アクセル・ワールド・アナザー 無法者のヴォカリーズ   作:クリアウォーター

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第五十七話

 第五十七話 見上げる僧兵は矜持を胸に

 

 

 戦闘行為において体の大きさとは、言うまでもないアドバンテージだ。

 ライト級ボクサーとヘビー級ボクサーがひたすらに殴り合っていれば、おそらく先に沈むのは前者だろう。

 窮鼠(きゅうそ)が猫を噛めば、一度は猫も怯むだろうが、その後の猫の反撃でネズミは死ぬだろう。

 それは基本として、大きいものは小さいものに比べ体力的に、そして筋力的に優れているからだ。

 では今のコロッサルにとって、ウサギほどの大きさしかない自分は勝利することはできるのだろうか。

 巨大化していくコロッサルに押し潰されないように大悟はそう考えながら後退しつつ、その様子を《天眼》を発動しながら観察していた。あまりの信じ難い状況に幻覚系の必殺技の可能性も考慮したが、《天眼》で見る限りは間違いなく実体のようだ。

 やがて巨大化が止まったコロッサルが立ち上がる。大悟の目算で十五メートルに到達しそうな巨体だ。これは必殺技によるものとはいえ、デュエルアバターとしては規格外の大きさである。

 

「『巨大なもの(コロッサル)』とは言ったもんだ。まさか《ハボクック》よりでかいデュエルアバターを見ることになるなんてな……」

「……終わりだ」

 

 思わず感嘆の声を漏らす大悟をよそに、コロッサルは跳躍。

 大悟を軽々飛び越え、震動を響かせ着地したコロッサルは床にクレーターを作り、部屋の入口に向けて、無造作に蹴りを入れた。それだけで入口は壁諸共にあっさりと崩れ、入口は瓦礫の山に埋もれてしまう。

 更にコロッサルは瓦礫をいくつも掴み上げ、奥の出口に向かって放り投げていく。こうして、あっという間に出入口は塞がれてしまった。

 

「逃がさないってわけだ」

 

 これだけの体格差となれば、始めから勝負を諦めるであろう、相手の逃走を阻止するのは実に合理的だ。もっとも、大悟としては逃げる気など始めからないが。

 

「……三分だ。この必殺技は三分間だけこの身を巨大化させ、その後三十分間は使用できない。自分が持つ唯一の必殺技だ」

 

 巨大化の影響か、くぐもったコロッサルの声がドーム中に響く。

 

「そんな技を俺だけに使ってよかったのか? ここに他の奴らが来るかもしれないのに」

「貴様を確実に倒す為ならば──惜しくはない!」

 

 コロッサルが脚をぐっと折り曲げ、溜めを作った後に再び跳躍した。

 頭上めがけて落雷のように降ってきた足に踏み潰されまいと、大悟は全速力で走り出す。

 直後に莫大な質量を持つ物体が地面に落下したことによる、先の比ではない震動が部屋中を駆け巡る。

 

「チッ……!」

 

 床に突き刺さったコロッサルの足を中心に、部屋の床全体に放射状の亀裂が広がるのを、直接視認せずとも《天眼》によって把握した大悟だったが、震動に足を取られることを強いられ、転げながら前進していく。

 重量級アバターの踏み付けは、軽量級アバターの移動を阻害させる震動波を起こすことも可能ではあるが、これではもう災害の規模だ。

 ──野獣(ワイルド)級通り越して、下手すりゃ巨獣(ビースト)級エネミー以上だな。一撃でもまともに受けたら即死か……。

 すぐに体勢を立て直し、大悟はコロッサルを見やる。

 現在の大悟の体力は残り七割弱だが、今のコロッサルでは無傷の状態であっても大差はないだろう。

 ──ともかく動かないことには話にならないか……! 

 数秒前より格段に悪くなった足場を引き返し、大悟はコロッサルの背後に回り込む。そのまま助走距離を取って右腕に力を込めたまま跳躍し、コロッサルの右脚の膝裏へと掌底を打ち出した。

 

「──カァッ!」

「ムウゥッ……!?」

 

 読み通りコロッサルの巨体を支える関節部分に強い力が加わることで右膝、続けて少し遅れて右手を床に着き、前のめりに体勢を崩した。

 大悟はその震動に足を取られないように気を付けつつ、今度はコロッサルの左側に回り込み、彼の膝を立てた左脚を一息で登ると、全身のバネを利用して再度跳躍。コロッサルの顎めがけて、先よりも力を込めた掌底を叩き込んだ。

 

「喝!!」

 

 顎へ強い衝撃を受けたことで巨人がぐらつく。

 ところが、そんな中でもこちらにしっかりと向けられた視線に射抜かれ、大悟の全身が警報を発するかのように総毛立つが、もう遅かった。

 

「ごぉっ……!!」

 

 ハエでも払うような動きで振るわれた、大樹の幹ほどの太さをした腕によって、大悟はくの字に折れ曲がって吹き飛ばされた。《天眼》によって攻撃を読めても、空中で攻撃は避けようがない。

 

 ──受け身……! 受け身を取らないと死ぬ……!! 

 

 部屋の壁に猛スピードで迫る中、大悟は思考よりも先に反射的に両腕が動き、どうにか壁へぶつかった衝撃を減少させた。それでも体の半分がめり込み、意識が飛びかける。体力ゲージが一気に三割減少し、イエローゾーンへと到達していた。

 特別に力の込められていない、腕で払うだけでこの威力。大悟は自分の見立てが甘かったことを思い知らされた。もう二回も同じような動作に当たるだけで、この身は確実に砕け散るだろう。

 しかし、それでも大悟は絶望していなかった。

 

「あぁ……これ……だ。こうでなけりゃ……いけない」

 

 むしろその逆に、喜びが混じった掠れ声で大悟は呟くと、体を壁から引き剥がして両の足で立った。

 

 

 

 真剣勝負における強者との一騎打ち。

 つまりは対戦こそが、かつての大悟にとって、ブレイン・バーストにおける本懐だった。

 全力で走ることは最悪、死にさえ繋がるほど虚弱だった幼少時代。

 近接戦闘主体の僧兵を模した、自らの分身であるアイオライト・ボンズは健全な肉体に対する憧憬、体感し得なかった未知なるもの故の恐れに加えて、宗家ではなくとも仏門の家系に生まれたという、幼いながらの自覚が混ざり合って生まれたデュエルアバターだと、大悟は推測している。

 ある日突然送られてきた、思考の加速を可能にする送信元不明の対戦格闘ゲームアプリ。

 初めての対戦相手は弟の経典。対戦フィールドは《草原》ステージだった。

 無論、現実で広大な草原を訪れたことなど一度としてなかったが、他のフルダイブ空間とは段違いのクオリティーに、七歳の大悟は感動を覚えたものだ。きっと経典も同じように感じていたと思う。

 戦いもせずに経典と一緒に夕焼け空の下、金色をした草の海をひたすらに走り回った。本当に自分の脚を動かしているような感覚にはしゃぎすぎて転び、地面に擦った膝の痛みさえも嬉しくて、たっぷり対戦時間終了まで動き回り現実世界に帰還すると、経典と二人で泣いた。辛く苦しく、悲しい時以外にも涙は流れるのだと、この時に初めて知った。

 当然と言うべきか、大悟がブレイン・バーストにのめり込むのに時間はそうかからなかった。

 しかし、レベルが一つ、また一つと上がるにつれて対戦相手が新たな必殺技を取得していくのに対し、大悟のボーナス選択項目に必殺技が表示されることは一度としてなかった。大悟が知る中で同様のケースの人物は一人もいない。

 

 ──『大悟は優しいから、必殺技が覚えられないのかもしれないね。ほら、必ず殺す技なんて、大悟らしくないもの』

 

 何の根拠もない意味不明な理論を、自分よりも遥かに温和な性格の経典に言われても釈然としなかったが、無いものねだりはできないのも事実。勝利を得る為に、大悟にはアイオライト・ボンズの動きを洗練させていくしか道はなかった。

 あらゆる武術の技、体運び、呼吸法に至るまでネットで貪欲に漁っては、試行錯誤しながらアバターの動きに組み込んでいく。当然ながらそう簡単に身に付くわけもないので、モノにするには反復と実戦あるのみ。多種多様な対戦相手が必要だった。

 こちらの身を案じる大人達に経典と一緒にせがんでは、住んでいる世田谷の外にもできる限り足を運び、誰彼構わずに対戦をしていく。そうして戦っている内に、いつしか《荒法師》と呼ばれるようになっていた。

 そんな大悟は、最初から宿していた《天眼》アビリティの強化や、様々なタイプの相手に対応する為、薙刀型の強化外装である《インディケイト》をレベルアップ・ボーナスで取得などもしたが、無手での勝負を何より好んだ。相手が同様に徒手空拳を用いるデュエルアバターであれば、尚更に燃えた。

 修行の成果を魂の分身であるデュエルアバターの体を駆使しての肉弾戦は、己が生きていることをより強く実感させてくれるからだ。

 やがて、対戦を交えてできた幾人もの戦友、共に加速世界を過ごすかけがえのない仲間達。そして、偶然ながらも運命的な直感を信じて選んだ《子》であり弟子となった少年に出会った。

 己の研鑽する中で、ブレイン・バーストに秘められた心意システムの存在を知り、体得していった。

 加速世界の東京の様々な場所を巡り、時には東京に隣接する他県のエリアまで足を運び、そうして長い時を経て精神年齢と肉体年齢に大きな差が開いた現在。大切なものは初めの頃より遥かに増えた。

 昔より落ち着きこそすれ、それでも死線の境での強者との闘いに気持ちは昂ぶり、血が騒ぐ点は変わらない。

 それが如月大悟という男の魂の形である。

 

 

 

 コロッサルはこの事態を半ば信じられなかった。

 必殺技《バルクアップ・ヒュージ》の発動条件は、体力ゲージが半分以下まで減少した状態で、必殺技ゲージがフルチャージ状態であること。加えて発動後の三十分間は使用不可能な為、通常対戦では実質一度しか使用できない、非常にシビアなものである。

 しかし、それらデメリットを補って余りあるほどに巨大化は絶大で、これまでにこの状態のコロッサルを倒したバーストリンカーは、心意技の使用を除けばプランバム・ウェイトただ一人だけだ。

 これまで相対してきた敵は、その誰もが発動時間終了までひたすら逃げ回るか、勝負を諦めていたというのに、この男は違う。

 

「はは、ははは、ははははははははははぁ!!」

 

 何倍もの体格差がある相手にまるで臆さず、先のコロッサルの一撃によって、上半身に纏っていた着物型の装甲は砕け散り、ボロボロになった頭巾も自ら剥ぎ取った半裸の僧兵は、哄笑(こうしょう)しながら立ち向ってくる。

 その姿がコロッサルの目には、戦いに喜びを見出す修羅や羅刹の類に映った。

 ──鬼の《親》はやはり鬼か……! 

 仲間であるインディゴ・クロコダイルも非常に好戦的な男ではあるが、それよりもボンズは数段階深い地点にいるようにコロッサルは感じ、戦慄さえ覚える。

 ボンズは合間に《天眼》を発動して先読みしているのか、こちらのパンチや踏み付けは当たらず、同時に発生する巨体が動く震動や、床が砕けることでできる大小の瓦礫にもほとんど影響を受けないように立ち回る上に、こちらの隙を見逃さずに攻撃まで入れてくる。

 一度に受けるダメージは微々たるものだが、それでも何度も食らっては無視できないし、必殺技の制限時間はすでに半分を切っている。このまま倒しきれずに元の大きさに戻ってしまえば敗色は濃厚だ。

 ──駄目だ……それだけはできない。この男を主の元へ行かせては……! 

 プランバムを除くコロッサル達エピュラシオンメンバーは、万が一にも計画を妨げる可能性を排除する為に、こうしてダンジョン各所に分散している。

 止むを得なかったとはいえ、すでに一人通してしまっている今、これ以上何人たりとも進ませるわけにはいかないのだ。

 

「潰れて……消えろ!」

 

 コロッサルは右手に意識を集中しつつ、その場で大きく跳躍してから、勢いよく床を踏み付ける。すぐに大震動が部屋中を駆け巡り、ボンズの足をその場に留めた。

 

「《鋼墜星(ティタン・フォール)》!!」

 

 コロッサルは高く掲げた右手に鈍色の過剰光(オーバーレイ)を発動させると、右手が更に十倍近く巨大化した。

 どんなに強力であっても、存在が広まれば加速世界に混乱を招くことが明白な心意技の使用は、基本的にエピュラシオンメンバーは禁じられている。ただし、今回は特例として目的達成の為に、レギオンマスターであるプランバムから使用の許可が出ていた。

 とはいえ、あまり融通の利かない性格のコロッサルには、普段使うことのない力を無闇に使用することには(いささ)かの抵抗があり、必殺技を使用すれば片はすぐに着くとも思っていた。それもこの状況では、己の驕りであったと認める他ないが。

 しかし、この攻撃範囲ならば動きの止まったボンズを確実に、かつ一撃で倒すことができるだろう。

 ──これが我が全力。さらばだ、強敵よ……!! 

 

「オオオオオオオオオオォォ!!!!」

 

 もはや隕石といっても過言ではないチタンの拳が、部屋諸共にボンズを破壊せんとばかりに振り下ろされた。

 

 

 

 大きいものは小さいものよりも強い。それは純然たる事実である。──少なくとも現実では。

 では加速世界ではどうなのだろうか。答えは──。

 

「《天部(デーヴァ)風天(ヴァーユ)》……!」

 

 心意技による巨大な拳が迫る中、大悟もまた心意技を発動する。足下を蒼い風が包み込み、一本下駄に足部の形状が変化すると、初動から通常の全速力を遥かに越える速度で前へと駆け出した。

 

「な──!?」

 

 過剰光(オーバーレイ)の残像を線のように引く、ほとんど瞬間移動と変わらない動きにコロッサルが驚愕の声を上げる。

 コロッサルの心意技は見るからに強力だ。しかし、どれだけ大きくてもそれはあくまで手。腕の先に付いている以上、コロッサルの体に近付いてしまえば、攻撃の範囲からは外れる。ましてや、すでに振り下ろした状態で、自分の体の三分の二に近くまで拳が巨大になったのならば、肘を曲げるなどの軌道を修正する動作はもうできない。

 

 ドゴォォォォォォォォォォ!! 

 

 コロッサルの打ち下ろした拳によって床に大穴が開くと同時に、伝う衝撃が全周囲に亀裂となって走った。ドーム状の部屋を支える柱の何本かが崩壊していく。

 そんな大規模な破壊に巻き込まれず、コロッサルの懐に入り込んだ大悟は強化された脚力で垂直跳びをした。

 

「喝!!」

 

 そのまま百八十度真上に蹴り上げた右足が、コロッサルの顎へと打ち込まれる。

 顎への強い衝撃は脳震盪を引き起こす。人の形を取っている以上、大きさが異なっても例外ではない。巨大化状態のコロッサルに大悟が最初に顎へ掌底を放ったのも、これが狙いであった。

 先程はぐらつかせこそしたものの、威力が足りずに手痛い反撃を受けてしまったが、今度の心意技で強化された蹴りは威力が数段違う。

 

「グゴッ!? オオォ……!!」

 

 威力と範囲故に持続時間が短かったのか、右手が体相応の大きさに戻ったコロッサルは、呻きながら緩慢に後ろへと仰け反っていく。

 地面に着地した大悟は急いでコロッサルの背後に回り込むと、《天眼》を発動させながら立ち位置を調整して待ち構える。他でもない、この巨人を倒す為に。

 脳が揺れ、足下が覚束(おぼつか)なくなったコロッサルが、とうとう真後ろに倒れ込んできた。

 

「《天部(デーヴァ)地天(プリティヴィー)》」

 

 囁くように発声する大悟の手首足首、首に腰と、体の各所に巻かれた数珠型の装甲が一斉に輝き出し、回転を始めた。すると、数珠は回転しながら体に纏わり付くように増殖していき、目元と足裏を除いた全身を包み込んだ数珠の鎧が完成する。

 集中力を研ぎ澄ませ、大きく息を吸い込む中、コロッサルの広大な背中が迫る。そうして大悟は右足を力強く踏み締めると、両腕で掌底を打ち出した。

 

「────喝!!!」

 

 全身の力を練りに練り上げて放った渾身の掌底が、大木の切り株のように太い巨人の首に直撃する。

天部(デーヴァ)地天(プリティヴィー)》は《装甲強度拡張》の心意技で、全身に纏り付いている数珠は様々な攻撃、衝撃を回転することで周囲へ受け流して無効化する。

 今回使用した理由は、《攻撃威力拡張》の心意技《天部(デーヴァ)火天(アグニ)》では、現在のコロッサルの質量に耐え切れずに潰れてしまうからだ。

 それに向こうの残り体力の状態が確実には把握できない以上、隙ができてしまう威力の高い攻撃をしても、反撃を受ける可能性がある。故に大悟はコロッサルの倒れた勢いも利用して、一撃必殺の攻撃(これまで与えたダメージも加味しての話だが)を放ったのだ。コロッサルの首──すなわち延髄に。

 

「カ……ガハッ……!!」

 

 己の全体重と大悟の攻撃が一点に急所へと集中し、頭部のみが接地していない状態で仰向けに倒れて動かなくなったコロッサルが、やがて口を開いた。

 

「ひ、一つ……聞く。何故……自分がひ、必殺技を使ってからすぐ…………心意……使わなかった……か」

「……相手が心意技を使わない限り、俺は心意技を使わない。対戦において、裏技に頼る気はないからだ」

「その、まま…………は、敗北したとしても……か?」

「使わない。理由は何てことない、ただの意地だよ」

 

 コロッサルの頭部を支える形になり、途轍もない重量を逃がす為に、全身の輝く数珠が高速で回転している大悟は、息も絶え絶えなコロッサルの問いに対して淀みなく答える。

 リキュールやキューブ、それにゴウにも、大悟は相手が心意技を使用した時の迎撃にのみ、心意技を使うように教えていた。《心の傷》に引き込まれてしまうという理由もあるが、ゲームバランスを崩しかねない上に、それを運営が意図的に容認している心意技を、大悟は純粋な対戦で使うのを好ましく思っていないからだ。

 たとえ、心意技の修得が並々ならぬ努力の上で行われたものだとしても、ルール外の力を片方が一方的に使える展開の何が面白いというのか。

 

「…………そう、か」

 

 コロッサルは大悟の返答に納得したように短くそう返事をすると、吐息混じりのかすかな声を出す。

 

「主よ……。もうし、わけ──」

 

 首の表面が砕け、大悟の手がより深く食い込むと、コロッサルは言葉を言い終える前に体力が底を尽きて爆散する。

 それから大悟は心意技を解除すると、鈍色をした死亡マーカーの前で、しばし手を合わせて黙祷(もくとう)をしてから口を開いた。

 

「……全霊で応えてくれたことを感謝する、チタン・コロッサル。この戦い、俺は忘れはしない」

 

 大悟はそれだけ言うと、一つの決着を着けるべく、塞がれた奥に繋がる道の開通を始めた。

 


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