自衛隊のクーデターはかなり前から計画されていた。まだ防衛庁時代に内密に計画され、防衛長官自らその計画を封印したこともあった。まだ旧軍の体制が残っていたことも影響していたと思う。外に漏れれば叩かれるのは必至。下手すれば内閣総辞職、政権交代。
「笹熊大尉。第4方面司令長官から命令。凶悪殺人犯逃走中。即刻犯人逮捕もしくは、射殺を許可する。民間人に見られず、受傷なしで解決願う」
「了解しました!因みにそのニュースは外に出ますか?」
「いや、出ることはない。例え射殺しても凶悪殺人犯逮捕。逮捕時に受けた傷が元で死亡となるだろう」
「汚れ仕事ですね」
憲兵の仕事は多岐にわたっている。この命令もそうだ。外に出ることはない。暗殺みたいなものだ。2034年12月20日のことだ。
「維新隊犯人潜伏場所に到着。作戦開始します。」
「フタイチサンマル作戦開始。抵抗された場合射殺も許可する。」
「フタイチサンイチ維新隊突入。」
「散桜隊と天誅隊はどこに行った?」
「高校で戦車道教えてますね」
「ああそうか、今日はその日だな。作戦に間に合わなかったか」
『維新隊から中隊長宛。犯人抵抗のため射殺。繰り返す犯人抵抗のため射殺』
「了解。こちらに怪我人はいるか?」
『怪我人なし。いや、突一犯人抵抗時にハンマーで殴られヘルメット破損。目立った傷はなし。されど検査が必要と見ています』
「わかった。突一を中隊指揮車まで下げさせろ。ジープで陸軍第4方面病院に運ぶ。維新隊建物の検索を続けろ雷鳴隊建物内に進入。死体処理と建物検索支援にあたれ死体は陸軍第4方面病院へ搬送」
「現時刻フタイチサンゴウ突入作戦終了。同時刻より建物内検索開始!」
『維新隊了解』
『雷鳴隊了解』
「少尉、俺は憲兵庁舎に戻って報告してくる。なにか出たら無線で知らせてくれ。明日は黒森高校に行くから各人トレーニング等に励むように言っといてくれ。お疲れ様。」
「わかりました。車出しますがどうしましょう?」
「今日も明日も自分で行く。たまには副官と言うことを忘れて休め横浜少尉。」
『明日クーデター決行?まさか…』
『いや、今日の夜中に戦闘999発令らしい。師団長が副官と話してたのを聞いたんだ。間違いない』
『戦闘999?戦時緊急時呼び起こし番号じゃないか。本当にクーデターを?』
『わからんが大変なことがおこるぞ』
タイ イイ タイ 尉 大尉 大尉!」
「はっ!うとうとしてしまった。すまない」
「大尉。ここ最近働きっぱなしじゃないですか。少しは休んでください。体壊しますよ。」
「もう若くないってことかな?大好きな戦車の前で嫌な夢見てしまった。」
「今年で39ですか。とても見えませんね。」
「佐々木少尉はまだ30か。若いな」
「たった9歳の差ですよ?変わりませんよ!」
「その差はデカイぞ。今はわからんかもしれんが。」
「そんなもんですか…」
「で、これはなんだ。ある戦車かき集めてこれか…38t戦車12両内3両エンジン焼き付きで不動車。なんだ砂糖でも入れられたか?」
「ただの錆ですよ。長く動かしてなかったらしいですから。無理もないですよ。」
「あとは四号D型5両内1両動力転輪破損。走行不能。ひどいなこれ」
「かなりひどいですね。ここにはないですけど、倉庫に装甲車が1両ありましたね。錆がひどいしエンジン盗まれてないし。」
「戦車道の生徒は10人か。四号2両あれば足りるな。マネージャーはいるけど装甲車動かないから練習参加は不能か。第4方面司令長官に掛け合って工作隊を派遣してもらうか。まず動力転輪破損の四号のエンジンを装甲車に移植するぞ。」
「笹熊大尉は魔改造がお好きですね。使わなくなった九六装輪装甲車のエンジンジープにぶちこもうとして方面司令長官叱責処分になったこともありましたね。」
「あのあと腹立って方面司令官の自家用車に砂糖ぶちこんでやったもんな。しかも方面司令官犯人隠ぺいかなんかで憲兵に捕まったよな。俺が手錠かけてやった時の顔忘れられないな」
「ははっ、本当にサイコパスですね」
「よく言われるよ。慣れっこだ。」