東方天獄譚   作:みょんたー

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十話 闇より来たりし者共

霊夢が山道へ向かった頃

カイ、ジェノサイド、レンは酒の酔いから復活していた。

「っ…頭痛え」

レンが呻く。

カイは平然としていた。顔は少し青ざめているが。

「…ジェノサイド、大丈夫か?」

「うぇ…だ、大丈夫な、はず…」

ジェノサイドは最早、吐きそうだ。

勇儀が近寄ってくる。

「やっと起きたのかい?そんなんじゃ、まだまだアタシとは対等に飲めないねぇ」

鬼に酒飲みで勝てる奴がいるか!!と声を大にして言いたいが、そんなことをすればどうなるか分かったもんじゃない。なので、喉の奥にグッと押しとどめておく。無論、そこまで思考が回ったのはカイとレンのみで、ジェノサイドは喉の奥から込み上げてくる吐き気を止めるので精一杯だ。

魔理沙や他の連中も酔いが覚めたようで、先程までのゴタゴタ感は感じない。勇儀のような年がら年中、酒を飲んでいるような奴は除くが。

そう言えば、零と霊夢が居ない。霊夢は先程、見たような記憶がある。零は知らないが。

そんなことを考えながら、みんなと談笑していた時だ。

外からグルルと何か、獣が呻くような声が聞こえた。この神社に犬は居ない。狛犬は居るが、アイツは吠えないので違うだろう。そして、何よりも不可解なのが生き物とは何か違うようなドロドロとした雰囲気、そして明確な殺意を感じることだ。

「なんだろうな。」

魔理沙が呑気に言う。

「まぁ、この私レミリア・スカーレットに歯向かうつもりなら容赦はしないわよ。」

レミリアと咲夜が立ち上がる。

「一応、付いて行くか」

レンがそう言い、カイも無言で付いて行く。

ジェノサイドも酔いが覚め、二人の後を追った。

外に居たのは、真っ黒な狼の群れだった。

しかし、普通の狼とは違い何か腐ったようにドロドロとしている。先程からの違和感の正体はコレだ。普通の狼とは違う、歪な何かだから違和感を感じたのだ。

一匹がレミリアに飛び掛って来る。瞬間、世界がコマ送りのように感じ、咲夜のナイフが狼の眉間を穿つ。

普通なら即死だ。しかし、何事も無かったかのように狼は立ち上がる。これには咲夜も驚いたようだ。

カイも刀を抜き、警戒する。

綺麗な白髪が紫に染まる。

“変わった“ようだ。

「さてと、カイに変わってこのアレクがこいつらを斬り捨ててやるぜ!」

カイのもう一つの人格、アレクが現れる。

ジェノサイドも鎌を取り出し、戦闘する気だ。

レンも自らの愛刀、村正を抜き放つ。

最初に動いたのはアレクだ。

「冥獄神刀、魁那。怒涛『怒槌』」

大地が爆ぜる。修復が大変そうだが致し方ない。

ジェノサイドも動いた。

「ここは一つカッコイイとこらを見せないとな。音符『ノイズ・ブレイク』」

アレクの爆発による音を利用したノイズによる追撃。

そして、レンが攻撃する。

「疾風炎刀、村正。剣技『疾風迅雷』」

レンが疾風を纏った斬撃を放つ。

そして最後に決めるのは紅魔館の主、レミリア・スカーレットとその従者、十六夜咲夜だ。

「幻符『ザ・ワールド』」

時間が止まり、数多のナイフが空中に出現。一匹足りとも逃がさない。

「お嬢様」

「分かってるわよ、咲夜」

美しき主従関係。

短い言葉で伝わる程の信頼関係を築くのは容易ではないだろう。

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!!」

群れのど真ん中へ、真紅の槍が突き刺さる。

そして、五人全ての技が狼の群れを滅殺せんと襲いかかった。

ナイフを眉間に穿たれて尚、生きていた狼達でもこれには耐えられない。

後に残ったのは塵のみだ。

こうして、一瞬で戦闘という名の蹂躙が終了した。

魔理沙が外に出てくる。

「派手にやったな。これ、霊夢に怒られないか?」

それに咲夜が応じる。

「襲撃があったのだから不可抗力よ」

「まぁ、そうか」

魔理沙がへへっと笑い、そう答えたその時だ。

森で爆発が起きた。

「…もしかして霊夢か?」

「可能性はあるな」

ジェノサイドが呟き、レンが少し焦ったように応えた。

「行くぞ!!」

魔理沙がそう言うと、その時に隙間が開く。

中からは霊夢に蝕、霊夜が現れる。

三人とも息が絶え絶えだ。

「ハァハァ…あ、危なかったわ…。何よ、アイツ。」

「何があったんだ?霊夢」

アレクが質問する。

「ん?あぁ、今はアレクなのね…。取り敢えず、中に入るわよ。ここの状況も聞きたいしね」

そう言って、戦闘の惨状を指さす。

こうして、博麗神社の宴会はこの襲撃、異変を解決するための作戦会議へと名目を変えたのだった。

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