アクセル・ワールド・アナザー 無法者のヴォカリーズ 作:クリアウォーター
第二十二話
第二十二話 拭えぬ記憶
懐かしくも見知った、最近ではほとんど見られなくなった木造建築の建物の中に、ゴウは立っている。目の前では土で汚れた作業着姿をした老齢の女性と、女性に抱かれている半袖短パン姿をした幼い男の子が二人揃って泣いていた。
ゴウは目の前の二人が誰だか知っている。何故なら女性は自分の祖母で、男の子は当時の自分だからだ。
ここは祖母の部屋だ。最後に訪れてからもう八年近く経つのに、この家の間取りも、どこに何が置いてあるのかまで鮮明に憶えている。
祖母は幼いゴウを強く抱き締め、しきりにゴウに対して謝っている。一方の幼いゴウは顔を鼻水と涙でぐしゃぐしゃにしていた。
祖母はこの時、ゴウが怖い目に遭ったから泣いていると思っていたのだろうが、そうではない。
──違う。違うんだよ、おばあちゃん。僕が泣いているのは怖かったからじゃない。おばあちゃんは悪くなんかない。悪いのはあの男と、あの時何もできなかった僕で…………。だから、だから謝ったりなんかしないで、もう泣かないで──。
そう思っているのに声が出ない。幼い自分も、今の自分も。
結局ゴウは祖母に、自分の涙の理由を話すことはできなかった。その後悔の棘は心の奥深くに刺さったまま、今も抜けてはいない。
目を覚ますと、自室の天井がかすかに滲んでいた。目尻に溜まっている涙をゴウは指で拭う。
あの時のことを夢で見るのは久々だった。時が経つに連れ段々と見なくなっていたし、中学に上がってからは────見ていないはずだ。少なくとも記憶にはない。
六月十五日、土曜日。今日は《ヘルメス・コード縦走レース》から最初のアウトローの集会日だ。そして大悟に《インカーネイト・システム》、通称《心意システム》なる謎の力について教えてもらうことになっている。
ゴウは当日のレースイベント終了後、すぐに大悟へ連絡を取ったが、大悟は次の集会日に詳しく話すと言って譲らなかった。
理由としては三十分の対戦では説明しきれないこと、現実で直接会ったり、通話やメールを介して話すのは控えたいこと。この二点から無制限中立フィールドで、アウトローの全員と意見を共有しながら教えるのが最良だと判断したからだそうだ。
仕方なくこの一週間がのろのろと過ぎるのを待ちながら生活していたのだが、ふとゴウは大悟についてほとんど知らないことに思い至る。
以前他のメンバーから『アイオライト・ボンズ』として名を上げていった経緯は聞いたものの、『如月大悟』という人間がどういう経緯でブレイン・バーストプログラムを手に入れたのかは謎のままだ。アウトローでは現実のプライバシーの詮索をしないという暗黙のルールがあるので、そこまで踏み込むことはできなかった。
一体いつからバーストリンカーだったのか。《親》は誰なのか。そして、一緒に行動していたという二人のバーストリンカーのこと。
ブレイン・バーストでは《親》と《子》の関係が、他のバーストリンカーとは一線を画す強い結び付きがあることは、ゴウも一年以上バーストリンカーとして活動してきたことで分かっている。ブレイン・バーストをニューロリンカーにインストールするには、現実で直接対面して優先直結通信で譲渡するしかない、つまり互いのリアル情報を否が応でも知ることになるからだ。それは特別強い絆であり、しがらみにもなり得る。
実際のところ、大悟も一見放任しているようでゴウに目をかけ、具体的なアドバイスをすることは少なくても、あれこれ口を出して世話を焼くことが多い。
彼なりに大切に思ってくれているのだろう。それを嫌とは思わないし、感謝もしている。いきなり賭け試合の場に連れ出したり、《災禍の鎧》と遭遇させたりと無茶をさせることもあるが、それらの経験を糧に、ゴウは自らが成長できている自覚もある。
それでも、彼が意図的に自身の素性を隠しているのは度々感じていた。一線までゴウに踏み込もうとしないし、大悟も自身の深い場所にまでは踏み込ませないようにしている。
気にならないと言えば嘘になるが、『親しき仲にも礼儀あり』と言うように、深く踏み込みすぎてはいけないような気がした。たとえ知り合いであっても、自分について根掘り葉掘り聞かれるのは誰でも気分が良くないだろう。故にこれらに関しては、ゴウも大悟自身が話を切り出さない限りは聞かないことにしていた。
そんなことをベッドの中で考えている内に、セットされた目覚ましのアラームが鳴り出した。心にかかった靄はどうにも晴れないが、今日も半日とはいえ学校があるので、ゴウは
「ふー…………」
半日の授業を終えた放課後。午後の集会の前に一度通常対戦でもしておこうと、少し寄り道をして対戦相手を探していたゴウは現在、乱入を受けて対戦の真っ最中。
相手は最近レベル6になったばかりのムーン・フォックス。彼女との対戦回数はかなり多いが、どちらかが一方的に勝つという展開はほとんどなかった。
フォックスのアバターカラーは薄く青みがかった白色(厳密には月白というらしい)で、カラーサークル上では《近接の青》と《特色の白》を合わせた、《わずかに近接寄りの特色型》ということになるのだろう。白や黒の特色に関してはまだまだ謎が多く、赤や青、緑等と違い未だに明確な定義が付けられていないらしい。
ともかく現在のフォックスの戦法は、素早い動きで相手を翻弄してから一撃を加えるヒット&アウェイスタイルを基本に、相手の攻撃を緊急回避する必殺技や、動物型アバター特有の技《シェイプ・チェンジ》を織り交ぜてくるというもの。
パワーでは勝るゴウでも、その時々のフィールド効果を利用しない限りは、動きを捉えるだけでもかなり骨が折れる相手だ。そして、この《草原》ステージはフォックスにとってかなり有利なステージだった。
夕日によって金色に照らされた草の海は、膝上ほどの高さまで伸びており、ゆっくりと吹き抜ける涼風によって絶え間なくさらさらと音を奏でている。
そのせいでフォックスの足音は非常に聞き取り辛く、すでに獣形態になった彼女は一撃離脱を繰り返し、ゴウの体力を着実に削っていた。今も姿を見せずに草原に潜伏し、こちらの様子を窺っているのだろう。
遠隔系統のデュエルアバターが相手の場合なら、平地な上に草以外にはほとんど障害物の無い立地であるこのステージは、ゴウにとって戦いやすい場所なのだが、フォックス相手ではそうもいかない。
──考えてばかりでも仕方がないか。
ゴウは敢えて目を閉じ、意識を耳に集中させた。止まない風で草の擦れる音の中でも、遠隔攻撃手段を持たないフォックスは必ず接近をしなければならない。
その時の足音を聞き取ろうと、ゴウは意識を更に深く集中させる。
サ────────…………ザザッ!
──左後ろ!
静かに流れる草の中で何かが動く音とは、対戦相手に他ならない。ゴウが体をかがめて振り向いた瞬間に、一頭の白狐が草原から躍り出た。
美しくも神秘的な雰囲気を醸し出す白狐に変身しているフォックスの牙を、ゴウは屈んで避け、頭上を通過する前に下からフォックスの腰元を両手でむんずと掴むと、頭から地面に思いきり叩き付ける。
「ギャンッ!」
片膝を着いた状態だったのでやや力が乗らなかったものの、それでも顔面からいきなり地面に激突することになったフォックスが、まさに傷を負った獣そのもののように叫ぶ。
もう一年以上前となった、最初に勝利した対戦時に使った『捕まえて何度も地面に叩き付ける』作戦も、フォックスの必殺技ゲージが溜まると手痛い反撃を受けるので、そう簡単には使えない。
それを踏まえ、ゴウは反撃から未だに体勢を整えていない相手を蹴り飛ばした。一旦距離を置くことで、攻撃中のカウンターを受けずに済む算段だ。
一方のフォックスは蹴り飛ばされて体力を削られながらも、空中で何回か回転しながら着地を決めることで落下ダメージを回避する。
「ヴゥー……いたいけな狐を蹴り飛ばすなんてひどい……。動物虐待で訴えてやる……」
攻撃を受けた直後でさすがに苦しそうに唸るフォックスだったが、冗談を飛ばす元気はまだまだ残っているらしい。
「いたいけって……そっちから襲ってきたじゃないですか。それに加速世界じゃ法律は適用されないからノーカン、ノーカンです!」
「開き、直るな!」
ゴウの言い訳に律儀に返すと、フォックスは再び姿を隠した。今のダメージの衝撃に完全には立ち直っていない状態で、真正面からゴウと向かい合っても勝ち目がないと判断したのだろう。拮抗した状況でも焦って攻めに走らず、冷静な判断を下すのもバーストリンカーには必要な能力の一つだ。考えなしに突撃して勝てるのなら苦労はない。
現在ゴウの体力はこれまでの戦闘で少しずつ削られ、約八割弱。対するフォックスは先のダメージも含めて約七割。単純な体力差はこちらが上回っているが、この程度の僅差はどうとでも覆る。ゴウも消えたフォックスの方に躍起になって接近しようとは思わず、その場に留まった。
再び静寂。数十秒後、ゴウは左斜め前方から地を這うようにこちらへ迫るフォックスの背中を視界に捉えた。
──最高速度で脚に接触して、こっちの体勢を崩す。そのまま走り抜けた後、折り返して無防備な背中に攻撃と見た!
瞬時にフォックスのプランを推測したゴウはフェイントに警戒しつつ、足元が草に隠れてフォックスからも見えないことを利用して、体勢を崩されないように足を大きく開いて力を込めつつ、右腕を腰元に構える。
予想通りフォックスが左脚に突撃しようとする直前に、ゴウは必殺技を叫んだ。
「《アダマント・ナックル》!」
右腕からライフル弾のような勢いで放たれたゴウの正拳突きが、フォックスの無防備な背中を貫──。
「《べウィッチド・バイ・フォックス》」
ぼそりと囁くような声を聞いた時、ゴウは自分の失敗を悟ったが、必殺技を発動させた体はもう止まらない。
ボフン!
ゴウの必殺技がフォックスに触れた瞬間、フォックスの体が破裂し、白煙が発生してゴウの視界を眩ませた。拳が激突したのはフォックスの背中ではなく、草の生えた地面。
前のめり状態になってしまったゴウは後ろから衝撃を受け、倒れ込むと同時に両腕を掴まれていた。可能な限り首を捻って背後を確認すると、人型に戻ったフォックスの両膝が背中にめり込み、更にフォックスが口を開けてゴウの首筋に牙を突き立てる。
「ぐっ……!」
両肘が完全に伸び切った状態で関節を抑えられては、ゴウの力でも即座には振り払えない。その間にもフォックスに噛まれ続け、体力ゲージの減少は微々たるものだが、代わりに必殺技ゲージがみるみる減少していく。
通常の人型状態で発動するフォックスのアビリティ《
ゴウが腕を無理やり捻ってフォックスのホールドを解き、両手を地面に叩き付けて弾けるように立ち上がった時には、既にフォックスは牙を外して離れていた。たっぷり残っていた必殺技ゲージはこの数秒間で三割にまで減少し、減少した分だけフォックスのゲージが増えている。
「くそ、やられた……」
「ふふ、ごちそうさま。見事にひっかかったね」
先程のフォックスの必殺技は分身を作って回避する、いわゆる『変わり身の術』だ。おまけに変わり身は触れた瞬間に破裂して、煙幕を発生させる厄介な効果も備えている。
この対戦中のフォックスはほとんどの時間を獣状態でいたので、ゴウは彼女の人型時のアビリティを失念してしまっていた。フォックスはこの一合でこちらの必殺技ゲージを奪うことを目的としていたのだ。
「《シェイプ・チェンジ》」
「くっ……この!」
フォックスの体が夜を照らす月のように白く輝きながら、みるみる狐の姿に変身していく。わざわざ変身シーンを待つ義理もないゴウはフォックスに向かって走り出すが、すでに変身を終えたフォックスは横に跳んで、再び草の海に姿を消してしまった。
ゴウは奇襲と潜伏を繰り返す作戦を選んだ相手を打破する為に、知恵を絞ろうとする。素早さでは敵わない。カウンターを狙おうにも姿が見えないこのステージでは、それさえも苦労する。動かなくても危険だが、無駄に動いたところでこちらが消耗するだけ────!!
そこでゴウの頭に一つの作戦が浮かんだ。失敗すれば徒労にしかならず、必殺技ゲージも底を尽きるが、やる価値はある……と思うことにする。そうと決まれば善は急げだ。
「着装、《アンブレイカブル》」
ゴウは召喚した愛用の金棒の柄を両腕でしっかりと握り締めたまま、下段に構えて先端を自分の右側の地面へと着ける。体を丸めてぐっと前傾し、続けて脳天が地面に向くようにさせた。後は上手くいくかは運次第。
「《ランブル・ホーン》!」
ゴウが走り出すと同時に、額の両角が一気に伸長する。下を向いているので地面に突き立った角にも構わずに、草の生えた地面を抉りながら突き進んだ。同じく地面に着けていた《アンブレイカブル》も同様だった。すぐに体を左に倒しながら、反時計回りで周囲をぐるぐると走り回る形となる。
傍から見れば間抜けな光景なのは承知の上だ。事実、ギャラリーの笑い声が小さくではあるが聞こえてくる。当然こんな動きはフォックスに当たりはしないだろうが、ゴウの狙いは攻撃ではない。
やがて必殺技ゲージが底を尽きると、必殺技によって強化された脚力と角の長さが元に戻り、立ち止まる。
「ふぅ……」
一息ついて周りを見渡すと予想通り、草原の一角に土が掘り返され、地面がむき出しの円状をした荒地ができていた。そのまま半径十メートルほどの円の中心に移動し、金棒を突き立てたゴウは、姿を隠しているフォックスにも聞こえるように大声を出した。
「これならいつまでも隠れられないでしょう! 出てきたらどうですか!」
ゴウの作戦とは必殺技をフォックスに食らわせるのではなく、身を隠す草を無くすことだった。
各ステージの地面は原則破壊不可能だが、その表面を削る程度なら、今のゴウにでも問題なく行える。結果、《ランブル・ホーン》で伸びた角と金棒で、対戦フィールドの一角に草地が引っくり返された荒地を作り上げたのだ。
体力が僅差でゴウが上回っているこの状況でここに陣取っていれば、フォックスは出て来ざるを得ないし、いつまでも獣形態でいたところでゲージの無駄遣いにしかならない。
周囲を見渡していると、やがて草の中から人型に戻ったフォックスが姿を現す。どこか悔しそうにゴウを睨んでから、一気にこちらに向かって走り出した。
それからはフォックスの三本に増えた尻尾に対して、ゴウが金棒で応戦する接近戦が続いた。硬質化したかと思えばふんわりとした毛並みに戻り、ゴウの一撃を軽減するクッションとなる尻尾を相手取るのは骨が折れたが、次第にゴウが優勢となり勝機が見えたその時。
フォックスが距離を取り、両手を突き出した。
「待った!」
「うぇ!?」
今まで幾度も戦ってきた彼女が、対戦中に『待った』をかけたのは初めてだったので、ゴウは思わず硬直してしまう。
「少し話したいことがあるの。二人だけで」
「えーっと、今からですか?」
「今からじゃなきゃ、待ったなんて言わないでしょ」
戸惑っている内にゴウの目の前に《クローズド・モード》を認証するかという旨の選択画面が現れた。数人だけだが観戦していたギャラリーに向かって、フォックスは軽く謝罪すると、「早く押せ」というようにゴウを見る。
オロオロしたところでどうしようもないので、ゴウは腹を括ってイエスを選択すると、ギャラリー達が一斉に消え、辺りが静寂に包まれた。
クローズド・モードは対戦をする双方が合意することで、ギャラリーを排除した状態で自分と相手しかいない空間で対戦する方法だが、当然ながらギャラリーからの受けが悪い。そんな利用者がほとんどいないシステムではあるが、第三者に聞かれたくない話をするにはうってつけである。
フォックスはゴウの作り出した、草を掘り返した場所に腰を下ろすと、ゴウにも座るように促す。
「座りなよ。別に油断させといてガッ! なんてしないから。この勝負もそっちの勝ちでいいからさ」
残りの体力はこちらが上回っているので、残り十分ほどの時間が過ぎれば判定勝ちでゴウの勝利となる。未だにフォックスの真意は読めないが、わざわざクローズドにしてまで不意打ちはしないだろうと判断し、言われたようにその場に座り込んだ。
「それで、どうしたんですか? 話をするなら最初からクローズドにすれば良かったんじゃ……」
「それもそうなんだけど、君と対戦するのも久々だったし、少し手合わせしたかったんだ。思いの外ヒートアップしちゃったけど──っと、時間切れになる前に話さないとね。実はね、えーっと……頼みがあるの」
言い辛そうにその場でもじもじとするフォックスの姿は、ゴウにとって不可解かつ新鮮だった。
「頼み? 僕にできることなら構いませんけど……」
「ホント? 実は、アウトローに連れていってほしいの」
「………………うん?」
ゴウは「はぁ!?」と口から出そうになるのを飲み込み、フォックスの言葉を反芻する。
アウトローは東京二十三区エリアの端に位置する、世田谷第四エリアに存在する一軒のプレイヤーホームを拠点(溜まり場といっても間違っていない)に、レギオンではなくサークルとして、バーストリンカー達の集会所となっている。現在メンバーとして活動しているのは、ゴウを含めて八人。
ゴウは今まで皆とのエネミー狩りの最中に、エネミーに襲われていたバーストリンカーを二度ほど助けたことがあったが、それからバーストポイントが安定したのか、あるいはその逆かは不明だが、助けた二人とはそれきりの出会いだった。
ゴウの加入以降メンバーが増えたことはないが、フォックスはアウトローに加入したいのだろうか。だが『連れていってほしい』であって、『仲間に入れて』とは言っていない。つまり、大悟を始めとした他のメンバーに頼み事があるということになるが……。
「えっと……確かにアウトローは来るもの拒まずのスタンスだし、連れていっても問題はないはずですけど、またどうして急に?」
「悪いけど今は言えない。ただ、どんな場所か確かめたいの。それが私の大切な人の助けになるかもしれないから……」
フォックスの回答は、なんとも要領を得ない答えだった。困っているのはフォックスの言う『大切な人』となるのだろうが、その本人ではなくフォックスをアウトローに連れていくことが何に繋がるのかが想像がつかない。とはいえ、ゴウにとってはメンバー達の次に親しいと言っても過言ではない、フォックスの頼みを邪険にすることは忍びなく思った。
「んー……分かりました。丁度今日の午後に集まりがあるんで、一緒に来ますか?」
それを聞いたフォックスは地面に着けていた尻尾をぴんと立たせると、ずいっとゴウの目の前に顔を突き出した。
「いいの!? 正直ダメ元だったんだけど……っていうか今日? 急だなー……でもいっか、早いに越したことはないし。ありがとう、オーガー!」
「ど、どういたしまして。それじゃあ、待ち合わせ場所なんですけど──」
顔を輝かせて喜ぶフォックスにどぎまぎしながら、ゴウは対戦の残り時間でアウトローへ案内する為の待ち合わせなどの諸々をフォックスと決め始めた。