遊戯王 ~クロスオーバーディメンションズ~   作:鬼柳高原

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くっそ長くなりました。
やっぱタッグは長くなるなぁ。
決闘中でも分けたほうがいいのかな?


邂逅
神の領域 ~遊戯と遊作~


『――――というわけで、見事初代決闘王(デュエルキング)となったのでした! どうだ? 面白かっただろ?』

 

 謎の世界の上空、広大な森の上をDボードで滑空するPlaymakerに講釈を終えたAiは満足げに笑い掛ける。だがPlaymakerは表情も視線も前を向けたまま変えなかった。

 

『何だよ! もうちょっと面白そうにしたらどうなんだよ!』

「”武藤 遊戯”ならば知っている。有名なゲームクリエイターにして初代決闘王だ。決闘者にとっては常識だ。だが――――」

 

 ここでようやくAiへと視線を向けるPlaymaker。だがそれはうさん臭いものを見る猜疑の目であった。

 

「お前が途中で挟んだ”古代エジプトのファラオの魂”だの”神のカード”だの、あれは一体何なんだ?」

『お、ちゃんと話を聞いていたようで先生嬉しいぞ! それは遊戯に纏わる”伝説”だ。本当のことらしいぞ!』

「AIの癖にそんなオカルトを信じているのか」

『お前こそ人間の癖に冷め過ぎだぞ! 確かに作り話かもしれないけどな、こういう”伝説の人物”には”伝説なオカルト”が付き物なんだって! そっちの方が面白いじゃんかよ!』

 

 このプリプリと怒った様子もそうだが、この次世代型AIはどうにも人間臭い。Ai以外にも炎のイグニス”不霊夢”、光のイグニス”ライトニング”も人間や他のAIから”人間らしい”という評価を受けている。

 人間らしく振舞うAiと不霊夢、友情と愛情に動かされたアクアとアース、内外の”身勝手な憎悪”に翻弄されて身を滅ぼしたウィンディとライトニング――――”人間を導く後継者”として生み出された彼らだが、学習の末に辿り着いた先が”人間らしさ”であったことは創造主である”鴻上博士”も予想できなかっただろう。

 

『こんな森一色でつまらないフライトだから面白い決闘者の話をしてやってるのに! よーしならとっておきの話をしてやる! 遊戯のライバル”海馬 瀬人”の話だ! 今のリンクヴレインズや新型決闘盤のシステムの原型である”パワー・ビジョン・システム”の開発者でもあったんだぞ! その試作テストには遊戯も協力してたんだぜ!』

「学校で習った。SOL社以上の規模を誇っていた”海馬コーポレーション”の社長だろう。現実での決闘に使うSVSもその社長の開発だ」

『んもー! 面白い話を面白くない奴に話すとこうなるのね! ……ん?』

 

 ふとAiが下を見ると、森が開けて広い草原地帯に出る。だがそこには奇妙な集団があった。

 

『何だありゃ? モンスターか?』

 

 その集団は人型だが体色は緑色で、とがった耳と牙を持つ見れば明らかに人外だと分かる姿をしていた。集団の全員が兜と革の胴鎧を身に着け、手に持った金棒を振り回しながら何かを追っている。追われているのは人間の少年であった。

 

「わぁ~!? 何でこんなことに!?」

 

 少年は人間だと分かるが非常に派手な見た目である。燃え立つような髪に紺色の学生服。更には首に逆三角錐の形をした黄金のペンダントをぶら下げている。周囲の風景からは明らかに浮いており、Aiから見ても狙ってくださいと言っているようにしか思えなかった。

 Playmakerもそれに気付いたのか高度を下げ、少年の側へと近づく。

 

「おい大丈夫か!」

「ええ!? 今度は何!?」

「掴まれ!」

 

 Playmakerが手を伸ばして叫ぶと、少年も手を伸ばして手を掴む。Playmakerは少年を引っ張り上げてDボードに同乗させると、低空を滑空してモンスターの集団から離れた。

 

『これ一人用だから長くは飛べないぞ!』

「解っている! 森の中へ飛び込むぞ」

「た、助かった……」

 

 

 

* * *

 

 

 

 何とかモンスターから逃れ、森の中で落ち着いたPlaymaker達。Dボードから降りてPlaymaker達と向き合った少年を見てAiが素っ頓狂な声を上げた。

 

『ああ~!? こいつはッ!?』

「わぁ!? な、何これ?」

 

 イグニスを見たことがない少年は驚いた様子でAiを見る。Aiも驚いた様子で少年をジロジロと見回した後、Playmakerの耳元に近づいた。

 

『Playmaker! こいつだよ! こいつが”武藤 遊戯”! 俺のデータと99%一致する!』

「何?」

 

 Playmakerの目の前に立つ少年は、小柄で優し気だがどこか頼りない雰囲気を纏っていた。遊戯についてはPlaymakerも知っているが、偉業だけでその姿形を把握しているわけではない。伝説として伝えられる決闘者と目の前の気弱そうな少年がどうしても結びつかなかった。

 

「馬鹿なことを言うな」

『嘘じゃねぇって! 俺のデータベースの画像と比較しても一緒なんだよ! 決闘盤だって最初期モデル! 首に提げてるのだって噂の”千年パズル”だ!』

「あ、あの~……」

 

 謎の物体と会話しているPlaymakerに、遊戯はおずおずと話しかける。

 

「助けてくれてありがとう。ダンジョンを出たまでは良かったんだけど、すぐにあの”ゴブリン突撃部隊”に見つかって追いかけられちゃって……あ、僕の名前は”武藤 遊戯”。君と……そっちの人形みたいなのは? 喋ってるけど……」

『ほら見ろ本物の遊戯だ!』

「黙っていろ。……俺の名はPlaymaker、お前に聞きたいことがある」

『こら! こう見えても遊戯は高校3年生なんだぞ! お前より年上なんだから敬えよ!』

「黙っていろ。……こいつはただのおしゃべりなAIだ。気にしなくていい」

「あ、うん……あと僕は高校2年生だよ」

『ありゃ? 俺のデータベースだと最後の記録が高3の時だったような……ちょい調べてみよ』

 

 AiはPlaymakerの決闘盤の中へと飛び込み、頭を少しだけ外に出す。

 

『遊戯! こいつ高1だからな! 舐められんなよ!』

 

 そう言ってAiは決闘盤の中へと引っ込んだ。

 

「最近のAIプログラムって凄いなぁ……さっきのハノイの騎士といい、凄い技術だ」

「ハノイだと!?」

 

 まさかのキーワードにPlaymakerは遊戯に詰め寄る。

 

「ハノイの騎士がここにいるのか! 何処にいた! まさかこの空間はハノイが――――」

「お、落ち着いて!?」

 

 遊戯はPlaymakerを宥めると、ここまでの経緯を話し始める。Playmakerと戻ってきたAiも遊戯にここまでの経緯を話し、情報を交換し合った。

 

『なあ、話聞く限り、そいつって俺らが会った時にお前が倒した奴じゃね?』

「君達も彼と決闘したことがあるの?」

『おうよ。でも今はそいつ、俺の腹の中のはずなんだがなぁ?』

「ええ!?」

「黙っていろ。……そいつが俺達の知るハノイだとは限らない。(そしてこいつも……)」

 

 Aiの話に興味深そうに頷いている遊戯に疑いの目を向けるPlaymaker。自分達と同じように強制的にこの世界へと連れてこられたと言うが、それが本当という証拠はない。先程の石島のようにこの世界の”黒幕”が用意した刺客かもしれない。

 

「(Aiは信じて疑わないようだが、ありえない……武藤 遊戯は何十年も前の人間だ。歴史の教科書にのるレベルの……)」

 

 本物の遊戯ならば生きていたとしてもかなりの高齢者のはずであり、目の前にいる同年代の少年であることはありえないのである。アバターの可能性も考えたが、高齢者の体では現実世界の体へ伝わるダメージに耐え切れない。偽物が扮していると考えるのが自然である。

 

「……もう知っていることは話したな。行くぞ」

『あ、おい待てよ! 遊戯を置いていくつもりか?』

 

 Dボードを呼び寄せようとしたPlaymakerに飛びつくAi。余程遊戯を気に入ったのか必死になってPlaymakerを引き留めようとする。

 

「お前は奴を信用しすぎだ」

『いや、確かに怪しいとこもあるけどなんて言うかな~……俺の本能が信じてもいいって……』

「…………」

『いやそんなどうしようもない奴を見るような視線を向けるなよ! 何て言ったらいいのか……俺の闇が囁くのよ~……みたいな?』

「ね、ねえ二人とも……あれ」

 

 遊戯が森の奥を指さす。何やら光が木々の間から漏れており、光の先の上空にも光の柱が天に向かって伸びている。

 

『おわ!? 何だありゃ?』

「(あれが例の”セントラル”か? ……手がかりも無い今、行くしかない)」

 

 Playmakerは迷わず光へと歩き出す。遊戯もそれに続いて歩き出した。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 光に向かって歩き続けると、森の中の開けた平地に出る。光源は1枚のカードから放たれており、それを手に持った美男子がカードをデッキに戻すと光が収まる。

 

「やはり来たな決闘者」

「ふっ……」

 

 そこにいたのは、色白で長い銀髪の美男子と知的な雰囲気を纏う眼鏡を掛けた赤毛の青年の二人組。美男子は品のある優雅な立ち振る舞いを見せる男で、Playmaker達を静かに見つめている。青年の方は知的に見えるがそれだけではなく、マントの下から覗ける腕は非常に筋肉質でたくましい。柔らかな笑みを向けているがどこか冷たくもあり、それが異様な不気味さを感じさせる。

 

『何だ何だ! お前ら石島の仲間か?』

「君達の道は一つ。ここで我々と決闘を行い、勝って進むか負けて消えるかだ」

「逃げようとしても無駄ですよ。ここは”神の領域”。既に君達は神の掌の上にいる」

 

 Aiの言葉を無視して二人は決闘盤を構える。

 

『おいこら無視すんな! せめて名を名乗れい!』

「私の名は”ハラルド”。”ルーンの瞳”に選ばれし者にして”神のカード”の継承者」

「神のカードだって!?」

 

 驚きの声を上げたのは遊戯。彼にとって神のカードとは所有している”三幻神”のカードの事であり、自分以外に持っているはずがない。

 

「僕は”アモン・ガラム”。彼のパートナーを務めさせてもらう。まあ、脇役に徹するつもりはないがね」

 

 アモンはふっと笑みを浮かべて眼鏡の位置を直す。

 

「俺の名はPlaymaker! この決闘受けて立つ! 俺が勝った時、貴様らが知っていることを全て話してもらうぞ。それがこの世界のルールと聞いた」

 

 Playmakerは決闘盤を展開し、決闘場へと立つ。遊戯もPlaymakerの横に並び、決闘盤を展開して構えた。

 

「Playmaker君! 僕も一緒に戦うよ! どうしても僕自身が確かめなきゃいけないんだ!」

「お前が……?」

『お、良いぞ! 初代決闘王がパートナーなんて心強いぜPlaymaker!』

 

 Aiがはしゃぐが、Playmakerはその言葉に頷きもしない。まだ遊戯の事を疑っているようだ。

 

「(神のカードってことはもしかしてコピーカード? そんなものを使ったら大変なことになる! 絶対に止めなきゃ!)」

『(相棒)』

 

 ここで遊戯の内から声が響く。

 

『(ここは最初から俺に行かせてくれないか? あの決闘者二人からとてつもない力を感じる)』

「(もう一人の僕……)」

『(これはただの決闘にはならない。ここは俺の領分だ。相棒、任せてくれ)』

「(うん! 頼んだよもう一人の僕!)」

 

 遊戯は千年パズルに手をかざすと、眩い光に包まれる。

 

「これは!?」

『うおお!? こりゃまさか!?』

 

 隣にいたPlaymakerもAiも驚いて遊戯に向き直る。

 やがて光が収まると、そこには気弱な少年の面影の無い、強気で大胆不敵な少年が立っていた。

 

「俺は”武藤 遊戯”! この決闘、受けて立つぜ!」

「な、何だ……!?」

 

 これにはクールなPlaymakerも驚きを隠せない。小柄で頼りなかった少年が突然変貌を遂げたのである。堂々とした立ち振る舞い。鋭く威圧するような眼光。これはまさに――――

 

『”名もなきファラオ”! 決闘王の降臨じゃぁ~~~~!!!』

「どういうことだ?」

『これが遊戯の正体なんだよ! 決闘の時はめちゃくちゃ決闘の強いファラオの魂をその身に宿し、幾多の強敵達を葬ってきた伝説の決闘者……それが”武藤 遊戯”だ! この説明2回目!』

「ファラオの魂……」

 

 Aiの話を思わず信じそうになったPlaymaker。この変わり様は明らかに別人であり、何かが乗り移ったとしか言いようがないのだ。

 

「Playmaker、今は俺を信じて共に戦ってくれ。相手が本当に”神の使い手”ならば、俺達の結束無しでは勝つことはできない!」

「あ、ああ……」

「準備は整ったな? それではルールを説明する」

 

 役者が揃ったとみたハラルドは前に出てルールの説明を行う。

 これから行うのは”タッグフォースルール”による二対二のタッグ決闘。LPは二人で共通の8000ポイント。場・墓地・除外ゾーンはパートナーで共有し、ターンの開始時に交代で決闘場に立って決闘を行う。順番は遊戯、アモン、Playmaker、ハラルドの順。

 

「ファーストターンに決闘場に立つのは遊戯と私だ。前へ」

 

 遊戯とハラルドは場に立ち、デッキから手札を引き抜く。

 

「行くぜハラルド!」

「来い!」

 

 

 

「「 デュエル!!! 」

 

 

 

『さ~て! 決闘王様はどんな決闘を見せてくれるのかね?』

「俺のターン! 魔法カード《手札抹殺》! お互いに手札を全て捨て、捨てた分だけドローする!」

 

 遊戯 手札:4→0→4

 

捨てたカード

ブラック・マジシャン

クリアクリボー

狂戦士の魂

バフォメット

 

 ハラルド 手札:5→0→5

 

捨てたカード

極星天ヴァルキュリア

極星の輝き

極星宝ドラウプニル

極星宝メギンギョルズ

極星霊ドヴェルグ

 

「カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

遊戯

LP:8000

手札:1

EXモンスター

②:

④:

メインモンスター

魔法・罠

②セット

③セット

④セット

 

『ええ!? 手札交換までしたのにモンスター出さないのかよ!? 手札事故?』

 

 Aiが心配そうな顔で遊戯を見るが、遊戯は不敵な表情のままハラルドと入れ替わるアモンを見ている。

 

「僕のターン」

 

 アモン 手札:5→6

 

「魔法カード《闇の誘惑》を発動。カードを2枚ドローし、手札から闇属性1体を除外する。手札から除外できる闇属性が存在しない場合、私は手札を全て墓地へ送る」

 

 アモン 手札:5→7

 

「手札から闇属性《マッド・リローダー》を除外」

 

 アモン 手札:7→6

 

「魔法カード《儀式の下準備》を発動。デッキから儀式魔法1枚と、デッキ・墓地からその儀式魔法に対応する儀式モンスター1体を手札に加える。儀式モンスター《ゼラ》と儀式魔法《ゼラの儀式》を手札に」

 

 アモン 手札:5→7

 

「魔法カード《打ち出の小槌》を発動。手札を任意の数だけデッキに戻してシャッフル。戻した枚数だけドローする」

 

 アモン 手札:6→3→6

 

『おいおい何回手札交換するんだよ? そんなに手札悪いのか?』

 

 Aiがいぶかし気にアモンを見る。Playmakerも探るような目つきでアモンを見ていた。相変わらず余裕な態度なのは遊戯であり、一人で手札を入れ替え続けるアモンを見て何かを察したかのように鼻を鳴らす。

 

「魔法カード《星の金貨》を発動。自分の手札2枚を相手に渡し、その後カードを2枚ドローする」

 

 アモンは魔法を発動させると決闘場を横断し、遊戯の目の前までやってくる。そして手札を2枚選び、遊戯に渡そうとした瞬間――――

 

「お前の狙いは解ってるぜ」

「ほう」

「罠カード《マインドクラッシュ》! 俺はカードを1枚宣言し、そのカードが相手の手札にある場合、それを全て捨てさせる! 俺が宣言するのは……《封印されしエクゾディア》!」

 

 遊戯が宣言すると、笑みを浮かべていたアモンの表情がわずかに動く。アモンだけでなく、PlaymakerやAiも表情を変えた。

 

「エクゾディアだと……!?」

『エクゾディアって……問答無用で勝っちまう滅茶苦茶なカードだろ! でもあれってもう存在しないはずじゃ……』

 

 封印されしエクゾディア――――それは5枚一組のモンスターカードであり、それらを手札に揃えた瞬間ゲームに勝利するという幻のレアカードである。だがそれぞれ単体では弱小モンスターに過ぎず、並みの決闘者では手札に揃えることができずに決闘が終わってしまう。

 

『遊戯はそのエクゾディアの所有者で、それを揃えて海馬を打ち破ったことがあるんだよな。でもデータによるとエクゾディアは海にバラまかれちまって、もう存在してないはずなんだが……遊戯がそれを一番解ってるはずなのになんでエクゾディアを宣言するんだ?』

 

 Aiが首を傾げている中、アモンは手に取った2枚のカードを手札に戻すと、手札から2枚とは別の1枚を取り出して遊戯に見せる。

 

 

 封印されしエクゾディア

 

 

『ゲェーーーー!? マジであった!?』

「やはりな。アモン、まだ決闘は始まったばかりだぜ? 焦るなよ」

「……失礼した。確かにまだ全員のターンも回っていない。これは無粋なことだ」

 

 アモンは封印されしエクゾディアのカードを墓地に捨て、再び手札からカードを2枚取り出して遊戯に渡す。

 

 アモン 手札:5→4→2

 遊戯 手札:1→3

 

渡されたカード

ディープ・ダイバー

エア・サーキュレーター

 

「デッキから2枚ドロー」

 

 アモン 手札:2→4

 

 これでカードの効果処理が完了し、アモンは元の立ち位置に戻ると思われたが、アモンはその場で手札から魔法を発動する。

 

「速攻魔法《手札断殺》を発動。お互いに手札を2枚墓地へ送り、2枚ドローする」

 

 アモンは手札を2枚墓地へ送って2枚ドローし、遊戯は受け取ったカードを突き返して2枚ドローする。アモンは遊戯からカードを受け取って墓地へ送ると、踵を返して自分の立ち位置へと戻っていった。

 

 遊戯 手札:3→1→3

 アモン 手札:3→1→3

 

アモンの墓地へ送ったカード

封印されし者の右腕

封印されし者の左足

 

『ゲェェ!? 他のパーツまで!? マジでこのターンで揃える気だったのか!? ……だがこれでエクゾディア1キルは出来なくなったぜ! ザマー見ろ!』

「僕は墓地のモンスター全てをデッキに戻し、手札から《究極封印神エクゾディオス》を特殊召喚!」

 

 アモンの場に現れたのは一体の黒い魔神。古代エジプトの神話に登場しそうなその魔神は腕の筋肉を激しく隆起させ、咆哮を上げる。

 

 究極封印神エクゾディオス 闇属性 魔法使い族 レベル10 ATK:0

 

『何だこいつ!? 俺のデータの中にこんなやつの情報なんてないぞ!』

「エクゾディオスだと……!? こんなカード爺ちゃんにも聞いたことがない!」

 

 Aiどころか遊戯さえも知らない謎のモンスター。自身が対峙しているわけではないが、Playmakerは気を引き締める思いでエクゾディオスを睨みつける。

 

「これが僕の従える神だよ。フィールド魔法《神縛りの塚》を発動。このカードが存在する限り、レベル10以上のモンスターは効果対象にならず、効果では破壊されない……バトル! エクゾディオスでダイレクトアタック!」

「ダイレクトアタック? そいつの攻撃力じゃ――――」

「エクゾディオスの効果発動! 攻撃宣言時、デッキ・手札からモンスター1体を墓地へ送る。デッキから《封印されし者の右腕》を墓地へ送る」

 

究極封印神エクゾディオス ATK:0→1000

 

「攻撃力が上がった!?」

「エクゾディオスは墓地の通常モンスター1体につき攻撃力を1000上げる。さあ食らうがいい! 【天上の雷火 エクゾード・ブラスト】!」

 

 エクゾディオスが燃え盛る拳を地面に叩きつけると、炎の衝撃波が地を走って遊戯へと向かう。

 

「墓地の《クリアクリボー》を除外して効果発動! 相手の直接攻撃宣言時、デッキから1枚ドローし、それがモンスターだった場合、特殊召喚して攻撃対象をそのモンスターに変更する! ドロー!」

 

引いたカード

クリボー

 

「《クリボー》を守備表示で特殊召喚!」

 

 遊戯の場にクリボーが現れ、雷火の前に飛び出す。

 

 クリボー 闇属性 悪魔族 レベル1 DEF:200

 

『おお! リンクリボーのご先祖様だぜ! 何を隠そう、実はサイバース族を創るときに参考にしたのが遊戯デッキなんだ!』

「(成程、こいつの信頼感はここから出ていたのか)」

 

 サイバース族はイグニスが戦いの手段として生み出したモンスターであり、Aiはそれに相応しい原型として選んだのが遊戯のカードということになる。用心深く計算高いAiのこと、入念に調べ上げ信頼における強さのデッキとして選んだのであろう。

 クリボーは雷火を受け消滅するが、その衝撃は弱まることなく遊戯へと直撃する。

 

「ぐああ!? くっ! 何故ダメージが……!」

 

 遊戯 LP:8000→7000

 

「神縛りの塚が存在する限り、レベル10以上のモンスターが相手モンスターを戦闘破壊し墓地へ送った場合、破壊されたモンスターのコントローラーは1000ポイントのダメージを受ける。僕はカードを伏せてターンエンド」

 

アモン

LP:8000

手札:0

EXモンスター

②:

④:

メインモンスター

③究極封印神エクゾディオス ATK:1000

魔法・罠

③セット

フィールド魔法

神縛りの塚

 

 

 遊戯は立ち位置から下がり、Playmakerに場・墓地・除外ゾーンのカードを手渡す。

 

「厄介な奴を残してすまないな。俺のカードは遠慮なく使ってくれ。頼んだぜ」

「ああ……”遊戯さん”、俺に任せてくれ」

 

 Playmakerは受け取ったカードをそれぞれのゾーンに移すと、遊戯に代わって決闘場に立つ。

 

『お! ようやく遊戯と認めたな!』

「俺のターン!」

 

 Playmaker 手札:5→6

 

『さあPlaymaker! 神つっても攻撃力はたったの1000! それに上げられるタイミングも限られてると来た! さっさとぶっ倒してやろうぜ!』

「《クロック・ワイバーン》を召喚!」

 

 Playmakerの場に紫の水晶を体に埋め込んだ飛竜が現れる。

 

 クロック・ワイバーン 風属性 サイバース族 ATK:1800

 

「クロック・ワイバーンの効果発動! 召喚・特殊召喚に成功した場合、攻撃力を半分にすることで《クロック・トークン》を1体特殊召喚する!」

 

 クロック・ワイバーンが咆哮を上げると、その隣に紫の水晶体が現れる。

 

 クロック・ワイバーン ATK:1800→900

 クロック・トークン 風属性 サイバース族 DEF:0

 

「現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”レベル4以下のサイバース族1体”! クロック・ワイバーンをリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”下”に位置するリンクマーカーにクロック・ワイバーンが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろLINK-1《リンク・ディサイプル》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中からリンク・ディサイプルが現れPlaymakerの場に降り立つ。

 

 リンク・ディサイプル 光属性 サイバース族 LINK-1(下) ATK:500

 

「リンク召喚……シンクロ召喚とも違う。新たなる召喚法か」

『え? 今なんて言いました?』

 

 遊戯が漏らした言葉にAiが反応する。

 

「リンク召喚はお前達がいた所での召喚法なのか? 遊星の時代にシンクロ召喚があったように」

『(うえ~そうだった! この人決闘の歴史から見れば”原始人”だったんだわ! シンクロは知ってるみたいだけど、リンク召喚を知らないなんてヤバイぜ。あとユーセーって誰? マイフレンド?)』

 

 Aiは狼狽えた様子でPlaymakarの耳元に近づく。

 

『おい、俺不安になってきちゃったよ。あの人がパートナーで大丈夫かね?』

「例え過去の決闘者でも、強者は強者だ」

『ええ~……っていうか俺とPlaymakarの意見逆転してね?』

「再び現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”レベル4以下のサイバース族1体”! クロック・トークンをリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”上”に位置するリンクマーカーにクロック・ワイバーンが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろLINK-1《リンク・ディヴォーティー》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中から現れたのは複数のユニットが集まってできたロボット。リンク・ディサイプルを補助するように後ろへ降り立つ。

 

 リンク・ディヴォーティー 地属性 サイバース族 LINK-1(上) ATK:500

 相互リンク:リンク・ディヴォーティー(上)↔リンク・ディサイプル(下)

 

「リンク・ディサイプルの効果発動! リンク先のモンスターをリリースすることでデッキから1枚ドローする! リンク・ディヴォーティーをリリース!」

 

 リンク・ディヴォーティーが消滅すると同時にPlaymakarがカードをドローする。

 

 Playmakar 手札:5→6

 

「そして手札1枚をデッキボトムへ戻す!」

 

 Playmakar 手札:6→5

 

「リリースされたリンク・ディヴォーティーの効果発動! 《リンク・トークン》を2体特殊召喚!」

 

 ディヴォーティーが消えた後にディヴォーティーを構成していたユニットの二つが場に現れる。

 

 リンク・トークン×2 光属性 サイバース族 レベル1 DEF:0

 

「現れろ未来を導くサーキット! 召喚条件は”サイバース族2体”! リンク・ディサイプルとリンク・トークンをリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”下、右下”に位置するリンクマーカーに2体のサイバースが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろLINK-2《クロック・スパルトイ》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中から現れたのは水晶の鎧を纏ったサイバースの戦士。手に持った槍を振り回しながら場に降り立つ。

 

 クロック・スパルトイ 闇属性 サイバース族 LINK-2(下、右下) ATK:800

 

「クロック・スパルトイの効果発動! リンク召喚に成功した場合、デッキから《サイバネット・フュージョン》を手札に加える!」

 

 Playmakar 手札:5→6

 

「現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”レベル1モンスター1体”! レベル1の《リンク・トークン》をリンクマーカーにセット!」

 

 Playmakerの場に再びアローヘッドが現れると、リンク・トークンが光の風となってアローヘッド内の”下”に位置するリンクマーカーに飛び込みマーカーを点灯させる。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! LINK-1《リンクリボー》!」

 

 アローヘッドがゲートとなり、中からリンクリボーが飛び出す。

 

『クリクリンク~!』

『おっしゃ! ご先祖様の仇を討つぞリンクリボー!』

 

 リンクリボー 闇属性 サイバース族 LINK-1(下) ATK:300

 クロック・スパルトイリンク先:リンクリボー(下)

 

「クロック・スパルトイの効果発動! リンク先にモンスターが特殊召喚された場合、墓地からレベル4以下のサイバース族1体の効果を無効にして特殊召喚する! 戻れ《クロック・ワイバーン》!」

 

 再びPlaymakerの場にクロック・ワイバーンが現れる。

 

 クロック・ワイバーン 風属性 サイバース族 ATK:1800

 

「何という戦術だ……モンスターが波のように消えては現れる! これがリンク召喚か!」

『これが今時流行りのリンク召喚! だが驚くのはまだ早いぜ決闘王!』

「魔法カード《サイバネット・フュージョン》発動! 手札・場から素材を墓地へ送り、サイバース族1体を融合召喚する! 場の《クロック・ワイバーン》、《クロック・スパルトイ》、《リンクリボー》を融合!」

 

 Playmakerの場のサイバースが光の粒子となって混ざり合う。混ざり合った3色の粒子は形を成し、1体のドラゴンとなる。

 

「今、雄大なる翼のもとに集いし兵たちよ、新たなる伝説となれ! 融合召喚! 出でよ《サイバース・クロック・ドラゴン》!」

 

 現れたドラゴンの体には紫の水晶が埋め込まれており、そこから大量のエネルギーが放出される。これこそがPlaymakerの融合モンスターにして力の化身、”サイバース・クロック・ドラゴン”である。

 

  サイバース・クロック・ドラゴン 闇属性 サイバース族 レベル7 ATK:2500

 

「サイバース・クロック・ドラゴンの効果発動! 融合召喚に成功した場合、素材のリンクマーカーの合計分だけデッキトップからカードを墓地へ送る! 素材となったリンクモンスターのリンクマーカーの合計は3つ! よってデッキトップから3枚墓地へ送る!」

 

墓地へ送ったカード

フリック・クラウン

デュアル・アセンブルム

ビットロン

 

「そして墓地へ送った枚数分、攻撃力を1000アップする!」

 

 サイバース・クロック・ドラゴン ATK:2500→5500

 

「バトル! サイバース・クロック・ドラゴンでエクゾディオスを攻撃! 【パルスプレッシャー】!」

 

 Playmakerの号令に従い、サイバース・クロック・ドラゴンが水晶のエネルギーを集中させる。これが決まれば神は倒され、大ダメージを受けると言うのにアモンの表情は穏やかであった。

 

「罠カード《針虫の巣窟》を発動。自分のデッキトップからカードを5枚墓地へ送る」

『え、何でそんなこと……あ! 通常モンスターを墓地に送ってエクゾディオスを強化する気だな! やべぇぞ!』

「狼狽えるな。クロック・ドラゴンを上回るには5体の通常モンスターが必要だ」

『そ、そっか! 墓地に送るカード全部が通常モンスターじゃなきゃいけない! とんでもなく低い確率! 気休めだ!』

「ふふ……」

 

 罠の発動を大したことのない足掻きとみなしたPlaymaker達を鼻で笑うアモン。そこには確かな”嘲り”の色が見えた。

 

『何が可笑しいんだよ!』

「人が王となるのも、神を従えるのも、偶然が招くものではない。その者が生まれながらにして”王”であるから王となる」

『はぁ? なんだこいつ……』

 

 意味の解らぬ理屈に首を傾げるAi。アモンはデッキトップから5枚抜き取りカードを確認する。

 

「君達と僕では勝負にならないのだよ。この通りにな」

 

墓地へ送られたカード

封印されし者の右足

雲魔物-スモークボール

封印されし者の左腕

雲魔物-スモークボール

封印されし者の左足

 

  究極封印神エクゾディオス ATK:1000→6000

 

「馬鹿な!?」

『インチキだろ! こんなの、こんなの……!?』

「インチキでないことはAIである君が一番解っているのではないか?」

『くうっ!? ちくしょう……』

 

 決闘中おしゃべりばかりしていると見えるAiだが、実際は常に決闘盤のシステムにリンクしてカードやデータの動きを見張っている。だからアモンがシステムに干渉するようなイカサマをしていないことはAiにも解っていた。

 

「さて、それでは……消えろ虫けら!!!」

 

 サイバース・クロック・ドラゴンがブレスを放とうとした瞬間、エクゾディオスが凄まじいスピードで拳から雷火を放ち、サイバース・クロック・ドラゴンを消し飛ばす。

 

「うわぁぁぁ!?」

『サイバース・クロック・ドラゴンが……戦闘で押し負けたことなんてなかったのによ!』

 

 Playmaker LP:7000→6500→5500

 

 驚異的な戦闘能力を誇るサイバース・クロック・ドラゴンさえも凌駕する――――ここで初めてPlaymakerとAiは神の力を思い知る。

 

『こ、今度ばかりは本当にやべぇぞPlaymaker!』

「狼狽えるなと言っている! ……カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

Playmaker

LP:6500

手札:4

EXモンスター

②:

④:

メインモンスター

魔法・罠

①セット(Playmaker)

②セット(遊戯)

③セット(Playmaker)

④セット(遊戯)

 

 Playmakerがターンを終了させると、アモンが後ろに下がってカードをハラルドに渡す。

 

「大したことは無い。後は頼みましたよ」

「私は私で見極めることにしよう」

 

 カードを受け取ったハラルドは自分の決闘盤にカードを配置し、決闘場に立つ。

 

「”星界の三極神”、その力を見せてやろう! 私のターン!」

 

 ハラルド 手札:5→6

 

「チューナーモンスター《極星天ヴァナディース》を召喚!」

 

 ハラルドの場に鎌を腰に提げた女天使が現れる。

 

 極星天ヴァナディース 闇属性 天使族 レベル4 ATK:1200

 

「魔法カード《二重召喚(デュアルサモン)》! もう一度通常召喚を行う! 《極星霊リョースアールヴ》を召喚!」

 

 続けてハラルドの場に青い少年のような姿をした精霊が現れる。

 

 極星霊リョースアールヴ 光属性 魔法使い族 レベル4 ATK:1400

 

「リョースアールヴの効果発動! 召喚に成功した時、自分の場のモンスター1体を選択する。そして選択したモンスターのレベル以下の”極星”モンスター1体を手札から特殊召喚する! 選択するのはレベル4の《極星天ヴァナディース》! 手札からレベル2の《極星天ミーミル》を特殊召喚!」

 

 今度は杖を持った老天使が現れる。

 

 極星天ミーミル 闇属性 天使族 レベル2 ATK:600

 

「レベル2《極星天ミーミル》とレベル4《極星霊リョースアールヴ》にレベル4《極星天ヴァナディース》をチューニング!」

 

 ヴァナディースが自身を4つの光輪へと変化させると極星2体を囲み、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「北辰の空にありて全知全能を司る皇よ! 今こそ星界の神々を束ね、その威光を示せ! シンクロ召喚!」

 

 光の柱が消えると、ハラルド達の遥か後方に巨大な老人が現れ場を見下ろす。これこそが北欧に伝わる三神の一柱にして、それを統べる最高神――――

 

「天地神明を統べよ! 最高神《極神聖帝オーディン》!」

 

 最高神オーディンはマントを翻し、義眼ではない方の眼を薄く開け、手に持った槍を振り上げると同時に凄まじいプレッシャーで場を抑え付けた。

 

 極神聖帝オーディン 光属性 天使族 レベル10 ATK:4000

 

「こんなカードが存在するのか……!?」

『神のカード……神のカードだぁ……? そんなのな! 遊戯だって持ってんだよ! なあ遊戯!』

「確かにそうだが……俺の知っている神とは違うな。どんな力を持っているのか……」

『複数いるのか!? くそ! ……Playmaker! すまねぇが神のカードは徹底的な程の情報規制が布かれててな、詳しくは俺も調べられなかったんだ! そこらに転がってるのは眉唾の噂話ばっかだし……』

「俺の知っている神とは違うが、このプレッシャーは間違いなく本物の神だ。Playmaker、気を付けろ!」

「ああ!」

 

 Playmakerは神に対して臆さず、決闘盤を構えなおす。

 

「オーディンの効果発動! このカードはターン終了時まで魔法・罠の効果を受けない! 〈インフルエンス・オブ・ルーン〉!」

 

 オーディンが何かの呪文を唱えると、オーディンの体が魔力の膜に覆われる。

 

「バトルだ! オーディンでダイレクトアタック! 【ヘヴンズ・ジャッジメント】!」

 

 オーディンが手に持った槍を構えると、Playmakerに向かって槍先を振り下ろす。

 

『魔法・罠が効かないだぁ!? これじゃ伏せた罠で迎撃できないぞPlaymaker!』

 

 焦るAiに、Playmakerは既に防御の構えを見せている。神の一撃を受け切るつもりのようだ。

 

「神縛りの塚もある。もはや神に小細工は通用しない! 神罰を受けよ!」

 

 オーディンの槍先がPlaymakerの目の前の地面を抉る。その衝撃にPlaymakerは吹き飛ばされる。

 

「うわぁぁぁーーーー!?」

 

 Playmaker LP:5500→1500

 

『Playmakerーーーー!!!』

「Playmaker!!!」

 

 吹き飛ぶPlaymakerを遊戯が体を張って受ける。意外に筋肉質な体の遊戯だが体格に優れている訳ではない。支え切れずに共に後方へと倒れる。

 

「これで終わりか? 最後の瞬間まで、君達の力を見せてみろ! エクゾディオスで攻撃! 効果でデッキからモンスターを墓地へ送る!」

 

墓地へ送ったカード

デュナミス・ヴァルキリア(通常モンスター)

 

 究極封印神エクゾディオス ATK:6000→7000

 

『ウワァ!? さらに攻撃力が上がった!? Playmaker! 起きろ! 起きてくれ!』

 

 神の一撃はダメージ以上にPlaymakerへと響いた。先に立ち上がった遊戯に縋りついて何とか立ち上がろうと力を込める。

 

「頑張れPlaymaker!!! 君は神に負けやしない! 立つんだ! 立ってカードを取れ!」

 

 拳を振り上げるエクゾディオス。Playmakerは遊戯から手を放し、決闘盤に触れる。

 

「ト……罠カード《カウンター・ゲート》! 直接攻撃を無効にし、1枚ドロー!」

 

 Playmaker 手札:4→5

 

 Playmakerが罠を発動させると、エクゾディオスは動きを止めて沈黙する。神縛りの塚が防ぐのは効果対象と破壊のみ。オーディンの様に万能な耐性を持たないエクゾディオスの隙を突いてPlaymakerはこのターンを凌いで見せたのだ。

 

「引いたカードがモンスターだった場合、通常召喚できる……《サイバース・ガジェット》を召喚!」

 

 Playmakerの場にサイバース・ガジェットが現れる。

 

 サイバース・ガジェット 光属性 サイバース族 レベル4 ATK:1400

 

「サイバース・ガジェットの効果発動! 墓地からレベル2以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する! 来い《ビットロン》!」

 

 続けてPlaymakerの場にビットロンが現れる。

 

 ビットロン 地属性 サイバース族 レベル2 DEF:2000

 

「ほう……追い詰められても闘志を失わず、場を整えるか。面白い。永続魔法《強欲なカケラ》を発動。カードを伏せてターンエンド!」

 

ハラルド

LP:8000

手札:0

EXモンスター

②:極神聖帝オーディン ATK:4000

④:

メインモンスター

③究極封印神エクゾディオス ATK:7000

魔法・罠

③セット(ハラルド)

④強欲なカケラ

フィールド魔法

神縛りの塚

 

 Playmakerは痛む体を動かし、遊戯の前まで歩く。

 

『よく凌いだなPlaymaker!』

「すまない遊戯さん……神を倒すことができなかった……!」

 

 Aiの言葉に反応せず、悔しさを滲ませた表情でPlaymakerは遊戯にカードを差し出す。

 

「Playmaker、君が繋いでくれたこのチャンス、決して無駄にはしない! 俺に任せてくれ!」

 

 カードを受け取り、決闘盤に配置して遊戯は決闘場へと赴く。Aiはその背中を見送りながら緊張を解いたかのように息を付いた。

 

『この絶体絶命をチャンスと言いますか~……言うこと違うねぇ~』

「(遊戯さん……神を相手にどう出る気だ?)」

「俺のターン!」

 

 遊戯 手札:3→4

 

「魔法カード《デビルズ・サンクチュアリ》! 俺の場に《メタルデビル・トークン》1体を特殊召喚するぜ!」

 

 遊戯の場に液体金属の体を持つ悪魔が現れる。

 

 メタルデビル・トークン 闇属性 悪魔族 レベル1 ATK:0

 

「……Playmaker! モンスターを借りるぜ!」

「あ、ああ……だが何を――――!?」

 

 この瞬間、空気が震える。只ならぬ雰囲気とプレッシャー、これは先の神達が現れた時にもあったが、今回は少し違う。空間の感覚は同じ、だがそれと同等のプレッシャーが遊戯からも放たれているのである。

 

「(何だ? これは……遊戯さん?)」

『Playmaker! 遊戯が神を出すぞ!』

「何!?」

『詳しくは分かんなかったが、これだけは確かなんだ! 遊戯は”神のカード”を持っている!』

「神のカード……」

 

 やがて空が雲に覆われる。雷鳴が轟き、風が吹き荒れる。

 

「行くぜ! 《サイバース・ガジェット》! 《ビットロン》! 《メタルデビル・トークン》! 3体を生贄に捧げ、神を召喚する!」

 

 遊戯の場の3体のモンスターが光となって天に上り、雲を割って青い光が決闘場へと舞い降りる。

 

「現れよ! 《オベリスクの巨神兵》!!!」

 

 光の中から現れたのは禍々しく猛々しい青の巨神。それは全てを滅ぼす破壊の神。それは王国を守る守護の神。使役者次第で悪魔にも救世主にも変わる”力の権化”。これこそが古代エジプトに君臨する”三幻神”が一柱、”オベリスクの巨神兵”である。

 

 オベリスクの巨神兵 神属性 幻神獣族 レベル10 ATK:4000

 

『あ、あわわわ……これが遊戯の神か!? 一番おっかない顔してるぞ!』

「神のカード……ッ!? 遊戯さん! サイバース・ガジェットの効果を!」

 

 神の登場により気を取られていたPlaymakerは慌てて遊戯に自身のモンスターの能力を説明する。

 

「解ったぜ! サイバース・ガジェットの効果発動! 《ガジェット・トークン》1体を特殊召喚する!」

 

 遊戯の場にガジェット・トークンが現れるが、隣の神の存在感が凄まじく、今にも消し飛んでしまいそうに見えた。

 

 ガジェット・トークン 光属性 サイバース族 レベル1 DEF:0

 

「これがそちらの神か……だが攻撃力はオーディンと互角。こちらの神は2体。君が不利なのは変わりないと思うが?」

 

 ハラルドの言葉に遊戯は不敵に笑うのみ。

 オベリスクもレベル10モンスターであるので神縛りの塚の効果を受けられる。神同士での戦いで雌雄が決するには戦闘による破壊がもっとも近道であるのだが、ハラルドの場には攻撃力7000のエクゾディオスが存在する。破壊を得意とするオベリスクの能力を活かせぬ今の状況は、ハラルドの言う通り遊戯にとっては限りなく不利である。

 

「フン! 決闘の勝敗を決めるのは神じゃないぜ」

「何?」

「教えてやる、神との闘い方を! バトルだ! オベリスクでオーディンを攻撃! 【ゴッド・ハンド・クラッシャー】!!!」

 

 オベリスクは遠くにそびえ立つオーディンを討つため右拳を引く。オーディンはそれを制する為に槍をオベリスクに向かって突き出す。オベリスクは迫る槍に向かって拳を突き出し槍と撃ち合うと、槍に亀裂が走り、それはオーディンの体にまで達してオーディン本体を粉砕する。オベリスクは拳を下げた後、体中に亀裂が入りそのまま崩れ去ってしまった。

 

「オーディンと相打ちを狙ったか。だが残念ながらオーディンは不死身の神だ。このエンドフェイズ時に復活できる。君の神の負けだ」

「決闘をしているのは神じゃない。俺とお前だ! 俺の決闘が神を砕く! 行くぜ!」

 

 遊戯は伏せカードの一つを開く。

 

「罠カード《ファイナル・ギアス》! 元々のレベルが7以上のモンスターが自分と相手の場からそれぞれ1体以上墓地へ送られたターン、お互いの墓地のモンスターを全て除外する!」

「墓地のモンスター……しまった!? 墓地のオーディンが!?」

「墓地のモンスターを除外だと……!?」

 

 ハラルドとアモンは遊戯の逆転の一手に驚愕する。ハラルドは自らの神を除去されたことに驚くが、アモンは別の結果に驚いていた。

 

「墓地のモンスターがいなくなれば、エクゾディオスの攻撃力が……!?」

 

 究極封印神エクゾディオス ATK:7000→0

 

「ファイナル・ギアスの更なる効果! 除外したカードの中でレベルが一番高い魔法使い族を自分の場に特殊召喚する! 現れよ我が最強の僕! 《ブラック・マジシャン》!」

 

 神が激突した跡地に魔法陣が現れ、そこからブラック・マジシャンが飛び出す。

 

 ブラック・マジシャン 闇属性 魔法使い族 レベル7 ATK:2500

 

「今はまだバトルフェイズの最中! ブラック・マジシャンは攻撃が可能だ! エクゾディオスを攻撃! 【ブラック・マジック】!」

 

 ブラック・マジシャンが杖から黒い波動を放ち、エクゾディオスを粉砕する。

 

「ぐうう!? ……エクゾディオスは場から離れた場合、除外される」

 

 ハラルド LP:8000→5500

 

「ターンエンドだ!」

 

遊戯

LP:1500

手札:2

EXモンスター

②:

④:

メインモンスター

②ガジェット・トークン DEF:0

③ブラック・マジシャン ATK:2500

魔法・罠

②セット(遊戯)

③セット(Playmaker)

 

『すげぇ……逆転しちまいやがった』

「これが”決闘王”の実力か……」

 

 遊戯の見事な逆転劇に感嘆するPlaymaker達。ハラルドは後方に下がり、アモンにカードを渡す。

 

「まさか2体の神を同時に葬られるなどと、”ルーンの瞳”を持ってしても見通せなかった」

「こちらの方は甘く見ない方がいいのかもしれませんね。カードを使わせてもらいますよ」

 

 アモンはハラルドからカードを受け取り、配置して決闘場に立つ。

 

「僕のターン」

 

 アモン 手札:0→1

 

「強欲なカケラの効果発動。強欲カウンターを1つ乗せる」

 

 強欲なカケラ 強欲カウンター:0→1

 

「カードを伏せ、伏せてある魔法カード《命削りの宝札》を発動。このターン特殊召喚を行わない代わりに、手札が3枚になるようにドローする」

 

 アモン 手札:0→3

 

「《終焉の精霊(ジ・エンド・スピリッツ)》を召喚!」

 

 アモンの場に邪悪な気を放つ悪魔の精霊が現れる。

 

 終焉の精霊 闇属性 悪魔族 レベル4 ATK:?

 

「このカードの攻守は除外されている闇属性の数によって決まる。1体につき300ポイント加算される」

 

除外されている闇属性

バフォメット

マッド・リローダー

封印されし者の右腕

クリボー

クロック・スパルトイ

リンクリボー

フリック・クラウン

デュアル・アセンブルム

サイバース・クロック・ドラゴン

封印されし者の右足

封印されし者の左腕

封印されし者の左足

極星天ヴァナディース

極星天ミーミル

究極封印神エクゾディオス

 

計15体

 

 終焉の精霊 ATK:?→4500

 

「だが命削りの宝札を発動したターン、相手へのダメージは0となるぜ。幾ら攻撃力が高くても俺にダメージは与えらえれない」

「十分だよ。終焉の精霊に装備魔法《モルトシュラーク》を装備し、ブラック・マジシャンを攻撃!」

 

 終焉の精霊は体から黒い霧を噴出すると、ブラック・マジシャンを霧で包み込む。霧に包まれたブラック・マジシャンは苦しみだし、そのまま消滅してしまった。

 

「ブラック・マジシャン!?」

「退けたとはいえ、神の脅威は君達に焼き付いている。神レベルの攻撃力のモンスターが現れたことで受けるプレッシャーは相当なものだ。特に……後ろの彼はね」

 

 アモンが遊戯の後ろのPlaymakerを見やる。Playmakerは神の一撃を直接受けたばかりであり、痛みに対する恐怖は焼き付いているはず。だが、Playmakerは臆した様子は見せずにアモンを睨み返していた。

 

「Playmakerを侮るなよ。彼は決して恐怖に屈したりはしない!」

「フッ……カードを伏せてターンエンド」

 

アモン

LP:5500

手札:0

EXモンスター

②:

④:

メインモンスター

③終焉の精霊 ATK:4500

魔法・罠

②モルトシュラーク 装備:終焉の精霊

③セット(アモン)

④強欲なカケラ 強欲カウンター:1

⑤セット(アモン)

フィールド魔法

神縛りの塚

 

 遊戯は後方に下がり、Playmakerにカードを差し出す。

 

「神を倒されても、奴らの闘志は消えてないようだ。君もそうだな?」

「ああ!」

「よし! 任せたぜ!」

 

 Playmakerは遊戯からカードを受け取り、配置して前に出る。

 

『挽回と行こうぜPlaymaker!』

「俺のターン!」

 

 Playmaker 手札:4→5

 

「《リンク・ストリーマー》を召喚!」

 

 Playmakerの場に鳥のような姿をした人工衛星が現れる。

 

 リンク・ストリーマー 光属性 サイバース族 レベル4 ATK:1600

 

「永続魔法《サイバネット・オプティマイズ》発動! もう一度サイバース族を召喚する! 《フレイム・バッファロー》を召喚! 更にリンク・ストリーマーの効果発動! サイバース族の召喚・特殊召喚に成功した時、《データトークン》1体を特殊召喚する!」

 

 続けてフレイム・バッファローが現れる。この瞬間、リンク・ストリーマーが機体から小さなロボットを放出する。

 

 フレイム・バッファロー 炎属性 サイバース族 レベル3 ATK:1400

 データトークン 光属性 サイバース族 レベル1 DEF:0

 

「現れろ未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”モンスター3体”! 《ガジェット・トークン》、《データトークン》、《フレイム・バッファロー》をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”右、左、左下”に位置するリンクマーカーにサイバース達が光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろLINK-3《パワーコード・トーカー》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中から現れたのはサイバースの赤い闘士パワーコード・トーカー。雄叫びを上げ、拳を敵に向けて突き出す。

 

 パワーコード・トーカー 炎属性 サイバース族 LINK-3(右、左、左下) ATK:2300

 パワーコード・トーカーリンク先:リンク・ストリーマー(左下)

 

「フレイム・バッファローの効果発動! このカードが場から離れた場合、手札のサイバース族1体を捨て、2枚ドローする!」

 

 Playmaker 手札:2→1→3

 

「捨てたカードは《ドットスケーパー》! 墓地に送られた場合、特殊召喚できる!」

 

 続けてドットスケーパーが場に現れる。

 

 ドットスケーパー 地属性 サイバース族 レベル1 DEF:2100

 

「パワーコード・トーカーの効果発動! 終焉の精霊の効果を無効にする! 〈ワイヤー・リストラクション〉!」

「残念だがモルトシュラークを装備したモンスターは特殊召喚された相手モンスターが発動した効果を受けない」

 

 パワーコード・トーカーが左腕にアンカーを装着して終焉の精霊に向かって射出するが、終焉の精霊は姿を自在に変形させてアンカーを避けてしまう。

 

「終焉の精霊の効果を無効にすれば攻撃力は0となる。それで戦闘による破壊を狙ったのだろうが、甘かったな」

「ならば……再び現れよ、未来を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は”効果モンスター2体以上”! 《パワーコード・トーカー》、《ドットスケーパー》、そして手札の《コード・エクスポーター》をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”上、右、下”に位置するリンクマーカーに手札と場のサイバース達が光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! 現れろLINK-3《トランスコード・トーカー》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中から現れたのはサイバースの黄土の銃士パワーコード・トーカー。唸り声を上げ、敵に対して構える。

 

 トランスコード・トーカー 地属性 サイバース族 LINK-3(上、右、下) ATK:2300

 

「素材としたコード・エクスポーターはサイバース族のみで”コード・トーカー”をリンク召喚する場合、手札からこのカードを素材にできる。そして手札から素材となった場合、墓地のレベル4以下のサイバース族1体を手札に加える! 《フレイム・バッファロー》を手札に!」

 

 Playmaker 手札:2→3

 

「トランスコード・トーカーの効果発動! LINK-3以下のサイバース族リンクモンスター1体をこのカードのリンク先に特殊召喚する! 戻れ《パワーコード・トーカー》!」

 

 トランスコード・トーカーの背後にパワーコード・トーカーが現れ、再びアンカーを構える。

 

 パワーコード・トーカー 炎属性 サイバース族 LINK-3(右、左、左下) ATK:2300

 パワーコード・トーカーリンク先:リンク・ストリーマー(左)

 トランスコード・トーカーリンク先:パワーコード・トーカー(下)

 

「モンスターを増やしたか。だがそれでどうなると――――」

「バトルだ! パワーコード・トーカーで終焉の精霊を攻撃!」

「何!?」

 

 パワーコード・トーカーはアンカーを素早く引き戻すと、終焉の精霊に向かって突進する。

 

「効果の無効化に失敗したのに攻撃してくるのか!?」

「パワーコード・トーカーの更なる効果発動! リンク先のモンスター1体をリリースし、ダメージ計算時のみ攻撃力を元々の攻撃力の倍の数値にする! リンク先の《リンク・ストリーマー》をリリース!」

 

 リンク・ストリーマーが消滅すると、パワーコード・トーカーの拳が炎を纏う。

 

 パワーコード・トーカー ATK:2300→4600

 

「神の領域に踏み込んでくるか……!」

『そいつに効果つかわなけりゃいいんだろ! やれーパワーコード・トーカー!』

「罠カード――――何!?」

 

 アモンが伏せカードを発動させようとするが、開きかけたカードに電流が走り、再び場に伏せられてしまう。

 

「サイバネット・オプティマイズが場に存在する限り、”コード・トーカー”モンスターが戦闘を行うダメージステップ終了時までカード効果を発動できない! 【パワーターミネーションスマッシュ】!」

 

 パワーコード・トーカーは逃げようとする終焉の精霊を追い、右拳でその体を貫く。貫かれた終焉の精霊はそのまま爆発して消滅した。

 

「くっ……!」

 

 アモン LP:5500→5400

 

『終焉の精霊、爆殺! ってか? 唸る拳は神をも砕く! 覚えて置きやがれ!』

「トランスコード・トーカーでダイレクトアタック! 【トランスコード・フィニッシュ】!」

 

 トランスコード・トーカーが背中のパーツを変形させて銃へと変えると、アモンに向けて射撃する。

 

「ぐうっ!? ……今のは神ではないが、どうやら君達の評価を改めなければならないようだな。破壊され墓地へ送られた終焉の精霊の効果により、除外されている闇属性を全て墓地に戻す」

 

 アモン LP:5400→3100

 

「カードを伏せ、ターンエンド!」

 

Playmaker

LP:1500

手札:2

EXモンスター

②:

④:トランスコード・トーカー ATK:2300 リンク先:パワーコード・トーカー(下)

メインモンスター

④パワーコード・トーカー ATK:4600→2300 

魔法・罠

①セット(Playmaker)

②セット(遊戯)

③セット(Playmaker)

④サイバネット・オプティマイズ

 

 アモンは後方へと下がり、ハラルドにカードを手渡す。

 

「戦意を挫いてやろうと思ったが、逆に勢いづかせてしまった」

「心配ない。こちらにはまだ神がいるのだからな」

 

 ハラルドは受け取ったカードを配置すると、決闘場へと赴く。

 

「その闘志は見事、だが神の脅威は続くぞ! 私のターン!」

 

 ハラルド 手札:0→1

 

「強欲なカケラの効果により強欲カウンターを1つ乗せる。そして強欲カウンターが2つ乗ったこのカードを墓地へ送り、2枚ドローする」

 

 ハラルド 手札:1→3

 

「アモンが伏せた罠カード《強欲な瓶》を発動。カードを1枚ドローする」

 

 ハラルド 手札:3→4

 

「魔法カード《ハーピィの羽根帚》を発動! 相手の場の魔法・罠を全て破壊する!」

「ならばこちらも伏せカードを2枚発動! 速攻魔法《非常食》! そして罠カード《リコーデッド・アライブ》! リコーデッド・アライブの効果により場のLINK-3サイバース族リンクモンスター《パワーコード・トーカー》を除外し、EXデッキから《エンコード・トーカー》を特殊召喚!」

 

 Playmakerの場にアローヘッドのゲートが現れて開き、パワーコード・トーカーがその中へと飛び込む。そして入れ替わりでサイバースの白い騎士、エンコード・トーカーがゲートから飛び出す。

 

 エンコード・トーカー 光属性 サイバース族 LINK-3(上、下、右下) ATK:2300

 相互リンク:エンコード・トーカー(上)↔トランスコード・トーカー(下)

 

「そして非常食の効果により、俺の場のこのカードを除く全ての魔法・罠を墓地へ送り、1枚につき1000ポイントLPを回復する!」

 

墓地に送ったカード

サイバネット・オプティマイズ

リコーデッド・アライブ

マジシャンズ・ナビゲート

 

 Playmaker LP:1500→4500

 

 Playmaker側の処理が全て終了した瞬間、突風が吹き荒れ、非常食のカードを吹き飛ばす。

 

「トランスコード・トーカーのモンスター効果! 相互リンク状態の場合、このカードと相互リンク先のモンスターは攻撃力が500アップし、効果対象にならない!」

 

 エンコード・トーカー ATK:2300→2800

 トランスコード・トーカー ATK:2300→2800

 

「一瞬で場を固めるとはな……ならば《レスキューキャット》を召喚!」

 

 ハラルドの場に工事用ヘルメットを被った可愛らしい猫が現れる。

 

 レスキューキャット 地属性 獣族 レベル4 ATK:300

 

「レスキューキャットの効果発動! このカードを墓地へ送り、デッキからレベル3以下の獣族2体の効果を無効にして特殊召喚する! デッキからレベル3の《極星獣タングリスニ》、《極星獣タングニョースト》を特殊召喚!」

 

 レスキューキャットが消滅すると、ハラルドの場に二頭の山羊が現れる。白山羊がタングリスニ、黒山羊がタングニョーストである。

 

 極星獣タングリスニ 地属性 獣族 レベル3 ATK:1200

 極星獣タングニョースト 地属性 獣族 レベル3 ATK:800

 

「星界への扉よ、開け! アローヘッド確認! 召喚条件は”レベル5以下の極星1体”! 《極星獣タングリスニ》をリンクマーカーにセット!」

 

 現れたアローヘッドの”左下”に位置するリンクマーカーにタングリスニが光の風となって飛び込む。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚! 星界より現れろLINK-1《極星天グルヴェイグ》!」

 

 リンクマーカーが点灯し、アローヘッドのゲートが開く。中から現れたのは槍を手に持った女天使。黄金の翼を広げ場に降り立つ。

 

 極星天グルヴェイグ 光属性 天使族 LINK-1(左下)ATK:800

 

「グルヴェイグの効果発動! リンク召喚に成功した場合、自分の手札・場からカードを3枚まで選んで除外し、その数だけデッキから”極星”モンスターを守備表示で特殊召喚する! 手札から《極星霊アルヴィース》を除外し、デッキから《極星霊スヴァルトアールヴ》を特殊召喚!」

 

 続けてハラルドの場に邪悪な笑みを浮かべる紫色の精霊が現れる。

 

 極星霊スヴァルトアールヴ 闇属性 魔法使い族 レベル2 DEF:500

 

「ここで除外した《極星霊アルヴィース》の効果発動! ”極星”リンクモンスターの効果でこのカードのみが除外された場合、レベル合計が10になるように”極星”モンスターを自分の場から1体、デッキから2体墓地へ送る! 場からレベル3《極星獣タングニョースト》を、デッキからレベル4《極星獣グルファクシ》とレベル3《極星獣タングリスニ》を墓地へ!」

 

 ハラルドの極星獣達が光となって後方の森の中へと飛び立つ。

 

「その後、EXデッキから三極神の1体を特殊召喚する! ……星界の扉が開くとき、古の戦神がその魔鎚を振り上げん! 大地を揺るがし轟く雷鳴とともに現れよ! 《極神皇トール》!」

 

 ハラルドの後方の森の大地が裂け、その中から巨大な戦神が雷を背に轟かせながら浮上する。猛々しい肉体にマントを羽織り、巨大な戦槌を軽々と掲げる。これこそが”星界の三極神”の一柱、極神皇トールである。

 

 極神皇トール 地属性 獣戦士族 レベル10 ATK:3500

 極星天グルヴェイグリンク先:極神皇トール(左下)

 

『ギャァーまた神かよ!? そんなホイホイ出てくるもんじゃねぇだろうが!』

「それを成すのが”ルーンの瞳”に選ばれし者だ! 魔法カード《貪欲な壺》! 墓地からモンスター5体をデッキに戻してシャッフル! そして2枚ドローする!」

 

戻したカード

極星獣タングリスニ

極星獣タングリスニ

極星獣グルファクシ

極星獣タングニョースト

レスキューキャット

 

 ハラルド 手札:0→2

 

「極星霊スヴァルトアールヴをシンクロ素材とする場合、他の素材は手札の極星2体でなければならない! 手札のレベル4《極星獣ガルム》と、レベル4《極星將テュール》に、レベル2《極星霊スヴァルトアールヴ》をチューニング!」

 

 ハラルドの手札から赤い狼と隻腕の戦士が飛び出すと、スヴァルトアールヴが自身を2つの光輪へと変え、2体を囲み、8つの光、そして光の柱へと変える。

 

「星界より生まれし気まぐれなる神よ! 絶対の力を我らに示し世界を笑え! シンクロ召喚!」

 

 光の柱から現れたのは巨大な魔法使い。立派な黒ひげをいじりながら浮かべる笑みは非常に嫌らしく、空中に浮かびながら下界を見下ろす。これこそが”星界の三極神”の一柱――――

 

「光臨せよ! 《極神皇ロキ》!」

 

 極神皇ロキ 闇属性 魔法使い レベル10 ATK:3300

 トランスコード・トーカーリンク先:極神皇ロキ(上)

 

『……成すとかトマトだか抜かしてやがったから、もう驚いてやらねぇぞ! まとめて掛かってこいやぁ!』

 

 Aiは大口をたたいて挑発するが、強がりではない。Playmakerの布陣ならば神を防げるという確信があった。

 

『(攻撃するとしたら間違いなくトランスコード・トーカー! それならエンコード・トーカーで攻撃を1度防げる!)』

 

 トランスコード・トーカーは強化能力と蘇生能力を持つ。間違いなくハラルドは狙ってくるだろうというのがAiの読みである。そうなればエンコード・トーカーの能力で攻撃を1度防げ、被害を大幅に軽減できる。更にエンコード・トーカーの追加効果でトランスコード・トーカーを強化すれば、戦術の要であるトランスコード・トーカーを場に残せるのである。

 

『(神に備えたPlaymakerの布陣! 二体はちと予想外だが、トランスコード・トーカーとこれだけのLPを残せれば、後は遊戯が何とかしてくれるはずだ!)』

「極神皇トールの効果発動! 相手の場の表側表示モンスターの効果を無効にする! 〈エフェクトアブソーバー〉!」

 

 トールが雷の如き怒号を発すると、コード・トーカー達に雷が落下する。コード・トーカー達は地に膝を付き、立ち上がれないでいる。

 

 エンコード・トーカー ATK:2800→2300

 トランスコード・トーカー ATK:2800→2300

 

「何!?」

『本当に何でもありかよチクショウ!』

「バトル! 極神皇トールでトランスコード・トーカーを攻撃! 【サンダーパイル】!」

 

 トールが戦槌を振り下ろし、トランスコード・トーカーを叩き潰す。

 

「手札から《レスキュー・インターレーサー》の効果発動! サイバース族が攻撃されたダメージ計算時、このカードを手札から捨てることでダメージを0にする!」

「ならば神縛りの塚のダメージを受けるがいい!」

「うわぁぁぁ!?」

 

 Playmaker LP:4500→3500

 

「続いて極神皇ロキ! 【ヴァニティバレット】!」

 

 ロキが銃を構えるように右手の人差し指と親指を立てると、指先からダークエネルギーの銃弾を放ち、エンコード・トーカーを消し飛ばす。

 

「ぐうう!?」

『Playmaker!?』

 

 Playmaker LP:3500→2500→1500

 

 堪らず膝を付くPlaymaker。だが闘志は尽きておらず、神を見上げて睨みつける。

 

「神の前に半端な布陣は通用しない! グルヴェイグでダイレクトアタック!」

 

 最後にグルヴェイグが槍を投擲し、Playmakerを攻撃する。

 

「ううっ!?」

『あわわわわ……ここまでやられちまうなんて!?』

 

 Playmaker LP:1500→700

 

「ターンエンド!」

「くっ……エンドフェイズ時、自身の効果で墓地へ送られた《レスキュー・インターレーサー》を特殊召喚!」

 

 Playmakerの場にレスキュー・インターレーサーが現れ、Playmakerを守るように神々の前に立つ。

 

 レスキュー・インターレーサー 光属性 サイバース族 レベル3 ATK:1000

 

ハラルド

LP:3100

手札:0

EXモンスター

②:極星天グルヴェイグ ATK:800

④:

メインモンスター

①極神皇トール

④極神皇ロキ

魔法・罠

③セット(アモン)

フィールド魔法

神縛りの塚

 

 Playmakerは後方へと下がり、遊戯にカードを手渡す。

 

「俺では……神に勝つことが出来ないッ……!」

『Playmaker ……』

 

 遊戯はカードを受け取って決闘盤に配置すると悔し気に項垂れるPlaymakerの横を通り過ぎ、決闘場の前で立ち止まる。

 

「Playmaker、Ai、神は大きく、そして重いな」

『え? そりゃみりゃ解るけど……』

「偉そうにこっちを見下ろしているが、案外足元は見えてなかったりするんだ」

『え? どゆこと?』

「灯台下暗し……奴らが大袈裟に言う”神の威光”なんてそんなものだぜ?」

「遊戯さん、何を……?」

「まあ見てろよ。あいつ等の足元、すくってこかしてくるぜ!」

 

 遊戯は決闘場に立ち、デッキからカードを引き抜いた。

 

「俺のターン!」

 

 遊戯 手札:2→3

 

「デッキからレベル6以上の魔法使い族1体を墓地へ送り、手札の《マジシャンズ・ソウルズ》の効果発動! このカードを墓地に送り、墓地から《ブラック・マジシャン》を特殊召喚する!」

 

墓地へ送ったカード

ブラック・マジシャン・ガール

 

 遊戯の場にブラック・マジシャンが舞い戻り、神に対して杖を構える。

 

 ブラック・マジシャン 闇属性 魔法使い族 レベル7 ATK:2500

 

「魔法カード《終わりの始まり》を発動! 自分の墓地に闇属性が7体以上存在する場合、その内の5体を除外することでカードを3枚ドローする!」

 

除外したカード

バフォメット

クリボー

クロック・スパルトイ

マジシャンズ・ソウルズ

ブラック・マジシャン・ガール

 

 遊戯 手札:1→4

 

「……これでカードは揃った! ブラック・マジシャンが場に存在する時、墓地の《マジシャンズ・ナビゲート》の効果を発動できる! このカードを除外し、相手の場に表側表示で存在する魔法・罠カード1枚の効果をターン終了時まで無効にする! 《神縛りの塚》の効果を無効にする!」

 

 ブラック・マジシャンが杖でハラルドの場を指し示すと、神を守っていたフィールドの力が失われる。

 

「何!?」

「これで神を守る力は消えたぜ! カードを3枚伏せ、《疾風の暗黒騎士ガイア》を召喚!」

 

 遊戯の場に駿馬に跨った騎士が現れ、両手の馬上槍を構えて神と対峙する。

 

 疾風の暗黒騎士ガイア 闇属性 戦士族 レベル7 ATK:2300

 

「このカードは手札がこのカード1枚の場合、生贄……いや、この世界ではリリースだったな、リリース無しで召喚できる。そして――――」

 

 遊戯は疾風の暗黒騎士ガイアを召喚すると、1枚のカードを取り出す。PlaymakerやAiにとっては馴染み深い青いカード――――

 

「あれは……リンクモンスター!?」

『遊戯の奴、リンク召喚を知らないんじゃなかったのか!? なんでリンクモンスターを持ってんだ?』

「意味不明のカード……ハノイを倒した後にダンジョンの中で見つけた時、そう思った。だが今なら解る! Playmakerやハラルドの決闘が、俺の決闘を進化させた! 行くぜ!」

 

 遊戯が空中を指さすと、その先にアローヘッドが現れる。アローヘッドの中心には古代エジプトに伝わる”ウジャト眼”のマークが浮かび上がっていた。

 

「闇の扉が開かれた! 召喚条件は”カード名の異なるモンスター3体”! 《ブラック・マジシャン》、《疾風の暗黒騎士ガイア》、《レスキュー・インターレーサー》の3体をリンクマーカーにセット!」

 

 ブラック・マジシャン黒い光、レスキュー・インターレーサーが白い光となって”左下、右下”のリンクマーカーに飛び込むと、アローヘッドのゲートが開き、その中にガイアが飛び込んでゲートの先の”混沌とした世界”へと駆け出す。

 

「一つの魂は光を誘い、一つの魂は闇を導く! やがて光と闇の魂は混沌の回路(カオス・サーキット)を創り出す! サーキット・コンバイン!」

 

 ガイアはひたすらサーキットを走り続ける。神を倒すため、力を得るため、限界を超えるため――――

 

「疾走れ暗黒騎士ガイア! カオス・サーキットを駆け抜けろ! そして超戦士の力を得よ!」

 

 吹き付ける光と闇の風の中、ガイアは姿を変える。ゲートの”上”に位置するリンクマーカーが点灯した瞬間、ガイアだったものが混沌の中から飛び出した。

 

「リンク召喚! 現れよLINK-3――――」

 

 アローヘッドのゲートが開き、中から一人の戦士が飛び出す。金の装飾が施された青い鎧を身に纏い、着地と同時に青く長い髪を舞わせ、剣と盾を構える。これこそが遊戯の新たなる力――――

 

「《混沌の戦士 カオス・ソルジャー》!!!」

 

 混沌の戦士 カオス・ソルジャー 地属性 戦士族 LINK-3(上、右下、左下) ATK:3000

 混沌の戦士 カオス・ソルジャーリンク先:極神皇ロキ(上)

 

「カオス・ソルジャー……伝説に名を遺す”神殺し”の戦士……!?」

「伏せた魔法カード《一騎加勢》を発動! モンスター1体の攻撃力を1500アップする! バトルだ!」

 

 混沌の戦士 カオス・ソルジャー ATK:3000→4500

 

「グルヴェイグは三極神とリンク状態の場合、攻撃対象にならない!」

「混沌の戦士でトールを攻撃! 【カオス・ブレード】!」

 

 混沌の戦士が剣を素早く、そして鋭く振り抜くと光の斬撃が剣から放たれる。斬撃はトールの体を空間ごと横一文字に切り裂き、真っ二つになって消滅する。

 

「ぐうう!? トールが……!」

 

 ハラルド LP:3100→2100

 

「混沌の戦士の効果発動! 戦闘で相手を破壊した時、場のカード1枚を除外できる! ロキを除外するぜ! 〈時空裂破・カオスディメンジョンゲート〉!」

 

 混沌の戦士が剣を掲げると、トールごと切り裂かれた空間が大きく開かれ、ロキを吸い込んで混沌の果てへと追放する。

 

「なんてことだ……神縛りの塚を封じたのはこのためか……!?」

 

 想像もしなかった結果に驚愕するハラルド。Aiも同様だが、同時に首も傾げていた。

 

『すげぇ……あれ? でもロキを攻撃してトールを除外した方がダメージ多くね?』

「あれでいい。最初のオーディンは蘇生能力があるとハラルドは言っていた。ならば同じ神に属するあの2体も同じ能力を持っていたとしても不思議ではない。ロキを除外するべきだ」

『いや、ならトールだって蘇生能力持ってるかもだろ? その点はロキと同じだろ?』

「トールには”召喚制限”が掛かっている」

『あ、そうか!』

 

 ロキはシンクロ召喚による”正規召喚”によって呼び出されているが、トールはカード効果でEXデッキから直接場へ呼び出されている。正規召喚されていない特殊召喚モンスターには召喚制限が掛かり、いかなる場合でも蘇生を行うことが出来なくなるのだ。

 

「神と言えど、デュエルモンスターズのルールから逃れることはできない。遊戯さんはそこまで計算して戦術を組み立てたんだ」

『ほへ~……』

 

 AIの癖にそこまで計算できていなかったAiは感心したように頷いた。

 再び神を打ち破られたハラルド。三極神を全て失い、既に目から闘争心が失われていた。

 

「三極神が敗れるとは……神同士の戦いならまだしも、君は神を使わずに神を打ち破って見せた。君は一体何者だ?」

「決闘者さ」

「馬鹿な。ただの決闘者にこんな芸当ができるわけがない」

「ハラルド、神は確かに強い。大きく、重く、決闘者を圧倒する存在だ。俺は何度も闘ってきたが、その度に圧し潰されそうになった。さっきのPlaymakerのように、膝を折ったこともある。だが――――」

 

 遊戯は一瞬だけPlaymakerを見やる。この言葉はハラルドだけでなく自分にも向けられている。そう悟ったPlaymakerは身構える。

 

「俺は諦めなかった! 諦めずに考えた! 神を破る方法を……俺のデッキを信じ、誇り(プライド)を掛けて闘い抜いた! そして今、俺はここにいる」

 

 遊戯は首の千年パズルに触れて目を閉じる。五首の竜神、三幻神、ドーマの邪神――――辛く厳しい戦いばかりであった。だからこそ確信できる。神は決して倒せぬ相手ではないと。

 

「覚えておきな! 神は強い。だが無敵のモンスターではない! カードを信じ、己の誇りを見失わない”熱き決闘者の魂”があれば打ち破ることができる! ターンエンドだ!」

 

遊戯

LP:700

手札:0

EXモンスター

②:(極星天グルヴェイグ ATK:800)

④:混沌の戦士 カオス・ソルジャー ATK:4500→3000

メインモンスター

魔法・罠

②セット(遊戯)

③セット(遊戯)

 

 ハラルドは後方へと下がり、アモンにカードを手渡す。

 

「三極神が敗れた今、私はここまでのようだ。奴らの力は本物だ。心して掛かれ」

「神を除外されて失う……同じ手に掛かり戦意を失うとは、貴方には失望しましたよ」

 

 ハラルドを冷たく突き放し、アモンはカードを決闘盤に配置する。

 

「僕は屈したりはしない……悪魔に魂を売ってでも、勝利を手にする! 僕のターン!」

 

 アモン 手札:0→1

 

「魔法カード《闇の量産工場》を発動。墓地から通常モンスター2体を手札に加える。《封印されし者の右腕》と《封印されし者の左腕》を手札に」

 

 アモン 手札:0→2

 

「罠カード《凡人の施し》を発動。2枚ドローし、手札から通常モンスター1体を除外する」

 

 アモン 手札:2→4→3

 

除外したカード

封印されし者の左腕

 

『あれ? あの罠カード、さっきあいつが俺達の攻撃の時に発動しようとしてたやつだぜ? なんで攻撃の時にあんな手札増強カードなんて発動しようとしたんだ?』

「おそらく、闇属性通常モンスターを引き当てて除外し、終焉の精霊の攻撃力を上げて迎撃しようとしたんだろう。……確実な方法とは言えないが、奴ならやりかねないな」

『確かに……』

 

「魔法カード《終わりの始まり》を発動。墓地に闇属性が7枚以上存在する場合、その内5体を除外し、3枚ドローする」

 

除外したカード

究極封印神エクゾディオス

終焉の精霊

極星霊スヴァルトアールヴ

極星天ヴァナディース

極星天ミーミル

 

 アモン 手札:2→5

 

「魔法カード《闇の誘惑》を発動。2枚ドローし、手札から闇属性《封印されし者の右腕》を除外する」

 

 アモン 手札:4→6→5

 

『くっそーまたドローしまくりやがって!』

「エクゾディアデッキならば当然だろう。……そのエクゾディアが揃うことはもうないだろうがな」

『自分で除外しちまってるからな。……じゃああいつは何を引こうとしてんだ?』

 

「魔法カード《カード・アドバンス》を発動。デッキトップを5枚まで確認し、好きな順番で元に戻す。このターン、僕は通常召喚に加えてアドバンス召喚を行える」

 

 アモンはデッキトップ5枚を確認すると、順番を入れ替えてデッキに戻す。

 

「魔法カード《モンスターゲート》を発動。モンスター1体をリリースし、通常召喚が可能なモンスターが出るまでデッキトップをめくる。そのモンスターをめくった時、場に特殊召喚する。《極星天グルヴェイグ》をリリース!」

 

 グルヴェイグが消滅すると、アモンはデッキトップのカードをめくり、そのカードを場に出す。

 

「《雲魔物(クラウディアン)-ニンバスマン》を特殊召喚!」

 

 アモンの場に大きな雲が現れると、人の形となって場に降り立つ。

 

 雲魔物-ニンバスマン 水属性 天使族 レベル5 ATK:1000

 

「モンスターをセット、カードを伏せ、魔法カード《太陽の書》を発動。セットモンスターを攻撃表示に変更する。セットモンスター《メタモルポット》を攻撃表示に、そしてリバース効果発動。お互いに手札を全て捨て、カードを5枚ドローする」

 

 メタモルポット 地属性 岩石族 レベル2 ATK:700

 

 アモン 手札:0→5

 遊戯 手札:0→5

 

「メタモルポットをリリース。2体目の《雲魔物-ニンバスマン》をアドバンス召喚」

 

 メタモルポットが光の中へと消えると、ニンバスマンが光の中から現れて場に並ぶ。

 

 雲魔物-ニンバスマン 水属性 天使族 レベル5 ATK:1000

 

「(何を出してくるかと思えば、攻撃力1000の上級モンスターが2体。大量のカードを消費してまで並べる必要があるカードとは思えない。レベルはどちらも5だが……何か意味があるのか?)」

『遊戯気を付けろ! ”エクシーズ召喚”が来るぞ!』

「エクシーズ召喚?」

「レベル5の《雲魔物-ニンバスマン》2体でオーバーレイ!」

 

 アモンの場に金色の渦が現れると、ニンバスマン2体が青い光となって飛び立ち、渦の中へと吸い込まれる。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 渦から金色の閃光が放たれると、中から青と金色の鎧を纏った巨大な海神が現れる。腰の右裾に”73”の数字を浮かべ、翼のようなマントを広げ、手に持った鉾を地に突いて構える。

 

「カオスに落ちたる聖なる滴よ! その力を示し、混沌を浄化せよ! ランク5《No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ》!」

 

  No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ 水属性 戦士族 ランク5 ATK:2400 ORU:2

 

「エクシーズ召喚……俺の知らない召喚法は一体幾つあるんだ?」

『呑気なこと言ってる場合じゃねぇぞ! しかも”No.”だ! こいつも持ってたのか!?』

「まだ終わりではない! 《RUM-バリアンズ・フォース》! Xモンスターを1つ上のランクにランクアップさせ、カオス化する! 《No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ》でオーバーレイ・ネットワークを再構築!」

 

 アビス・スプラッシュがアモンの場の上空に現れた混沌の渦へと吸い込まれると、渦の中で爆発が起こり、中から姿を変えた海神が飛び出す。

 

「カオス・エクシーズ・チェンジ! 渦巻く混沌の水流を突き破り、今、かの地へ浮上せよ! ランク6《CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ》!」

 

 その姿は全体的に禍々しく変わっており、青と金の鎧は紫と白に変色し、赤い結晶が体に張り付いている。ORUは結晶化しており、”CORU(カオスオーバーレイユニット)”として足元に並ぶ。

 

  CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ 水属性 戦士族 ランク6 ATK:3000 CORU:3

 

「カオス化だと……!?」

「光と闇を越え、神をも越える。貴方の専売特許ではないんですよ。バトル! アビス・スープラで混沌の戦士を攻撃!」

 

 アビス・スープラは鉾を構え、混沌の戦士に向かって突き出す。

 

「攻撃力は互角! 相打ちにする気か?」

「終わりにするつもりですよ……貴様を葬ってな! アビス・スープラの効果発動! CORUを1つ取り除くことで相手の攻撃力を自軍のモンスターに加える! これでアビス・スープラの攻撃力は混沌の戦士の倍となる!」

 

 CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ  CORU:3→2

 

 アビス・スープラは足元のCORUを一つ吸収すると、体から光を放つ。

 

「成程、それがお前の切り札ってわけだな。だが甘いぜ! カウンター罠《真剣勝負》! ダメージステップに発動したカード効果を無効にして破壊する!」

 

 遊戯の罠から放たれた光が、アビス・スープラの光を打ち消す。

 

「だがアビス・スープラはアビス・スプラッシュをCORUとしている場合、効果で破壊されない!」

「ならば混沌の戦士! 迎え撃て!」

 

 混沌の戦士が剣を引き、盾を構えてアビス・スープラへと突っ込むが、アビス・スープラは鉾で混沌の戦士を盾ごと打ち砕いて破壊する。

 

「何!? 混沌の戦士が!?」

「”No.”はNo.でなければ戦闘破壊できない……甘いのは貴様の方だったな。カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

アモン

LP:2100

手札:0

EXモンスター

②:CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ ATK:3000 CORU:2

④:

メインモンスター

魔法・罠

②セット(アモン)

③セット(アモン)

④セット(アモン)

フィールド魔法

神縛りの塚

 

 遊戯は後方に下がり、Playmakerにカードを手渡す。混沌の戦士を失ってしまったというのに顔には不敵な笑みを浮かべている。

 

「ここが正念場だPlaymaker! 頼んだぜ!」

『ま~たピンチだってのに楽しそうにしちゃってまあ……Playmaker?』

 

 Playmakerは差し出されたカードを見つめた後、受け取らずに遊戯を見返す。

 

「遊戯さん、3つ聞かせてくれ」

「多いな。何だ?」

 

 遊戯は笑いながらPlaymakerの問いを受ける。

 

「一つ、俺にあの神を倒せると思うか? 俺のEXデッキにNo.は入っていない」

「やれるさ。相手はデュエルモンスターだからな」

「二つ、俺の手札はフレイム・バッファローのみ、この手札から逆転できると?」

「まだドローもしてないじゃないか。不安なら俺のカードも使え。その為にカードを残してきたんだ」

「……三つ、何故俺をそこまで信頼できる? まだ会って間もない、決闘したことすらないのに」

「それは君が”闇を乗り越えてきた決闘者”だからさ」

 

 遊戯の言葉にPlaymakerは目を見開く。

 

「君の決闘する姿を見て思った。君の決闘には只ならぬ”迫力と緊張感”がある。それは”重い使命”であったり、”罪への意識”であったり、”辛い過去への恐怖”であったり……大きな”心の闇”を抱えた者の特徴だ」

「心の闇……」

 

 Playmakerは少し苦し気な表情で俯く。戦いの決着と共に克服したと思っていた。痛みは消えても、今でも存在が消えることなく残っているらしい。心の片隅に残る”ロスト事件”の記憶が、脳裏をよぎった。

 

「Playmaker、君は歴戦の決闘者だろう? 抱えた闇と共に、負けずに闘い抜いてきたんだろう? 闘いの中に希望は? その先に”光”はあったか?」

「……あった。確かに、あった」

 

 Playmaker――――遊作の沈んでいた記憶が浮き上がり、鮮明になる。

 最初は恐怖だけだった。背後から迫る心の闇から逃れたかった。恐ろしくて蹲る遊作だったが、その闇の中に小さな”光”を見出す。事件の最中に自分を励まし続けてくれた少年は未だにあそこで囚われたままなのか――――そう考えると、不思議と恐怖を忘れることが出来た。

 彼の為なら自分は闘うことが出来る。希望を見出した遊作は闇を抱えたまま闘いに身を投じた。闘うことで悲劇の真実を知ることができた。相棒や仲間、宿敵達の心を知ることができた。事件の被害者達を救うことができた。遊作は、強くなることができた――――”闇”と共に闘ってきたからこそ、掛け替えのない”光”を見ることが出来たのである。

 顔を上げたPlaymakerに、もう苦し気な表情はなかった。

 

「Playmaker、君は闇を力に変えることが出来る決闘者だ! 神の恐怖などに屈したりはしない! 俺は信じているぜ!」

 

 Playmakerは遊戯からカードを受け取り決闘盤に配置すると、決闘場に立つ。

 

『戦闘でも、効果でも破壊できない。さっき俺達を苦しめた”No.”と、今現在俺達を苦しめている”神”が合わさって最強に見えらぁ。で、倒せんの?』

「俺は勝つ!」

『おっしゃ! 気合い入れて行こうぜPlaymaker!』

「俺のターン!」

 

 Playmaker 手札:1→2

 

「墓地の《リコーデッド・アライブ》を除外し効果発動! EXモンスターゾーンに自分のモンスターが存在しない場合、除外されている”コード・トーカー”モンスター1体を特殊召喚する! 来い《パワーコード・トーカー》!」

 

 Playmakerの場に再びパワーコード・トーカーが現れ、勇ましく構える。

 

 パワーコード・トーカー 炎属性 サイバース族 LINK-3(右、左、左下) ATK:2300

 

『いいぞ! パワーコード・トーカーならNo.の効果を無効にできる! それに手札にはフレイム・バッファロー! これで攻撃力を上げればNo.を倒せる! やれーPlaymaker!』

「パワーコード・トーカーの効果発動! No.の効果を無効にする!」

「速攻魔法《禁じられた聖杯》! モンスター1体の攻撃力を400アップし、効果を無効にする!」

 

 パワーコード・トーカーがアンカーをアビス・スープラに向けるが、上空から降り注いだ水がパワーコード・トーカーに掛かり、水蒸気を上げながら沈黙してしまう。

 

 パワーコード・トーカー ATK:2300→2700

 

『ええ~!? そりゃねぇだろうよ~!』

「無駄な足掻きはよすんだな」

 

 落胆するAiをアモンは鼻で嗤うが、Playmakerの闘志は消えていない。

 

「無駄でないことを証明してやる!」

「そうか……ならば良いものを見せてやろう。罠カード《三位一択》。EXデッキのカード種類のうち、融合、シンクロ、エクシーズのどれか一種を選択する。お互いのEXデッキを確認し、選択した種類の枚数が多いプレイヤーのLPを3000回復する。選択するのは”エクシーズ”だ」

 

 アモンが宣言すると、場の中心に二人のEXデッキのカードが表示される。

 

PlaymakerのXモンスター

ファイアウォール・X・ドラゴン

 

アモンのXモンスター

No.53 偽骸神 Heart-eartH

No.71 リバリアン・シャーク

No.87 雪月花美神クイーン・オブ・ナイツ

No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon

 

『げぇ!? No.が4体も!?』

「力無き者はNo.に取り込まれる。No.は使い手を選ぶカードだ。それを4枚持つ俺と持たないお前、差は歴然だ」

 

 アモン LP:2100→5100

 

「これでもまだ続ける気か?」

「遊戯さんが伏せた魔法カード《魔法石の採掘》を発動! 手札を2枚捨て、墓地から魔法カード1枚を手札に加える! 《終わりの始まり》を手札に!」

 

 Playmaker 手札:2→0→1

 

「話を聞かない愚か者め……」

「手札に加えた《終わりの始まり》を発動! 闇属性を5体除外し、3枚ドロー!」

 

除外したカード

デュアル・アセンブル

疾風の暗黒騎士ガイア

ブラック・マジシャン

リンクリボー

フリック・クラウン

 

 Playmaker 手札:0→3

 

「自分の場にサイバース族が存在する場合、《バックアップ・セクレタリー》を特殊召喚できる! さらにチューナーモンスター《サイバース・シンクロン》を召喚!」

 

 Playmakerの場にバックアップ・セクレタリーとビットロンによく似た円盤型の電脳生物が現れる。

 

 バックアップ・セクレタリー 光属性 サイバース族 レベル3 ATK:1200

 サイバース・シンクロン 闇属性 サイバース族 レベル1 ATK:100

 

「サイバース・シンクロンの効果発動! 自分の場のレベル4以下のモンスター1体のレベルを元々のレベル分だけ上げる! レベル3《バックアップ・セクレタリー》のレベルを3つ上げる!」

 

 バックアップ・セクレタリー レベル3→6

 

「レベル6《バックアップ・セクレタリー》に、レベル1《サイバース・シンクロン》をチューニング!」

 

 バックアップ・セクレタリーとサイバース・シンクロンが光の粒子となって舞い上がる。粒子は7つの光輪となり、連なって未知なる世界のゲートと化す。

 

「紫電一閃! 未知なる力が飛竜乗雲となる! シンクロ召喚!」

 

 ゲートの中から飛び出したのは、白銀の鎧に包まれた白いドラゴン。場を大きく旋回し、威嚇の咆哮を上げながら場に降り立つ。これこそがPlaymakerのシンクロモンスター――――

 

「降臨せよ! 《サイバース・クアンタム・ドラゴン》!」

 

 サイバース・クアンタム・ドラゴン 闇属性 サイバース族 レベル7 ATK:2500

 

『いよーっし! クアンタムなら破壊無効なんて関係ねぇ! 今度こそ――――』

「永続罠《アイスバーン》を発動! 自分の場に水属性が存在する場合、召喚・特殊召喚に成功した水属性以外のモンスターを守備表示にする!」

 

 アモンが罠を発動させると、サイバース・クアンタム・ドラゴンの足元が一瞬で凍り付き、動きを封じてしまう。

 

 サイバース・クアンタム・ドラゴン ATK:2500→DEF:2000

 

『ああ~!? 空気読めよ! 起死回生の切り札だぞ!』

「そのSモンスターはさっきのEXデッキ確認で把握済みだ。戦闘できなければただの虫けらだ」

 

 アモンは冷静を装っているようだが、目つきは明らかに変わっており、他者を見下す尊大な内面が先程よりも前に出てきている。石島程ではないが、アモンも確実にNo.の影響を受けているようだ。

 

「さっきの様に膝を折るがいい! 神と! 王たるこの俺の前に跪け!」

「俺はこの決闘に、神に必ず勝つ! 決闘者の誇りに掛けて! 《リンク・インフライヤー》をパワーコード・トーカーのリンク先に特殊召喚!」

 

 パワーコード・トーカーの側にリンク・インフライヤーが飛来する。

 

 リンク・インフライヤー 風属性 サイバース族 レベル2 ATK:0

 

「これが最後のリンク召喚だ! 現れろ未来を導くサーキット!」

 

 Playmakerの場にアローヘッドが現れる。

 

「アローヘッド確認! 召喚条件は”効果モンスター3体以上”! LINK-3《パワーコード・トーカー》、《サイバース・クアンタム・ドラゴン》、《リンク・インフライヤー》をリンクマーカーにセット!」

 

 パワーコード・トーカーが3体に分裂すると、他のサイバース達と共に光の風となって”上、右、左、右下、左下”に位置するリンクマーカーに飛び込み点灯させる。

 

「サーキットコンバイン! リンク召喚!」

 

 アローヘッドのゲートが開く。中から現れたのは、リング状のユニットを背負い、黒白の装甲を纏ったドラゴン。装甲外の体には緑色のラインが走り、ユニットの周りには6つの黒い結晶が翼の様に浮かぶ。

 これこそが人類(Playmaker)に託されたイグニスの力の結晶にして、最強のサイバース――――

 

「宇宙に満たる神秘の力! 奇跡の星に降り注ぎ、無限の命を紡ぎ出せ! 現れろ、LINK-5《ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード》!!!」

 

  ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード

 闇属性 サイバース族 LINK-5(上、右、左、右下、左下) ATK:3000

 

「ダークフルードは守備力を持たないリンクモンスター! アイスバーンによって守備表示にはならない!」

『お前の伏せカードも尽きた! これで引導を渡してやらぁ!』

「フッ……まさか召喚する余力があるとは思わなかったが、そのカードについても先程の確認で把握している」

 

 アモンは眼鏡の位置を直し、ダークフルードを見上げる。

 

「リンク召喚成功時に自身の墓地の融合、シンクロ、エクシーズ、儀式、これらサイバース族の特殊召喚カテゴリー1種につきカウンターを1つ乗せる。カウンター1つにつき攻撃力を2500上げ、カウンターを消費して相手のモンスター効果を無効にし、特定条件下ならば追加攻撃を行える……こんなところだろう?」

『ゲェェェネタバレェェェ!? 切り札に対してそりゃないでしょうが!?』

「神をも凌駕しかねない恐ろしいモンスターだな。だが君がここまで使用したリンク以外のカテゴリーは融合とシンクロの2種、それだけでも膨大な攻撃力を得られるが、俺を倒すには至らないな」

『え? そんなことはねぇだろうよ。えーと……』

 

 AiはAIお得意の計算を始める。2種類で得られる攻撃力は5000ポイント。これで攻撃力を8000にして攻撃。アモンはもちろんアビス・スープラの効果を使って迎撃するだろうからこれを無効にして攻撃力5500で戦闘、LP5100のアモンに2500のダメージを与えて――――

 

『――――この場合ダークフルードは追加攻撃ができるからしてぇ、アビスもまた効果を、んでまたダークフルードが無効にして攻撃力3000……ありゃ? 攻撃力同じになっちまった』

「クックック……ハッハッハッハッハ! 解ったか! お前達は神に! 王たる俺には勝てないのだ!」

「……ダークフルードの効果発動! 墓地の特定のカードの種類1つにつき、カウンターを1つこのカードに乗せる! 俺の墓地には――――」

 

 Playmakerは墓地からカードを取り出し、アモンに見せつける。

 

「融合モンスター《サイバース・クロック・ドラゴン》! シンクロモンスター《サイバース・クアンタム・ドラゴン》! そして……儀式モンスター《サイバース・マジシャン》! 合計3種類! よってカウンターを3つ乗せる!」

「……何だと?」

 

 ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード カウンター:0→3

 

「馬鹿な……儀式モンスターだと!? そんなもの――――」

 

 

 

遊戯さんが伏せた魔法カード《魔法石の採掘》を発動! 手札を2枚捨て、墓地から魔法カード1枚を手札に加える! 《終わりの始まり》を手札に!

 

 

 

「……あの時か!? フレイム・バッファローと共に墓地へ捨てたカード!」

『クックック……墓地を確認しない愚か者めがぁーーーー!!! AIの俺様が、百戦錬磨のPlaymakerがここまで計算してないとでも思ったか!』

「バトル! ダークフルードでNo.を攻撃! 【ネオテンペスト】!」

 

 ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード ATK:3000→10500

 

 ダークフルードが上空へと飛び上がると、黒い結晶からエネルギーで形成した翼を展開する。体のラインを赤く染め、エネルギーをユニットの頂点に集中させると、そこから暗黒エネルギーの砲弾をアビス・スープラへと放つ。

 

「アビス・スープラの効果発動! CORUを1つ取り除き、攻撃モンスターの攻撃力を自軍のモンスターに加える!」

「ダークフルードの効果発動! カウンターを1つ取り除き、相手モンスターの効果の発動を無効にする! 〈カルマ・ギア〉!」

 

 CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ  CORU:2→1

 ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード カウンター:3→2 ATK:10500→8000

 

 アビス・スープラは先程の様に力を奪う光を放とうとするが、光は暗黒の砲弾によって吸い込まれ、砲弾はそのままアビス・スープラに直撃して炸裂、アモンの場に暗黒の嵐を巻き起こす。

 

「ぐわぁぁぁーーーー!!?」

 

 アモン LP:5100→100

 

「攻撃宣言からダメージステップ終了時までにカルマ・ギアを成功させたダークフルードは、追加攻撃ができる!」

『神を越えろ! Playmaker!!!』

「【ネオテンペスト・エンド】!!!」

 

 ダークフルードが再びユニットへとエネルギーを集中させ、暗黒弾を放つ。

 

「アビス・スープラァァァーーーー!!!」

「〈カルマ・ギア〉!!!」

 

 CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ  CORU:1→0

 ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード カウンター:2→1 ATK:8000→5500

 

 二発目の暗黒弾もアビス・スープラに直撃し、アモンごと闇に飲み込んで消し飛ばした。

 

「ぐ……う……エコォォォーーーー!!!」

 

 アモン LP:100→0

 

 決闘が終了し、SVが消滅する。

 アモンは決闘の結末通り消え去ってしまい、彼が立っていた場所には彼が所有していたNo.のカードが全て落ちていた。

 

『おおおっしゃーーー!!! 大☆逆☆転!!!』

「やったな、Playmaker!」

「遊戯さん……」

 

 遊戯が差し出した手に、Playmakerは強く、そして固く握り返す。握手を交わす二人の間にこれ以上の言葉は無かったが、Playmakerが込めた手の力には言葉では言い表せない遊戯への感謝が表れていた。

 

『大人しくしろオラー! もう出てくんじゃねぇぞ!』

 

 Aiは決闘盤から飛び出し、No.のカードを1枚1枚食らってはデータ化して大人しくさせている。

 握手を解き遊戯にカードを返すと、Playmakerはアモンが立っていた場所を見やった。

 

「あの男は……」

「アモン……彼の事は気にするな」

 

 ハラルドが二人の前に歩み寄る。

 

「役目を終えれば我々は消える。彼はそれが早まっただけだ」

「ハラルド、約束通りお前の知っていることを喋ってもらう」

 

 Playmakerの言葉に、ハラルドは首を振る。

 

「私から話せることはない。だが道を示すことはできる。それが敗れた私の役目だ」

 

 ハラルドは懐から1枚にカードを取り出し、決闘盤の魔法・罠ゾーンスロットに差し込む。

 

「《虹の橋 ビフレスト》を発動!」

 

 その瞬間、森の中から巨大な虹の橋が現れ、森も平地も飛び越えて遥かな地平へと延びる。

 

「この虹の先に君達を待つ者がいる。信じるかどうかは君達次第だ」

 

 そう言ってハラルドは踵を返し、森の中へと消えていった。

 

『罠くせーどうするよ?』

 

 決闘盤に戻ってきたAiは訝しげに虹の橋を眺めている。Playmakerも警戒の色で見ていると、遊戯が肩を軽く叩いた。

 

「Playmaker。罠じゃないぜ」

「遊戯さん?」

「胡散臭いのは解るが、決闘自体は真っ当だった。あれなら嘘はついていないさ」

 

 遊戯は前に出て虹を見上げる。

 

「随分と距離がありそうだな……Playmaker、君はあのDボードとかいう乗り物を使ってこの先を行け」

「遊戯さんは?」

「俺が一緒じゃ時間が掛かる。俺はもう一度最初にいた遺跡に戻って調べる。まだ通っていない通路があったんでな。手分けしてこの世界からの脱出方法を探そう」

『手分けして探そうたってあーた、連絡手段とかどうするワケ?』

「お前達とは切っても切れない縁を感じる。俺がお前達を、お前達が俺を必要としたなら、また会えるさ」

『おいおい……んじゃこれ持ってけよ』

 

 Aiは手にプログラムを出現させると、遊戯の決闘盤の中にインストールする。

 

「何だ?」

『まあ発信機みたいなものさ。これで俺達側から遊戯の大まかな位置が分かるようになる。遊戯側も俺達が近づいたらアラームが鳴るようになってるからな。そしたらあまり動き回るなよ? 本当はもっと通信機とかはっきりした連絡手段にしたかったけど、おたくの決闘盤が旧式過ぎてこれが限界だったのよ』

「解ったぜ。アラームだな?」

『あとオマケでPlaymakerが昔使ってたお古のリンクモンスターも付けておいたからな。決闘盤のデッキホルダーの中でカード化してるはずだから後で確認しな。ガイアセイバーとか色々あるぜ』

「いいのか?」

 

 遊戯がPlaymakerを見ると、Playmakerは頷いて返す。

 

「サイバースデッキでは、そのカードを上手く使ってやることができない。遊戯さんなら、きっと上手く使ってくれると思う」

「ありがとう。有り難く使わせてもらうぜ!」

『それじゃ、お互い気を付けて行こうぜ!』

 

 AiがDボードを呼び寄せるとPlaymakerが飛び乗り、虹の先へと飛び立つ。

 

「Playmaker! 必ずまた会おう!」

 

 遊戯の言葉にPlaymakerは片腕を掲げて応える。虹の向こうへと消えていくPlaymakerを見送った遊戯は踵を返し、元のダンジョンへと引き返していくのだった。

 

 

 

次回予告

 

無事に試練を突破した遊戯とPlaymaker君!

一方、遊馬君は順調にNo.のカードを回収していたわ! でもそんな時、同じくNo.のカードを狙った決闘者達に鉢合わせ! 幾らアストラルが一緒とは言え、遊馬君一人で二人と闘うなんて無茶よ~!

そんな時、遊馬君を救うために崖の上から一人のヒーローが現れる!

 

 

次回〔ヒーロー見参!? ~十代と遊馬~〕!

 

 

デュエルスタンバイ!

 




あとがき忘れて投稿してしまった(汗)

三幻神は原作的にも重要なカードなので原作効果です。(本当はオベリスクのせいでガジェット・トークンが出せなくなるからだなんて言えない……)
でも三極神はOCG設定。見当はついてるかもですが、理由は後々解ります。

遊戯・遊作のお相手はゴッズのハラルドとGXのアモン。一応ハラルドは【極星】、アモンはかなりご都合的な闇水属性で組んだ【儀式エクゾ】です。シャークさんの出番が終わってしまってシャークさんのNo.が余ったのでアモンに使ってもらいました。


今日の最強カード

始まりの終わり

1決闘中にこれだけ乱発できるのもタッグフォースルールならではですね(笑)

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