アクセル・ワールド・アナザー 無法者のヴォカリーズ 作:クリアウォーター
第四十五話 両営激突
思えば、『彼』の第一印象はほとんど最悪だったと、晶音はあの頃を振り返れば、今でも断言できる自信がある。
現在より七年以上前。
当時、世田谷区の病院に入院していた父親のお見舞いに、母に連れられ通っていた晶音は同い年の男の子に出会った。
その日の父は眠っていて、父の容態についての母と医師との難しい話に手持ち無沙汰だった晶音が、病院内にある児童用の待機スペースで母親を待っていた時のこと。知らない少年に声をかけられた。
──『君、よくこの病院に来ているよね。でも……君は元気そうだし、誰かのお見舞いなのかな?』
それがブレイン・バーストプログラムを晶音にコピーインストールした《親》、如月経典との出会いだ。
経典は不思議な雰囲気を持つ男の子だった。
当時、どちらかと言えば引っ込み思案だった晶音は、もう少しで小学三年生に進級する時期にもかかわらず、クラスどころか学年でも友達と呼べる子はほとんどいなかった。この時も初対面ということもあって、ほとんどまともに受け答えできず、短い相槌を返すのが精一杯だった晶音に、経典は怪訝な顔一つせずに、人懐っこい笑顔でうんうんと頷きながら、晶音と何気ない会話を続けてくれた。
そんな取るに足らない世間話に加え、ニューロリンカーを生まれてすぐから着けていたか、運動やゲームは得意かなど、よく分からない質問をいくつかされた。それこそがブレイン・バーストを得る資格があるかを確かめるものだったのだが、無論、当時の晶音は知る由もない。
後に現在は使用不可能になっている、プログラム適正の有無を調べられるツールの存在を、バーストリンカーになってしばらくしてから知った晶音は、どうして自分にそれを試さなかったのかを経典に訊ねた。すると彼は、「そんなものに頼るよりも、自分の目で見出した人を《子》に選びたかったんだよ」と答えた。この妙なこだわりに関しては、晶音は今でもよく理解できていない。
初対面の日はただ話しただけで終わった。
それからまた何度か経典と会う機会があり、何度目かの対面で、ブレイン・バーストプログラムについて教えられた。更に、望むならアプリをニューロリンカーにコピーをするとも。
しかし、よく分からないプログラムを貰うのは、そのあたりのことを厳しく躾けられていたことを別にしても、さすがに抵抗があったので晶音は断った。
経典は残念そうに顔を曇らせたが、それでも気が向いたら言ってほしいと、無理強いまではしなかった。
経典と初めて話した日から、約一ヶ月後。
気付けば病院に行くと、晶音は自分から経典を探すようになっていた。
いつも会えるわけではなかったし、会っても数分しか話せない日もあったが、経典は身内を除いて、面と向かっていてもスムーズに会話ができる数少ない存在になっていたのである。
そんな経典は病院の通院と入退院を繰り返していて小学校には通えず、特別な措置で籍だけ置いて自宅学習をしていると聞いた晶音は、あまり良いことではないと分かっていても、
経典はそれを聞くと輝くような笑顔を見せ、改めて覚悟があるかを聞いた後に、ポケットから取り出したXSBケーブルで直結通信を開始した(直結の俗説に関しては疎かった当時の晶音は、セキュリティの面を別として、行為自体には抵抗がまるでなかった)。
コピーに成功すると、経典にこの日の夜はニューロリンカーを外さないこと、翌日にまた会うことを約束し、それまではグローバル接続は控えるようにと念押しをされた。
晶音はその日の夜に悪夢を見たが、憶えているのは悪夢を見たということだけで、内容は全く憶えていない。もしやインストールされたプログラムが、何らかの悪質な悪戯だったのかと疑いはしたものの、経典がそんなことはしないだろうと、その考えをすぐに振り払った。
翌日。放課後のお見舞いで病院に赴き、経典との待ち合わせ場所へと向かうと、そこには経典の他にもう一人の男の子、『彼』がいた。
如月大悟。経典の双子の兄である彼は、顔も体つきも経典と瓜二つなのに、目つきだけはやや吊り目気味で、柔和な印象を与える垂れ目がちな経典とは正反対。
晶音が挨拶をしても大悟の態度はどこか素っ気ないもので、聞けば大悟は経典が《子》として晶音を選んだのも、晶音の存在も含めてこの日に初めて知ったらしい。
それを踏まえても、「何でこんな奴を選んだのか」とつまならそうに言われれば、いかに晶音でも自分は元より、経典まで
余談になるが、この時に晶音は自分が本当に譲れないことは、周りに意思をちゃんと伝えられるのだと初めて自覚をした。
大悟との言い合いに発展する前に経典が仲裁に入り、ブレイン・バーストについて簡単な説明を受けた晶音は、当初の目的である《加速》を初めて体感することになる。
全ての感覚が一瞬消え去り、再び戻る。暗闇が消えると、晶音はその光景に目を奪われた。
病院内にいたはずなのに、和風の建物の内部に立っている。窓を覗くと、季節はもう春になるというのに木々の葉は真っ赤な紅葉をつけていて、まるで秋の景色だ。
景色に気を取られていたが、自分の姿形はそれ以上に衝撃的だった。普段使用するフルダイブ用のアバターはなく、体がガラス細工のように光に反射して輝く、透明な人型アバターになっていたのだ。
うろたえていると、何者かに声をかけられる。
そんな経典が「君の対戦相手だ」と指差す方向、十メートル近く離れた場所には、沈んだ青色をした体の各所に数珠を巻いた、僧兵を思わせる出で立ちのデュエルアバターが腕を組んで仁王立ちしている。
これが如月兄弟の分身である、カナリア・コンダクターとアイオライト・ボンズとの出会いだった。
その後、晶音は彼らと共に長い時を過ごすことになる。
充実した輝かしい日々。
いつまでも続くと心から信じていた時間が、最悪のタイミングが重なって終わりを迎えることになるのは、晶音がバーストリンカーになってからほぼ一年後のことだった。
「──ッジ。ジャッジ!」
自分を呼ぶ声に、はっとして我に返った。隣を歩く宇美が心配そうにこちらを覗き込んでいて、晶音は返事もしなかったことを謝罪する。
「あ、あぁ……ごめんなさい。少し昔のことを思い出していました」
「昔のことって……もう、しっかりしてよ? 油断してたら、さっきみたいに罠にかかるかもしれないんだからね」
閉鎖された部屋での水責めによるパーティーの分散から、晶音は宇美に強く抱きしめられていたことで、こうして宇美と離れることなく行動することができている。
水中には石英を発生させられないし、いずれにせよ上下左右も分からずに水流にかき回されていたことで、あの時の晶音にはなすすべがなかった。
レベルが上がるにつれて目をかける機会が少なくなっていたが、自分を助けるくらいに成長した《子》の誇らしさと、《親》なのに緊急時に何もできなかった自分自身の不甲斐なさが、晶音の心の内を半々に占める。
今はそんな場合ではないと分かっていても、自分は《親》だった経典のように、宇美を導けているのだろうかと思わずにはいられない。
そんなことを考えている内に、ダンジョンの景色が固い岩盤に囲まれた洞窟から、異なるものへと様相を変えていた。
「わぁ……!」
広大な地底湖を湛えた砂浜の空間に出たことで、宇美が歓声を上げる。
水底に発光性の岩か微生物を模したオブジェクトでもあるのか、湖全体がエメラルドグリーンに染まり、どういう原理か砂浜はきらめく星のように輝いていて、とても幻想的な風景を魅せていた。
「すごい……。ダンジョンって、こんな場所まであるんだね」
「そうですね。こんな状況でなければ、ゆっくり景色を楽しむこともできたのですが……」
晶音も宇美に同意しながら、美しい光景をのんびり眺めてもいられないことを残念に思う。
踏みしめた足の重みを優しく吸収する砂浜を歩きながら、宇美が何気ない調子で晶音に訊ねた。
「でも一体何なんだろうね、その《秘宝》ってさ。これだけ手間暇かけていても下手したらこのダンジョン、誰も挑戦しないかもしれないでしょ? このダンジョンを考案した人は本当に何考えてんだろ」
「ブレイン・バースト製作者の意図は私にも全く分かりませんが、もしかしすると当初の予定では、もっとバーストリンカーが地方に散らばることを想定していたのかもしれませんね」
「地方に……?」
「仮に現在東京にいるバーストリンカーの三割の人口が、昔から横浜に在住していたのであれば、我々よりも早くこのアトランティスの行き方を知る者が現れていたはずです。ですが、バーストリンカーの九割が東京に密集している現状ではそれも叶わなかったのでしょう」
晶音は自らが口にした『我々』の中に、かつて共に行動をしていた、今は存在しないレギオン《リチェルカ》のメンバー達を無意識に含めていたことを自覚したが、動揺を宇美に悟られまいとする。
「……ともかく、苦労に見合う『何か』があるのは間違いないでしょうね。『ここに辿り着くまでの、仲間と協力した道のりが宝だ』なんて陳腐なものとは考えにくい。ブレイン・バーストも一応ゲームですからね」
「陳腐って……。アンタって大人しそうなのに、案外そういうことズバッと言うよね、昔から」
宇美が半笑いで返し、場の雰囲気が少しだけ緩む。
それでも、晶音も宇美も決して油断していたわけではない。ダンジョン内のどこに危険が潜んでいるか分からないことは、先刻に身を持って体感したことで重々承知していたからだ。
にもかかわらず、その一撃を躱すのはおろか、気付くことさえできなかった。
「──!? っぅあ……」
突如として宇美が奇妙な吐息を漏らし、砂浜に倒れこんだ。
「フォックス!? しっかり! どうしました!?」
晶音が膝を着いて宇美に声をかけるが、倒れ伏す宇美は苦しそうに喘ぎ、小さく
一体何が起きたのかと辺りを見渡すと、すぐにあるものに気が付いた。
宇美の足元の砂浜、その砂の中から毒々しい紫の光が漏れている。
晶音はその光を見た瞬間に過去の記憶が甦った。心意技の発動により溢れ出る
「っ……出て来なさい!!」
怒気を込めた叫びと共に、晶音が強く握る杖型強化外装《クォーツ・ルーラー》の先端が輝く。その感情に呼応したかのように、常よりも鋭く尖った石英が砂中から突き出るが、石英は砂を撒くだけに終わった。
「おぉ、怖い怖い……」
隠そうともしない嘲り声と共に、砂煙の中から一体のデュエルアバターが姿を現す。
細い体型に両手には鋏の形をした二又の手甲、弁髪のように後頭部から垂れ下がったパーツの先端に揺れる鉤爪型の針。そして紫色に輝く透過装甲の質感は、クリスタル・ジャッジの水晶装甲と非常に似通っていた。
「やあどうも。お久し振りですね、ジャッジさん」
晶音にとってただ一人の仇敵ならぬ怨敵であるアメジスト・スコーピオンは、まるで気負いもせずに片手を挙げて挨拶をしてきた。
「いやはや……私も運が良い。こうして自分のミスを修正する機会が巡ってきたのですからね。日頃の行いのおかげでしょうか?」
癇に障る物言いをするスコーピオンが続ける。
「困るんですよねぇ、このアトランティスの存在を知る者が、我々エピュラシオン以外にいられると。案の定、あの時取り逃がしてしまった貴女は前回、前々回とアトランティスが出現する度に入口を張り込んでいた」
「……見ていたのですか。一体どこから──」
「今となっては、どうでもいいことでしょう? もっとも、張り込む貴女を一時間も監視したら、早々に帰りましたが。融通の利かない貴女のことだ、大方アトランティスの道が消えるまで、何週間も張り込んでいたのでしょうがね」
晶音は気付かれずに様子を見られていたことや、図星を突かれたことよりも、さも気心が知れた仲間であるかのようなスコーピオンの口調がとにかく不愉快だった。
大悟から似たようにからかわれる時は、口では即座に否定しても内心はさほど嫌ではないし、どこか温かみも(不本意ながら)感じられた。
だが、スコーピオンからはこちらへの侮蔑、
「おかげでわざわざ我が主に邪魔者が来る可能性を考慮して、すぐにダンジョンへの突入するよう進言し、海の中を泳いでダンジョンの入口まで行く羽目になってしまいましたしね。入口までの道が作られる数時間前から、ダンジョン自体は出現する仕様で良かったですよ。もう主に渡してしまいましたが、ここに暗記されているくらいにあの本を塾読した甲斐もありました」
そう言ってトントンと自分の頭を指でつつくスコーピオン。
晶音は『あの本』という単語に心がざわめき立つも、歯を食いしばってこれに耐える。
「それにしても、主の慧眼には恐れ入りますよ。一度だけ、それも偶然出会っただけの彼らを見て、ここに来るであろうと予期していたのですからね。私がそれとなく情報を掴んだ
「彼ら……?」
「とぼけることはないでしょう、情報は掴んでいます。貴女の古巣だったアウトローのことですよ」
「!?」
これには晶音もさすがに予想外だった。
晶音がアウトローに所属していたのは六年以上も前のことだ。こうなると情報元の存在が気にかかる。
「ここに貴女がいることが何よりの証拠です。貴女はかつての仲間達に援軍を要請して、ここに乗り込んで来たのでしょう? さすがに一人でダンジョンに乗り込むなどという愚考を犯すとは考えられない。それに、東京を離れていたという貴女に彼らの他に手を貸す存在が他にいるとも、また考え辛い」
先週にアウトローと再会しなければ、一人で乗り込むことも考えていた晶音はそのことについては触れずに押し黙り、倒れている宇美を横目に見る。
スコーピオンと話している間も宇美の状態は一向に回復せず、苦しんでいるようだった。
「そこのお嬢さんでしたら、ご心配なく」
晶音に先んじてスコーピオンが答えた。
「心意の毒ですがダメージはわずかですし、体力が徐々に減少しているわけでもありません。──ただ、痛みは別です。全身が焼けるように熱く、まともに立ち上がることもできないでしょうねぇ」
嗜虐的なスコーピオンの口調が、どこまでも晶音の心を逆立たせていく。
──大丈夫、まだ大丈夫。あれは挑発。そんなことは分かりきっているのだから。
必死に自分へ言い聞かせる晶音に、スコーピオンは後頭部から伸びる毒針を揺らしながら言葉を付け足した。
「彼女を殺すのはジャッジさん、貴女をまず殺してからです。そうして交互に、互いの死ぬ姿を見せてあげましょう。──運が良ければ全損に立ち会えるかもしれませんよ? ほら、リチェルカの皆さんの死に目には遭えなかったでしょう? 私はきっと貴女がさぞ心残りだったと──」
リチェルカという単語が出た瞬間。晶音がどうにか形を留めていた思考が決壊した。
折れんばかりに握り締めた杖が空気を切り裂いて振るわれ、裏切り者の
ゴウがひたすらに進み続けた末に辿り着いた先は、天井が半球形のドーム状の構造をした場所だった。
壁面を支える無数の柱は、一本一本が大木の幹のように太く、そして高い。
そんなドームの中心には、一体の俯いているデュエルアバターが腕組みをして立っており、ゴウに苦い記憶を甦らせる。
全身がシルバーグレーに輝く、屈強な体格をしたメタルカラーのエピュラシオンメンバー、チタン・コロッサルはゴウの気配に反応したのか、閉じていたアイレンズを開き、真正面からゴウを見据えた。
「貴様はあの時の…………聞くが、ここへ来るまでに誰とも出会わなかったのか?」
「誰とも? あ、ああ……。会わなかったけど、それがどうした。いや、それよりも……僕がこの場にいることに驚かないんだな」
「貴様らアウトローがここに来る可能性は、主が懸念されていたことだ」
感情がほとんど窺えないコロッサルの返答に、ゴウは内心で動揺しながらも、コロッサルが主と呼ぶエピュラシオンのレギオンマスター、プランバム・ウェイトがアウトローのアトランティスへの進入を予期していたということを受け入れる。
「だったら今の言い方からして、エピュラシオンのメンバー達はあんたみたいに、奥に僕らが進むことを妨害しているんだな? わざわざメンバーが散開してまだダンジョンに留まっているってことは、プランバムは奥で何かをしているのか?」
「ほう……」
ゴウの推測に、コロッサルはわずかに感心したような声を漏らした。
「中々どうして……。以前会った時は暴れ回るしか能がない印象しか持たなかったが、存外に頭も多少は回るようだな」
「その態度は正解ってことか」
「如何にも。この場所の先に主はおられる。無論、貴様を通す気はないが」
余裕の表れなのか、ゴウの質問に対して淀みなく答えるコロッサルが首だけを動かして示した先、その壁面には一ヶ所だけ通り道になっている所があった。どうやらあそこが奥へと繋がっているらしい。
「ここには貴様が一番乗りになるが、このダンジョンの入口へと続く正規の道が現れてからここへ入ったのならば、この場所へ辿り着くまでの時間が妙に早い。その上、見たところダメージもほとんどないようだ……。よもや、罠が無い道を通ってきたとでもいうのか?」
「まさか……罠ならあった。そりゃあもう、いろいろと」
訝しげに疑問を放つコロッサルの迫力に飲まれないように、敢えて強がりを含んだ何気ない調子でゴウは答えた。
ゴウはここまで、ただひたすらに迂回せずに、道なりに沿って進んできたのだ。
持ち前の《剛力》アビリティと必殺技を駆使して、押し潰そうと転がり迫る大岩を粉砕し、鍵の付いた大扉をぶち抜き、壁の左右から突き出される槍を回避し、落とし穴の壁に指をめり込ませてよじ登った。
とはいえ、それを加味しても仲間達がまだ来ていないことから、どうやら最初に激流に流されて、割とダンジョンの奥の方まで流されていたらしい。
「……でも、まっすぐ進んでここまで来た。そして、やることは変わらない」
ゴウは体を半身にして構えた。
これまでの罠など比べ物にならないほどに、手強い障害が目の前にいる。
約二週間前に暴走状態で心意システムを発動して放ったゴウの攻撃を、コロッサルは同じく心意を用いていたとはいえ、難なく受け止めてみせたのだ。
大悟との修行により心意技を修得したゴウだが、基本的に心意技は相手が使用しない限り、使わないように言いつけられている。
心意技なしでどこまで通じるかは分からないが、ここまで来て戦闘を回避するなどという選択肢はゴウにはなかった。
「──成程。どうやら、前回と同じと判断して良い相手ではないようだ」
構えを取ったゴウを見て、問答は終いとばかりにコロッサルは組んでいる腕を解いた。
「以前は自ら名乗らなかったが、改めて名乗らせてもらおう。エピュラシオン副長、レベル8のチタン・コロッサルだ。主の宿願へと続く道の先に進ませはしない」
「……アウトロー所属、レベル6のダイヤモンド・オーガー。──押し通る」
コロッサルに倣って名乗りを上げたゴウは、最後に自分を鼓舞させる意味合いを持った言葉を発してから駆け出す。同時に引いていた右腕を振り抜き、格上相手に先制の正拳突きを放った。
対するコロッサルも、子供の胴回りほどの太さをした腕による右ストレートで、ゴウを迎え撃つ。
ダイヤモンドとチタン。二つの拳の衝突音が、まるで戦闘開始のゴングのように、ドーム全体に響き渡った。
こうして、アトランティス各所でほぼ同時にアウトローとエピュラシオン、両メンバーによる戦闘が開始したのだった。