑戦するためにな」

「そ、それでどうなったんだ!?」

「……残念ながら、彼は決闘王の位を返上し、世界へ旅だった後じゃった。彼にも、夢があったらしいからの」

「……そっか、じいちゃん、悔しかったろうな」

「はっはっは! なーに、寧ろ燃え上がったよ! 何時か名を上げて、武藤 遊戯のような決闘者になってやる! そう決心したもんじゃ。何を隠そう、ワシの使うカードは武藤 遊戯が使っていたカードでもあるんじゃ」

「じいちゃんが使ってたカードっていやぁ……アルカナ ナイトジョーカーとか、カオス・ソルジャーとかか? すげぇカードだと思ってたけど、決闘王のカードだったのか」

「ふふふ……武藤 遊戯の伝説は、ワシの青春の思い出の中で今も輝き続けておる」

 

 六十郎は雑誌の写真を見つめ、フッと笑う。

 

「もし、もし一度だけあの頃に戻れるとするならば、ワシはこう願うだろうよーーーー」

 

 

 

 

 伝説の決闘王”武藤 遊戯”と決闘がしたい、とーーーーー

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 ここは遊矢の記憶。いつも通り学校へ通い、いつも通り決闘塾へ向かう。

 遊矢は幼馴染の”柊 柚子”と、年下の小学生トリオ”タツヤ”、”アユ”、”フトシ”と共に視聴覚室へと入り、塾長である”柊 修造”の講義を受けていた。

 

「さぁー今日は決闘の歴史を学んで行くぞ!」

「えー……いいよ歴史なんて。それより俺Pカードの練習がしたいんだけど」

「ばかもーん!!!」

 

 暑苦しい塾長に対して冷めた返答をする遊矢。案の定、熱血の大音声によって椅子ごと転がされる。

 

「いてて……」

「決闘の歴史は人の歴史! 先人達はそのまた先人達から学び、今の決闘界を創り上げて来たのだ! それを遊矢お前は~!」

「お父さん! 時間無くなるから早く進めて。遊矢もちゃんと授業受けるの! 本当にPカードの練習時間無くなっちゃうよ?」

 

 柚子に諫められ、修造は落ち着きを取り戻し、遊矢は大人しく席に付く。

 

「……今日のテーマはこの人! 伝説の初代決闘王”武藤 遊戯”についてだ!」

 

 視聴覚室の灯りを落とし、投影機がホワイトボードに映像を映す。そこには自信に満ち溢れた強気な表情でカードを手に持つ少年が映し出されていた。

 

「初代決闘王ってことは、一番最初にチャンピオンになった人ってことですよね?」

 

 タツヤが手を挙げて訊ねると、修造は力強く頷く。

 

「その通り! ストロング石島や遊勝先輩よりもずっと昔に、決闘者の頂点に立っていた人物だ!」

「(父さんと同じ、チャンピオンか……)」

 

 尊敬する父の名を聞いて少し興味が湧いた様子の遊矢。それを感じ取った修造は笑みを浮かべて講義を続ける。

 

「長い歴史の中で、まだデュエル・モンスターズが出来たばかりの頃に活躍した人物だ!」

「凄い髪型……しびれるぅ~!」

「でもちょっと顔怖いな……」

 

 横でクネクネしているフトシを他所に、女の子であるアユは遊戯の風貌に少し怯んだ様子。

 

「そんなことはないぞアユ! これを見ろ! こっちが普段の武藤 遊戯だ!」

 

 場面が切り替わり、今度は優勝トロフィーを手にはにかんでいる優しそうな少年が映った。

 

「へぇ~! 優しそうなお兄さんだね。こっちの方がアユは好きだな!」

「ていうか……もはや別人じゃない? お父さん、場面間違えてないの?」

「別人じゃないぞ柚子! これは正真正銘の同一人物! これも彼を伝説に足らしめている要素の一つだ! 武藤 遊戯、オカルトな伝説が多いのも彼の特徴だな!」

「何か急に胡散臭くなってきたな……それで、この人はどんなカードを使うの?」

 

 遊矢の問いに待ってましたと言いたげにウインクし、修造は画面を切り替える。

 そこには遊戯の側に控える一人の魔法使いがいた。

 

「彼の使うカードは沢山あるが、やはり有名なのはこれだろう! ”ブラック・マジシャン”! 闇属性・魔法使い族・レベル7の通常モンスター! ステータスはATK2500のDEF2000! 登場から長い年月が経った今でも、魔法使い族の中では上位クラスのステータスだな! 彼のエースにして切り札だ!」

「え~! 伝説の決闘者の切り札なのに、通常モンスターなんだ……」

「ばかもーーーーん!!!」

 

 再び大音声によって転がされる遊矢。

 

「いてて、また……」

「遊矢! 俺は悲しいぞ! お前がそんなことを言うなんて!」

「そんなことって……何も効果がないんでしょ?」

「何もないならそれを補ってやる! それが決闘だろう! まだカードが充実してない最初期の時代に、武藤 遊戯はそれをやってのけているのだ!」

「それはそうだろうけど……」

 

 遊矢が納得できていないような表情をしていると、柚子は逆に納得したように頷く。

 

「うん、凄いかも。それに、そうまでして使うってことはカードに愛着があるって証だし、他にある強いカードよりもこのモンスターを選んでチャンピオンになっちゃったんでしょ?」

「うん、まあ……凄いな」

「ねぇこのブラック・マジシャンってカード、遊矢兄ちゃんの”オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン”と同じステータスじゃない?」

「え?」

 

 アユに指摘されて、遊矢はオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンのカードを取り出す。確かに、種族と効果以外はまったく一緒であった。

 

「本当だ。遊矢兄ちゃんのオッドアイズには効果があるのに、ブラック・マジシャンには無い」

 

 タツヤがフトシの方を向いて呟く。

 

「なのに武藤 遊戯はチャンピオンで、遊矢兄ちゃんはジュニアユースの中の下くらい……」

 

 フトシがそう呟いてアユの方へと向く。

 

「遊矢兄ちゃんの方が有利っぽいのに、大分差を付けられてるね」

「こ、これからだろ!?」

 

 アユの憐れむような言葉に、遊矢は思わず立ち上がる。

 

「小学生相手に何力んでんの? はいステイ」

 

 柚子の窘められて、遊矢は大人しく着席する。

 

「それにな遊矢、遊勝先輩も、尊敬する決闘者として彼の名を挙げているんだぞ?」

「父さんが!?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「チャンピオンになった今、決闘したい決闘者は誰か……それは勿論、”武藤 遊戯”だ」

 

「何故かって? 映像でしか見たことはないが、彼の決闘には強さでは表せない”魅力”があるからさ」

 

「武藤 遊戯は存在だけで観客を、そして決闘者を沸き立たせる。彼と共に決闘ができれば、きっと会場は想像もつかない程の盛り上がりを見せることだろう。同じ時代に生まれなかったことが、残念でならない」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「以上、先輩がチャンピオンになって始めてのインタビューでのコメントだ」

「父さんにそこまで言わせるなんて……」

「そう、先輩も先人から多くを学んでいるのだ! だから遊矢もきっちり歴史の講義を受けて、自分の決闘に活かすんだぞ!」

「(……と言っても、やっぱり実際に会って決闘してみないと解んないよな)」

 

 

 

 * * *

 

 

 

 光が止み、3人は記憶の彼方から戻ってくる。

 遊馬と遊矢は目の前の決闘者に対して目を見開き、アストラルは納得した様に頷いてから構える。

 

『そうか……間違いない、彼の者の名はーーーー』

 

 

 

「「 武藤 遊戯!!? 」」

 

 

 

「俺の事を知っているのか? まあ、今はいいさ……行くぜ! 俺のターン!」

 

 遊戯 手札:1→2

 

「永続魔法《守護神の宝札》の効果により、もう一枚ドローする!」

 

 遊戯 手札:2→3

 

「墓地の罠カード《転生の超戦士》を除外して発動! 墓地の《カオス・ソルジャーー開闢の使者ー》を手札に加える!」

 

 遊戯 手札:3→4

 

「墓地の光属性《ワタポン》と闇属性《クリボー》を除外し、《カオス・ソルジャーー開闢の使者ー》を特殊召喚!」

 

 遊戯の場に再び開闢の使者が現れる。

 

 カオス・ソルジャーー開闢の使者ー 光属性 戦士族 レベル8 ATK:3000

 

「開闢の使者の効果発動! 場のモンスター1体を除外する! 《No.39 希望皇ホープ》を次元の彼方へ追放しろ! 〈時空突刃・開闢次元斬〉!」

 

 開闢の使者が剣を振るうと、目の前の空間が開き、次元の裂け目を作り出す。裂け目はホープを吸い込み、裂け目の彼方へとホープを追放して消滅する。

 

「ホープ!?」

「悪いがNo.の厄介さは身をもって知ってるんでな。開闢の使者をリリースし、《ブラック・マジシャン・ガール》を召喚!」

 

 開闢の使者が光の中へと消えると、その光の中から可憐な女魔導士が飛び出す。これこそが最強の魔術師の一番弟子、ブラック・マジシャン・ガールである。この時、偶然目があった遊馬にウィンクする。

 

 ブラック・マジシャン魔法使い族 レベル6 ATK:2000

 

「ブ、ブラマジ・ガール!? 木像じゃない、本物か!?」

「魔法カード《賢者の宝石》! 場に《ブラック・マジシャン・ガール》が存在する場合、手札・デッキから《ブラック・マジシャン》を特殊召喚する! 来い、我が最強の僕! 《ブラック・マジシャン》!」

 

 遊戯の場にブラック・マジシャンが現れ、ガールと共に並ぶ。

 

 ブラック・マジシャン 闇属性 魔法使い族 レベル7 ATK:2500

 

『来たか……武藤 遊戯の切り札!』

「すげぇ……何か、木像とは全然違う!」

「墓地から速攻魔法《魂のしもべ》を除外して効果発動! 俺の場にブラック・マジシャンとガールの2体がいることにより、2枚ドローする!」

 

 遊戯 手札:1→3

 

「速攻魔法《黒・爆・裂・破・魔・導(ブラック・バーニング・マジック)》! 俺の場にブラック・マジシャン、ブラック・マジシャン・ガールの2体が存在する場合、相手の場のカードを全て破壊する! くらえ!」

 

 ブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールが共に杖を合わせて振ると、凄まじい魔法の波動が放たれる。

 

「全て破壊だって!? くっ!」

「罠発動! 《逆さ眼鏡》! 場のモンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで半分にする!」

「遊馬、良いタイミング! 速攻魔法《禁じられた聖槍》! アドバンス・ドラゴンの攻撃力を800下げて、このカード以外の効果を受け付けなくする!」

 

 オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン ATK:3000→2200

 

 波動が遊馬達の場を襲い、フリーザードン、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、そして魔法・罠を全て吹き飛ばす。

 

破壊された伏せカード

EMピンチ・ヘルパー

EMコール

 

天翔の竜騎士ガイア ATK:2000→1000

ブラック・マジシャン ATK:2500→1250

ブラック・マジシャン・ガール ATK:2000→1000

 

「アドバンス・ドラゴンは聖槍の効果で逆さ眼鏡の効果を受けない! 俺達は負けない!」

「そうだ、最後まで諦めずに来い! 魔法カード《黒・魔・導・連・弾(ブラック・ツイン・バースト)》! ブラック・マジシャンに場と墓地のブラック・マジシャン・ガールの攻撃力の合計を加算する! バトルだ!」

 

 ブラック・マジシャン ATK:1250→2250

 

「ブラック・マジシャンでオッドアイズ・アドバンス・ドラゴンを攻撃! 【ブラック・ツイン・バースト】!」

 

 ブラック・マジシャンが再びブラック・マジシャン・ガールと杖を合わせ、凄まじい魔導波を放つ。アドバンス・ドラゴンはブレスで応戦するが、僅かに及ばず魔導波によって吹き飛ばされる。

 

「アドバンス・ドラゴン!?」

 

 遊矢 LP:2600→2550

 

「ブラック・マジシャン・ガールで遊馬を、天翔の竜騎士ガイアで遊矢を攻撃!」

 

 ガールが魔法弾を遊馬に、ガイアは騎乗しているドラゴンに火炎弾を吐かせて遊矢を攻撃する。

 

「「うわぁぁぁーーーー!?」」

 

 遊馬 LP:3000→2000

 遊矢 LP:2550→1550

 

 二人は吹き飛ばされて倒れる。遊馬は起き上がろうとした瞬間、首筋に何かが当てられた。遊馬が見上げると、そこには馬に乗った騎士がランスを自分の首筋に当てている。

 

「え!? こいつ、何時の間に!?」

 

 疾風の暗黒騎士ガイア 闇属性 戦士族 レベル7 ATK:2300

 

 遊馬は横眼で遊矢を見ると、立ち上がろうとしていた遊矢の頭上で禍々しい飛竜が羽ばたいていた。

 

 呪われし竜ーカース・オブ・ドラゴン 闇属性 ドラゴン族 レベル5 ATK:2000

 

「速攻魔法《融合解除》! 天翔の竜騎士ガイアの融合を解除した。……俺の勝ちだな」

 

 遊戯はまだトドメを刺さず、決闘を続行したまま二人の元に歩み寄る。

 

「お前達……遊馬と遊矢と言ったな。教えてくれ、お前達は何処から来た? どうも、お前達はここの世界の決闘者とは違う様に思える」

「え? それって……」

「そうか! そういうことか!」

 

 遊矢は何か合点がいったのか、跳び起きて遊馬を助け起こす。

 

「どういう事だよ遊矢?」

「武藤 遊戯……遊戯さんは俺達の仲間なんだ! 6人の内の1人なんだ!」

「マジかよ!? すげぇ!」

「盛り上がってるところ悪いが、俺の質問に答えてくれ」

 

 3人は決闘を終了させると、情報交換を始める。

 

「そうか……十代と遊星もこの世界に。そしてお前達とPlaymaker、俺の6人がこの世界に呼ばれた決闘者、ということか」

「遊戯さんは最後の一人と会ってるんですね。……それにしても、まさかこんな大昔の人に会えるなんて吃驚だ」

「なあ遊戯さん! 俺と決闘しようぜ! 六十郎じいちゃんに自慢してやるぜ!」

『遊馬、後にしろ。……遊戯、話した通り、この世界から脱出するのはNo.の力が必要だ。アナタの力を借りたい』

「アストラル、だったな? 解ったぜ。俺も協力しよう。まずはここを脱出し、Playmakerと合流、十代と遊星を捜そう」

 

 遊戯が快く頷くと、遊馬が興奮して飛び上がる。

 

「おっしゃー! 遊戯さんがいれば百人力だぜ! それじゃ先へーーーー」

 

{おめでとう、君達は辿り着いた。}

 

 突然、フロアに声が響き渡る。その声が聞こえた後、フロアの霧が消える。

 

「あ、遊馬! アストラル! 遊戯さん! あそこ!」

 

 遊矢が指差す方を見ると、そこ大きな扉がそびえ立っていた。それが徐々に開き、最後のフロアへの道を現す。

 

「どうやらゴールみたいだな。お前達が話していた、タイタンとか言ったな? ”千年パズル”を持った偽物野郎の面を拝みにいこうじゃないか」

「仮面してたから面は見えねぇけどな。でも気合い入れて行こうぜ! な、遊矢!」

「ああ、行こう!」

 

 3人とアストラルは迷宮の終着点へと踏み込む。

 この先に待ち受ける相手とはーーーー

 




次回予告

決闘者を惑わす迷宮にも、終わりはある。
終わりの先に待つのは、鬼か悪魔か。
生き付いた決闘者達を迎えたのは、怨念の闇と狂気の哄笑だった。

「何が待ち構えようとも、遊戯さんは負けやしない」

次回、遊戯王~クロスオーバー・ディメンションズ~


「遊戯と遊馬 ~デーモンの狂宴~」


「イントゥザ・ヴレインズ!」



今日の最強カード
モリンフェン




ではなく、





ブラック・マジシャン


モリンフェンもある意味最強カードですが、まじめにこちらを。
ブラック・マジシャンそのものというより、サポートカードが異常に強いですよね。
流石は主人公カード。

最初のかませ役はゴッズでもかませだったチーム・カタストロフ。
全員デッキは【悪魔族】で、ニコラスは【ヒドゥンナイト+デーモン】
ヘルマンは【パワー重視のゴブリンオーク】
ハンスは完全にネタ枠の【懐かしいバニラ悪魔】です。
バニラのそれぞれの選出理由は

モリンフェン→ある意味最強だから
デスサタン→アニメで割と出番があったから
死神ブーメラン→アニメでカード手裏剣役として印象的だったから
ガーゴイル
→じつはアニメDM本編のSVで初めて表示されたモンスターにして初めて戦闘破壊されたという記念すべきモンスター、ホギャァァァ!

霧の中で遊戯がやっていたプレイング、一応手順は考えていました。気が向いたら遊戯視点として書こうかな。
まあモニターの情報だけで大体解っちゃう決闘者も結構いそうな気もしますが。

ちょっと遊戯を神格化し過ぎじゃないかって言われるかもですが、自分はこれくらいでいいと思います。だって、リアルじゃ大人の事情でほとんど出番が無くなっちゃってたり、中身が遊星になってたりしますからね。この作品ではできるだけ優遇してあげたいです。

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