シリーズモノです。
お悩み相談室は単体でも読めますが、恋愛相談室シリーズから読んで頂くことをオススメします。
私のキラーズ、エロースが何を司っているか、マスターはご存知ですか?
あれ?知りませんか?
ヒントは人と人とが生きるのに大切なアレですよ~
そう!そうです!
「恋」と「愛」を、司ってるんです!
マスター、私達の隊にはうら若き姫達が沢山いますよね?
乙女の原動力は「恋」。
時に繊細で、時に大胆になってしまう…。
そんな彼女達の恋愛をケアしてあげる必要があるんです!
恋と愛を知る私に、彼女達の背中を押させてください!
…………はい!
マスター、ありがとうございます!
さぁ、エロースの恋愛相談室を開講しますよ~!
「許可はしたけど、本当に大丈夫かなぁ……?」
「…………あれぇ?」
恋愛相談室を開いてから数日、誰も訪ねてくることはなかった。
勿論この数日間、ただ手をこまねいていた訳ではない。
恋愛相談室の宣伝を何度もしたし、隊の姫達に何度も声をかけた。
でも苦笑して断られるばかりで、成果の方は全くのゼロ。
「何がいけないんでしょう……?」
原因がさっぱり分からずうんうんと唸っていると、マスターが声を掛けてきた。
「恋愛相談室の方は……、あまり順調じゃないみたいだね」
私の様子に、マスターは察してしまったみたいだ。
「何故か誰も来なくて……。その理由がさっぱりなんです」
「うーん……、皆が恋愛に悩んでる訳じゃないと思うよ」
「大体恋愛も何も、隊に男は僕しかいないし」
マスターの発言を聞き、しばらくポカンとして
「そ、それです!」
思わずマスターの手を握った。
「皆が恋愛に興味を持たないのは恋を知らないから!」
「殿方との出会いの場がないから、彼女達は恋ができないんですね!」
「そ、そうなのかな……?」
少し照れてる様子のマスターに気付くことなく、私の熱はどんどん上がっていく。
「マスター、任せてください!彼女達が理想の殿方と出会えるように、エロースが全力でサポートします!」
「どうするつもりなの?」
「そんなの決まってます!合コンです!」
「えぇ~……」
面倒事の予感にマスターは溜め息をついた。
「恋の駆け引きは既に始まっています!」
合コンをセッティングするにあたり、姫達の好みを知る必要がある。
そんなことを考えていると、桃色の髪の少女が目に入った。
「ティルフィングさーん!」
「エロース、どうしたんですか?……もしかして恋愛相談室の話ですか?」
彼女は苦笑し、腰が引けているようだったが、構わず本題に入った。
「好みの男性を教えてください!皆の恋を育むために必要なんです!」
「え、えぇ!?」
「む、その反応……。もしかして既に意中の男性が?」
「そ、そんなことありません!」
あたふたとしている彼女が可愛いらしくてほっこりとする。
「やっぱり女の子はこうでないと!」
「な、何の話ですか!?」
「二人共、何をしてるの?」
「ま、マスター!?」
マスターの登場に、彼女は慌てふためく。
「マスター、乙女の秘密を聞くのはマナー違反ですよ」
「乙女の秘密……?」
「え、エロースの言うことは気にしないでください!隊の皆がマスターのことを待ってましたよ」
そう言って彼女はマスターの手を取り、皆の元へと歩きだした。
頬を朱に染め、どこか嬉しそうな様子で。
「…………うぅん?」
何かが引っかかった。
ティルフィングさんの表情は、恋する乙女のソレで。
ーーー隊に男は僕しかいないし
「いえいえ、まさか……」
考えついたその可能性に、チクリと胸が痛んだ。
その後も何人かに好みの男性を聞いてみた。
「間違いありませんね……」
隊の皆がマスターのことを意識している。
身近にいる唯一の男の人。
意識するなという方がムリな話だ。
「どうしてこんな簡単なことが分からなかったんでしょう……」
皆、恋愛に興味がないから恋愛相談室に訪ねなかった訳ではなく。
「分かり切ってる意中の殿方の事を、相談するのが恥ずかしかった、ってことですよね」
意中の殿方。
マスター。
他の子達からマスターの話を聞くと、嫌な気持ちが募っていった。
「私も、」
「マスターのこと、好きだったんですね……」
自分の気持ちに気付いてから、恋愛相談室は直ぐに取り下げた。
勿論合コンの話も。
「はぁ……」
私のやっていたことは、皆の迷惑にしかなっていなかった。
その事実を思い出す度に溜め息が出る。
芝生にごろんと寝転ぶ。
「あれ……?」
マスターがこちらに駆け寄ってきている。
何かあったのだろうかと思考を巡らせる。
「エロース」
「マスター……、どうしたんですか?」
「聞いたよ。恋愛相談室、やめたんだってね」
「あはは、訪問者数0人でしたから……」
「それで落ち込んでるの?」
身体を起こして、マスターの問いに答える。
「ちょっと違います。皆に迷惑を掛けてたことは確かにショックでしたけど……」
マスターが好きだと気づけたのに、私が余計なことをしたせいで気持ちを伝えづらくなったことが辛い。
なんて、とても言えそうにない。
「そっか……」
「恋愛相談室、もう少しだけ続けてみない?」
「え、でも……」
マスターの意外な提案に驚く。
恋愛相談室や合コンの話をしたとき、許可はしてくれたけど、良い顔はしなかったから。
マスターは私の隣に座りこんだ。
「僕の悩みを聞いて欲しいんだ」
「は、はい……」
そうして、恋愛相談室の第一号はマスターになった。
「最近、気になる子がいて」
「っ」
その事実に、胸がズキリと痛む。
そうだ。マスターに好きな子がいてもおかしくない。
そんな当たり前のことすら考えれてなかった。
「その子はすごく可愛いんだけど、抜けてる所が多くて……。マイペースっていうのかな?」
「……そんな子が皆のために頑張ってる姿を見て、気がつけば目で追うようになって」
少し照れながら話してる彼の表情は、恋をしてる人のそれで。
「短い間だったかもしれないけど、ハッキリと自分の気持ちに気づけたんだ」
……聞きたくない。
「彼女のことが大好きなんだって」
聞きたく、なかった。
「そう、ですか……」
声が震える。
瞳からポロポロと涙が零れ落ちていく。
泣き顔を見られたくなくて俯く。
ーーー私、こんなにマスターのこと好きだったんだ。
マスターは優しく手を重ねてきて。
「ごめん、もっと上手く言えたら良かったんだけど……」
「その子は金髪で、すごく可愛くて、今も僕の傍にいて……。まだ分からないかな?」
「え?……ん!」
思わず顔を上げると、マスターに唇を塞がれた。
触れるだけの優しいキス。
熱くて、気持ち良くて。
「ぷぁ……ま、マスター?」
「君のことが好きだ」
ズルい。
さっきとは別の理由で涙が零れていく。
「あ、あの、私は、えと……」
上手く舌が回らない。
聞きかじった知識が全く役に立たなくて、身体中がどんどん熱くなっていく。
「わ、私も……!」
「ま、マスターのことが好きです……」
蚊の鳴く様な声での告白。
「……えっと」
マスターには聞こえてないみたいだった。
「も、もう!」
言葉ではなく、行動で。
彼に好意を伝えるために、身体の隙間がなくなるくらいに強く抱きつき、そして。
そのままもう一度彼と唇を重ねた。
「エロースの気持ち、伝わりました……?」
「……まだ伝わりきってないかな」
「ま、マスターのえっち。そういうのは……」
「君のこと、大切にする。キス以上のことはしない。だから、ダメかな?」
「だ、ダメじゃ、ないです……ん、んぅ!」
そこからは凄かった。
互いに唇を求めあう中、多分これが愛なんだな、なんてことを考えた。
エロースと恋人同士になって数日が経った。
「マスター、恋愛相談室は取りやめました。今度はお悩み相談室を開きます!」
「え、お悩み相談室?それって恋愛ごとじゃなくてもいいの?」
「はい、今度こそ皆の役に立つためにも、困っていることや悩んでいることの手伝いが出来たらなって……」
「そっか……」
皆の為に頑張る彼女の姿を見て、思わず微笑む。
「それに恋愛相談室の時に、恋愛は知識だけじゃダメだって思い知ったので、その……」
「色々なことを教えてくださいね……?」
こうして、エロースのお悩み相談室が開講された。
隊の皆の色んな悩みに僕達が振り回されていくことになるのは、言うまでもない。
それでも、恋に真っ直ぐで頑張りや屋な彼女を支えていこうと心に誓う。
恋人として彼女と過ごすこれからに、想いを馳せながら。
Fin
最後まで読んで頂きありがとうございます。
エロースの恋愛相談室は実践編というタイトルで続編を投稿する予定なので、気になる方はそちらも読んで頂ければと思います。
エロースの可愛さが少しでも伝わる様に頑張っていきたいと思いますので、宜しくお願いします。