東方天獄譚   作:みょんたー

8 / 11
二章 次元重複異変
八話 不穏の幕開け


奇妙な風が辺りに吹き渡る。

吹き終わった時、世界の“色“が少しだけ、変わった。

まるで、完成した絵に無粋にも絵の具を撒き散らかしたように。綺麗な写真の上にもう1枚、薄く透けるような写真を重ねたかのように。

「零。これはゆっくりしていられないわよ?早急に彼らを始末しないと…」

紫が少し焦ったような表情で話しかけてくる

幻想郷の為か…。

「…少しだけ。今日、一日考えさせてくれ。」

紫は少し思案し、俺の提案を受け入れてくれた。

「分かったわよ。その代わり、決めたら直ぐに始末して。私はこの幻想郷が大切なの。」

そう言って、紫は隙間空間へ入り姿を消した。

「零。あんた、紫と何を話していたのよ?」

そう言って近寄って来るのは先程まで酔いに酔っていた博麗の巫女。博麗霊夢その人だった。

「…蝕と霊夜を幻想郷のために始末しろだってさ。俺は暗殺者じゃないっての」

霊夢は少し気難しい表情をして

「あんた、あの二人に勝てるの?あんた弱いじゃないの」

……酷くね?

「え、酷くね!?これでも妖夢から剣術は一応、免許皆伝もらってんだぞ!それに、もっと他に心配することあんだろ!?」

そこで、すかさず霊夢に突っ込まれる。

「あんた、妖夢に剣術以外ダメダメって言われてんじゃないの。前、泣いてたわよ?台所が炭まみれになって掃除が大変だったって。」

………後で妖夢に謝っておこうかな。その内、辻斬りされそうだし。

「それは済まないと思うよ!?でもさ!?もうちょいさ!?人殺しすることに対して突っ込もうよ??大丈夫なの?ってさ!?」

そう言うと、霊夢は笑って

「ふふっ、さっきまでの重苦しい雰囲気よりもあんたはこっちの方がいいわ」

……そういうことかよ。まぁ、嘘じゃないだろうし妖夢には謝っておくけど。

「はぁ…。お前、もうちょいやり方あっただろ?」

「あんた、素直じゃないんだからこうでもしないといけないでしょ?」

そんな雑談していると後ろから何かを感じ、思わず飛び退く。

飛び退いた場所には相棒の水覇がいた。

「うぅ〜…主様が私以外と楽しそうにしていますぅ…」

こいつ、酔ってるな。

「あら、零の所の付喪神じゃない。あたしは零に気は無いから心配するだけ損よ?」

なんか目の前で俺、フラれてるんだが…

「そ、しょんなことぉ…。信じられ…ぐぅ…」

こいつ、場を乱しておきながら寝やがった。

はぁ…仕方ない。世話の焼ける相棒だなぁ。

俺は水覇を担ぐ。

今は人型だ。そんな状態で寝られたら刀のようにコンパクトには運べない。

そこに不便さを感じながらも、相棒の暖かさに気を落ち着かせる。

「あら、もう帰るのね。みんなには伝えておくわよ」

「あぁ、頼むぞ」

霊夢にみんなに先に帰ることを伝えてもらうように頼み、俺は家に戻るために歩き始めた。

道中、人影が二つ。

「そこのあんちゃん。少し、モノ買っていかない?安くしとくよ?」

「オススメやで?」

銀髪と金髪の和服を着た狐目の青年だ。兄弟なのだろう。

「いや、要らない」

そう断ると二人は悪意に満ちた笑みを浮かべ

「なぁなぁ、この異変を解決したいんやろ?」

「異次元から来たあの二人、始末せなあかんのやろ?」

「「それなら、うちらを頼ってや」」

一瞬で警戒度合いを上げる。

背中が粟立つのがよく分かった。

「お前ら…何者だ…?」

二人は嘲笑い、言い放つ。

「うちらはとあるお偉い様からお申し立てを受けてここに現れた商人や」

「とある組織の幹部や。」

「「そんでもって、この異変の元凶や。」」

その言葉を聞いた時には弾幕を放っていた。水覇は寝ているため、刀は使えない。二人をどう対処するか考える。

弾幕を弾いた二人は笑い

「おぉ、怖」

「このままじゃ怒りてまうな」

「「そんじゃ、サイナラな」」

そう言うと、二人の姿にまるで景色が重なるかのようになり、存在が掻き消える。

この異変にどんな意味があるのかは分からない。まだ影響が出ていないにしろ警戒は必要だろう。

蝕と霊夜を始末する必要はなさそうだ。

霊夢や紫にもこのことを伝えなくては…

そう思い、俺は神社へと足を急がせたのだった




二章の一話目です。
悪意の登場。
物語は加速していきますね。
さて、今回は遅くなりました。え?何故かって?そりゃ、もちろん話をどう繋げるのか考えるのが難しかったからですよ!誰も、ゲームやら、プラモやらにうつつを抜かしてませんからね!
……はい。サボってました。お詫びに少し企画を紹介しますね。
クリスマス、または年末年始などのどこかのイベント(行事)のある日にifストーリーや、ストーリーとは関係ないほのぼの系の物語を投稿したいと思っております。何時にするかはTwitterの投票か、こちらの進捗状況、気分によって決めたいと思います。
と、言うことで後書きでした。
次回も楽しんで頂ければ幸いです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。