「それで?霊夢達は何があったんだ?」
魔理沙が口を開く。
事態は重く、対策が必要だ。
同時に二つも襲撃があったのだから。
「私達は、男に襲われたわ。何か不気味で私たちの攻撃が全然、通用しなかった…」
それに蝕と霊夜が頷く。
「…俺の斬撃も、霊夜の攻撃も全部効かなかった。まるで、男が否定したことを世界が肯定するように」
霊夜が続けざまに口を開いた。
「俺はあの能力を『事象を否定する程度の能力』だと思う。憶測でしかないし、もっと凶悪な能力かもしれないが」
そこで、扉が開け放たれる。
そこには柱に寄りかかり荒い息を整えている零の姿があった。
「ハァハァ…クソ、流石にキツい」
水覇を優しく床に寝かせ、お茶を注ぎひと息つく。
「はぁ…生き返ったぁ!」
アレクが零に尋ねる。
「おいおい、焦って戻って来てどうしたんだ?お前は家に帰ったんじゃあないのか?」
零が口を開く。
「今はアレクか。それが、実はな…」
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・
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「「「「はぁ!?!?」」」」
一同、最初に発した言葉は見事にシンクロしていた。
それもそうだろう。
紫が二人を始末するように頼んでいただなんて初耳なのだから。
そして、この異変の首謀者と接触したこと。
皆を驚かせた要因はこのふたつだ。
魔理沙が零に尋ねる。
「おいおい、それじゃあアレか?紫に始末を頼まれて、その後に首謀者と接触。そこで急いで戻って来たってことか?」
そこで酔っ払った妖怪達の介抱を終えた妖夢がこちらの状況を説明する。
「こちらも霊夢達が一人から襲撃。こちらも獣のようなモノから襲撃を受けました。神社を襲ったモノが使役者と考えて、敵は4人からそれ以上と言うことでは?」
皆が同意する。
ジェノが質問する。
「敵が居たとして、こちらから攻める手段がないけどどうするんだ?」
それに霊夢が答える。
「次、攻めてきたらボコボコにするからいいわ。来ないならそれまでね」
魔理沙が頷く。
確かにこちらから攻める手段が無い以上、下手に探すよりも来た時に倒した方がいいだろう。
ふと思い、俺は相棒であり大切な存在。水覇の方を見る。
むにゃむにゃと寝言を言いながら、幸せそうな表情で眠っている。
能天気だなと苦笑しながら上着を被せる。
「まぁ、これ以上ここにいても埒が明かないし片付けもしないといけないから今日は帰りなさい。」
霊夢がそう言って、会議を締めくくる。
「分かったぜ」
「まぁ、そうするか。」
「じゃあな」
一同が自分の家に向かいだす。
俺はここまで急いでここに戻って来たのにまた担いで帰るのか…。
憂鬱だなぁー。しかし、そうは言ってられないので水覇を担ぎ俺も帰路へとつく。
俺の居場所。幻想郷に仇なす敵の存在。
その時、心の奥底に何かドロドロとした感情が生まれたことに俺は気付かないふりをした。