東方天獄譚   作:みょんたー

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九話 襲撃と撤退

時は少し戻り、場所は博麗神社。

零が丁度、家へと向かっていった頃

博麗神社の主であり、幻想郷を守る巫女。博麗霊夢は二人の会話について、思案していた。

同じ博麗の名を持つ存在について。そして、零がその存在と連れを始末するように紫から頼まれていたこと。

零が紫と接点があるのは知っていた。確か、小さい頃に紫に連れてこられ、育てられていたはずだ。小さい頃はたまにであるが、遊んだことがあった。以前、酒の席で紫に尋ねたことがある。

何故、零を育てていたのか?と

それに、紫は一言。

「私は彼の大切を守っただけよ」

とだけ、口にした。

なんのことかは分からない。零も昔のことなどあまり、覚えて居ないだろう。

だが、今はこの状況について考えなくてはならない。

この、博麗の名を持つ存在について。

夜風に吹かれていた霊夢は、みんなの様子が気になったこと、零が帰ったことを報告するために酒席へと戻り…

その状況を見て、唖然とした。

状況について説明しよう。

まず、障子がビリビリに破れている。それは酒の席なので予想はしていた。だが、面子がおかしくなっている。

にとりやレン、ジェノサイドが萃香と勇儀に酔い潰され倒れている。

カイは妖夢と刀について語り合い、状況に気付いていない。そして、それをチャンスだと言わんばかりに幽々子が酒の肴を食べている。

紅魔組はと言うと、あかさや奈白と飲みフラフラと今にでも倒れそうになっていた。その中には魔理沙も混ざっていたが見なかったことにした。

しかし、何処を見ても肝心の二人が見つからない。

外へ出てみると山道に二人分の足跡を見つけた。

その足跡を追う。

「あの二人…なんなのかしら…」

思わず口に出してしまった。

・・・

しばらく進むと二人が待ち構えていた。

「…やっぱり来たか。」

「霊夢…」

二人は私が来ることが分かっていたらしい。

「それで、あんた達はなんでここに?」

「他の連中には、あまり聞かれたくなくてさ」

そして、二人は声を揃えて言う。

「「俺たちはここの世界線とは別の世界から来た存在だ」」

と二人が言葉を発する。

少しの間が空いた。

唖然としてしまったのだ。

「え、えっと…?あんた達はこことは別の世界から来たってこと?」

霊夜は無言で肯定する。

気持ちが落ち着いた。

「それで、今の話を信じたとして何をしに来たのよ?観光なんかじゃないわね。“本当に“別の幻想郷があったとして、ね」

二人は無言だ。

それを怪しみ、もう一度尋ねる。

「…実は、分からないんだ…」

蝕が口を開いた。

そんな時、上空から弾幕が降り注ぐ。

不意打ち、そして手加減をしていない本気の、殺意のこもった弾幕だ。

咄嗟に飛び退き、二人を見るとやはりそこは博麗の名を持つ者とその仲間だ。案外、余裕そうだった。

弾幕が降り注いだ方向を向くと、一人分の人影が目に映る。

今宵は満月。

逆光で性別までは分からない。

次の攻撃に備えると、人影が声を発した。

「あーあ、避けられちゃった。辛いなぁー。まだ“計画“も第一段階だってのにさぁ。新入りの双子は“鍵“に勝手に接触するわ、博麗が二人集まるわ、本当に…。そう、本当にツイテナイ…」

声質的に男だろう。途中、奇妙な単語がいくつも聞こえてきた。その事にほんの数秒、思案してしまったその時だ。

霊夜が男を背後から蹴り飛ばし、蝕が飛ばした方向に剣を構えている。

「蝕!!ぶった切れ!!!」

「魔剣、カオスブリンガー・ハガル。剣技『デモンズ・ロザリオ』」

蝕が人影に十一もの連撃を放つ。

視認することは可能でも防ぎきるのは難しいだろう。

人影はポツンと一言、気だるげに言い放つ。

「俺は世界にその攻撃があることを“否定する“」

「なっ!?」

斬撃が消え、蝕が蹴り飛ばされる。

零でも。いや、妖夢でも無傷で立ち回るのは無理に近いだろう斬撃を男は耐えてみせた。

一言、発するだけで攻撃を止めたのだった。

「鉄塊!!オラオラオラオラオラァ!!!!」

霊夜が大剣を抜き放ち、追撃を放つ。

「お前の攻撃も“見えている“以上は通用しないんだ。だって、俺が認めないんだから」

そう言った瞬間にまた、攻撃が消えてしまう。

これは不味い!!

「霊符『夢想封印』!!!」

「だから、無駄なんだよ。鬱陶しい。俺は認めない。」

私は夢想封印を唱え、二人を掴み隙間へ逃げ込む。

夢想封印は消えてしまったが、逃げ込む時間を稼ぐことくらいは出来たようだ。

男は初めて驚いたように

「へぇ…そうするのか。なるほどな。」

と呟く。

そして、一言。

「“あの人“に怒られるかなぁ。ま、いいか。まだ、“レクイエム“は始まったばかりだ」

そう言うと、男の姿が掻き消える。

男が消えたのと隙間が完全に閉じたのは同時だった。

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