遊戯王 ~クロスオーバーディメンションズ~   作:鬼柳高原

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プロローグ第六弾”藤木 遊作/Playmaker”です。

一応タグにも付けときますが、ヴレインズにのみ原作改変があります。
IFルートと言った感じですが、ご注意ください。


藤木 遊作/Playmaker

 

 

 

Playmakey……これがお前の目指した決闘か――――

 

さらばだッ! 我が最強の宿敵”Playmakey”!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだ草薙さん?」

 

 ネットワークシステムが発達した都市”デンシティ”。その中央広場にて営業しているホットドック屋”Café Nagi”の移動販売車内にて、高校生でありながら凄腕のハッカーである決闘者”藤木 遊作”がモニターを食い入るように見つめている青年の顔を覗き込む。

 

『あーダメダメ遊作! まだ高校生には早いって~! 草薙ちゃんもこんなところでぇ~……イヤン』

 

 遊作が左腕に装着している旧型決闘盤のモニター部からニュッと姿を現したのは謎の人型AIである”Ai”。”鴻上博士”が創り出した意思を持つAI”イグニス”の一人である闇のイグニスにして、複雑かつ深い因縁で結ばれた遊作のパートナーAIでもある。

 Aiがふざけた口調でからかうと青年――――”草薙 翔一”はようやくモニターから目を離し、ジロリとAiを睨む。

 

「誤解を招くことを言うな。ほらここAi、これを見てくれ」

 

 草薙が見ていたのは”サイバース世界”の跡地だった。

 光のイグニス”ライトニング”が仕掛けた人間とイグニスとの戦い、そしてイグニス同士の内乱でもある”イグニス戦争”。その戦いの果て、次世代型イグニスである強敵”ボーマン”を打倒した遊作達は戦いによって荒廃したネットワークの修復と安定に奔走していた。

 ライトニングによって滅ぼされたサイバース世界の復興は同族を失ったAiにとっての悲願であり、それを成しとげ発展させることが消滅したイグニス達への手向けであると信じている。それを助ける為に草薙はモニター上から崩壊したサイバース世界を探索し、状態を確認していたのだ。

 

『あん? これは……ゲートか? なんでこんなもんが? しかもこれなんて書いてあんの?』

 

 草薙が示した場所はサイバース世界都市部廃墟の中心。そこに大きな門がそびえ立ち、謎の文字が扉に書かれている。

 

「お前でも解らないということはイグニス言語でもないな。スキャンしても反応無し。……本当に心当たりないのか?」

『ないな~……でもここは”ライトニングのエリア”だからなんかあっても不思議じゃないと思うのはAiちゃんだけでしょ~か?』

「ライトニングの!? 何でそれをもっと早く言わない!?」

『AGNエリア001”光の都市”って渡したマップにも書いといたぜ? 解ってると思ってた~』

 

 とぼけるような態度のAiに苦笑する草薙は再び画面に向き直る。

 イグニス戦争どころか10年近く前から暗躍していたライトニング。Aiの言う通り何を隠していても不思議ではない。早急に対処する必要があるだろう。

 

「……遊作、どうする?」

「行こう」

『ワオ即答。もっと慎重にならなくていいのかよ?』

 

 Aiの言葉に草薙も頷き、遊作へと向き直る。

 

「遊作、いっそのことこのサイバース世界はこのまま封印、もしくは削除してしまっても問題は無い。時間は掛かるがAiが入ればまた1からサイバース世界は作れるだろう」

「理由は3つ。一つは得られるデータは少しでも集めておきたい。まだ調べ終わっていないエリアは多い。サイバース世界を1から構築するなら尚更だ。二つ目はあれがライトニング由来の物であるならば放っておくわけにはいかない。罠であろうが調べないわけにはいかない。3つ目……下手をすれば、あれは罠どころのものではないかもしれない」

『え? どゆこと?』

「ロボッピの中に残っていた映像を思い出せ」

 

  ロボッピ――――藤木宅の家電AIロボットの中に残された映像とは、ロボッピが巨大な扉を開いたことで中からAiの膨大なデータの奔流が飛び出すというもの。これはロボッピの中に隠されていたAiのバックアップデータが解放されたことを意味している。これによってAiはイグニス戦争最終決戦時にて九死に一生を得る事となった。

 

『あーあれね。あれは我ながら危ない――――ッ!?』

 

 Aiは何かに気づいた様に顔をしかめた。草薙も少し遅れてその意味に気づく。

 

「遊作! まさかお前、あれが”ライトニングのバックアップ”と考えているのか!?」

「……Aiが考え付く事だ。ライトニングが考えていたっておかしくはない」

『ちょっとどういう意味それ! ……でも、あれは結構な賭けだったんだぜ? あいつならまずそんな事態にならないように動くような……でも……うーん、あいつの考えって昔から解んねぇよ』

 

 Aiが頭を抱えて唸る中、遊作は遠くを見つめながら更なる考えを巡らせる。

 

「……ライトニング……ではない可能性もある」

『……”ボーマン”!? 草薙! 調べに行くしかねぇ!』

「……確かに、時限式……または削除行為自体がトリガーの可能性だってある。考え出したらキリがない。調べるしかないな……尊がいたら心強かったんだが」

 

 尊――――”穂村 尊”こと”Soulburner”は遊作と同じ”ロスト事件”の被害者であり、凄腕の決闘者。イグニス戦争を共に戦った頼もしい仲間であるのだが、現在は田舎に帰省していてデンシティには不在である。

 

「俺とAiで行く。草薙さんは何かあった時のバックアップを頼む」

「任せろ遊作、頼んだぞ! Ai、サイバース世界へ直接ログインできるようにリンクしてくれ」

『お~い了解!』

 

 遊作は車内の専用ログインスペースへと入り、決闘盤を構える。

 

「イントゥザヴレインズ!」

 

 ログインキーワードを唱えると遊作の精神はデータとなり、姿を変えて電脳世界へと飛び込んでいった。

 

 

 

 * * *

 

 

 

『よぉし! 久々の電脳空間だな”Playmaker”! ”リンクヴレインズ”が閉鎖したから仕方ないとはいえ、鈍ってないよな? ん? ん?』

「黙れ、辺りを警戒しろ。怪しいものがないか探せ」

『へぇ~い……』

 

 Playmaker――――電脳空間での”仮の姿(アバター)”へと変わった遊作は電脳空間を自在に飛び回ることができる乗り物”Dボード”に乗り、Aiと共に荒廃したサイバース世界を見下ろした。

 

『……よくもまあここまでやってくれたもんだな。皆で頑張って創ったって言うのによ』

 

 サイバース世界はAiとライトニングを含めた6人のイグニス達で創り上げた世界である。Aiはお世辞にも頑張っていたとは言い難いが、サイバース世界によってAIの発展と安寧が創り出されることをイグニス達は信じていた。それがまさか、リーダーと頼り慕っていた者の”コンプレックス”によって崩壊させられるとは、誰も計算できなかっただろう。

 

「……あそこか」

『おう、近づいてくれ』

 

 PlaymakerはDボードを降下させ、地に降り立つ。目の前には巨大な扉。建物の入り口という訳ではなく、扉だけが廃墟の中心にそびえ立っている。

 

「どうだ?」

『……何だこりゃ? 何も感じねぇ……』

「何?」

『プログラムだとかデータならそれだって解るんだが、解らねぇんだ。そこに扉があるってのは視覚情報で解る。だけど目の前のこれはデータじゃねぇ。こんなのは初めてだ』

 

 困惑するAi。Playmakerは扉を凝視した後、近づいて扉に触れようと手を伸ばす。

 

『Playmaker! 気を付けろ――――うわっ!?』

 

 手で触れた瞬間、扉が開いて眩い光が溢れ出す。Playmakerが臨戦態勢を取った瞬間、扉の奥から声が響き渡った。

 

 

 

おお掛かった! お主決闘者か!?

 

 

 

「誰だ!?」

 

 

 

強いのか? 強い決闘者か?

 

 

 

「この扉は貴様が!? 何処にいる!」

 

 

 

この際なんでもええ! 今は一人でも決闘者が必要なんじゃ! こっち来い!

 

 

 

 

「くっ!? うおお……!」

 

 光がPlaymakerを包み込み、扉の中へと引きずり込む。完全に扉の中へと入った瞬間、扉は閉じられてしまった。

 突然の事態に呆気にとられていた草薙。我に返るとモニターの前で必死に呼びかける。

 

「遊作!? Ai!? 返事をしろ! 位置情報が消えている!? どうなっているんだ!?」

 

 

 

 * * *

 

 

 

遊作……藤木 遊作……

 

 

 

ロスト事件……アンノウン……復讐者……Playmaker――――

 

 

 

招かれざる者よ……我が試練にてその力を示せ!

 

 

 

 

 

 

『――――ker――――Play――――』

「う……」

『Playmaker! しっかりしろ!』

 

 Aiの呼びかけにより意識を取り戻すPlaymaker。立ち上がって辺りを見渡すと、そこは石造りの城の上であることが分かる。

 

「何だここは?」

『知らねぇ。気づいたらこんなとこに……ネットワークが遮断されてるな。ログアウトもできねぇ。どっかのサーバ内に閉じ込められたか? ……にしても本当に何だこりゃ? ファンタジーか?』

 

 城の上から見渡せるのは何処までも広がる木々の群れ。”森に囲まれた城”とはまさに中世を舞台にした”ファンタジーRPG”の世界である。

 

「待っていたぞ挑戦者!」

 

 突然聞こえてきた迫力のある声。声にPlaymakerが振り返ると城の中から一人の厳つい男が歩いてくる。

 

「何者だ?」

『うわ何だありゃ? ”Go鬼塚”の親戚か何か?』

 

 日の下に現れたのは体格に見合った凄まじい筋肉の持ち主。厳つい見た目を活かす派手なメイクと三本角のような紫色の髪型。まさに”怪物”のような姿の大男であった。左腕には見たことのない形をした決闘盤が装着されている。デッキが挿入されていることから旧式の決闘盤のようだ。

 

「俺の名は”ストロング石島”! このエリアを統べるチャンピオンだ!」

『うへぇ~名前といいチャンピオンといいマジでそっくりだな。もしかしてお兄さん? 名字違うからもしや叔父さん――――』

「黙れ。……お前があの扉をサイバース世界に置いたのか? 何故俺達をここへ連れてきた?」

「何を言っている? 俺の役目はこの世界に来たものをチャンピオンとして迎え撃つだけだ! さあ決闘盤を構えろ!」

 

 石島は構えを取ると決闘盤からRSVのプレートを展開させる。

 

『はぁ~問答無用で決闘ですかよっと。どうするよPlaymaker様?』

「俺は挑戦者ではない。何故ここに連れてこられたか知りたいだけだ」

「さっきからごちゃごちゃと! この世界の掟は一つ! 決闘の勝者が全てを得る! ……ここまで言ったからにはもう解るな? それともこの俺を前に臆したか!」

「……いいだろう、決闘だ。正し、3つの条件を呑んでもらう」

 

 いきり立つ石島に向かってPlaymakerは3本の指を掲げる。

 

「一つ、俺が勝ったらここについてお前が知っていることを喋ってもらう。二つ、ここと外を繋ぐ回線を開け。これも俺が勝ったらだ。三つ、時間を掛けたくない。決闘は”スピード・デュエル”で行う」

「随分と勝手な……だが俺はチャンピオン! どんな条件でも受けて立ってやる! 来い!」

 

 石島はどこからともなくDボードを呼び寄せると、それに飛び乗って空中へと飛び出す。 PlaymakerもDボードを呼び寄せて飛び乗り石島を追う。

 

「順番は譲ってやる! 好きな方を選べ!」

「ならば後攻をもらう!」

 

 Playmakerは石島を追いかける形のままDボードを安定させ、同時に決闘盤のプレートを展開する。

 

 

「「 デュエル!!! 」」

 

 

 Playmakerとストロング石島の決闘が始まった。

 AiはPlaymakerの決闘盤から身を乗り出し、チラリと石島を窺う。

 

『きっと”剛鬼”デッキだ! 厳つい戦士族が飛び出すぜ!』

「いい加減奴とGo鬼塚を重ねるのを止めろ」

「俺のターン! 魔法カード《手札抹殺》を発動! お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数だけドローする!」

 

ストロング石島が捨てたカード

バーバリアン1号

バーバリアン2号

仁王立ち

 

Playmakerが捨てたカード

ドットスケーパー

レイテンシ

コード・ジェネレーター

サイバネット・フュージョン

 

「墓地に送られた《ドットスケーパー》の効果発動! このカードを特殊召喚する!」

 

 Playmakerの場に小さく細かい正方形のブロックで構成された電脳生物が現れる。

 

 ドットスケーパー 地属性 サイバース族 レベル1 DEF:2100

 

「永続魔法《冥界の宝札》を発動! そして通常魔法《蛮族の狂宴LV5》! 手札・墓地からレベル5の戦士族を2体まで効果を無効にして特殊召喚する! 墓地より《バーバリアン1号》、《バーバリアン2号》を特殊召喚!」

 

 石島の場にそれぞれ赤と黄色の体色を持った蛮族の兄弟戦士が現れる。

 

 バーバリアン1号 地属性 戦士族 レベル5 ATK:1550

 バーバリアン2号 地属性 戦士族 レベル5 ATK:1800

 

『でたー! 剛鬼――――って、随分と雰囲気変わったな? つーか時代違う? 叔父さんというよりもご先祖様だったのか』

「2体のバーバリアンをリリース! 密林の奥地から巨木をなぎ倒し、現れるがいい! 未開の王国に君臨する蛮族の王! 《バーバリアン・キング》!」

 

 バーバリアン兄弟が光となって消えると、城を囲っている森の中から巨大なバーバリアンが姿を現す。その全長はPlaymaker達が立っていた城に迫るほど。大きすぎるが故にDボードに追走するわけにはいかず、石島とPlaymakerはバーバリアン・キングを中心に周回する。

 

 バーバリアン・キング 地属性 戦士族 レベル8 ATK:3000

 

『ゲェーーーー!? デカ過ぎだろ!? スケールだけなら子孫よりも上だ! どうするよPlay――――』

「黙れ」

『ハイ』

「永続魔法《冥界の宝札》の効果! 自分が2体以上のリリースによるアドバンス召喚に成功した場合、2枚ドローする!」

 

 ストロング石島 手札:0→2

 

「永続魔法《アドバンス・ゾーン》! そして通常魔法《招来の対価》発動! これで俺はターンを終了! ここで発動した2枚の魔法の効果が発揮される! アドバンス・ゾーンの効果により、2体以上のリリースによるアドバンス召喚に成功した俺はカードを1枚ドロー! そして招来の対価の効果により、2体以上のリリースを行った俺は墓地のモンスター2体を選んで手札に加える! バーバリアン2体を手札に!」

 

 ストロング石島 手札:0→1→3

 

ストロング石島

LP:4000

手札:3

EXモンスター

①:

③:

メインモンスター

①:

②:

③:バーバリアン・キング

魔法・罠

①:冥界の宝札

②:アドバンス・ゾーン

③:

 

「俺のターン!」

 

 Playmaker 手札:4→5

 

「カードを2枚セット! 《サイバース・ガジェット》を召喚!」

 

 Playmakerの場に決闘盤のような端末を左腕に装着したロボットが現れる。

 

 サイバース・ガジェット 光属性 サイバース族 レベル4 ATK:1400

 

「サイバース・ガジェットの効果発動! 墓地のレベル2以下のモンスター1体の効果を無効にし、守備表示で特殊召喚する! 墓地のレベル1《レイテンシ》を特殊召喚!」

 

 続けて頭上にディスクを浮かべ、手に大きな砂時計を持った電脳世界の天使が現れる。

 

 レイテンシ 光属性 サイバース族 レベル1 DEF:0

 

「現れろ! 未来を導くサーキット!」

 

 Playmakerが空中を指さすと、その先にアローヘッドが現れる。

 

「アローヘッド確認! 召喚条件は”効果モンスター2体以上”! 《ドットスケーパー》、《サイバース・ガジェット》、《レイテンシ》の3体をリンクマーカーにセット!」

 

 Playmakerの場の3体が光の風となって駆け抜け、アローヘッド内の”上・左下・右下”に位置する3つのリンクマーカーへと飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚!」

 

 リンクマーカーが点灯したアローヘッドが異空間のゲートへと変わり、そのゲートの中から大剣を担ぎ青い鎧を纏った紫の剣士が飛び出す。これこそがPlaymakerのエースモンスターにして”始まりと終わり”を告げる闇剣士――――

 

「現れろLINK-3《デコード・トーカー》!」

 

 デコード・トーカー 闇属性 サイバース族 LINK-3(上、左下、右下) ATK:2300

 リンク先:バーバリアン・キング(上)

 

「場から墓地へ送られたサイバース・ガジェットの効果発動! 《ガジェット・トークン》1体を特殊召喚する!」

 

 デコード・トーカーに続いてサイバース・ガジェットの頭部が場に現れる。

 

 ガジェット・トークン 光属性 サイバース族 レベル1 DEF:0

 デコード・トーカーリンク先:バーバリアン・キング(上) ガジェット・トークン(左下)

 

「再び現れろ、未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”レベル1モンスター1体”! レベル1の《ガジェット・トークン》をリンクマーカーにセット!」

 

 Playmakerの場に再びアローヘッドが現れると、ガジェット・トークンが光の風となってアローヘッド内の”下”に位置するリンクマーカーに飛び込みマーカーを点灯させる。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! LINK-1《リンクリボー》!」

 

 アローヘッドがゲートとなり、中からカプセルのような物体が飛び出す。その物体にはアンテナと顔と足が付いており、可愛らしく鳴き声を上げる。

 

『クリクリンク~!』

『おっしゃ! 役に立てよリンクリボー!』

 

 リンクリボー 闇属性 サイバース族 LINK-1(下) ATK:300

 デコード・トーカーリンク先:バーバリアン・キング(上) リンクリボー(左下)

 

「リンク召喚か……だがその程度のモンスターではバーバリアン・キングの足元にも及ばん!」

『だったらジャンプして頭の上まで行けばいいだろ! ほれデコード・トーカー! Aiちゃんフラーイ!』

 

 Aiが決闘盤からジャンプしてPlaymakerの頭上まで飛び上がると、デコード・トーカーも真似をするかのように跳躍してバーバリアン・キングの頭上へと迫る。

 

「デコード・トーカーのモンスター効果! このカードの攻撃力はリンク先のモンスター1体につき500アップする! 〈パワーインテグレーション〉!」

『デコード・トーカーのリンク先にはバーバリアンとリンクリボー! ということは~?』

 

 デコード・トーカー ATK:2300→3300

 

「バーバリアン・キングを上回るだと!?」

「バトル! デコード・トーカーでバーバリアン・キングを攻撃! 【デコード・エンド】!」

 

 頭上へと到達したデコード・トーカーは大剣を振り上げ、真っ向からバーバリアン・キングを斬り付ける。頭上から足元まで一気に斬り下げられたバーバリアン・キングは断末魔を上げる間もなく真っ二つとなって消滅してしまった。

 

「ぬうう……!?」

 

 ストロング石島 LP:4000→3700

 

「リンクリボーでダイレクトアタック!」

『よしリンクリボー! お前はあいつを真っ二つにしてやれ!』

『クリクリンク~!!!』

 

 リンクリボーは臆することなく石島に向かって体当たりを放つが、岩のような筋肉の前では歯が立たず跳ね返されてしまった。

 

『クリ~!?』

『まあダメージを与えただけよしとするか……』

 

 ストロング石島 LP:3700→3400

 

「ターンエンド!」

 

Playmaker

LP:4000

手札:2

EXモンスター

①: 

③: デコード・トーカー リンク状態:リンクリボー(左下) ATK:3300→2800

メインモンスター

①:

②:リンクリボー ATK:300

③:

魔法・罠

①:セット

②:セット

③:

 

「バーバリアン・キングを倒すとは中々の腕の様だな。俺に挑む資格はあったということか。俺のターン!」

 

 ストロング石島 手札:3→4

 

「魔法カード《魔法石の採掘》! 手札を2枚捨て墓地の魔法カード1枚を手札に加える! 手札のバーバリアン2枚を捨て、《蛮族の狂宴LV5》を手札に! そして発動! 墓地に捨てたバーバリアン2体を特殊召喚! そしてリリース!」

 

 石島の場にバーバリアン兄弟が再び現れて光の中へと消えると、光からサソリの尻尾とコウモリの羽を生やした機械のライオンが飛び出す。

 

「アドバンス召喚! レベル8《モザイク・マンティコア》!」

 

 モザイク・マンティコア 地属性 獣族 レベル8 ATK:2800

 

「2体以上をリリースしたアドバンス召喚に成功したことにより冥界の宝札の効果を発動する!」

 

 ストロング石島 手札:0→2

 

『あ、今度はしっかりデコード・トーカーのリンク先から位置をずらしてやがる! リボルバーみたいなことしやがって!』

「魔法カード《二重召喚(デュアルサモン)》! このターン俺はもう一度通常召喚できる! 《レスキューラビット》を召喚!」

 

 石島の場に安全ヘルメットと保護ゴーグルを被り、首に無線機をぶら下げたウサギが現れる。

 

 レスキューラビット 地属性 獣族 レベル4 ATK:300

 

『あら可愛い。そんなモンスター持ってたのね。似合わないにも程が――――』

「レスキューラビットを除外し効果発動! デッキからレベル4以下の同名通常モンスター2体を特殊召喚する! 《暗黒の狂犬》2体を特殊召喚!」

 

 レスキューラビットが消滅すると石島の場に狂暴な姿をした犬が2体現れる。

 

 暗黒の狂犬×2 闇属性 獣族 レベル4 ATK:1900

 

『ぎゃーーー!? 可愛いウサギちゃんが怖いワンちゃんに!? もしやここからさらに怖い最上級モンスターに……ってそりゃないわな。もう手札も召喚権も無いし』

「奴の狙いはそうじゃない」

『へ?』

「同じレベルのモンスターが2体……」

「レベル4の《暗黒の狂犬》2体でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 

 暗黒の狂犬2体が紫の光となって飛び上がると、石島の場に現れた金色の渦の中へと飛び込む。

 

「エクシーズ召喚! ランク4《No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング》!」

 

 渦の中から現れたのは巨大なダイヤモンドの結晶体。これは”No.”のニュートラル体であり、ダイヤモンドの下部を砕いて本体が現れる。

 

『何だこりゃ……カニ?』

 

 Aiの言う通り姿を現したのは巨大な青い蟹。ニュートラル体であったダイヤモンドの結晶を背負い、左のハサミには自身のナンバーである”52”の数字が刻まれている。

 

  No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング 地属性 岩石族 ランク4 ATK:0 ORU:2

 

「やはりXモンスターか……」

『Playmaker! アイツヤバイぞ!』

「あのXモンスターの事か? 具体的に話せ」

『い、いや……具体的にって言われても……俺にもよく解らん……』

「何?」

『何か……めっちゃこっち見られてるような気がして……背筋がさみぃよ』

 

 Playmakerはダイヤモンド・クラブ・キングを見るが、Aiどころかこちらにすら視線を向けていない。辺りを見渡すが別に視線を感じて悪寒が走るということもない。

 

『俺は上手いことは言えねぇけど、俺の”本能”が言ってるんだ! アイツはヤバイ! 早く倒しちまった方がいい!』

 

 この二人は知る由もないが、”No.”は人の精神に干渉し暴走、またはコントロールする力を持つ特殊なカード。人間が創り出した高度な精神データ体である”イグニス”はその影響を強く受けてしまうようだ。AiはNo.から漏れ出している対戦相手には影響しない程度の力の余波を敏感に察知してしまっているのである。

 

「ククク……”拾い物”を使うのはどうかと思ったが、チャンピオンに相応しい強力なカードではないか! それに何故かフフッ……とても気分がいい!」

 

 興奮した様に呼吸を荒げる石島。その右腕に”52”の数字が浮かび上がる。

 

「行くぞ! ダイヤモンド・クラブ・キングの効果発動! ORUを1つ使い、ターン終了時まで守備力を0にし攻撃力を3000にする!」

 

 ダイヤモンド・クラブ・キングがORUを1つ食らうと興奮した様に体を揺らし、口からブクブクと泡を吹きだす。

 

  No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング ATK:0→3000 ORU:2→1

 

「バトル! まずはザコを蹴散らす! モザイク・マンティコアでリンクリボーを攻撃!」

「リンクリボーの効果発動! このカードをリリースすることで攻撃モンスターの攻撃力をターン終了時まで0にする!」

 

 動き出そうとしたモザイク・マンティコアに向かってリンクリボーが光線を放つと、モザイク・マンティコアは脱力して動かなくなり、リンクリボーはエネルギーを使い果たして消滅する。

 

 モザイク・マンティコア ATK:2800→0

 デコード・トーカー ATK:2800→2300

 

「小賢しい! ダイヤモンド・クラブ・キングでデコード・トーカーを攻撃!」

 

  ダイヤモンド・クラブ・キングが口から大量の泡を吹きだしてデコード・トーカーへと浴びせる。泡を浴びたデコード・トーカーの体は急激に溶け出し、跡形もなく消滅してしまった。

 

「くっ! 確かにパワーは凄まじいが、このターンだけだ」

 

 Playmaker LP:4000→3300

 

「フン! ”No.”に隙など無い! ダイヤモンド・クラブ・キングはバトルフェイズ終了後に守備表示となる!」

 

 敵が跡形もなく消え去ったのを確認すると、ダイヤモンド・クラブ・キングは体をニュートラル体へと変形させる。

 

  No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング ATK:3000→DEF:0

 

「ターンエンド! この瞬間永続魔法《アドバンス・ゾーン》の効果発動! 2体以上をアドバンス召喚のリリースに使用したため1枚ドロー! さらに相手の場のセットカード1枚を破壊できる! 右のセットカードを破壊だ!」

 

 ストロング石島 手札:0→1

 

破壊されたカード

リンク・リスタート

 

ストロング石島

LP:3400

手札:1

EXモンスター

①:No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング DEF:0→3000 ORU:1

③:

メインモンスター

①:

②:モザイク・マンティコア ATK:0→2800

③:

魔法・罠

①:冥界の宝札

②:アドバンス・ゾーン

③:

 

『くっそ守備力3000かよ!? 最上級モンスターもいるし、やべぇぞPlaymaker!』

「問題ない。あのXモンスターが脅威だというのも解った。反撃するぞ! 俺のターン!」

 

 Playmaker 手札:2→3

 

「《ドラコネット》を召喚!」

 

 Playmakerの場に小さな竜のような姿をした電脳生物が現れる。

 

 ドラコネット 闇属性 サイバース族 レベル3 ATK:1400

 

「ドラコネットの効果発動! 召喚に成功した時、手札・デッキからレベル2以下の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する! デッキから《ビットロン》を特殊召喚!」

 

 続けてPlaymakerの場に小さな白い電脳生物が現れる。

 

 ビットロン 地属性 サイバース族 レベル2 DEF:2000

 

「現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”サイバース族2体”! 《ドラコネット》と《ビットロン》をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”下、右下”に位置するリンクマーカーにサイバース達が光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! LINK-2《サイバース・ウィキッド》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中から現れたのはローブを纏い杖を手に持った魔法使いのような姿をした少年。何か悪戯を企んでいるかのような笑みを浮かべ場に降り立つ。

 

 サイバース・ウィキッド 闇属性 サイバース族 LINK-2(下、右下) ATK:800

 

「自分の場にサイバース族が存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる! 《バックアップ・セクレタリー》を特殊召喚!」

 

 続けて場に現れたのはゴーグルを装着した女性秘書。手に持った端末を構えサイバース・ウィキッドの背後に降り立つ。

 

 バックアップ・セクレタリー 光属性 サイバース族 レベル3 ATK:1200

 サイバース・ウィキッドリンク先:バックアップ・セクレタリー(下)

 

「サイバース・ウィキッドの効果発動! このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚された場合、墓地のサイバース族1体を除外することでデッキからサイバース族チューナー1体を手札に加える! 墓地の《ドットスケーパー》を除外しデッキから《サイバース・シンクロン》を手札に!」

 

 Playmaker 手札:1→2

 

「除外した《ドットスケーパー》の効果発動! このカードを特殊召喚する!」

 

 Playmakerの場に再びドットスケーパーが舞い戻る。

 

 ドットスケーパー 地属性 サイバース族 レベル1 DEF:2100

 

「再び現れろ、未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”効果モンスター2体以上”! LINK-2の《サイバース・ウィキッド》と《バックアップ・セクレタリー》の2体をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”上、下、右”に位置するリンクマーカーに分裂して2体となったサイバース・ウィキッドとバックアップ・セクレタリーが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中から姿を現したのは橙色の鎧を身に纏ったサイバースの戦士。これこそが”変化と終わり”を告げる大地の銃士――――

 

「現れろLINK-3! 《トランスコード・トーカー》!」

 

 トランスコード・トーカー 地属性 サイバース族 LINK-3(上、右、下) ATK:2300

 

「トランスコード・トーカーの効果発動! 墓地のLINK-3以下のサイバース族リンクモンスター1体をこのカードのリンク先に特殊召喚する! 戻れ《デコード・トーカー》!」

 

 トランスコード・トーカーの背後にデコード・トーカーが現れ、トランスコード・トーカーと共に気合に満ちた掛け声を上げる。

 

 デコード・トーカー 闇属性 サイバース族 LINK-3(上、左下、右下) ATK:2300→2800

 相互リンク:デコード・トーカー(上)↔トランスコード・トーカー(下)

 

「トランスコード・トーカーの更なる効果! このカードが相互リンク状態の場合、このカードと相互リンク先の攻撃力を500アップし、更に相手の効果対象にならない!」

 

 トランスコード・トーカー ATK:2300→2800

 デコード・トーカー ATK:2800→3300

 

『よっしゃー! これで攻撃力3300! 蟹野郎を上回ったぜ!』

「カードを伏せバトル! デコード・トーカーでダイヤモンド・クラブ・キングを攻撃! 【デコード・エンド】!」

 

 デコード・トーカーが大剣を振りかぶって跳躍し、ダイヤモンド・クラブ・キングに向かって振り下ろす――――が、大剣はダイヤモンドの甲羅によって受け止められてしまった。

 

「何!?」

『おい! こっちの攻撃力の方が守備力より上じゃねぇか! なんでだ!?』

「馬鹿め言ったはずだ! ”No.に隙など無い”と! No.はNo.でなければ戦闘破壊できないのだ!」

『何だって!? No.なんて俺達は持ってないし、それじゃ実質戦闘破壊できないのと同じだぜ!? ああ~どうすんだPlaymaker様~!』

「……トランスコード・トーカーでモザイク・マンティコアを――――」

 

 トランスコード・トーカーが背部のアーマーパーツを銃に変形させモザイク・マンティコアに狙いを付けた瞬間、ダイヤモンド・クラブ・キングがその照準の中に割り込む。

 

「そうはさせん! 墓地から罠カード《仁王立ち》を除外して効果発動! このターン、相手は俺が対象として選択したモンスター以外を攻撃できない! 選択するのは《No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング》!」

「……これでターンを終了する」

『ええ~!? 何とかできないのかよ!?』

 

Playmaker

LP:3300

手札:1

EXモンスター

①:(No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング DEF:3000)

③:トランスコード・トーカー リンク先:デコード・トーカー(下) ATK:2800

メインモンスター

①:

②:ドットスケーパー DEF:2100

③:デコード・トーカー リンク先:トランスコード・トーカー(上) ATK:3300

魔法・罠

①:セット

②:セット

③:

 

「手も足も出ないようだな! このまま踏みつぶしてくれる! 俺のターン!」

 

 ストロング石島 手札:1→2

 

「スタンバイフェイズ時にモザイク・マンティコアの効果発動! アドバンス召喚の素材となったモンスターを可能な限り特殊召喚する! ただし効果は無効となり、攻撃宣言できない! 素材となったバーバリアン2体を特殊召喚!」

 

 モザイク・マンティコアが咆哮を上げるとバーバリアン兄弟が現れ、モザイク・マンティコアを挟むように場へと降り立つ。

 

 バーバリアン1号 地属性 戦士族 レベル5 ATK:1550

 バーバリアン2号 地属性 戦士族 レベル5 ATK:1800

 トランスコード・トーカーリンク先:バーバリアン1号(上)

 

「バーバリアン2体とモザイク・マンティコアをリリース! アドバンス召喚! レベル8《神獣王バルバロス》!」

 

 石島の場の3体のモンスターが光の中へと消えると、その光から槍と盾を持った異形のモンスターが現れる。下半身は黒獅子の体。本来は頭があるべき場所から人の胴体が生え、胴体に付いている頭は金色の鬣を生やした獅子のものである。

 

 神獣王バルバロス 地属性 獣戦士族 ATK:3000

 

「2体以上のリリースでアドバンス召喚に成功したことにより2枚ドロー! そしてバルバロスの効果発動! 3体をリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、相手の場のカードを全て破壊する!」

 

 ストロング石島 手札:1→3

 

『そ、そんなことになったらおしめぇーだぁ~! Playmaker~!』

「速攻魔法《非常食》! 罠カード《リコーデッド・アライブ》! 自分の場か墓地のLINK-3サイバース族リンクモンスター1体を除外することでEXデッキから”コード・トーカー”モンスター1体を特殊召喚する! 場の《デコード・トーカー》を除外!」

 

 場にアローヘッドのゲートが現れるとデコード・トーカーがゲートの中へと飛び込み、入れ替わりでゲートの中から緑の鎧を纏ったサイバースの戦士が現れる。これこそ”存在と終わり”を告げる風の法術士――――

 

「現れろLINK-3《エクスコード・トーカー》!」

 

 エクスコード・トーカー 風属性 サイバース族 LINK-3(上、左、右) ATK:2300→2800

 相互リンク:エクスコード・トーカー(上)↔トランスコード・トーカー(下)

 エクスコード・トーカーリンク先:トランスコード・トーカー(上) ドットスケーパー(左)

 

「エクスコード・トーカーのモンスター効果! このカードのリンク先のモンスターは攻撃力が500アップし、効果で破壊されない! そして非常食の効果でリコーデッド・アライブを墓地へ送りLPを1000回復する!」

 

 Playmaker LP:3300→4300

 

 コード・トーカー同士の入れ替わりと魔法・罠の消費が完了した瞬間、バルバロスがPlaymakerの場に向かって衝撃波を放つ。それを察知したエクスコード・トーカーは風の障壁をトランスコード・トーカーとドットスケーパーの前に展開した。

 

破壊されたカード

エクスコード・トーカー

 

 2体を守り切ったエクスコード・トーカーは衝撃波によって吹き飛ばされ、風の中へと消えていった。

 

『うう……エクスコード・トーカー無茶しやがって……お前のことは忘れない……』

 

 トランスコード・トーカー ATK:2800→3300→2300

 

「おのれ……ダイヤモンド・クラブ・キングを攻撃表示に変更し効果発動! ORUを1つ使い攻撃力を3000にする!」

 

 ニュートラル体となっていたダイヤモンド・クラブ・キングが活動体へと変形し、ORUを食らって力を得る。

 

 No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング DEF:3000→ATK:0→3000 ORU:1→0

 

「バトル! バルバロスでトランスコード・トーカーを攻撃! 【トルネード・シェイパー】!」

 

 バルバロスは槍を構えてトランスコード・トーカーへと突撃する。

 

「手札を1枚捨て、速攻魔法《アクションマジック-ダブル・バンキング》を発動! このターン俺の場のモンスターは相手を戦闘破壊した場合、もう一度だけ続けて攻撃できる!」

 

捨てたカード

キング・オブ・ビースト

 

「墓地の《リンクリボー》の効果発動! レベル1モンスター1体をリリースして墓地から特殊召喚する! 《ドットスケーパー》をリリースして特殊召喚!」

 

 突撃するバルバロスの前にリンクリボーが現れる。バルバロスは動きを止め、石島の指示を待つ。

 

 リンクリボー 闇属性 サイバース族 LINK-1(下) ATK:300

 

「またそいつか……構わんバルバロスやれ!」

「リンクリボーの効果発動! 攻撃モンスターの攻撃力を0に!」

 

 リンクリボーが光線をバルバロスに放って消滅する。

 

 神獣王バルバロス ATK:3000→0

 

「ぬうぅ……下がれバルバロス! ならばNo.で! ダイヤモンド・クラブ・キングでトランスコード・トーカーを攻撃!」

 

 ダイヤモンド・クラブ・キングが泡を放ち、トランスコード・トーカーを溶かして破壊する。

 

「くっ……!」

 

 Playmaker LP:4300→3600

 

「ダブル・バンキングの効果によりもう一度攻撃! ダイレクトアタック!」

 

 ダイヤモンド・クラブ・キングがもう一度泡を放ってPlaymakerに浴びせる。

 

「うわぁぁぁ!?」

『Playmaker!?』

 

 Playmaker LP:3600→600

 

 大ダメージによって大きく体勢を崩すPlaymaker。何とか体勢を立て直して石島を追いかける。それと同時にダイヤモンド・クラブ・キングは再びニュートラル体へと変形する。

 

「これを凌ぐとは……ターンエンド! バトルフェイズ終了によりダイヤモンド・クラブ・キングは守備表示に! そしてアドバンス・ゾーンの効果発動! 3体以上をリリースしてアドバンス召喚に成功したことにより1枚ドローし、自分の墓地からモンスター1体を手札に加える! 《モザイク・マンティコア》を手札に!」

 

 ストロング石島 手札:1→2→3

 

ストロング石島

LP:3400

手札:3

EXモンスター

①:No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング ATK:3000→DEF:0→3000 ORU:0

③:

メインモンスター

①:

②:神獣王バルバロス ATK:0→3000

③:

魔法・罠

①:冥界の宝札

②:アドバンス・ゾーン

③:

 

『大丈夫かPlaymaker!?』

「……あの男、豪胆に見えて恐ろしく冷静だ」

『え? どゆこと?』

「あの男のここまでの手を思い出してみろ。全てNo.以外のモンスターから攻撃している」

『え……そういやそうだな? でもそれがどうしたんだよ?』

「解らないか? 最初の口ぶりからして奴はあのNo.とかいうカードを初めて使ったようだ。だが、そのわりには弱点をよく理解している」

『弱点? そんなものあるのか? あいつが言ってるように隙なんかないように見えるけど……』

「隙の無いカードなど存在しない。それを埋めるのは決闘者の力量だ。奴はそれを見事にやってのけている」

『ええ……あ! そういうことか!』

 

 Aiは何かに気づいたかのように掌を握り拳でポンと叩く。

 

『あの蟹の隙……それは”攻撃”だ!』

 

 Aiの言葉にPlaymakerは小さく頷く。ダイヤモンド・クラブ・キングが守りの体勢に入るには攻撃を成功させることが必要であり、攻撃が出来なければ本来の皆無な攻撃力を相手に晒すこととなってしまう。表示形式の変更は基本的には1ターンに1度。1度攻撃態勢を取ってしまったら攻撃を成功させるほかないのである。

 

「奴はNo.の攻撃成功率を上げる為に他のモンスターを先行させている。見え見えな戦術で正直気休め程度にしかならないはずだが……」

『俺らにはドンピシャハマっちまってるってことか……偶然にもリンクリボーが避けられちまうんだ!』

「本来は相性のいいカードなのにな」

 

 一つの判断の間違いが敗北を決することもあれば、一つの閃きが勝利を呼び寄せることもある。どんな小さなことでも見逃さずに実践すること、それは時に1枚のカードを凌駕するアドバンテージを生み出すのかもしれない。

 

『人間のカンって奴か。ウィンディもそれが嫌だみたいなこと言ってたしなぁ』

「奴はそれだけではない。豪快な戦術だが常に戦線を維持するための備えを忘れない。強気でかつ冷静に決闘を進める……その点に関してはかつてのGo鬼塚と重ねたお前は正しい」

『だろぉ? いやーようやく解ってくれ――――』

「俺のターン!」

 

  Playmaker 手札:1→2

 

『……まあいいや。で、どうすんだ? 正直絶体絶命だと思うんだがな? こっからどう逆転するよ?』

「この差を埋めるのは決闘者の力量だ」

『力量ぉ? でも手札は2枚。幾ら力量があってもカードが無きゃどうしようもないって』

「無いなら引き出す。それも決闘者の力量だ! 《フレイム・バッファロー》を召喚!」

 

 Playmakerの場に青い炎の角と尻尾を持つバッファローのロボットが現れる。

 

 フレイム・バッファロー 炎属性 サイバース族 レベル3 ATK:1400

 

『(何? 珍しく熱くなってんじゃん?)』

 

 復讐の為に決闘の世界に戻ってきたPlaymakerこと遊作。幼少期に体験した地獄によって決闘は決して消えない心の傷となってしまった。決闘から、過去から逃げていては決してこの傷の痛みは消えない――――そう信じて遊作は戦い続けた。戦い続け、勝ち抜いて、遊作はようやく痛みを克服して己の人生を取り戻した。それは心の安寧だけではない。痛みが消えなかったように遊作の中から消えず、復讐の陰に隠れていた一つの思い――――

 

『(何だかんだ言って”決闘が好き”なんだよなこいつ。もう戦いなんて終わったんだからむっつりしてないではっちゃけちまえばいいのによ……俺様みたいに!)』

「墓地の《リコーデッド・アライブ》を除外して効果発動! 除外されている”コード・トーカー”モンスター1体を特殊召喚する! 現れろ《デコード・トーカー》!」

 

 続けてPlaymakerの場にデコード・トーカーが現れる。

 

 デコード・トーカー 闇属性 サイバース族 LINK-3(上、左下、右下) ATK:2300

 

「現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”サイバース族2体”! 《デコード・トーカー》と《フレイム・バッファロー》をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”下、左下”に位置するリンクマーカーに2体のサイバースが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろLINK-2《サイバース・ウィッチ》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。その中から飛び出したのは一人の魔女。鎧を着込んだその上からローブを纏い、手には大きな杖が握られている。

 

 サイバース・ウィッチ 闇属性 サイバース族 LINK-2(下、左下) ATK:800

 

「場から離れたフレイム・バッファローの効果発動! 手札からサイバース族1体を捨て、2枚ドローする!」

 

捨てたカード

サイバース・シンクロン

 

 Playmaker 手札:1→0→2

 

「よし……永続魔法《サイバネット・オプティマイズ》を発動! 自分のメインフェイズに1度、サイバース族を召喚する! 《ROMクラウディア》を召喚!」

 

 続けてPlaymakerの場に黒い羊型のロボットが現れる。

 

 ROMクラウディア 闇属性 サイバース族 レベル4 ATK:1800

 

「ROMクラウディアの効果発動! 召喚に成功した時、自分の墓地のサイバース族1体を手札に加える! 《レイテンシ》を手札に加え効果発動! 効果で手札に加わった場合、特殊召喚できる!」

 

 ROMクラウディアが鳴き声を上げると、その隣にレイテンシが現れる。

 

 レイテンシ 光属性 サイバース族 レベル1 DEF:0

 サイバース・ウィッチリンク先:レイテンシ(下)

 

「サイバース・ウィッチの効果発動! リンク先にモンスターが特殊召喚された場合、墓地の魔法1枚を除外することでデッキからサイバース族儀式モンスターと《サイバネット・リチューアル》の2枚を手札に加える!」

 

除外したカード

非常食

 

 Playmaker 手札:0→2

 

「再び現れろ、未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”レベル4以下のサイバース族1体”! 《レイテンシ》をリンクマーカーにセット!」

 

 レイテンシが光の風となってアローヘッドの”下”に位置するリンクマーカーへと飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! LINK-1《リンク・ディサイプル》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。ゲートの中から人型の電脳生物が飛び出しサイバース・ウィッチの背後に降り立つ。

 

 リンク・ディサイプル 光属性 サイバース族 LINK-1(下) ATK:500

 サイバース・ウィッチリンク先:リンク・ディサイプル(下)

 

「レイテンシの効果発動! 自身の効果で特殊召喚された後にリンク素材となった場合、デッキから1枚ドローする!」

 

 Playmaker 手札:2→3

 

「速攻魔法《バウンドリンク》! 自分の場・墓地のリンクモンスター1体をEXデッキに戻し、そのリンクマーカーの数だけデッキからドロー! その後ドローした枚数分、デッキボトムに好きな順番で戻す! EXデッキに戻すのはLINK-3《エクスコード・トーカー》! 3枚ドローし、デッキに3枚戻す!」

 

 Playmaker 手札:2→5→2

 

戻したカード

サイバネット・リチューアル

サイバース・マジシャン

サイバース・ウィザード

 

「魔法カード《死者蘇生》! 墓地の《サイバース・ウィキッド》を特殊召喚!」

 

 Playmakerの場に再びサイバース・ウィキッドが現れる。

 

 サイバース・ウィキッド 闇属性 サイバース族 LINK-2(下、右下) ATK:800

 サイバース・ウィッチリンク先:リンク・ディサイプル(下) サイバース・ウィキッド(左下)

 

「現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”サイバース族2体以上”! LINK-2の《サイバース・ウィキッド》と《リンク・ディサイプル》をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”上、下、左”のリンクマーカーに分裂したサイバース・ウィキッドとリンク・ディサイプルが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。ゲートの中から現れたのは水色の鎧を纏い翼を生やしたサイバースの戦士。これこそが”異常と終わり”を告げる水の弓術士――――

 

「現れろLINK-3《シューティングコード・トーカー》!」

 

  シューティングコード・トーカー 水属性 サイバース族 LINK-3(上、下、左) ATK:2300

 相互リンク:サイバース・ウィッチ(下)↔シューティングコード・トーカー(上)

 

『おーし新しいコード・トーカー! これで――――』

「まだだ!」

『え? まだ?』

「サイバース・ウィッチの効果発動! サーチ効果を発動したターン、墓地のレベル4以下のサイバース族1体を特殊召喚する! 《コード・ジェネレーター》を特殊召喚!」

 

 サイバース・ウィッチが杖を場に差し向けると、そこにトランスコード・トーカーによく似たサイバースの銃士が現れる。

 

 コード・ジェネレーター 地属性 サイバース族 レベル3 ATK:1300

 

「現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”サイバース族2体以上”! LINK-2の《サイバース・ウィッチ》と《コード・ジェネレーター》をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”上、下、右下”のリンクマーカーに分裂したサイバース・ウィッチとコード・ジェネレーターが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。ゲートの中から現れたのは青白い鎧を纏い盾を手に持ったサイバースの戦士。これこそが”秘密と終わり”を告げる光の騎士――――

 

「現れろLINK-3《エンコード・トーカー》!」

 

 エンコード・トーカー 光属性 サイバース族 LINK-3(上、下、右下) ATK:2300

 相互リンク:エンコード・トーカー(下)↔シューティングコード・トーカー(上)

 

『おおもう一体……これなら――――』

「まだだ!」

『ええまだ!?』

「場で”コード・トーカー”モンスターのリンク素材となったコード・ジェネレーターの効果発動! デッキから攻撃力1200以下のサイバース族1体を手札に加える! 《コード・エクスポーター》を手札に!」

 

 Playmaker 手札:1→2

 

「このカードは場のリンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる! 来い《リンク・インフライヤー》!」

 

 シューティングコード・トーカーのリンク先に凧のような姿をした電脳生物が現れる。

 

 リンク・インフライヤー 風属性 サイバース族 レベル2 ATK:0

 シューティングコード・トーカーリンク先:エンコード・トーカー(上) リンク・インフライヤー(左)

 

「場のサイバース族で”コード・トーカー”モンスターをリンク召喚する場合、手札の《コード・エクスポーター》も素材にできる! 現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”モンスター3体”! 《ROMクラウディア》、《リンク・インフライヤー》、そして手札の《コード・エクスポーター》をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”左、右、左下”のリンクマーカーに場のサイバースが光の風となって飛び込み、さらにPlaymakerの手札から飛び出した光の風もマーカーへと飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。ゲートの中から現れたのは赤い鎧を纏い左腕に手甲を付けたサイバースの戦士。これこそが”律動と終わり”を告げる炎の闘士――――

 

「現れろLINK-3《パワーコード・トーカー》!」

 

 パワーコード・トーカー 炎属性 サイバース族 LINK-3(左、右、左下) ATK:2300

 相互リンク:パワーコード・トーカー(右)↔シューティングコード・トーカー(左)

 

『すげぇ……コード・トーカーが3体も!?』

「だがどれも3000に届かない非力なモンスター! 何ができる!」

「手札から素材となった《コード・エクスポーター》の効果発動! 墓地のレベル4以下のサイバース族1体を手札に加える! 《サイバース・ガジェット》を手札に!」

 

 Playmaker 手札:0→1

 

「パワーコード・トーカーの効果発動! 1ターンに1度、場のモンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする! No.の効果を無効だ! 〈ワイヤー・リストラクション〉!」

 

 パワーコード・トーカーが左腕の手甲を右腕に付け替え変形させる。クワガタムシのハサミの様になった手甲はダイヤモンド・クラブ・キングに向かって射出されダイヤモンドの甲羅に突き刺さる。パワーコード・トーカーは手甲と繋がったワイヤーを引き、ダイヤモンド・クラブ・キングを引き倒す。

 

「何!?」

『よっしゃ! これで蟹野郎を破壊できるぜ!』

「バトル! ここでシューティングコード・トーカーの効果発動! このカードのリンク先のモンスターの数だけ通常攻撃に加えてモンスターに攻撃できる! リンク先のモンスターは2体、よってシューティングコード・トーカーは3回モンスターに攻撃できる!」

「それがどうした! その攻撃力では――――」

「シューティングコード・トーカーでバルバロスを攻撃! 【シューティング・コンプリート】!」

 

 シューティングコード・トーカーが左手の装甲を展開して弓へと変形させると、エネルギーで作り出した矢をバルバロスへと放つ。だがバルバロスはその矢を軽々と弾き飛ばしてしまった。

 

「ここでエンコード・トーカーの効果発動! この戦闘での破壊とダメージを無効に! そしてダメージ計算後にこのカードかリンク先のモンスターに戦闘を行った相手モンスターの攻撃力を加える! リンク先のシューティングコード・トーカーにバルバロスの攻撃力3000を加える!」

 

 シューティングコード・トーカー ATK:2300→5300

 

「馬鹿な!? 攻撃力5300だと!?」

「シューティングコード・トーカー2回目の攻撃! バルバロスを射抜け!」

 

 シューティングコード・トーカーが二の矢を放つと、今度はバルバロスを易々と貫き破壊する。

 

「バルバロス!?」

 

 ストロング石島 LP:3400→1100

 

「シューティングコード・トーカーは相手モンスターが1体のみの場合、ダメージ計算時のみ攻撃力が400ダウンする。ダイヤモンド・クラブ・キングに攻撃!」

 

 シューティングコード・トーカー ATK:5300→4900

 

 シューティングコード・トーカーが最後の矢を放ち、ダイヤモンド・クラブ・キングを貫き砕く。

 

「No.が……ぬうう!?」

「これでトドメだ! エンコード・トーカーでダイレクトアタック! 【ファイナルエンコード】!」

 

 エンコード・トーカーが盾に収納されていた剣を伸ばすと、石島に向かって飛び出す。

 

「やらせはせんぞぉ!!! 俺のスキル”蛮族の執念LV8”を発動!」

「ここでスキルだと!?」

 

 石島の体から湯気のようなオーラが立ち上る。

 スキルとは、スピードデュエルにおいて各プレイヤーが決闘中に1度だけ発動できる特殊効果であり、その効果は決闘者によって千差万別。それぞれの個性が現れており、ものによっては一発逆転や起死回生を為せるなどスピードデュエルにおける重要な要素である。

 Playmakerの場にはコード・トーカーの戦闘時に魔法・罠・モンスター効果の発動を封じる”サイバネット・オプティマイズ”が存在するが、スキルは”カード効果の発動”ではないので問題なく使用できる。

 

「このスキルは相手の直接攻撃によってLPが0になる場合のみ発動が可能! 墓地のレベル8の戦士族1体を特殊召喚する! この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターンの戦闘では破壊されず、戦闘ダメージは0となる! 甦れ《バーバリアン・キング》!」

 

 再びバーバリアン・キングがその巨体をそびえ立たせ、エンコード・トーカーに向かって腕を振り回し牽制する。

 

 バーバリアン・キング 地属性 戦士族 レベル8 ATK:3000

 

『ワァーーーーまた出たーーーー!? 何だよあとちょっとだったのに!』

「……エンコード・トーカーの攻撃を中止し、ターンエンド! この瞬間シューティングコード・トーカーの効果発動! このカードが戦闘破壊したモンスターの数だけドローする!」

 

 Playmaker 手札:1→3

 

Playmaker

LP:600

手札:3

EXモンスター

①:

③:エンコード・トーカー リンク先:シューティングコード・トーカー(下) ATK:2300

メインモンスター

①:

②:パワーコード・トーカー リンク先:シューティングコード・トーカー(右) ATK:2300

③:シューティングコード・トーカー ATK:4900→2300

  リンク先:E(エンコード)・トーカー(上) P(パワーコード)・トーカー(左)

魔法・罠

①:サイバネット・オプティマイズ

②:

③:

 

「俺のターン!」

 

 ストロング石島 手札:3→4

 

「魔法カード《トレード・イン》! 手札のレベル8モンスター1体を捨て2枚ドロー!」

 

 ストロング石島 手札:3→2→4

 

捨てたカード

モザイク・マンティコア

 

「ここまでの奮戦は見事。だがこの攻撃でお前のLPは0になる」

 

 コードトーカー達の攻撃力は2300であり、攻撃力3000のバーバリアン・キングの攻撃を受ければ700のダメージが通る。残りLP600のPlaymakerは敗北することとなるが、Playmakerは普段通りのポーカーフェイスで石島を見返した。

 

「……それはどうかな?」

「強がっても無駄だぞ。既にお前のデッキの特徴は見抜いた。このまま攻撃しても勝てるだろうが……俺は油断も手加減もせん! 徹底的に叩き潰してやる! 《アックス・レイダー》を召喚!」

 

 石島の場に黄金の兜と胴鎧を纏った戦士が現れる。手には黄金の斧を持ち、全身の筋肉を隆起させて雄叫びを上げる。

 

 アックス・レイダー 地属性 戦士族 レベル4 ATK:1700

 

「魔法カード《ソウルテイカー》! 相手の表側表示モンスター1体を破壊し、相手のLPを1000回復させる! 破壊するのは《シューティングコード・トーカー》!」

 

 石島が魔法を発動させると、シューティングコード・トーカーは胸を押さえて苦しみだし、悶えながら光の粒子とあって消滅してしまった。

 

 Playmaker LP:600→1600

 

『何するかと思えばこっちのLPを回復してくれるのかよ? へへ! これでこのターンは助かるぜ! 敵を助けるだなんてバッカでねぇの?』

「強がりは無駄だと言ったはずだ! 解っているのだろう? その”コード・トーカー”の強みがなんであるかを!」

『え? な、何のことでしょ~?』

 

 ”コード・トーカー”はリンクを繋ぐことで初めて力を発揮できるモンスターであり、個々単体の力はそれほどでもない。石島はここまでの決闘でそれを見抜いており、このままバーバリアンで攻撃を仕掛ければ必ずリンクによる連携で反撃してくると読んだのである。だからこそ相手のLPを回復させてまでリンクの中心であったシューティングコード・トーカーを破壊したのだ。

 

「リンクを断ってしまえば恐れるに足らず! そして知るがいい! バーバリアンの恐ろしさを! バーバリアン・キングのモンスター効果! 戦士族を任意の数だけリリースすることでこのターンのバトルフェイズでの攻撃回数をリリースしたモンスターの分だけ増やす! 《アックス・レイダー》をリリースし、バーバリアン・キングはこのターン2回攻撃できる!」

 

 バーバリアン・キングはアックス・レイダーを捕まえて握りつぶし、破壊されて粒子となったアックス・レイダーを吸収する。

 

「フィールド魔法《破邪の魔法壁》を発動! 自分のターンの間、俺の場のモンスターの攻撃力を300アップ!」

 

 バーバリアン・キング ATK:3000→3300

 

「ゲェーーーこれじゃPlaymakerのLPが無くなっちまう!?」

「この俺が何の手段も無しにLPを回復させてやったとでも思ってたのか愚か者め! これで終わりにしてやる! カードを伏せバトル! バーバリアン・キングでエンコード・トーカーを攻撃!」

 

 バーバリアン・キングが棍棒を振り回し、空を駆けるエンコード・トーカーを地面へと叩き落とす。

 

「くう……!?」

『あわわわわ!?』

 

 Playmaker LP:1600→600

 

「とどめだ! パワーコード・トーカーを攻撃!」

「手札から《レスキュー・インターレーサー》の効果発動! 自分のサイバース族が攻撃されたダメージ計算時にこのカードを手札から捨てることでダメージを0にする!」

 

 パワーコード・トーカーも同じように地面へと叩き落とされてしまったが、Playmakerへのダメージは光の障壁によって阻まれる。

 

「防いだだと!?」

「勝利を目前にまでその冷静さは見事だ。だが判断を誤ったな」

「ぐぬう……!」

 

 ソウルテイカーを使用せずにエンコード・トーカー、シューティングコード・トーカーを攻撃していればPlaymaker は攻撃を防ぎ切れず、石島の勝利であった。”コード・トーカー”の連携を警戒し過ぎた結果である。相手のLPを回復させてまででも相手の力を封じ込め、圧倒的なパワーでひねり潰す――――ここにきて石島の”豪胆かつ慎重”な戦術が裏目に出てしまったのだ。

 

「だがお前のモンスターは全滅させた! 次で終わりだ! ターンエンド!」

 

ストロング石島

LP:1100

手札:0

EXモンスター

①:

③:

メインモンスター

①:

②:バーバリアン・キング ATK:3300→3000

③:

魔法・罠

①:冥界の宝札

②:アドバンス・ゾーン

③:セット

フィールド魔法

破邪の魔法壁

 

『ふぃ~~~危なかったな……』

「エンドフェイズ時に墓地の《レスキュー・インターレーサー》の効果発動! 自身の効果で手札から墓地へ捨てられた場合、そのターンのエンドフェイズ時に墓地から特殊召喚する!」

 

 Playmaker の場に女性型のロボットが現れ、手の甲に付いたパトライトを光らせる。

 

 レスキュー・インターレーサー 光属性 サイバース族 レベル3 ATK:1000

 

「俺のターン!」

 

 Playmaker  手札:2→3

 

『さてPlaymaker ! 危機的状況だが、この手札じゃ融合もシンクロもエクシーズも無理だな?』

「儀式もだ」

『リンクモンスターで対抗しようにも、もうロクな奴いないよな?』

「さっき戻したエクスコード・トーカーと、今の状況では力を発揮できないクロック・スパルトイと”ダークフルード”のみだ」

『詰んでね? もう対抗できるカードねーじゃん』

「無いなら手に入れるまでだ!」

 

 Playmaker の言葉にAiはくしゃりと顔をゆがませる。人間とは顔のつくりが違うので分かりづらいが笑ったのだ。

 

『だよな! そう来ると思って準備してたぜ! データストーム解放!』

 

 Aiが広大な森が広がる空間に向かって手をかざすと、そこに凄まじい威力の風が吹き荒れる。風は森の中心で巻き上がり、巨大な竜巻となった。

 Playmaker は竜巻を確認すると、Dボードを向けて飛び立つ。

 

「何だこの風は!? 何をするつもりだ!?」

「スキル発動、”Neo Storm Access”! 自身のLPが1000以下の時、データストームの中からサイバース族1体をランダムでEXデッキに加える!」

 

 Playmakerはスキル発動の宣言を行いつつ、データストームの前に辿り着く。

 データストーム――――その名の通りデータの奔流のことで、スピードデュエルとは本来このデータストームの流れに乗って行われる決闘である。今ではDボードの性能が上がったことにより大した流れがなくともスピードデュエルを行うことができるようになっているが、まだスピードデュエル初期の頃はデータストームの気まぐれに翻弄される決闘者も多く、危険が大きかった。

 データと言うからには当然”中身”が存在する。大半は何のこともないただのごみデータであるが、強力なデータストームの中にはイグニス達が創り出した”サイバース族”が潜んでいる。どれだけ強いのか、どんな力を持っているのか、それはデータストームの規模によって決まる。巨大かつ強力であればあるほど、それに比例して中のサイバースも強力になっていくのだ。

 

『Playmaker! 対戦相手の影響か何かなのかは知らねぇが、今回のデータストームは相当ワイルドだぜ!』

「問題ない! 今の俺とこの新しいスキルなら! うおおおお!!!」

 

 雄叫びを上げてPlaymakerはデータストームの中へと光輝く右腕を突っ込む。データストームは決してPlaymakerの味方ではない。差し込まれた腕を容赦なく削り、吹き飛ばそうとする。

 

 

「ぐうう……!」

『頑張れPlaymaker! もう少しだ!』

 

 Playmakerが伸ばす腕の側を、幾つもの黒い影が通り抜ける。データストーム内に潜むサイバース達だ。通り抜けてはまた現れ、通り抜ける。Playmakerをからかっているのか、それとも力を貸すのに値する決闘者かどうか見極めているのか――――

 

「うう……うおおおーーーー!!!」

 

 渾身の力を込め、Playmakerはさらに腕を差し込む。その先には1枚のカードが輝きながら漂っていた。

 

『風を掴め! Playmaker!!!』

 

 Aiの言葉と同時にPlaymakerはカードを掴み取る。その瞬間、Playmakerの脳裏に”勇ましい獣の咆哮”が轟いた。

 Playmakerはすぐにデータストームから腕を引き抜き、手にしたカードをEXデッキへとしまう。

 

『よっしゃ! 新しいカード、行けるか?』

 

 データストームを消滅させながらAiが訊ねるとPlaymakerは軽く頷き、石島の元へと戻る。

 

「新しいカードだと!? くっ……決闘盤が警告を発せず正しく処理を行っている以上は……有効!」

『スキルの効果なんだから有効に決まってんだろ! 行けPlaymaker!』

「《サイバース・ガジェット》を召喚! 効果で墓地のレベル1《レイテンシ》を特殊召喚!」

 

  Playmakerの場にサイバース・ガジェットとレイテンシが再び現れる。

 

 サイバース・ガジェット 光属性 サイバース族 レベル4 ATK:1400

 レイテンシ 光属性 サイバース族 レベル1 DEF:0

 

「現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”サイバース族2体以上”! 《レスキュー・インターレーサー》、《サイバース・ガジェット》、《レイテンシ》の3体をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”上、左、右”のリンクマーカーに3体のサイバースが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。ゲートの中から現れたのは、仲間を庇って散りEXデッキへと戻っていたサイバースの法術士――――

 

「現れろLINK-3《エクスコード・トーカー》!」

 

 エクスコード・トーカー 風属性 サイバース族 LINK-3(上、左、右) ATK:2300

 

「サイバース・ガジェットの効果により《ガジェット・トークン》を特殊召喚! そしてサイバネット・オプティマイズの効果により《ライドロン》を通常召喚!」

 

 続けてPlaymakerの場にガジェット・トークンとライオンの姿をした電脳獣が現れる。

 

 ガジェット・トークン 光属性 サイバース族 レベル1 DEF:0

 ライドロン 地属性 サイバース族 レベル4 ATK:2000

 

「再び現れろ! 未来を導くサーキット!」

 

 Playmakerの場に現れるアローヘッド。おそらくこれが最後のリンク召喚になる。

 

「アローヘッド確認! 召喚条件は”トークン以外のモンスター2体以上”! LINK-3《エクスコード・トーカー》と《ライドロン》をリンクマーカーにセット!」

 

 アローヘッドの”上、下、左、右”のリンクマーカーに分裂して3体となったエクスコード・トーカーとライドロンが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中から飛び出したのは1体の巨大な白い電脳獣。体には強化アーマーを身に着け、ライオンのようなタテガミを揺らしながら場に降り立ち咆哮を上げる――――

 

「現れろLINK-4《ラスタライガー》!」

 

 ラスタライガー 光属性 サイバース族 LINK-4(上、下、左、右) ATK:2000

 リンク先:ガジェット・トークン(下)

 

「LINK-4だと……だがその程度の攻撃力、バーバリアン・キングの敵ではないわ!」

「ラスタライガーの効果発動! 墓地のリンクモンスター1体の攻撃力をターン終了時までこのカードに加える! 《デコード・トーカー》の攻撃力2300をラスタライガーに加える! 〈パワー・ラスタライズ〉!」

 

 ラスタライガーが背部のアーマーを展開すると、中からカメラが現れる。ラスタライガーは目の前に現れたデコード・トーカーの巨大なカードを撮影し、そこから必要なデータだけを取り出して自分にインプットする。

 

 ラスタライガー ATK:2000→4300

 

「攻撃力4300!? バーバリアン・キングを上回るだと!?」

「ラスタライガーの更なる効果! リンク先の自分のモンスターを任意の数だけリリースし、リリースした数だけ場のカードを破壊する! リンク先のガジェット・トークンをリリースし、セットカードを破壊する! 〈ラスタライズ・ロアー〉!」

 

 ガジェット・トークンが消滅した瞬間、ラスタライガーが咆哮を上げる。それと同時に石島の場に伏せられていたカード1枚が粉々に砕け散った。

 

破壊したカード

バーバリアン・ハウリング

 

「ぬうう……!?」

「これで終わりだ! ラスタライガーでバーバリアン・キングを攻撃!」

 

 ラスタライガーがバーバリアン・キングに向かって飛び掛かり、喉元に噛みつく。バーバリアン・キングが堪らず悲鳴を上げてラスタライガーを振り払い、もがき苦しみ抜いた後爆散する。

 

「ぐわぁぁぁ!? み、見事……」

 

 ストロング石島 LP:1100→0

 

 バーバリアン・キングが起こした爆発を受けて石島はDボード上から吹き飛ばされる。石島はそのまま落下し、森の中へと消えていった。

 

『や、やべぇんじゃねぇのかあれ!?』

「くっ!?」

 

 決闘盤を収め、Playmakerは全速力で森へと消えた石島を追った。

 

 

 

 * * *

 

 

 

「……アバターに大きな外傷は見えない。元の体に深刻なダメージが向かう程のフィードバックが起きれば強制的にログアウトされるはずだ」

『だけど気絶してるぜ? 気絶するくらいなら強制ログアウトしそうなもんだがな?』

 

 石島の元へ辿り着いたPlaymaker達。見たところ木の枝や藪がクッションとなったお蔭で大きなケガはしていないようだった。気を失って倒れているが、あの高さから落ちたことを考えれば気絶で済んだのは幸運だったとしか言いようがない。

 

「……いや、ここの空間はネットから遮断されているんだったな。強制ログアウトさせたくてもできなかったということか?」

『まあともかく……勝ったご褒美を貰わねぇとなァ!!!』

 

 Aiが急に決闘盤から飛び出し、異形の姿へと変わる。体は蛇の様に長く、側面から複数の触手を生やし、大きく開けた口の上にはギョロリと大きな目玉が剥きだしている。これはイグニス達の”捕食形態”であり、この姿になってイグニスは相手のデータを食らって自分のものにできる。

 

「Ai! 何をする気だ?」

『気絶しちまったらここについてきけねぇだろうが! だからちょいと記憶データを頂こうって訳よ! 安心しな、アバターの片腕をちょこーっと齧らせてもらうだけだからよ!』

 

 そう言ってAiは石島の腕に食らいつく。ガッツリと食らいつく――――が、Aiは表情を歪ませて石島から離れた。

 

「どうした?」

『……どうなってんだこりゃ? Playmaker! こいつアバターじゃねぇぞ! 生身の人間だ!』

「何だと!?」

 

 Playmakerは石島に近づいて体に触れるが、触ったぐらいではアバターか人間かは判断できない。

 

『食らいついた時、歯が通らなかった。硬いとかそういう問題じゃなくて、俺自身が干渉できなかった』

「プロテクトでもないということか?」

『ああ、触れてる感覚すらない。本当におかしいぜ? Playmakerはアバター(Playmaker)だし、俺だって自由にできる。データストームだって起こせる。ここは電脳空間……だよな?』

 

 自分がアバターであり、Aiが自由に動ける以上、ここは電脳空間である。目の前で倒れている男もアバター――――データであるはずなのだ。だが高性能なデータ体であるAiが石島はデータではないと言っている。

 

『うわ!?』

「今度はなんだ?」

『周りもデータじゃねぇ!? ちょっと弄ってやろうと思ったんだけど、何もできねぇんだ!』

 

 Playmakerは側にある葉っぱに触れる。指の間に挟んで擦り合わせる、ヒラヒラと扇いでみる、おもむろに千切ってみる――――リンクヴレインズはそれらの感触を出来る限りリアルに再現しているが、やはり現実とは微妙に違いがある。Playmakerはリアル過ぎる葉っぱの感触に眉をひそめた。

 

「一体どうなっているんだこの空間は……この男がこんな状態では情報の一つも聞きだせない」

『いや、まだ一つ手掛かりがあるぜぇ? 俺様的には一番気になる代物だ』

 

 Aiが触手で差したのは石島の決闘盤から零れ落ちた1枚のカード。怪しげな存在感を放つ”No.”のカードであった。

 

「あのカードか……この男のデッキの中では、明らかに異質な――――」

 

 Playmakerが目を向けた瞬間、”No.”のカードが浮き上がりPlaymaker目掛けて飛来する。

 

『おおっとぉ!?』

 

 Playmakerがカードを受け止めようとした瞬間、Aiが大口でカードを捕らえそのまま飲み込んでしまう。

 

「Ai!? 何をするつもりだ!?」

『カードならデータに変換できる! データにしちまえばこっちのもんだ! 根掘り葉掘り調べて――――う、ごごご……!?』

「どうした!?」

『こ、このやろ……逆に俺を取り込もうとしてきやがる! 何だてめぇ! ”意思”があるってんのか!?』

「危険だ! 吐き出せ!」

『勝ったのは俺達だぞ……大人しく言うこと聞けってんだ!!!』

 

 Aiはそう叫んでPlaymakerの決闘盤に飛び込む。目玉だけの状態となり、険しさを浮かべた後、ほっとしたように目尻を下げる。

 

『ふい~……最後は呆気なかったな。急に大人しくなりやがった』

「……どうなった? 異常は?」

『あーダイジョブダイジョブ、臭いものにはフタをしろ。あの気味わりぃ悪寒がしなくなるまでプロテクト掛けてやったから。それより収穫があったぜ』

 

 Aiは人型に戻って決闘盤から這い出る。手にはデータの破片が握られていた。

 

『どういう原理か知らねぇが、カードをデータに変換したら中に石島の記憶データが混ざってやがった。殆ど壊れちまってたけど、解析できたもんだけ抜き出してきたぜ』

 

 Aiは破片データをPlaymakerのアバターにインストールする。

 判明したことは3つ。一つ、この空間は決闘に支配された世界である。勝者が手に入れ敗者が失う弱肉強食の世界。二つ、Playmakerはこの世界の”セントラル”を目指さなければならない。三つ、石島はPlaymakerに課せられた”試練”であり、決闘とこれらの情報を伝えるために置かれた”番兵”に過ぎない。

 

『どうやらこの鬼塚もどきは下っ端みてぇだな。黒幕が誰か探ろうとしたが、それらしいもんはジャンクデータさえ無かった』

「……とにかく、やることは決まった」

『”セントラル”とやらを探すのか? どう考えても罠臭くね?』

「俺達に選択肢は無い。もし黒幕がその”セントラル”にいるのだとすれば、確かめなければならない。何故サイバース世界にあの扉を置いたのか。何故俺達を引きずりこんだのか」

 

 Playmakerは再びDボードへ飛び乗る。相手の狙いは分からない。だがジッとしている訳にはいかない。取り戻した人生を再び歩むため、Playmakerは再び闘いへと身を投じるのであった。

 




プレメこと遊作の相手は初戦の相手の中ではおそらく一番印象が薄いであろうストロング石島でした。こんなに濃い見た目なのに。
デッキテーマは”帰ってきた石島”です。修行してパワーアップした石島をイメージして書きました。
ここまで見てくださったかたなら、というか一発目で気づいたかたもいると思いますが初戦の相手はみな”主人公と第一話で決闘した攻撃力3000メンバー”です。(遊作は実質2話ですが、まあ決闘に入ったのは1話からなので)

遊作は原作終了後ではなく、”ボーマン戦後、Aiが人間に反旗を翻さなかった場合”というIFルートという設定です。
理由としてはこの話を書いている時はまだヴレインズが完結していなかったのと、AiをAIのまま遊作と一緒にいさせたかったからです。ぶっちゃけどんな理由があっても敵にまわってほしくなかった……まあ劇場版仕様ってことでお願いします。

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