スレ違いからの不仲。学生の内なら一度はあるはずだ。
陸軍第4方面憲兵大隊第1中隊長笹熊正敏大尉は自衛隊クーデター前はどこにでもいる陸曹の一人であった。いや、どこにでもいるというのは間違いである。彼は自分の恋人を殺されていた。学生の内に。警察官の道を行かず、自衛隊のクーデターに賭けた。憲兵になりそいつを殺す。それだけのために生きた。
「大尉。ヤツが来ました。黒のセダン。助席の後ろの席恐らく防弾チョッキ着用。」
「はい了解。引き続き監視を続けよ」
2034年12月4日極左翼集団壊滅への第一歩。第1中隊維新隊に下された暗殺任務。引き金は中隊長自ら引く。手を汚すのは慣れている。もう何人殺したかわからない。クーデターは2024年。10年で暗殺任務はいくつあっただろうか。AIに任せればいいものを今もヒトが行っている。ハッキリ言うと時代遅れだ。周りの中隊は半分機械化されている。戦果は第1中隊が一番であるが。
「目標車両から下車。建物へ入ります。」
「小包爆破。車両にヤツを戻せ。東名に乗せろ。我々が追尾する。どこか適当なところで殺すぞトラックに分乗、挟んで撃つ。」
「中隊長から各局。トラックへ分乗。東名で殺す。」
『維新隊了解』
『雷鳴隊了解』
『散桜隊了解』
『天誅隊了解』
「総員生きて帰れ!」
『『『『おう!』』』』
「失礼します!」
「入れ」
「はっ!報告します!極左翼集団ボス目標D1は本日午後4時20分愛知県と静岡県県境付近、東名高速道路上にて射殺。憲兵中隊維新隊は任務完了。現在同地点にて散桜隊天誅隊が事後処理中。なお戦死戦傷者なし。民間人にも死者受傷者なし。目撃者も今のところいません。」
「お~よくやってくれた。第4方面の秩序は守られた。憲兵隊長よくやってくれた。維新隊によろしく伝えておいてくれたまえ。」
「はっ!ありがたいお言葉であります!早速伝えます。失礼します!」
「報告ご苦労様」
同日午後6時に第4方面司令長官磯田次郎元帥に憲兵隊長横田正義中佐から報告できた。目標はトラック三台に囲まれ笹熊大尉と天誅隊小隊長佐藤勤少尉の手により射殺された。同乗者3名も同じ運命をたどった。死体は陸軍第4方面病院に運ばれ、本人か確認した後、火葬に付した。骨は海へ散骨。車両は東富士演習場に持ち込まれ戦車戦闘訓練の目標となった。
「佐藤。なぜ引き金を引いた?俺だけでよかったんだ、手を汚すのは。」
「中隊長…言ってませんでしたが奴等の爆弾で親父が死んでます。令和5年自衛隊クーデター反対テロ事案のことです。警察は奴等を捕まえれなかった。証拠がなかったから。俺は許せなかった。奴等がやったのは明白だったのに証拠不十分で家宅捜索出来ず、任意事情聴取も出来なかった。正直腐ってると思いましたよ。国会議員が圧力かけてたみたいだったし、今日ヤツを殺せて満足ですよ…」
「警察は無力だ。だから軍に入ったのか。俺と同じだな。しかし命令無視の軍規違反だ。罰として車両整備を言い渡す。親父さん、幸せ者だな。」
「中隊長…ありがとうございます…」
その目には涙が溜まっていた。笹熊大尉の目にもであった。
自衛隊がクーデターを起こしたのは2024年。それまでの不満が爆発したと言うよりは防衛相の不祥事による内閣総辞職に対してこれを捏造し、内閣総辞職に追い込んだ新聞社に向けた一種のデモに近いものであった。しかし左側の政党や新聞社の攻撃により、関係のない民間人が巻き込まれたことにより、事態は急変した。天皇陛下に
直談判を行ない明治維新の状態にし、速やかに治安回復及び国家の革新を行うことを令和天皇陛下自らの口で国内外へ発信していただき、戒厳令を敷いた。ある新聞社は独裁と言論統制であると批判した。しかしそれは間違いであった。軍は内閣へ組み込まれることはなく、防衛大臣から国防大臣へとなったが、国防大臣は現役武官ではなく、引退武官。もしくは強いパイプを軍内に持つ者とされた。当然歳を重ねられている者ばかりではあったが、方面軍との力強い協力体制により軍はより良い方向へ向かっていった。天皇制が復活するのではなく、天皇陛下自らが内閣に向け助言をするもしくは質問するという形で独裁ではなく民主主義を貫いた。左側の政党は一部を除き解党いや、壊党へなった。もちろん裏では軍が動いた。米国との関係も変わった。さらに対等な関係になった。ロシアとも関係は一層強くなり、対等になった。革新も成功したのだった。ここまでに丸3年は掛かった。しかし、日本は成長したのだ。
「ここまで来ることができたよ。見ててくれたか?ヤツはまだ地獄に落とせてない。しっぽさえ掴めてない。でも必ずし地獄に落とす。この手で」
2034年12月8日大切な人の命日だ。ヤツに殺されてからこの日に来なかったことはない。クーデター中でもだ。
「今はさ、憲兵率いてるよ。第4方面のね。戦果あげてるから担当方面の学校で軍事訓練するように言われてさ、嬉しいけど不安だよね。なんか戦車とか部活あるらしいよ。専門外だよ?」
「笹熊大尉でありますか?」
「いかにも」
「お初にお目にかかります!私立黒森高校戦車道部部長寄岡霞であります!」
戦車道兼次期憲兵隊員養成始めます。
こんな感じでいきます。